138回運営委員会
1月16日に「関西STS連絡会」第138回運営委員会と新春交流会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から9時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:14団体・個人)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) ・伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人フクシライフ(泉佐野市) NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市)
NPO法人NPO法人 いばらき自立生活センター ぽぽんがぽん(茨木市) ・車いす緊急修理サービス(大阪市)
NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) NPO法人「移動サービスネットワークこうべ」(神戸市)
NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市) NPO法人「守口送迎」(守口市)
三星昭宏(近畿大学・名誉教授) ・近畿大学理工学部・社会環境工学科(東大阪市)
・山名勝氏 ・い〜そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『《豊田市足助地区で実施へ》中山間地域の移動に新手法/自宅から地域の拠点へ多様な交通手段』2016.1.16/東京交通新聞森川名大教授がプロジェクト
 豊田市足助地区で今年から、中山間地域の住民の移動手段を確保する新たな取り組みが始まる。名古屋大学の森川高行教授が中心となって進めるプロジェクトで、地域の病院やスーパーマーケット、役場の支所などを「地域の拠点=モビリティセンター(MC)」と位置づけ、自宅からモビリティセンターまでの移動を多様な手段で提供する仕組みだ。自宅からの移動には小型電気自動車、住民共助による無償での自家用車の相乗り、乗合タクシー地域バスなどが想定されている。
相乗りも想定
 森川教授らは多様な交通手段を提供する一連のシステムを「モビリティブレンドシステム」(
MBS)と名付けている。そのときどきのニーズにしたがって、利用可能な交通手段を「ブレンド」し、ときには自家用車の相乗りのオファー(提示)とリクエストのブレンドや、リクエストを組み合わせ乗合タクシーを運行する。利用者は、タブレットなどの携帯端末を利用するが、操作に慣れていない高齢者には「ブレンダー(人)」が支援するとしている。
 「モビリティセンター」には、駅やバス停、タクシー乗り場、駐車場や駐輪場、小型電気自動車の置き場所が併設され、多くの住民は買い物なども含め日常の用事を終える。必要な場合はモビリティセンターから、基幹交通に乗り換え都市部へ向かうこともできる。
コンビニ活用も
 「モビリティセンター」を補完する役割として、コンビニや集会所がある場所を「モビリティスポット(
MS)」として設置。地域バスやコミュニティバスに乗り換え、「モビリティセンター」に向かってもらうような利用も想定している。
 年度内の開始を予定し、健康見守り世帯として
9つが参加、うち5人がタブレット端末を持ち移動の際の予約に使用する。共助による自家用車の提供は現在2人が申し出ている。自家用車の利用は無償だが、地域バス、コミュニティーバス、乗合タクシーの利用は受益者負担となる。来年度以降、参加世帯数の拡大と、システムの改良を続けていくとしている。
 足助地区での取り組みは、名古屋大学が、文部科学省の「センター・オブ・イノベーション(
COI)プログラム」の中核拠点として選定された「名古屋COI拠点」の研究テーマとして行っている。豊田市、東京大学、地元の足助病院などさまざまな機関が連携し、“移動手段の提供”だけでなく、“お出かけ促進”と“健康見守り”も合わせた三位一体で進めている。
タクの影響懸念
 地元にはタクシー事業者が
1社(3台)が営業。愛知県タクシー協会からは、事業者への影響やシステム運営の責任体制、持続性などについて懸念する声も出て、森川教授らは昨年、同協会に取り組みの内容を説明。今後も自治体、住民、事業者らと協議の場を設けながら進めていくとしている。
 森川教授は「住み慣れた場所で最後まで暮らす、という高齢者の希望を実現するためには、行政、住民、交通事業者の協働が必要。高齢者の外出促進と、医療・介護・公共交通の財政負担軽減、事業が持続できることや他地域でも展開ができるようにしていきたい」と話している」


