第126回運営委員会
7月5日に「関西STS連絡会」第126回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:6団体)
・NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) ・伊良原淳也(関西STS連絡会)
・NPO法人「フクシライフ」(泉佐野市) ・NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市)
NPO法人「いばらき自立生活センターぽぽんがぽん」(茨木市) ・い〜そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『「生活支援サービス」対応/全国移動ネット総会』(東京交通新聞2014.7.7)
「特定非営利活動法人・全国移動サービスネットワーク(全国移動ネット、中根裕理事長、183団体個人)は6月28日、港区・日本財団で第8回通常総会・理事会を開き、地方自治体への有償運送の権限移譲や改正介護保険法による生活支援サービスの制度化などを踏まえた事業計画・予算を決めた。
 権限移譲対策では、この日の東京のシンポジウムを皮切りに大阪(10月10日)、佐賀(11月26日)、仙台、岡山、横浜の6ヵ所でキャラバンセミナーを開催する。
 「被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金」が7月1日からスタートすることが、災害支援の会の柿久保浩次代表(関西STS連絡会)から報告。基金の目標規模は1000万円。被災地での移動を、基金を活用して支援する。」

A『《自家用有償運送・権限移譲》佐賀県、横浜市が名乗り/「先進事例として環境づくり」』(東京交通新聞2014.7.7)
「来年4月から実施される自家用有償旅客運送の事務・権限の地方自治体への移譲について、佐賀県と横浜市が主体的に権限を担うことを表明した。6月28日に特定非営利活動法人 全国移動サービスネットワーク(=全国移動ネット、183会員)が行った公開シンポジウムで、古川康・佐賀県知事柏崎誠・横浜副市長が「真っ先に手を挙げ、先進事例として全国の自治体が権限移譲しやすくなる環境をつくっていく」と述べた。
 有償運送の権限移譲は希望する自治体が手上げ方式で担うが、現在、大半の自治体は様子見状態。今回、佐賀県と横浜市という地方都市と大都市の2つの自治体が、あらためて旗幟(きし)鮮明にした。
 古川知事は「地域の移動で言いたいことは、自治体に言う癖をつけてほしい。移動手段はいっぱいあるが、有償運送は公共交通に入っていなかった。タクシーができること、有償運送ができること、それぞれあり、住民が移動しやすいネットワークをつくる」と述べた。柏崎副市長は「市で登録や監査業務を行うことになるが、関係団体の意見を聞いて横浜に合った施策を展開する。バス、タクシー、NPO、社会福祉法人とが補完し合い、バランスのとれた交通体系をつくっていく」とした。
 討論には、九州大学大学院の嶋田暁文准教授国土交通省の瓦林康人自動車局旅客課長全国移動ネットの山本憲司理事が出席。同ネットの中根裕理事長が司会した。
 嶋田准教授は「有償運送がタクシー事業をつぶすことにつながるとの意見があるが、データをみればありえず、誤った情報を一般化せずに正確な現状を把握し、無用の空中戦を避けるべきだ」と述べた。
 山本理事は「権限移譲された自治体が、地域が取り組みやすいよう自主解釈できるよう促す。ローカルルールの勝手な自主解釈が最悪のパターン。そうならないよう佐賀県と横浜市に“佐賀版自主解釈”と“横浜版自主解釈”の策定を促していく」とした。」

B『地方分権、次へ手探り/第4次一括法で一区切り/自治体主導は未知数』(日本経済新聞2014.7.14)
「2006年に始まった第2次地方分権改革の「集大成」とされる第4次一括法が、先の通常国会で成立した。国主導の規制緩和や権限移譲は、一段落した格好だ。国は次の舞台に向け、分権の具体策を自治体に提案してもらう手法などを導入したが、税源移譲や道州制などを含んだ全体像は見えないまま。新たな改革は当面、手探りになりそうだ
 第4次一括法で完了した第2次分権改革は、政府の地方分権改革推進委員会が地方への移譲を検討すべき事項などを指摘した勧告に基づいて進んできた。規制緩和は勧告事項の74%にあたる975件、国から地方への事務・権限の移譲は69%の66件、都道府県から市町村への移譲は67%の113件の見直しが実現した。
 中央省庁が地方への移譲に強く抵抗している事項など、積み残しもある。地方からは第4次一括法を評価しつつも、「農地転用やハローワーク(の移管)など、地方の要望の強い分野を中心に移譲の方向で検討を求める」(全国知事会)、「移譲で生じる財政需要に見合った、財源措置を確実に講じること」(全国市長会)といった注文がついた。
 国が自治体主導の分権の有力な手法として新たに設けたのが「提案募集方式」と「手挙げ方式」。提案募集方式は、全国で実施できる規制緩和などの具体策を自治体に求めるもので、7月15日を期限に第1弾を募集している。内閣府には300件を超す事前相談が寄せられたという。国は提案への対応を、年内に決めるスケジュールを描く。
 手挙げ方式は、希望する自治体だけに権限を移譲する仕組み。まず高齢者らを自家用車で送迎する事業(自家用有償旅客運送)で導入した。第4次一括法で事業の登録権限を国から地方に移すことを可能にした事業だが、手挙げ方式にした背景には、国土交通省の昨秋の調査で、移譲を希望する自治体が全体の約6%にとどまったことがある。タクシー業者などとの調整も難しく希望しない自治体は「専門的な人材を確保できない」などの理由をあげた
 6月28日にNPO法人が都内で開いた同事業の公開シンポでは、佐賀県の古川康知事が「やる気のない自治体に権限を渡さないようにしたのは、全国一律にやるより良かった」と前向きにとらえた。NPO側は「移譲が進むかどうかは、自治体のやる気次第」とみる
 新方式には、提案の審査などで国の強い関与が残ったり、自治体間の格差を広げたりする可能性もある。全国知事会の山田啓二会長(京都府知事)は「地方が選ぶ分権ではなく、(国に)地方が選ばれるような状況が生まれたら、主体的な分権にはならない」と国側にクギを刺す。
 参院総務委員会調査室の小島功平調査員は、「能力のある自治体がより多くの権限をもつことになれば、市町村ごとに担う事務が異なるようになる。それが住民の生括に影響しないようにすることが課題になる」と話す。
第4次一括法】:国から地方への事務・権限移譲や規制後和などに向け、改正が必要な63法律をまとめたもの。5月28日に成立し、一部を除き来年4月に施行される。看護師などの養成施設の指定や、高齢者らを自家用車で送迎する事業の登録などの権限を国から自治体に移した。第2次地方分権改革は第1次一括法が成立した11年から段階的に法整備が進められてきた。」

