157回運営委員会
2月3日に「関西STS連絡会」第157回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:6団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
なにわ子ども育成会(大阪市) ・い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:


①『NPO法人 全国移動サービスネットワーク「2017年度事業の総括(案)」』(2018年2月19日 NPO法人 全国移動サービスネットワーク)
 今年度から地域支援事業における総合事業が全自治体で開始されました。「訪問型サービスD(移動支援)」の取り組みについては実践事例が出てくるようになり、厚生労働省も先行事例を紹介するなど、着実な推進が見られました。また、全国移動ネットが主催したセミナーでは、全4会場、延べ620名の参加があり、その約7割が自治体や社協関係者でした。これをみても、地域における移動支援の必要性の高さが窺えます。
 その一方で、移動サービスを提供する団体や担い手については、残念ながら増加傾向とは言えない状況です。厚生労働省のデータでは、
要介護者や訪問介護利用者が増加傾向であるにも関わらず、訪問介護における過去5年間の通院等乗降介助の利用人数は約1万人の低下傾向となっています。自家用有償旅客運送では、公共交通空白地有償運送と市町村による交通空白輸送が登録数も車両数も増加傾向にありますが、福祉有償運送は車両数が390台も減っています。各地の認定講習機関からは、受講者が減っているという情報が寄せられており、福祉有償運送や4条ぶら下がりの運転者の不足が深刻になっていると考えられます。
 高齢者の免許返納を促進する動きが進む中、自動運転の実証実験や貨客混載、
AIを使ったタクシーの配車、自家用ライドシェアなど、多様な移動ニーズに効率よく応えるサービスを追求する動きが加速しています。担い手不足を受けて、地域資源を総動員して移動の問題に対応しようという機運が今後も高ま っていくでしょう。
 同時に、
地域では「登録不要の運送」が見直されています。今回の総合事業「訪問型サービスD」の展開においても、登録不要の運送は大きな期待が寄せられています。
 
全国移動ネットは2017年度の重点項目として、訪問型サービスDの調査研究と普及公共交通空白地有償運送や登録不要の運送における制度改善に向けた提言活動地域交流やネットワーク連携強化3点を掲げました。
 訪問型サービスD
の調査研究・普及については、行政関係者や有識者の方々からの協力を経て先行する自治体の事例研究を進めたほか、前述したセミナーで多くの参加を得ました。
 提言活動としては、国土交通省主宰の「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」に委員を派遣し、高齢者の移動ニーズとそれを支える団体や市町村等の課題意識を提起しました。同検討会の「中間とりまとめ」後も国土交通省及び厚生労働省に引き続き制度改善に向けた提言を続けています。特に、訪問型サービス
D(補助)を活用したサービスは、登録不要の運送の事例が多く、提言はこれらの運用改善に関することが中心となりました。
 そして地域ネットワークの強化として寄付金を原資とした活動支援の仕組みを構築しました。移動困難者の移動支援は地域が主体となり、そして地域の中での関係者同士の連携が不可欠です。現在進めている取り組みを
2018年度も引き続き追求していくことが必要です。」


②『《コーディネーターより愛を込めて》移動支援リスク管理が重荷 全国移動ネット理事・遠藤準司』(2018.2.26 東京交通新聞)
「 デイサービスの運転者募集に65歳の男性の方から応募があった。若いと思った。なぜなら在籍ドライバーの平均年齢が67歳だからだ。早速、送迎車両に1日体験乗車していただいたが、翌日になって応募を辞退したいとのこと。理由は高齢者の送迎が想像以上に難しいと感じたからだそうだ。
 団体には70歳を超える現役ドライバーも少なくない中、それより若い男性の辞退は意外だった。しかし考えてみると70歳オーバーのドライバーはみんな10年以上のベテラン勢だ。私たちが普段、何気なく行っている送迎活動も、まったく経験のない人からすればハードルが高いと感じたかもしれない。
 介護保険制度の改正により新たに位置づけられた移動支援にも、似たような印象を持つ。2年を経過しても全国の自治体でなかなか広がりを見ない。活動主体がボランティアで、当初は自家用自動車を使用する場合のコンプライアンスが原因だと感じていたが、最近になって、実は安全運行などのリスク管理に対する自治体側の心理的なハードルの方が大きく影響しているのではないかと考えている。
 山間部で福祉有償運送を行っているNPOは、活動を開始した当初ドライバーの定年を70歳と決めたそうだ。今ではドライバー全員がとっくに70歳を過ぎているにも関わらず、世代交代が整わず、現役ドライバーとして移動支援を継続している。比較的元気な高歳者が支援や介護の必要になった住民の定住化を支えているのが、今の日本社会の現実であり、地域包括ケアの目指すところだ。
 もちろん加齢による認知機能の低下は避けられない。人によっては定年前であっても運転を断念していただくケースもあるだろう。いずれにしても安全運行は住民任せではなく、自治体側の知恵とエ夫が欠かせない。しかし、このような課題に頭を悩ませながら、最初の一歩を踏み出せない自治体が多いのも事実。ここは、ぜひとも全国移動ネットや地域のネットワークのノウハウを大いに活用していただきたい。少ないながらも先例地域の取り組みも参考に、早期に移動支援に取り組んでいただきたいと切に願う。
(くらしの足をみんなで考える全国フォ-ラム実行委員、NPO法人アクティブネットワーク代表理事)」


