第111回運営委員会
1月5日に「関西STS連絡会」第111回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:10団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) _伊良原淳也(関西STS連絡会)
_NPO法人「アクティブ ネットワーク」(茨木市) _NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市)
_NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) _NPO法人「守口送迎」(守口市)
_NPO法人「いばらき自立支援センターぽぽんがぽん」(茨木市) _い〜そらネットワーク(大阪市)
/_三星昭宏(近畿大学・名誉教授) _つばさ介護サービス(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『2013年新春座談会「どうする地域公共交通〜使命と役割を果たすために(要旨)」』(2013.1.1東京交通新聞)
「・高橋幹会長(日本バス協会) / ・富田昌孝会長(全国ハイヤー・タクシー連合会)
・河崎民子副理事長(NPO全国移動サービスネットワーク) / ・武藤浩自動車局長(国土交通省)
・加藤博和名古屋大学准教授
《現状認識・課題》
加藤
 規制緩和のショック療法も低レベルの安売り競争などを招き、高速ツアーバスもタクシー供給過剰もその結果だ。その間、NPO有償運送が表舞台に登場した。ニーズの大きな変化に運送業界がうまく対応できていないことが根本にある。できればバス・タクシー・NPOの3者がうまく相互補完して、地域全体を盛り上げていってほしい。
高橋 今、バス事業において強く感じているのは、定時性が保てないことだ。道路渋滞の影響により、特に朝の通勤通学時間帯に定時性を保てないのは悩みの種だ。
富田 現在、3年ほど前にできた「タク適正化活性化特別措置法」により、供給過剰対策と同時に活性化にも取り組んでいるが、地域に合った取り組みが必要だ。本格的な調査を2013年にやってみて、今の需要に合った供給を質量ともにきちっとして、需要全体のパイを拡大していきたい。
河崎 市が運行する障害者向け車両2台に500人の登録者がいてほとんど使えない状況があり、1998年に活動団体を結成した。構造改革特区で「道路運送法80条」の有償運送サービスとして全国で最初に認定され、その後の「道運法改正」で79条登録団体として活動してきた。
 地域交通のような対人の顔が見えるサービスは、その地域にいる人しか担えない。NPOとしても地域で必要とされる福祉サービスは、自分たちで取り組む一方、タクシーやバスとの連携の中で地域を豊かにしていかなければならない。その辺りが今後問われてくる。
武藤 国土交通省の交通部門の最大の課題は、地域公共交通の問題だと思っている。バス、タクシー、NPO有償運送などを今後どう維持し、利用者から選ばれる機関にしていくか極めて重要な問題だ。バスでは従来の内部補助を止め、地域活性化の事業補助にシフトするなど、公共交通機関の維持の仕方も変わってきている。
《改善策は》
加藤
 お年寄りは、バス停まで歩けても発車・到着時に転ぶ危険もある。タクシーは高いから回数が多く乗れない。NPO有償運送を含めて公共交通が乗りやすければ、もっと医療費を減らせる。もし安くて気軽に乗れる乗り物があれば、出資してもいいという人もおり、地域全体で需要の芽を育てていかないといけない。交通事業者だけではリスクがありできないので、地域の皆さんと情報交換して一緒に起業していってほしい。
高橋 決められた時間帯はマイカーの駅ロータリー等への進入は遠慮してもらい、バス優先を広めていただきたい。定時性が保てればお客さまの信頼も回復する。
河崎 地球環境からも、マイカーの無制限の使用は規制していくべきだと思う。乗り物は生活の質を高めるため目的地への移動手段だと思ってきたが、子どもを連れた若い女性はあまり並んでいない。新たな顧客をぜひ獲得してほしい。
《タク運賃は高い?》
富田
 運賃問題は事業者だけでは困難で、政府や行政が一緒になって解決していかないと難しいと考えている。
河崎 乗り放題1万円コースなど、ユーザーからは魅力的だ。自動車購入費とガソリン・保険代などをならすと月約3万〜5万円の出費になる。今後、自分が高齢化してくると絶対に乗ると思う。
加藤 タクシーは貸切的な輸送なので、運賃を下げられない。下げるためにはデマンド乗合か、路線やエリアを決めた運行をやる必要がある。例えば9人乗りや15人乗りなど、ニーズに合わせて適材適所で選択すべきだ。バス・タクシー業界がいろいろ工夫しニーズをつかんでほしい。
《デマンド運行》
高橋
