148回運営委員会
3月4日に「関西STS連絡会」第148回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:7団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
NPO法人 いばらき自立支援センター ぽぽんがぽん(茨木市)   住谷章(大阪市) 
・い~そらネットワーク(大阪市)


■ 資料関係:

①「第2回高齢者の移動手段の確保に関する検討会(国交省2017.4.10)」(国交省広報資料より)
構成員名簿:
【有識者等】

 石川貴美子:秦野市福祉部高齢介護課専任技幹  加藤博和:名古屋大学大学院准教授
 鎌田実:東京大学大学院教授(座長)  河崎民子:NPO法人 全国移動サービスネットワーク副理事長
 田中亮一郎:全国ハイヤー・タクシー連合会副会長  平位武:日本バス協会理事
 水田誠:全国福祉輸送サービス協会副会長  溝端光雄:自由学園最高学部講師
 三星昭宏:関西福祉科学大学客員教授  吉田樹:福島大学経済経営学類准教授(敬称略、五十音順)
【国土交通省】
 藤由耕三:総合政策局長  篠原康弘:総合政策局次長
 松本年弘:総合政策局公共交通政策部長  金子正志:総合政策局公共交通政策部交通計画課長
 鶴田浩久:自動車局旅客課長
【関係省庁】
 金子健:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)  飯塚秋成:絵務省地域力創造グループ地域振興室長
 櫻澤健一:警察庁交通局交通企画課長  三浦明:厚生労働省老健局振興課長

1回高齢者の移動手段の確保に関する検討会 議事概要(国交省広報資料より)
・日時:2017年3月10日  ・場所:中央合同庁舎第2号館
【議題】
「(1)高齢者の移動特性について、(2)検討の視点・今後の予定について、(3)高齢者の移動手段としての公共交通について」に関して事務局より説明を行った。
 次に、議題「(4)介護保険制度の最近の動向について」に関して厚生労働省より説明を行った。
 その後、議題「(5)意見交換」を行った。意見交換における委員の主な発言は次のとおり。
【利用者目線の重要性】
地域公共交通の現場では、何とか高齢者に公共交通を利用してもらおうと取り組んでいるが、うまくいっていない。どうすれば運転免許を返納した高齢者に公共交通に乗ってもらえるか、供給者側からの視点ばかりでなく、利用者側からの視点で考えるべき
要支援者の場合、介護保険の対象として支援を受けられる時間が極めて限られるため、その時間内に日常生活に必要な事項を全て対応することは難しく、移動支援までできないことが多い
要支援認定に際して基準となる「歩行」ができたとしても、席から「立ち上がる」ことができないと、人でのバス利用は困難。足腰が弱っているからこそ、自家用車を手放せないという高齢者が多い
バス停まで歩ける距離などは人によって異なり、「この距離なら大丈夫」という数字は無い。高齢者の目線を踏まえて検討することは必須。
【交通事業者関係】
小規模市町村では交通担当がそもそも設置されていないことも多く、交通事業者と市町村の連携が難しい一因となっている。
乗合タクシーで知り合った利用者が、通常のタクシーで自発的に相乗りを行う事例もある。
コミュニティバスは本数が少ないため待ち時間が多く、そのために免許を手放さない高齢者も多い。タクシーも日常の買い物に使うには高いといった声がある,
【地域の状況】
高齢者の免許返納率(免許保有者数に対する返納者数の割合)は、都市部は高く地方部は低い傾向にあるが、地方部で高い地域も散見されるなど一概には言えない。
地域ごとの実態を踏まえた検討をすべき。財政が豊かな大規模市町村では、コミュニティバスの導入やタクシーへの運賃補助など、重層的な交通サービスを提供できるが、財政が厳しい市町村では、病院送迎や学校送迎、宅配便の配達、買い物代行など様々なサービスを、1台の車両が無償で行っている事例もある。
【介護保険制度との連携】
訪問型サービスD(移動支援)はわずかな地域でしか行われていない。厚労省と国交省がうまく連携できないか。
訪問型サービスD(移動支援)について、「移動」の部分は従来の福祉の範囲では無いこともあり、具体的に何を行うべきか、イメージできていない市町村が多い。自治体内で福祉部門と交通部門との連携を促す取組みが必要。
訪問型サービスD(移動支援)の対象は要支援1・2とチェックリスト対象者であるが、移動支援を必要としている人は、もっと広いのが実情
訪問型サービスD(移動支援)に係る運転は、NPOなどボランティアが無償で担っており、無償を前提とするとサービスを広げていくのが困難
公共交通利用を「予防医療」と位置付けて考えられないか。
 委員からの意見を踏まえ、今後の議論の進め方については、6月までに本検討会の中間とりまとめを行う必要があることを踏まえつつ、事務局にて再度検討することとなった。―以上―