C『《近畿圏・夏の特集》岐路に立つ福祉輸送』(東京交通新聞2014.7.28)
「福祉輸送が岐路に立っている。地域の自主性と自立性を高めるための法律・第4次地方分権一括法、通称・地方分権法が今年5月28日に成立、来年4月1日から施行される。自治体に移譲される権限は多岐にわたるが、国土交通省関連のうち、道路運送法の自家用有償旅客運送の登録・監査もその一つだ。自家用有償運送に対しては、青ナンバー事業者から「タクシーの需要を侵食する」との指摘が根強い。“転換期を迎える福祉輸送”をテーマに国、タクシー事業者、NPOの代表に、▽権限移譲の是非、▽運営協議会の役割、▽交通空白地帯の有無、▽福祉運送の課題と展望――など率直に語ってもらった。

タクシー侵食ありえぬ/運営協議会の現状に課題も――関西STS連絡会 伊良原淳也 代表
 権限移譲をうんぬん言う前に、福祉有償運送を実施するNPOは増えていない。大阪府の調べによると、2006年に176団体あったのが、12年には164団体に減った。道路運送法の改正で、福祉有償運送が出来て国土交通省が何とかしなければとなった割には、市民運動と運輸行政の狭間でうまくいっていない
 実際の福祉有償運営協議会では、安全性が適正なのかが議論の主眼だ。移動制約者の交通についての議論が展開されているとは言いにくいローカルルールなど規制の側面が際立ってしまう。当連絡会は権限の移譲に賛成だ。だがこの話が出始めた当初、制度を理解していない自治体に権限を移譲すればローカルルールの固定化につながるとの懸念もあった。ローカルルールがはびこっているのが、近畿の特徴だから。
 大阪の運営協議会の中には、登録や更新で適性診断の提出を求めるところもある。このままでは危ないと思い、運転者の審査ではなく、結果を基に指導助言をするという形に押しとどめた。運転者本人の問題なのに、さも運営協議会がお墓付きを与えないといけない、となりかけていた。
 大阪府下には、ブロック開催も合わせて6つの運営協議会があり、幹事の市町村が1年で交代する。「せめて2年くらいにしてくれないか」と市町村に打診しても、「これは大阪府市町村会での合意事項だから」と。やっと解りかけてきたときに、次の市町村に引き継がれる。福祉部局の担当者が何年かに一度担当する業務になっているので、最終的には運輸支局やタクシー事業者の委員の意見が幅を利かす。「安全・安心」の伝家の宝刀を抜けば、その場で思考停止になってしまう。
 運営協議会の構成員にしても、本当の意味の利用者は皆無だ。もし参加しても、いまの雰囲気では発言もできない。それだけタクシー会社の一言は重い。NPOの活動家の人たちは大半がまじめ。行政が何か言えば、正当性を吟味する前に「行政の言うことを守らなければ」と思い込んでしまう。
 2〜3年前、会員事業者がある運営協議会で、タクシー会社の人からこう言われたと聞いて驚いた。
「5人家族で食事に行くとき、車いす1人に対して2人は付添人という名目で随行してもいいが、他の人はタクシーに乗ってもらわないと困る」と。そんな話を一瞬でも聞けば、「だからタクシーの仕事をNPOが奪っている」と誤解される。
 福祉有償運送がタクシーを侵食するなんてあり得ない。移動制約者の数は日増しに増えている。タクシー事業者も誰もが乗れるよう利用環境を整えてほしい。タクシーと福祉有償運送では事業規模が全然違う。移動制約者の中にも、タクシーに乗りたい人がいっぱいいる。だけど、乗れる車両がないといった理由で乗れないだけ。富裕層に属している高齢者もいるはず。世の中のタクシーが5%でもユニバーサルデザイン車両になれば変わっていく。
 ともかく一般のタクシーはもちろん、介護保険適用のタクシーにも頑張ってもらいたい。僕らの活動だけで移動制約者の人のニーズに応えられるわけではない。それはもう、間違いのないことだから。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)《障がい者や高齢者の福祉・介護施設向け 施設・デイサービス送迎運転者講習会》
 ■日時:2014年8月2日(土)10:00〜15:00     ■会場:KSプラザ3F
 ■主催:NPO法人 移動送迎支援活動情報センター/関西STS連絡会
 ■定員:50名        ■参加費:3,800円 (テキスト代800円を含む)

(2)6月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 7月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 8月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 9月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎10月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎11月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)


■次回運営委員会:8月2日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所