 私どもの会社ではタクシーも営業しているが、デマンドバスも近々実験運行を開始する。タクシーとどう組み合わせるかが課題で、お互いの意見交換を頻繁にしている。
加藤 事業者の努力が地域に伝わっていない。地域公共交通を無くさないために、どうお金を回すか、地域や自治体などを巻き込んだ仕組みづくりが大事だ。
河崎 路線バスがなくなると一番困るのは地域の人。何らかの市民参加の仕組みをつくり、バスを守っていかないといけない。自分が年を取った時に頼りになる路線を、日頃から認識した仕組みをつくれないか。
《公共性と収益性》
加藤
 公共交通として地域に必要なのに収益が取れないなら、公的資金を入れていくことも正当化される。私は、公的資金を地域を豊かにする「交通保険」と言っている。自分は使わなくても負担する。公共交通は利用していない人にも便益をもたらす。スーパーや自治会が協賛金を集めている公共交通もすでにある。地域がほしいと思える交通をどうして実現するかが、バス・タクシー業界がより活性化していく道筋にもなる。
河崎 地域の住民の足をどうしていくかは、地域の住民や自治体が考えていく時代だ。地域の交通は、住民に任せる制度がうまくできるといいと思う。自治体や住民だけでは難しいエリアは、バスやタクシー会社に担ってもらう。どういうサービスが付けられるかなどを積極的にプロポーザルしてもらいたい。「あの運転者は親切だから外出が楽しい」と、高齢者が外出するようになることを期待したい。
武藤 当初は全国一律の補助体系だったが、地域ごとの支援制度ができている。今は過渡期で、規模に応じたバスサービスやコミバスをやったり、タクシーの乗合で廃止後のバス路線を維持している地域もある。廃案となったが「交通基本法」があれば、国の交通政策の地位が上がり、工夫しやすくなる可能性がある。
《メッセージ》
富田
 利用したいが利用できない人がいるような現状には、景気対策をはじめ国の責任も大きい。前向きな対応を国にも行政にも期待し、われわれも努力したい。
河崎 利用者目線でバスやタクシーの方と語り合う場が、もっとあればいいと思う。11月に東大で「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム」を開催したが、こうした場で皆さんと地域の豊かさを求めて本音で語り合い、コミュニケーションを深めていきたい。
武藤 行政の立場は実務家としていろいろな提案をちゃんとした制度に作り上げ、実現していくことにある。個々の実情を把握し、しっかり対応していきたい。
加藤 バス・タクシー業界やNPOの皆さんから、地域で支えていくべき魅力的な移動手段の提案をしてほしい。力を合わせてその提案を実現していくことが、地域の活性化につながっていく。私も大いに支援していく。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)「2013年 移動送迎支援活動セミナー」の開催に向けて
 ■名称:「《2013年新春STSセミナー》地域生活支援の現状から移動送迎サービスの課題を考える」
 ■日時・会場:2013年3月16日(土)10:00〜16:00、於:大学コンソーシアム大阪
 ■主催:関西STS連絡会・NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
 ■内容:
  □研究発表:「パーソントリップ調査から見える現状と課題」(講師:猪井博登さん 大阪大学・助教)
  □問題提起:「“東日本大震災被災地”から見える課題」(講師:村島弘子さん 災害移動支援Vレラ)
  □各地域からの報告:@:滋賀、A:神戸T、B:京都、C:神戸U、D:福井
 ■まとめ(問題提起):(三星昭宏さん 近畿大学・名誉教授)

(2)1月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎1月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎2月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎3月25、26日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎4月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎5月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎6月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)


■次回運営委員会:2月2日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所