A【資料】『介護予防・日常生活支援総合事業 〜“訪問介護D(移動支援)”について〜』
発行:2015年8月/編集:関西STS連絡会・特定非営利活動法人 アクティブネットワーク)
2014年(平成26年)7月に厚生労働省より示されたガイドラインには、訪問介護Dとして移動支援が明文化されました。新しい総合事業の目的は「市町村が中心となって、地域の実情に応じて、多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の助け合い体制づくりを実現し、要支援者に対する効果的かつ効率的な支援を可能とすることを目指す」としており、移動支援が、その目的達成の上では重要な役割を果たすサービスであると期待されています。
 移動支援は、手段であって目的ではありません。しかし、いくら利用者の生きがいづくりにつながるサロン活動や、魅力的な通所サービスを整備したとしても、適切な移動手段が確立されていなければ、利用者が最終的に目的を得ることはできません。移動支援は、利用者とその先にある目的をつなぐ大切な役割であり、これを継続性のあるサービスとして、いかに安定的に地域に根付かせることができるかが、生活支援サービスの事業全体の成否につながるといっても過言ではありません。
 しかし「新しい総合事業」の中で、移動支援を現実のサービスとするためには、既存の施策との調整や、地域交通の整備事情、民間サービスを含めた社会資源の充実度など、地域によってはスタートラインに大きく差があるのも事実です。既存の社会資源をそのまま活用できる移動支援もあれば、ゼロベースで移動支援の導入を検討しなければならない地域も想定されます。
 そこで本書は「総合事業」の内容理解はもとより、これから移動・送迎サービスの立ち上げを検討される際にご参考いただけるよう、特に移動支援に密接不可分な“移動・送迎サービス”についても詳細に資料を掲載していますので、皆さま方の地域においてご活用いただければ幸いです。(
「はじめに」より)

厚生労働省の介護予防マニュアルでは、「老化に伴い、さまざまな原因で外出頻度が少なくなり、生活空間や屋外・地域から自宅内(敷地内を含む)へと狭くなっていく。屋外や地域で、やるべきことがないと、どうしても日中の生活空間は屋内になりやすい。また、家庭における役割(買い物など)がない、あるいは地域社会における役割がないと、外出頻度が低くなる。閉じこもり予防は、外出頻度自体を増加させることが目的でなく、屋外、社会における役割を担う結果として、外出頻度が増え、生活全般を活性化させることが本来の目的である」としています。
 今回の「新しい総合事業」の中では、要支援高齢者を単に支援の対象というとらえ方に固定せず、ある時は支援に回る側としても、その役割づくりの創出を目指し生活全般の活性化が重要であるとしています。

 民間研究機関の報告として、近畿大学理工学部 柳原氏は“移動と健康”をテーマに行っている研究の中で、外出頻度の高い高齢者は心身を活発に使うため、その機能が維持されるかもしれないとして、「外出頻度自体を増加させることだけでも、意義があるのではないか」という研究成果を報告しています。
 さらに、この中で交通手段と外出頻度の関係についても言及していて、高齢者の中には運転をやめると、アクティビティ、モビリティ、自立性が低下し、うつ傾向が増加するとも指摘しています。このため自由に外出できる交通手段を提供することで、外出頻度が増加、もしくは維持され介護予防に寄与するため、地域における心身機能に則した交通手段の提供の必要性を提起されています。

 国土交通省の委託により大阪大学も協力しておこなった外出困難調査(近畿圏のパーソントリップ調査)では、歩行が不能(ほとんどできない)人、歩行困難を有する人は、全体の約5%であり、公共交通の利用が不可能な人は約0.7%。これを近畿地方の人口2264万人(2013年12月)にあてはめると、15.8万人と推計しています。

 交通分野から、移動支援を考察する報告も出されています。福島大学の経済経営学類准教授の吉田樹氏は、交通政策基本法(
2013年(平成25年)12年4日施行)の“自立した日常生活及び社会生活の確保”に着目し、以下の提言を行っています。
@「生活」を支える地域公共交通=移動手段が「使える」こと。
 >地域公共交通サービスの「品質」が重視される。
A「交流」を支える地域公共交通=移動により達成される活動。
 >モノ・サービスの調達という「帰結」は一緒だが、自らが移動して調達できる「機会」の大切さ(「お出かけの価値」)。
 また「お出かけ支援組織」が、これからの地域福祉交通を救うとして、バス、タクシー、
NPO等のレッテルを超越した取り組みを提言されています。
 地域公共交通網を「道具」として、市民の「生活」を守り、「交流」の機会をつくる(→「まちづくり」との連携)ことこそが、これからの地域交通施策に期待される役割と結んでいます。