③『《資料》タクシー運転手の高齢化問題』(週刊ポスト2017年2月17日号、2月10日号、毎日新聞2017年2月11日)
実際に70歳以上の法人タクシー運転手は、東京に8130人(東京タクシーセンター登録)、大阪には5241(大阪タクシーセンター登録)となっている(『週刊ポスト』2017.2.17)。
東京地区(東京タクシーセンター登録)のタクシー運転手のうち、75~79歳は「2522人」(法人1712人、個人810人)、80歳以上が「442人」(法人153人、個人289人)いる。タクシー業界は高齢ドライバーに頼らざるを得ない構造的問題を抱えている。東京のタクシー運転手の平均年齢は法人約59歳、個人が約63歳で、年々上がっている。
 
大阪地区(大阪タクシーセンター登録)は、75歳以上が1416人(80歳以上を含む。法人1080人、個人336人)で、個人タクシー運転手の1割以上が75歳オーバーとなっている。
 タクシー運転手は、国の機関「自動車事故対策機構(
NASVA)」で視聴覚機能や判断力などのテストとカウンセラーの指導を受ける。65歳以上は3年に1度、75歳からは毎年「適性診断」が課せられる。ただし、どちらも診断結果が悪くても免許が剥奪されることはない。運転能力が低下しているか否かを判断するのは運転手自身で、能力低下があっても、制度として“免許召し上げ”のルールはない(『週刊ポスト』2017.2.10)。
2015年のタクシー運転手の平均年齢は59.0歳と、2005年より4.1歳上昇した。全産業平均では10年で1.5歳しか上昇しておらず、タクシー業界の高齢化が際立つ。過去最低だった64年の33.4歳より、25歳以上、上昇している。
 個人タクシーはより高齢化が進んでおり、全国個人タクシー協会によると、個人タクシーの運転手は
2015年3月末現在、「65歳以上」が52.6%を占め、平均年齢は63.6歳。法人タクシーの場合、65~74歳の運転手には3年ごと、75歳以上は年1回、運転シミュレーターなどによる適性診断が義務づけられている(『毎日新聞』2017年2月11日)。」


④『《財政難と人手不足》飛騨の福祉有償運送14年半で幕』(2018.2.19 東京交通新聞)
「 岐阜県飛騨市の河合・宮川地区で運行している過疎地有償運送の「ポニーカーシステム」が、年度内の3月末で終了することになった。旧河合村と旧宮川村が2003年、構造改革特区として認められ全国でも先駆け的な取り組みだったが、実施主体の北飛騨商工会の財政と担い手の運転手不足を主な要因として、来年3月未までの許可期限を1年あまりを残しての幕切れとなった。今後の住民の移動手段は市が同じ河合、宮川地区で実施している乗合タクシーに引き継がれる。」


今後の取り組み等の討議:

(1)2018移動送迎支援活動セミナー》
     地域のニーズに合わせて 制度を使った 移動・外出支援を!
          ~介護保険制度「介護予防日常生活支援総合事業」とは~』の開催

■日時:
2018年3月17日(火)10:30~16:30
■会場:たかつガーデン・たかつ西の間(近鉄「上本町駅」、地下鉄「谷町
9丁目駅」下車)
■内容:
 ◎基調講演:「動きはじめた地域でのくらしの足としての移動」
  (講師:服部 真治/(財)医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構研究員)
 ◎地域からの報告:①大阪市生野区、②大阪府太子町、③滋賀県米原市、④大阪府阪南市、
              ⑤大阪府富田林市、⑥和歌山県橋本市   ――(依頼中を含む)
■主催:特定非営利活動法人 日常生活支援ネットワーク
■後援:NPO法人 全国移動サービスネットワーク、関西STS連絡会
資料代:500

22月度~の「運転者認定講習会」の開催
 ◎ 3月11日/枚方市社協「運転者認定講習会」(於:枚方市)
 ◎ 3月
13日/NPO天気村「運転者認定講習会」(於:滋賀県草津市)
 ◎ 312、13日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 4月16、17日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 5月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
6月18、19日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)

■次回運営委員会:2018年3月3日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所