第127回運営委員会
8月2日に「関西STS連絡会」第127回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:7団体)
・NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) ・伊良原淳也(関西STS連絡会)
・NPO法人「フクシライフ」(泉佐野市) ・NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
NPO法人「いばらき自立生活センターぽぽんがぽん」(茨木市) ・い〜そらネットワーク(大阪市)
近畿大学理工学部・社会環境工学科(東大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『《直撃インタビュー》佐賀県知事・古川康氏に聞く/移動の不便解消、自治体の責任』(東京交通新聞2014.8.4)
「2015年4月の自家用有償旅客運送の事務・権限の移譲を見据え、知事と市町長を会員とする「身近な移動手段確保に関する協議会」(会長=古川康知事)を立ち上げた佐賀県。移動手段がないために高齢者などが家に引きこもることがないよう、県内の交通ネットワークを見直すことが目的だが、自家用有償のみがクローズアップされ、利用者を奪われるのではないかとタクシー業界は疑心暗鬼だ。「佐賀県の動きが他県へも飛び火するのではないか」と、戦々恐々の事業者も多い。渦中の古川知事を直撃インタビューし、語り尽くしてもらった。(聞き手=古川渉記者)

移動手段の確保をマニフェストに明記
 知事になって県内のいろんな地域に足を運んだが、移動ができなくて困っているという話がすごくあった。バス停まで遠い、便数が少ない、行きたい行き先のバスがないなど。タクシーが便利なのは分かっているが、運賃が高いので簡単には使えない。足がない住民は家に閉じこもりがちになる。

地域包括ケアが始まる ―遊ぶための外出も大事
 これから地域包括ケア(※国は2025年をめどに、住まいや医療、介護などの生活支援を一体的に提供するシステムの構築を目指している)が始まる。
 人口が減って、人々はこれまで以上に地域との結び付きが強まっていく。通院や買い物だけでなく、遊びに出かけるということも私は大事なことだと思っている。地域包括ケアと言いながら、出かけたいところにも出かけられないようでは、自治体として無責任になる。

自家用有償は数ある交通モードの一つ
 移動に不便を感じている住民がいたら、救済するのが知事である私の仕事。そのためにはバスやタクシー、自家用は有償、無償を問わず使える交通モードは、何でも使っていきたい。自家用有償にスポットが当たりがちだが、数ある交通モードの一つに過ぎない。タクシー関係者からはご批判を受けるが、住民からは「よく始めてくれた、ありがとう」と喜ばれている。
 こういう事例がある。山中の家から工場まで自家用車で通勤していた人が、障害の関係で免許を持てなくなった。ただし、仕事はできる。工場までの足があれば働くことができるが、バスはないし、タクシーだと採算が合わない。今ある交通モードだけでは答えが見つからない。
 そういう時、その集落の誰かの車に乗せてもらうのが一番の解決法だと、私は思っている。私が相談を受けたら、そうアドバイスをする。1人だけでは無理なら、何人かが交代で乗せる仕組みをつくれないか。私はつくれると思う。無償で毎日乗せてもらうと申し訳ないという気持ちが出て、頼みにくくなっても良くない。有償と無償をどんなふうに位置付けたらいいのかというのもテーマだ。
 市街地であっても移動に因っている住民がいたら、何とか手立てを講じるのが自治体の仕事だ。

ヒッチハイクの21世紀版 ―相互扶助するシステムを
 これは自家用有償の延長の世界になるかもしれないが、これからは乗せてもいいよという人の車に乗せてもらう時代になるんじゃないかと思っている。ヒッチハイクの21世紀版かな。正規の移動手段に答えが見つからない以上、誰かに乗せてもらうというやり方を考えないと。
「うちのお婆ちゃん、今日、街に出るんで、乗せてってよ」といったお互いに助け合う、相互扶助するシステムをつくれないかと思っている。会員組織をつくって、互助会という位置付けで。フェア(運賃)は払えないが、ドネーション(寄付)だったら払えるとか。そういうシステムをつくれば意外に広まるのではないか。
 現実の解決策として、そういうことをやらざるを得なくなるのではないか。

