第116回運営委員会
7月6日に「関西STS連絡会」第116回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:6団体)
_NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) _伊良原淳也(関西STS連絡会)
_NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) _NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市)
_NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) _NPO法人「守口送迎」(茨木市)
_NPO法人「いばらき自立支援センターぽぽんがぽん」(茨木市) _NPO法人「ポプリ」(神戸市)
_NPO法人「移動サービスネットワークこうべ」(神戸市) _青井さん


【議 案】

■ 資料関係:

@『内閣府「自家用有償旅客運送の事務・権限の移譲について」ヒアリング』(報告:全国移動ネット事務局 2013.7.3)
■ヒアリングされたメンバーの意見(要点)
佐賀県の古川知事は、中原たすけあいの会で丁寧なヒアリングをされていたせいか、福祉有償運送が抱える問題点を中心に、登録不要の1コインバスを走らせているNPOの苦労にまで踏み込んで、制度の弾力運営をしたいことを発表された。自治体は、運営協だけを任されても意義が分からず、責任をもって取り組むことが難しいので、自己反省も込めて地方移譲すべきである。
富山市長は、「民」と一緒に市町村が交通空白を埋めることを実践している立場から、運営協議会は良い仕組みだと発言された。お金がない人はNPOが無償で支えるというのは少し違うと思う。公費投入の合意を形成することも、市町村には必要である。
揖斐川町の宗宮町長は、過疎地有償運送の担い手もいない、運転者講習もハードルが高い、交通空白地域は残っているが、コミバスの赤字を埋める財政負担に限界を感じていて、もっとハードルを下げた形での「共助」の しくみを求めるという内容でした。
全国移動ネットの河崎さんは、制度の問題点について「法にきちんと有償運送の目的を明記すること」「市町 村裁量部分に関しては、きちんと条例化したほうがよいこと」「運営協議会のほか、具体的な法令の見直し項目 を課題別に示したこと」などを指摘。
■委員の反応
勢一智子委員は、登録権限、運営協議会、管理監督すべて市町村で完結した場合、民主的な運営が保障されるかどうかの問題を指摘。他の委員の方々の共感を呼んでいました。
加藤博和委員は、もっと現場で使いやすい制度にという立場から、手続きの「簡素化」が必要だと断言された。
■協議のポイント
 全体としては、移譲先が都道府県か市町村かという点に重きを置いて進行。ヒアリング・メンバーや委員の間でも、「地域の事情を理解しているのは市町村。市町村の手上げ方式がよい(富山市長ほか)」「市町村の手上げ方式で、都道府県はルール作り等で補完するのがよい」「都道府県に一律に移譲して、市町村が希望すれば移譲するというのがボトムアップにつながる(佐賀県知事)」「手上げ方式でよいが、手を上げない市町村は従来通り国交省権限のままでよいのか疑問」などの意見が出る。
 この部会では、詳しい法令見直しについては示されないものと思われるが、移譲先については「一定の結論」が出されると思う。それでも、これだけ制度の弾力化を求められるのだから、法令のあちこちを見直さないわけにはいかないはず。具体の検討は8月以降と思われるので、部会の方向性と今後のスケジュールを確認して、早期に主張のポイントをまとめるべき。

【NPO法人 全国移動ネットからのヒアリング提出資料】
1.不当なローカルルールの是正について 2.救済等の第三者機関の設置 3.道路運送法等を見直したのちに移譲すること 4.権限の移譲先について 5.制度の見直しにあたって
■権限移譲にあたって整理すべき課題
・有償運送を行う目的が明らかでない ・合意の場である運営協議会は、利用者の利便向上の場とすべき
・救済機関(第三者機関)の設置 ・市町村の裁量や判断で地域事情にあった仕組みをつくれるようにする
・利用者の安全と安心のためには、有償運送に相応しい運行管理の講習が必要 ・移譲先を市町村とした場合、困難が生じるのではないか」

