第112回運営委員会
2月2日に「関西STS連絡会」第112回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:5団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) _伊良原淳也(関西STS連絡会)
_NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) _NPO法人「いばらき自立支援センターぽぽんがぽん」(茨木市)
_い〜そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『講演『福祉有償運送の現状等について(レジュメ要約)』(和歌山大学教授:辻本勝久)』(2013.2.1 於:橋本市福祉有償運送運営協議会)
1.地域の公共交通体系における福祉有償運送の位置づけ
・マイカー、鉄道、路線バス、コミュニティバス等で、ひとりでは外出が難しい人のうち、
@家族等の送迎による移動、A介護保険による介護タクシー、B介護保険を使えず、急な用事などの移動は一般タクシー・福祉タクシー、C宅配サービスや移動販売等での対応。
 以上では救えない人のためのセーフティネットとしての福祉有償運送

2.橋本市における地域公共交通体系の動向
・ひとりでは外出が難しい人に該当する人が増加し、交通面の対応も進む。
1)増える高齢者・要支援者・要介護者・障がい者
・2008.1→2012.12の変化(橋本市提供資料)
人口:69,901→66,862(約4.3%減少) ■高齢者数:15,068→16,619(約10.3%増加) ■要支援・要介護認定者数:3,447人→4,121人(約19.6%増加) ■身体障害手帳交付者数:2,948人→2,964人(約0.5%増加) ■知的障害者数:315人→406人(約28.9%増加) ■精神障害者数:256人→381人(約48.8%増加)(※身体、知的、精神は一部重複)
2)充実が図られてきた地域の公共交通網と、関連する全国の動向
・県内各市に先駆けて福祉有償運送の実施 ・橋本駅と周辺のバリアフリー化 ・橋本市コミュニティバスの改善 ・橋本市民病院送迎バスの運行 ・鉄道のサービスレベルはほぼ一定 ・橋本市内のタクシー台数は約50台でほぼ一定(UDタクシーは未導入)
 ※UD(ユニバーサルデザイン)タクシー:・車いすや自転車も載る ・運転手にヘルパー資格不要 ・国の支援策:購入費60万円の助成、取得税・重量税の免除 ・車椅子利用者、大きな荷物の人、足が悪い人などのニーズ ・全国のUDも含む福祉タクシー車両:1万3099台(2011年度末)、国のバリアフリー基本方針:2020年までに2万8000台 ・橋本市内の介護タクシーは4社5事業所(タウンページによる)

3.福祉有償運送の動向
1)市内の福祉有償運送は縮小傾向(2012.4.1現在):
運営協議会で協議の整った団体:10団体(うち開始団体:8団体) ・車両数:67台(2007:62台、2010:70台)運転者数:78名(2007:76名、2010:87名会員数:283人(2007:166名、2010:322名)輸送実績:3677回(2007:1105回、2009:4738回 ・福祉有償運送の苦しい運営事情:@利用時間の偏り、A人件費・燃料費による赤字拡大、B運転手の減少
 ※橋本市の「運転協力者認定講習」(講習費を市が負担)・2007年2回実施(参加者55名)2010年1回実施 (参加者26名)・これ以降の開催はないが……
2)全国の福祉有償運送の動向:・登録団体数:2007年2,300、2010年2,330、2011年2,338(参入と撤退を繰り返している地域が多い) ・運転者の人材確保に苦労 ・実施団体のほとんどが赤字(橋本市内も同じ)
 ※記事:@「福祉有償運送制度発足6年/不採算、業者増えず」(2012.10.23佐賀新聞)、A「つくば市周辺部/進む高齢化/増える交通弱者/格差拡大/支え合う住民たち」(2012.10.20東京新聞)、B「高齢者や障害者助けたい/岐阜/移動サービスセミナー/負担を分散するのがよい」(2012.03.27中日新聞)、C「NPO法人が赤字で運送対価値上げ/名古屋福祉有償運営協」(2012.02.27東京交通新聞)