タクシー並みの安全担保は無理
 自家用有償にタクシーと同じレベルの安全担保を求めるのは無理がある。自家用有償は危険だという人がいるが、友達の車に乗せてもらう時にタクシー並みの安全を要求しますか? きちんとした安全がほしい人はタクシーを選ぶと思うが、そうじゃない人の移動まで制限していいのかという話になってくる。当然、一定の安全確保は必要になるが。

現行法で出来ないなら「特区」で

佐賀県の自家用有償輸送人員は1%未満
 佐賀県における自家用有償の輸送人員は、タクシーと比べて1%もない。タクシー関係者は自家用有償が動き出すとどういう影響が出るか心配しているが、裏を返せばそれだけタクシー事業が切羽詰まっていることの現われでもあると思う。
 私は、むしろ運転代行こそタクシーの商売敵じゃないかと思うのだが。

路線を維持しただけ自治体も反省が必要
 交通事業者は今まで民間だけでやれて、許認可も国だったから自治体とは縁遠かった。監督は運輸支局だから、自治体は関係ないという感じがあった。交通事業者が自治体に相談に来る時は、路線が維持できないとか、困った時だけだった。「路線を廃止する」と言われると、自治体は交通網のことなど何も理解することなく、お金を出してきた。
 なぜ存続できないほどお客さんが乗らないのか、自治体は真剣に考えたことがあっただろうか。ただ首長が、自分の在任期間中に路線が潰れたら困るという思いだけで、路線を維持してきただけではなかったか。そういう反省がわれわれにも必要だ。これからは「つぶれそうな路線だけど、どうしますか」という発想ではなく、住民の移動のニーズに応えるためにはどんなふうにしていったらいいかを、もっと立体的に考えていかないといけないというのが、私の意見だ。

自治体と運輸支局 ―住民目線の違い
 申し訳ないが、運輸支局とわれわれ自治体は違うと思っている。われわれは住民目線だが、運輸支局はわれわれほど住民を見ていない。住民の移動の責任を負うのは、われわれ自治体しかないと思っている。
 自家用有償だけでなく、バスやタクシーの許認可権も、地方でいいと思う。これは奈良県知事の荒井正吾さんの持論でもある。荒井さんは、旧運輸省時代に自動車交通局長を務めた人で、交通のプロだ。運輸行政と地方行政の両方をご存じの人が言っている。
 島根県津和野町の第三セクターの話(※タクシーは業務委託が認められていないため、やむなく第三セクターを介してタクシー事業を継続)もおかしいと思う。バスや鉄道はできて、なぜタクシーはできないのか疑問だ。
 島根のケースは特区申請をすれぼ良かったと思う。現行法で何が何でも対処しなければいけないということはない。

タクシーも上下分離 ―投資回収の無理がある
 鉄道では路線を存続させるため、上下分離(※線路などの下部のインフラ管理と上部の列車運行を分離し、それぞれ会計を独立させる方式)が言われているが、タクシーもUDの車両などを行政が購入し、事業者に貸し与えても良いのではないか。
 メンテナンスはタクシー会社の方でやってもらい、頑張ってお客さんをたくさん運んでもらう。無償レンタルでもいいと思う。
 輸送人口が減る中、車両などの設備投資をして、投資を回収しながら経営をしていくというのは、無理があるのでは。
 特に、郡部のタクシーは鉄道の上下分離のようなものをしないと保たないのではないかと、心配している。

身近な移動手段の確保に関する協議会
 「公共交通を守る」から「住民の移動を確保」への転換――というキャッチフレーズは、県庁内でも刺激的ではないかという意見があったが、あえてこれにした。知事と市町長が会員だが、バス・タクシー業界もオブザーバーとして出席でき、意見も言える。これまでは、ほとんど自治体と交通事業者はご縁がなかったので、これを機に意見交換を活発にしたい。対話を通して良いアイデアが生まれると思う。鉄道もバスもタクシーも地域の先行きに不安を持っている。現行の制度で良しとするのではなく、時代に合わせて制度を変えていかなければいけない。