 期せずして「新しい総合事業」と、道路運送法は、同一内容ともとれる方向性を掲げています。外出支援は最終的な目的として、利用者の生きがいや、役割つくりを結ぶ手段であると同時に、健康維持や介護予防に寄与するということが、近年の研究でも明確になりつつあり、地域の「お出かけ機会」の確保や、日常生活の維持・定住化に向けて欠かすことの出来ないサービスであることが、より鮮明になっています。
「第2章 なぜ外出支援なのか」より)

「予防」から「総合事業」への移行期間までには、まだ充分な期間が残されているので、その地域に必要な生活支援事業の中身については、これからじっくり時間をかけて検討できると思います。
 移動・送迎サービスの実現に向けては、どうしても道路運送法等の他法に絡むことが多く、一見複雑な印象ですが、実際の立ち上げは、それほど困難ではありません。むしろ、その活動の継続性が最大の課題です。
 そこで、これから本格的に移動支援を地域で展開する場合には、決して一時的な支援に終わらず、補助や助成を活用しながら財政面での支援と、運転ボランティア等の創出や育成等への支援等、街づくりとともに息の長い活動になるよう、地域一丸となって取り組める活動になるよう願ってやみません。(
「おわりに」より)」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)《2015福祉有償運送セミナー》「新“介護予防・日常生活支援総合事業”における移動の確保を考える」の取組み
■日 時:2016年3月6日(日)、13:30〜16:00
■会 場:大阪市総合生涯学習センター第一研修室(大阪駅前第2ビル5階)
■主 催:関西
STS連絡会
■共 催:
NPO法人 全国移動サービスネットワーク
     
NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
■セミナー次第:
 ●来賓あいさつ:
   ・近畿運輸局自動車交通部旅客2
   ・大阪府福祉部高齢介護室介護支援課 地域支援グループ
 
●問題提起T:「総合事業フル活用で地域の移動送迎支援活動の充実を目指す!」
   ・報告:遠藤 準司
NPO法人アクティブネットワーク・代表)
 ●問題提起U:「岡山県における取組みの現状を通して、今後の課題を探る」
   ・報告:横山 和廣さん
NPO法人移動ネットおかやま)
 ●まとめ:
   ・まとめ:三星 昭宏さん(近畿大学・名誉教授
   ・行動提起:柿久保 浩次さん
(関西STS連絡会・事務局)


2)「= 阪神淡路震災から21年・東北震災から5年・茨城県常総市豪雨水害から6ヵ月 =
2015水害被災地・常総市の移動支援を通して、災害時の移動送迎活動を考える」の取組み
■日 時:2016年3月6日(日)、10:00〜12:00
■会 場:大阪市総合生涯学習センター第一研修室(大阪駅前第2ビル5階)
■参加費:
無料
■主催:被災地における障がい者、移動制約者への移動送迎支援活動基金(略称:ももくり送迎基金)
■後援:NPO法人 ゆめ風基金
    
NPO法人 全国移動サービスネットワーク
    関西
STS連絡会
    
NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
■報告会構成:
 ●被災現地からの報告:

  ●水害被災現地からの報告:
  「水害被災地・常総市における移動支援の現状と課題・解決の視点を探る」
   ・現場から報告:横田能洋さん
    
(茨城NPOセンター・コモンズ代表理事/常総市水害対応NPO連絡会議呼びかけ人)
   ―― 質疑・応答 ――
 ●被災地支援活動報告:
  「水害被災地・常総市への移動支援活動の教訓から、今後の貴重な課題を探る」
   ・報告:柿久保 浩次
(関西STS連絡会/ももくり送迎基金・委員長)
   ―― 質疑・応答 ――
 ●まとめ(行動提起):
   ・まとめ:三星昭宏さん(近畿大学・名誉教授)>


(3)1月度〜の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 1月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
2月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
3月14、15日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
4月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
5月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)


■次回運営委員会:2月6日(土)pm6:00〜8:00
於:
NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所