4.福祉有償運送をはじめとするSTSをめぐる新しい動向
1)新しいサービス

 ※「陣痛タクシー/妊婦も安心/熊本市の業者、2月から運行/病院まで、講習受けた乗務員対応」(2013.01.29熊本日日新聞):・登録制 ・かかりつけの病院に相談した上で利用 ・医師から妊娠に関する講習を受けた運転手が乗務 ・陣痛タクシーは日本交通(東京)が2012年5月に開始し、5ヵ月間で約2200回の利用。
2)STSへの理解を深めるための取り組み
 ※「各地でUDタク好評/バリフリ教室に初のお目見え」(2012.03.05東京交通新聞):・川崎市「交通バリアフリー教室」にUDタクシー、千集県「福祉タクシー体験交流会」、車いすでの乗降・高齢者の疑似体験など。→こころのバリアフリー促進に効果
3)配車方法の改善(事業者同士の連携)
※「介護タクシー:効率よく配車/中部最大級の「センター」開設/事業者つなぎ融通性アップ」(2012.04.14毎日新聞):・コールセンターに愛知県内7市の17業者(計20台)が登録、予約が重なると断られるケース・ 遠方の業者では料金高を解消。→コールセンターの設置で窓口一本化と、利用促進効果。
 ※福祉有償運送でも同様のことができないか
4)タクシーと自治体や福祉有償運送の協働
 ※「東京・練馬区が福祉輸送でタクシーと協働」(2012.08.13東京交通新聞):・同区と同区内の一般タクシー、福祉限定タクシーなど約70のタクシー事業者が、移動制約者問題の解決に向けた意見交換会。 ・福祉有償運送を知らない事業者、福祉輸送への意識に差がある事業者間で、社会貢献意識を醸成し、区との連携のあり様を考える。
 ※橋本市でも、タクシー、介護タクシー、福祉有償運送と市とが一堂に会して、地域の移動の福祉向上への連携・協働を計れないか……
 ・橋本市における福祉有償運送の情報交換会開催状況(2007年〜2009年まで毎年実施、以降の開催なし…)
 ・橋本市における福祉有償運送講演会及び相談会(2008年と2009年に実施、これ以降の開催はない…)
 ※こういった機会を再度、かつ発展的に確保する必要はないか。
5)福祉有償運送では対応できないニーズへの対応
 ※「提言/知恵出し安心なまちへ」(2013.01.11山形新聞):・村山市社会福祉協議会が福祉有償運送サービスを実施。 ・「わいわいタクシー事業」を設置(タクシーに割り勘で相乗り)。 ・商工会が高齢者の買い物と休憩ができる「街なかサロン実行委員会」を開設準備。

5.福祉有償運送の現状等について:まとめ
福祉有償運送は、地域公共交通体系の中で、セーフティネットとして極めて重要
・鉄道、バス、タクシー、介護タク等と連携し「誰もがおでかけしやすい」まちづくりを。
・しかし、福祉有償運送の運営状況は全国的に厳しい(運転者の確保、採算性等)。
講習会の開催や、情報交換の場の再開(できれば発展的再開)。採算性を向上させるための各種支援事務的負担軽減のための各種支援等が必要ではないか。
・全国のSTSで進む新たな取り組み(UDタク、新サービス、UD車によるバリフリ教室等)にも注目し、「誰もがおでかけしやすい」まちづくりに向けた継続的改善を。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)「2013年 移動送迎支援活動セミナー」の開催に向けて
■名称:「《2013年新春STSセミナー》地域生活支援の現状から移動送迎サービスの課題を考える」
■日時・会場:2013年3月16日(土)10:00〜16:00、於:大学コンソーシアム大阪
■主催:関西STS連絡会・NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
■後援:大阪府、大阪市、NPO法人 全国移動サービスネットワーク、社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会(予定)
■協賛:土木学会移動権の考え方に基づく移動環境の整備・評価に関する研究小委員会、災害科学研究所交通まちづくり学研究会、日本福祉のまちづくり学会関西支部(予定)
■内容:
 □研究発表:「パーソントリップ調査から見える現状と課題」(講師:猪井博登さん 大阪大学・助教)
 □問題提起:「“東日本大震災被災地”から見える課題」(講師:村島弘子さん 災害移動支援Vレラ)
 □各地域からの報告:@:全国移動ネット、A:滋賀、B神戸T、C:京都、D:神戸U、E:福井
 □まとめ(問題提起):(三星昭宏さん 近畿大学・名誉教授)

(2)2月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎2月6日/関西STS連絡会「(市町村)運転者認定講習会」(奈良県宇陀市)
 ◎2月9日/関西STS連絡会「(福祉有償・過疎地有償)運転者認定講習会」(福岡県豊前市)
 ◎2月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎3月25、26日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎4月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎5月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎6月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)


■次回運営委員会:3月2日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所