通訳サービスをサービスを行うコールセンタールセンター開設
 住民の移動だけでなく、県外から訪れる旅行者やビジネスマンらの移動も充実させたいと思っている。その一環として外国人観光客をサポートするため、通訳サービスを行うコールセンターの試験運用を9月から開始する予定だ。夕クシーも外国人観光客を乗せた時などに利用してもらいたい。目的地や店舗情報などを外国語で検索できるアプリケーションも開発する。利便性を高めるため、タクシー業界には、車両にWi-Fiを導入するよう呼び掛けている。

自家用車を持たない知事
 実は私自身は、自家用車を持っていない。移動にはバスやタクシーを使うし、50`以上移動する時は、鉄道に乗る。全国の知事の中では、誰よりも公共交通機関を利用しているという自負があるので、いろいろと注文も付けたくなる(笑)。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)相次ぐ近畿運輸局内、神戸運輸監理部内での粗雑な運営協議会の暴走
 国土交通省が幾度となく示されてきた『自家用有償旅客運送制度の着実な取組みに向けて』の中で、「運営協議会の場において当該ローカルルールの適切な見直しを推進」(※1)するとされていますが、関西での運営協議会の運営実態は、高圧的で、いかにも“許認可”の権限を運営協議会の一部の委員が握っているかのような、粗雑な運営がなされていることが相次いで報告されています
 ※1:「自家用有償旅客運送の事務・権限の地方公共団体への移譲等のあり方に関する検討会」(
主催:国土交通省 2014.3.20)で示された、「資料4:運用ルールの緩和・運用方法の改善について」参照。

【T.北摂圏域福祉有償運送協議会―速記メモ―】
■日時:2014年8月5日(月)14時45分〜15時20分
■場所:能勢町保健センター2階
■参加:六條友聡、山本真
「あいさつ:茨木市役所(中村氏)
秋山(座長) 紹介などは?
中村 本人からしてもらう
六條 今回は更新のみ、変更はない。
秋山 会員数、運転者数は?
六條 少し減少している。
    具体的な数字はないが、前回とあまり変更はなし。
A   どれくらいの距離を走るのか、途中で拾う場合(同乗)は?
    待機時間は料金をもらっているか。
    この春から2kmで680円になったので、STSは340円以下がタクシー以下の料金。
    5分、10分でも、2km以下でも。
    距離の記録をつけていないのか。数字を記録すべきという、タクシー業界の意見がある。
    メーターはつけないのか。
六條 そこまで求められるなら緑ナンバーをつけた方がいい。
A   緑ナンバーにしてもらった方がいい。メーターをつけた方が、客に金額もはっきり示せる。
    タクシーの半額よりオーバーするのではないかというのが懸念がある。
    5分、10分の送迎が出たらどうなるのか。
六條 出ない。タクシー利用が出来る人にはタクシーをお薦めしている。
A   これはタクシー業界の前振りと受け取ってもらえればいい。
六條 (基準を違反している)ダメなところには、そちらで指導に入ればいい。
A   そういうことなら、更新を認められない。
B   分かるようにしてくれたら、いいのではないか…。
A   許可できない。30分600円なので、340円を超える部分は一切認められない。
    こちらも人間なので感情的になっている。
    複数乗車の時は340円を超える部分がでる場合は認められない。
    15分300円で、タクシー料金の半分。
秋山 協議の結果、見直すのは当たり前のことなので…。
湯川(運輸支局) ちょっとよろしいですか。時間制と距離制になっているが、いばらき自立支援センターでは?
六條 時間です。
湯川 2キロで680円、30分で600円。
    1/2の考え方だと、タクシー同等の運賃になる恐れがある。
    更新のためには、全会一致で同意の必要もある。
B   見なおして新しい基準で。このままでは通せない。
A   この値段が半分以下になれば問題ない。
    今は、どうなっているのか。
六條 5分、10分の送迎はない。
C   料金変更で、何が困るのか。
六條 知的障害の方もおられるため、理解されにくい。
D   15分で300円、30分で600円。
    タクシー業界も、タクシー運賃の1/2は変えられない。
    それを理解してもらいたい。
B   15分300円と複数乗車の場合を入れた、一部の変更を含めた申請をしてもらうということで…。
A   実態が分からない。
    5分200円はOK、初乗りが…。
六條 事前に金額のことを示してもらっていれば、対応できた。
    例えば「今年度は料金を変えてください」とか。
    今回のように急に言われても困ってしまう。
A   3年後に。
    10月に消費税も変わる。
    2キロで680円、初乗りの半額ということで考えてもらう。
E   今後、同じようなケースがあればどうするのか?
A   見なおしていかないといけない。
    来年から認めないとなるかもしれない。
湯川 現在の有効期間が8月10日まで。8月10日までに更新手続きが必要。
    証明はなくてよいので、運輸支局へすぐ書類を送ってほしい。
秋山 至急申請を。以上で。