2回高齢者の移動手段の確保に関する検討会 議事概要(国交省広報資料より)
・日時:2017年4月10日  ・場所:中央合同庁舎第3号館
【議題】

「(1)改正道路交通法の施行等について」、警察庁より説明を行った。次に、議題「(2)皆で地域交通をつくるための各サービスの改善について、(3当面のとりまとめの方向性について」、国土交通省より説明を行った。その後、議題「(4)意見交換」を行った。意見交換における委員の主な発言は次のとおり。
【自家用有償旅客運送について】
○「運営協議会における合意形成のあり方検討会」のとりまとめや、自家用有償旅客運送の登録に係る地方公共団体への権限移譲時の制度変更の内容を周知するとともに、地方公共団体め自主的な運営に任せるだけではなく、こういったことができるというモデルを国が示す必要があるのではないか。
自家用有償旅客運送の登録に関する権限が移譲されたが、移譲されたのは事務のみで自らできることは少ないと捉えている地方公共団体が多い。権限移譲を受けることで地方公共団体がどういったことができるのか、しっかり周知して欲しい。
自家用有償旅客運送(特に、公共交通空白地有償運送)の導入が進んでいないことは、制度に問題があるのか、それ以外の要因があるのか。実態を踏まえた検討が必要ではないか。
【「共助」による運送について】
○ 現場レベルで必要性は感じているものの、運転ボランティアに適した保険市町村等が保険料を負担できるような仕組み等が必要ではないか。また、事故のリスク等を考慮すると、行政が積極的に運転ボランティアを推奨することは難しくなる。
○ 福祉有償運送の対象者でない高齢者や都市部の交通空白エリアの移動困難者を救うためには、許可・登録が不要な運送の範囲を広げることが必要ではないか。
○ 公共交通が衰退してしまっている現状を踏まえると、共助による運送の取組みをすぐにでも進めていく必要がある。
○ 共助による運送は、白タク行為の防止、防犯の観点も踏まえた上で実施する必要がある。また、共助による運送で金儲けをされるのは困る。
中間とりまとめについて】
「運営協議会における合意形成のあり方検討会」のとりまとめや、自家用有償旅客運送の登録に係る地方公共団体への権限移譲及び同時に行われた制度変更等の内容について、ガイドライン化とともに、セミナー等で周知を図るなど、今でもできることを明らかにする取組みも中間とりまとめに盛り込むべきではないか。
○ 中間とりまとめをまとめるに当たっては、利用者目線を意識すべき。
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく地域公共交通網形成計画に触れないと違和感がある。
国交省と厚労省、交通と高齢者福祉の更なる連携が必要。「互助」、「共助」の言葉の使い方・定義にもギャップがある。言葉の使い方・定義を統一して欲しい。
地方公共団体の人材育成が重要。加えて、地方公共団体内での福祉部門と交通部門との連携を促進することが重要。両者が参画する場を作ることも有効ではないか。
高齢者の移動手段の確保は、項目を並べてどれか一つやれば良いというものではなく、個別的・重層的な支援が必要。事業制度ごとに検討するのではなく、それらをつなぐストーリーも必要。過疎地等では貨客混載や見守りサービスなどで、少ない需要の密度を高める取組みも大事。
○ 北九州市の立地適正化計画の作成を受けて移動手段の確保について道路運送事業者や鉄道事業者で議論する場をつくった。事業者としても地方公共団体のコンパクトシティ化の動きにあわせた取組みの必要性を感じており、地方運輸局には、そうした地方公共団体への仲介等の支援をいただきたい。
○ タクシーの活用について、タクシーの定額制や時間制運賃のあり方も中長期的には検討が必要ではないか。
○ バスの活用についても中間とりまとめに入れていただきたい。
 次回検討会では、
6月に本検討会の中間とりまとめを行うため、「中間とりまとめ(案)」の議論を行うこととなった。また、中間とりまとめに盛り込まない事項についても、さらに議論を深めることが必要な場合は、6月以降も継続して議論することとなった。―以上―」