A『《地方分権改革本部》「地域交通部会」初会合/タクとすみ分けに注文』(東京交通新聞 2013.7.8)
「政府の地方分権改革推進本部・有職者会議の「地域交通部会」は3日、NPOボランティアなど自家用車有償旅客運送の国の事務・規制権限の自治体への移譲をめぐり、日本バス協会全国ハイヤー・タクシー連合会全国福祉輸送サービス協会NPO全国移動サービスネットワーク国土交通省などから一斉にヒアリングした。
 希望する市町村に移すこと自体には賛意が示されたが、タクシーとのすみ分け運送登録手続きの簡素化をはじめ注文が続出した。運営協議会の仕組みは継続し、移譲に必要な道路運送法改正案などの提出は来年の通常国会となる見通しが出ている。内閣府と国交省はこの日のヒアリングで出された意見を踏まえ、調整の上、移譲方法の案を策定する予定。次回の部会の会合は当初予定の10日が先送りされ、今月下旬に。夏ごろ結論を出す段取りになっている。
 ヒアリングに臨んだのは、神姫バス・長尾真社長(日バス協地方交通委員)、全福協・漢二美会長、全タク連・各務正人理事長、全国移動ネット・河崎民子副理事長、国交省・武藤浩自動車局長、佐賀県・古川康知事、富山市・森雅志市長、岐阜県揖斐川町・宗宮孝生町長の8人。
 漢、各務の両氏は、「有償運送はタクシーによって十分な運送が提供されない場合に認められるもの。移譲するなら、タクシーとのすみ分けと、あらゆるニーズに対応するタクシーの位置付けが必要」と求めた。武藤氏は「地域の特性や利用者ニーズに応じた輸送が実現でき、地域の幅広い関係者の意見を反映できる仕組みを充実させるべき」とし、柔軟に制度を見直す姿勢を示した。
 一方、河崎氏は「移譲は基本的に歓迎」としつつ、「利用者数を増やせないなど、法令を超えた不当なローカルルールを設ける運営協が多数ある。移譲の目的が利用者の利便の増進なら、不当なルールが分権の名の下に肯定されないように」と主張。「ローカルルールは条例で制定すべき」と提起した。現行の道運法への位置付けや、運営協での合意形成の対象項目についても懸念を示した。古川氏は「運営協を自治体の付属機関とし、道運法や施行規則を規制緩和すべき。まず都道府県に移譲し、手挙げ方式で市町村に。都道府県は小規模の自治体を補完できる」と強調。
 バス・タクシーが関わる新たな制度設計をめぐっては、同部会では直接議論の対象とせず、「交通政策基本法案」など国交省が主体的に検討する方向だ。加藤博和准教授はタクシーを絡めた「試案」を提示。運営協を解体・再編し、福祉有償運送に対し「地域福祉交通会議」を新穀、「タクシーも含めた福祉輸送のあり方を協議し、タクシーでは救えない人を救う方法を考えるべき。」と述べた。
3つの論点示す/後藤部会長
 初会合後、会見した後藤部会長は、輸点として、希望する市町村に事務・権限を移す方針を前提に、@移譲先はどういった自治体になるか、A移譲を受ける自治体側の体制に何が必要で、国はどう支援するか、B自治体の自由度、裁量を広げられるか――の3つを掲げた。
 「県にまず移譲するか、直接、市町村にするかの問題が出てきた。どちらにしても、新しい公共の足として有償運送に取り組むことだと思う。制度の精度を高めていこうという方向性は共有できたのでは」との認識を示した。同部会長は「有償運送の問題は、地方分権の先行的な事例としたい」と述べた。自治体に移譲した場合、運営協メンバーの地方運輸支局はオブザーバーになるとの見通しも示した。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)「地域支え合い型移動サービス(登録不要の活動)・研修会」
 ◎日時:2013年10月19日(土)13:00〜17:00
 ◎会場:神戸市勤労会館
 ◎主催:NPO法人 移動サービスネットワークこうべ
 ◎共催:関西STS連絡会
 ◎講師:伊藤豊氏(移動サービスネットワークこうべ) 山本憲司氏(全国移動サービスネットワーク)
      三星明宏氏(近畿大学・名誉教授)

(2)7月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 7月 2日/全国移動ネット・過疎地有償運送「運転者講習会」(大阪府能勢町社福協)
 ◎ 7月10、11日/橋本市・関西STS連絡会「運転者講習会」(和歌山県橋本市)
 ◎ 7月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 8月19、20日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 9月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎10月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)


■次回運営委員会:8月3日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所