(2002年6月〜2005年)


ピョンヤン3予防院(6月訪朝)




















カルリムキル診療所(6月訪朝)

ヲンサン育児院(6月訪朝)

《朝鮮住民への医療支援・現地訪問へ》
 朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)における医療援助、医療協力についての、現地訪問レポートです。
 現在アジアにおいて、最も近代医療の光が当たっていない地域の一つが共和国です。
 その原因については様々な意見があると思いますが、私たち医療人は純粋にその地域に住む人達が置かれている環境に留意し、対処すべきではないかと考えています。
 2002年6月と9月の二回にわたり共和国を訪問し、医療の実情の一端を視察してきました。
 とても閉鎖的な体制であり窺い知れないことも多々ありましたが、医療関係者はどなたもとても優秀であり、医薬品が決定的に不足している中、真摯に診療している姿に胸が熱くなりました。
 食糧事情とともに、医療事情も困窮を極めています。
 私たちは、ピョンヤンだけでなく地方の医療事情を視察したい旨を強く申し入れ、カンヲンドにある結核診療所と孤児院、ファンヘプットにある結核診療所と孤児院を視察してきました。それぞれ共和国の東側と南側にあたります。
 ピョンヤンにおいては、結核の予防院、孤児院だけでなく、地域の診療所も視察してきました。個人レベルでのこのような視察は、残念ながら過去になかったそうです。
 国際保健機構(WHO)による医療援助は行われているそうです。規模としてはかなり大規模のようです。韓国やアメリカからも援助があるそうです。おそらく日赤からもあるのでしょう。ただ、その何れもが一方的であり、実情にあった援助には、質、量ともになっていないようです。実際に使い道が無く放置されているレントゲン修理コンテナ(アメリカと韓国)、歯科の最新診療台を目にしました。
 一方で、抗生物質は決定的に不足しています。注射器もほとんど無く医療のレベルは日本の戦前にはるかに及びません。それもここ10年の状況の変化に拠るものであり、過去の近代医療の残滓をみてきました。
 医療は予防が中心であり、ひとたび病気になればもう諦めるしかないのが実情です。結核が蔓延していて有効な治療法、治療薬がないようです。WHOが援助する結核薬は効き目が悪く、合剤であるため医師の裁量が効かず、結果として結核の蔓延を許しているようです。
 歯科材料は殆ど無く、視察した25,000人の町にある唯一の歯科には、使えるエンジンも、勿論タービンもなく、唯一の治療が抜歯でした。残念ながら麻酔薬も無く抜歯に伴う出血がとても怖いということでした。

 なにからなにまで無いものだらけの共和国ですが、そこでの医療協力について、担当の部局といくつかの点について話し合いの上、合意してきました。
 1.医療現場を視察し意見交換した上、必要とするものを援助する。
 2.援助物資は、直接医療現場に届ける。
 3.使用状況と、効果については報告を受ける。

 この原則の下、三箇所の結核療養所に結核薬を託し、実際に使用されて効果があがっていることを確認してきました。
 孤児院には粉ミルクと医薬品を贈り、再度、訪問して確実にそこで使われていることを確認しました。
 歯科診療所では、麻酔薬から、補綴材料までこと細かく打ち合わせの上提供し、とても歓迎されています。

 しかし個人での援助には限度があり、今後どの様に続けていくかが課題となっているところです。
2002年10月
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