②「《高齢者移動》検討会方針「タクシー活用」「共助」など/過疎地の規制緩和も」(2017.4.17 東京交通新聞)
「 国土交通省は10日、「高齢者の移動手段確保検討会」(座長=鎌田実・東京大学大学院教授)の第2回を開催、6月の中間取りまとめに向け「コミュニティバス・乗合タクシー」「タクシーの活用」「自家用有償運送」「共助による運送」「福祉との連携」の五つに分類して方策を打ち出す方針を確認した。
 高齢ドライバーによる重大事故が各地で相次いでいるのを踏まえ、「中間まとめ」を緊急提言と位置づけた。
 高齢者が安心して外出・移動できる生活環境や、社会システムをつくるのが目的。高齢者向けの運送サービスを確保し、充実させる。
 タクシーの活用に閲し、相乗りとユニバーサルデザイン(UD)タクシー車両、貨客混載の導入を促進し「過疎地でのサービス維持のための規制緩和」を掲げた。有償運送では導入手続きの合理化共助の運送では、ルールの明確化や実施可能な類型の提示などに重点を置いた。共助の例として、中長距離・割り勘の自家用車ライドシェア・マッチングサービスの「notteco(のってこ)」を取り上げた。
 検討に際し“三原則”を提示、①最低でもwin・win(ウイン・ウイン、相互利益)、できれば三方良しを目指す、②高齢者だけでなく、地域全体のこととして考える、③サービスの内容に応じた安全・安心を確保するとした。
 運転免許証の自主返納に関する警察庁のアンケート調査(2015年10月5日~11月30日、有効回答=運転継続者1,494人、自主返納者1年47人)の結果・分析が披露された。
 まとめで「買い物、仕事、家族の送迎、通院など生活に直結する目的で運転している人が多く、運転を趣味や生きがいと捉えている人は比較的に少ない」や「都市規模が小さい地域の自主返納者は、電車や路線バスの整備よりも、乗合タクシー、コミュニティバスの割引などの充実が必要と感じる」などの傾向が浮き彫りにされた。」


③『熊本地震の経験に学ぶ ~コミュニティに根付いたインクルーシブな地区防災を考えるセミナー~』
2017.3.26 移動ネットおかやま 中村守勝)
日時:2017年3月26
場所:大阪大学中之島センター
共催:被災地における障がい者、移動制約者への移動支援活動基金(ももくり送迎基金)
      一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会関西支部


 この日は、50人余りが大阪大学中之島センターでのセミナーに参加。うち約10人が、車いす、視覚障がい、その他の障がいのある方々という、大阪らしいセミナーとなった。紙面の関係で講演部分を要約してお伝えしたい。

生々しい経験と今後に向けた貴重な教訓
 「被災者の尊厳を守る」と題して講演に立たれた花田昌宣氏(熊本学園大学社会福祉学部教授)は、2016年4月の2度の大地震(震度7)と相次ぐ余震、自らも自宅が被災(現在も、みなし仮設暮らし)されるなか、障がいがある者もない者も受け入れて避難所運営を実践し、「熊本学園大学モデル」として多くの教訓を示唆された。
 教授らが理事長、学長に声をかけ大学校舎を開放。被災直後に同大学には約750人が避難。そのうち障がい者は60人だった。社会福祉学部の教授、避難学生も含め学生300人で30人ずつのローテーションを組む。また専門職(卒業生)に連絡し、60人の支援体制を固めたという。
(以下、花田氏のご講演より抜粋。)