【U.阪神地区福祉有償運送協議会】
 2014年8月に開催された「第2回阪神地区福祉有償運送協議会(会長:森津秀雄、於:西宮市役所東館8階)」において、出席された在宅福祉支援グループ・コスモスの吉岡、湯浅両氏より、以下のような報告が寄せられている
「先日、お伝えしました阪神地区福祉有償運送協議会の件で、その後の様子が尼崎市障害福祉課(担当部局)よりありましたので、報告します。
 私どもが退席後、
尼崎市の担当者がずいぶんと粘ったそうですが、結論は協議が整わずだそうです。したがって従来料金(500円)のままだそうです。次回(未定)で再び協議をするそうです。
 協議会が、ここまで形骸化(邪魔者)している状況では、私どもとしては、これ以上かかわりを持つ意味をもち合いません。新たな動きが出ましたら報告します。(在宅福祉支援グループ・コスモス・事務局長 湯浅 羊二 2014.8.28)

添付資料:「協議内容、消費税増税に伴う料金改定について」
「改定額520円が、タクシー料金のおおむね半額程度」かどうかが、議論になった。
 コスモス(湯浅)より「今回の協議は消費税増税に伴う料金改定」であり、論点を整理していただけるよう延べ、行政委員(尼崎市担当者)からも料金額500円はすでに協議成立事項であり、今回の改定は消費税増税に伴う改定である旨説明した。
 しかし委員から、タクシー料金のおおむね半額程度(340円)を求める意見があった。これに対しコスモス(吉岡)より、タクシー料金のおおむね半額程度はトータルで設定したものであることを説明した。
 行政委員(宝塚市)より消費税増税等に伴う料金変更であっても、そのたびに料金設定額自体が協議されるようでは説明責任が果たせないとの意見あり。一部委員から、増税による値上げならば515円が妥当だとの意見あり。
 その後のやり取り中に、
委員長がコスモスの関係者は傍聴人で発言権がない旨を述べ、退席を命じた。」


(2)「自家用有償旅客運送の事務・権限移譲に関するセミナーin大阪」の開催
■日時:2014年10月10日(金)13:00〜16:30
■会場:大阪外食産業協会・会議室(大阪木津地方卸売市場 南棟2F)
■主催:NPO法人 全国移動サービスネットワーク
■共催:関西STS連絡会
■参加費:500円
【プログラム】
■基調報告:「自家用有償旅客運送の事務・権限移譲の意義と制度見直しについて(仮)」
       講師:国土交通省担当者(調整中)
■パネルディスカッション:「地方自治体は権限移譲をどう活かすか」
 パネリスト:
  
嶋田 暁文さん(九州大学大学院・准教授)
  山本 憲司さん(全国移動サービスネットワーク・理事)
  猪井 博登さん(大阪大学大学院・助教)
   未   定 (国土交通省担当者(調整中))
 コーディネーター:柿久保 浩次さん(関西STS連絡会)


(3)8月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 8月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 9月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎10月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎11月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)


■次回運営委員会:9月6日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所