―発災後の避難所は地域の縮図―
 閉所する最後まで避難所に残ったのは障がい者、高齢者、生活困窮者たちで、地域の「災害弱者」の受入れを実践したことは、メディアや関係者からインクルーシブな避難所運営として高く評価された。
 障がい者・高齢者の脱施設化と地域移行の流れを踏まえた災害時緊急避難のあり方を考えていくべき。障がい者であれ「要配慮者」「要援護者」であれ、被災暗まで施設入所者ではなく地域で暮らしていた人たちだ。避難所で排除、隔離をしないというは、当たり前の原則。また指定福祉避難所も被災しており、職員不足もあって、ほとんどの指定福祉避難所が機能マヒだった。
―障がい者受入れスペースの確保へ―
 具体的には、障がい者に対する合理的配慮として、スペースの確保と支援体制を構築した。医師の巡回と日常的対応、個別ヒアリングが功を奏した。グループホームで被災し、丸ごと避難した人たちもいた。発達障がい、自閉的傾向、うつ等で病院に通っていた人たちにも、傾聴・見守り・配慮で対応。人工呼吸器の電源確保、障がいのある人が支援の側に立つことも大切。教室をひとつ開放すれば、障がい者のスぺ-スは可能なはず。
―今後に生かすべき教訓・震災前のあり方が問われる!!
 「必要とする人がいる限り避難所は閉じず」を原則に、避難者の帰宅困難状況の把握と、避難所から自宅、新たな住居など次のステップへの支援をした。また個別対応段階で、生活保護課や地域包括支援センターとの連携も持った。
 しかし日常の地域の中で、障がい者、高齢者の姿が見えなければ合理的配慮も共生社会も根付かないと花田氏は話す。益城町に移転した「被災地障害者センターくまもと」では、現在、福祉有償運送の準備中ということだ。被災地の地域創生のなかで、また一つ移動制約者の“移動の確保”の灯がともった気がした……。」


④『《大阪自動車会議所が研修会》障がい者の人権守る』(2017.3.20 東京交通新聞)
「 大阪自動車会議所(三野文男会長)は人権問題研修会を1日、大阪市の大阪歴史博物館で開催し、大阪企業人協議会サポートセンターの金井敬三専任講師が「障がい者の人権問題」をテーマに講演した。自動車業界関係者100人以上が参加した。
 三好会長があいさつし「来年3月で創立70周年を迎える。2009年からは主要事業として人権問題研修会に取り組んできた。自動車関連企業は地域に密着している分、人権問題に真摯に向き合う必要がある。今後の啓発に役立てていただきたい」と述べた。来賓出席した井上景之大阪運輸支局長は「少しの思いやりがあれば、人権は守られる。業界に携わる全ての人々が人権を理解し、その保護と真摯に取り組んでいくことが重要だ」と述べた。
 講演で金井氏は2014年度の全国の障がい者数は全人□の6・7%を占める約860万人で、その内訳は身体障がい者が393万人、知的障がい者が74万人、精神障がい者が392万人となっていることを紹介。そのうち65歳以上の高齢者が占める比率が、順に70%、9%、30%で、全体では障がい者のほぼ半分が高齢者であることを指摘。超高齢化社会の進展で「今後も障がい者の数は増えていく」と述べた。
 日本では昨年4月から「障害者差別解消法」が施行されており、公共交通関連分野ではタクシー乗場で車いすだからといって乗車を拒否されるケース、知的障がい者がバスの運転手から「乗らないで下さい」といわれるケースなどが「不当な差別的扱いと判断される」と警鐘を鳴らした。
 介肋者と買い物にきた場合に、障がい者本人にではなく介肋者に「どれになさいますか」と聞いてしまうケースが結構あると指摘。守ってあげなければならないという配慮から、逆にその人の「自分で決める」という基本的人権を奪ってしまう「このようなケースに気をつけなければならない」とした。
 日本の社会は障がい者に対する大きな社会変革期を迎えており、「障がい者と接するときは、彼らの悩みを聞いてあげて、ぜひとも丁寧に対処していただきたい」と講演を結んだ。」


今後の取り組み等の討議:

(1)3月度~の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 3月20、21日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
4月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 5月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
6月19、20日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 7月17、18日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)


■次回運営委員会:2017年5月6日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所