169回運営委員会
7月6日に「関西STS連絡会」第169回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:9団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) 伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「アクティブ ネットワーク」(茨木市) NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市)
NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
NPO法人いばらき自立支援センター ぽぽんがぽん」(茨木市) なにわ子ども育成会(大阪市)
い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

①「《交通論壇》地方部のMaaSに求められる視点/メニューとリスク分担が鍵
吉田 樹(福島大学経済経営学類准教授)」(東京交通新聞2019.6.24
「 わが国の地方部は、居住地や目的地が鉄道駅から離れて立地することが少なくない。そのため、多くの市民が自家用車を保有し、運転することで高いモビリティを獲得してきた。しかし、高齢ドライバーの交通死亡事故リスクは高く、超高齢社会のなか、自家用車を専ら運転する生活に代わり得る「選択肢」を用意できるかが問われている。
 MaaS(Mobility―as―a―Service)の概念を生みだしたフィンランドでは、都市部の渋滞や環境問題はもとより、地方部の高齢者や移動困難者の交通問題を解決する手段にもMaaSが位置づけられている。MaaSには、モビリティサービスの「メニューを増やす」ことと、情報技術を活用してメニューを「束ねる」ことの二つの側面がある。MaaS Global社のアプリ“Whim”が注目されたわが国では、「MaaSの構築=アプリ開発」と捉えられることもあるが、公共交通のサービス水準が低い地方部では、「メニューを増やす」アプローチが欠かせない。
 デンマークのコンサルタントRAMBOLLが本年3月に公開した“WHIMPACT”というレポートには、“Whim”ユーザーは、タクシー利用が多い傾向にあると書かれている。“Whim”が注目された理由に、サブスクリプション(定額制サービス)の導入が挙げられるが、月499ユーロを支払うユーザーは、ごく僅かである。大半のユーザーは都度払いのサービスを利用しているが、運賃が事前確定し、決済もアプリ上で完了する。筆者は、昨秋にヘルシンキを訪れ、実際に“Whim”でタクシーを利用した。メーターは11・4ユーロを示したが、“Whim”で決済されたのは8・06ユーロと廉価であった。“Whim”は最短経路で検索され、かつ、乗車人数による加算運賃が考慮されていないことが背景にあるようだが、“Whim”には、5㌔以内のタクシー利用に上限価格を設定したプランも用意されており、同じタクシーであっても、運賃の選択肢を多様にすることで「メニューを増やす」ことができる。
 南相馬市公共交通活性化協議会(筆者が会長)では、定額制タクシー「みなタク」を2018年3月に開始した。平日の7~19時であれば、市内中心部と自宅との間を定額で利用でき、昨年末までの9ヵ月間で2万回以上配車された。高齢者の通院利用が主体だが、鉄道駅や学校への利用もあり、送迎していた家族の負担軽減が図られた。また、「みなタク」を片道のみ利用したケースが4割強を占め、他の公共交通や送迎と組み合わせて利用されることが少なくないことも分かった。公共交通利用者はもとより、自家用車を運転する市民であっても、常に同じ方法で移動しているとは限らない。わが国におけるMaaSの取り組みが、モビリティサービスの「メニューを増やす」と同時に「束ねる」契機になれば、自家用車と公共交通とが物理的かつ心理的にも区分されてきた現状を和らげることが期待できる。
 さて、「みなタク」は、わが国で導入予定の事前確定運賃とは異なり、メーター運賃より3割ほど廉価である。運賃の選択肢を多様にして「メニューを増やす」ことは、短期には価格が低下し、減収リスクを伴うが、長期には、公共交通の利用シーンが増え、需給ギャップが緩和されることが期待される。そのため、公共交通事業者がMaaSのベネフィットを感じるまでは時間を要すると考えられる。「みなタク」の場合、メーター運賃との差額を市が負担しているが、地方部のMaaSは、ベネフィットが得られるまでのリスク分担が不可欠である。」


②「《国交省》地域の足確保 最優先 一見勝之・自動車局長一」(東京交通新聞2019.7.15
「 国土交通省自動車局長に9日就任した一見勝之氏(前海上保安庁次長)は10日、本紙の単独インタビューに応じ、抱負と当面の課題を語るとともに、バス・タクシー業界に向け、期待のメッセージを発した。一見氏は、自動運転車両の開発・普及と労働力不足対策、地域の足の確保を、最重点課題の3本柱に掲げた。(聞き手=仁平英紀編集局長)
――就任に当たって。
「交通行政の中で特に利用者、地域に密着しているのが、バス、タクシー、トラック、自動車整備だ。利用者の利便と、一番大事なのは安全の確保。ゆるがせにしないようにしたい。旅客輸送の場合は、軽井沢でのバスの事故もあり、安全・安心がきちんと確保できていることが、利用者にとって利用する当然の前提になっている」
――当面の課題を伺いたい。
「まずは、自動運転とサポカー(安全運転サポート車)の開発・普及がある。日本はこれから少子化がどんどん進む。生産性を上げていかなくてはいけない。2065年に日本の人口は8800万人になるという推計が出ているが、人口が減れば経済も落ちていき、暮らしが立ち行かなくなる。少ない人口でも何とか持つようにするのが『生産性革命』だ。担い手が少なくなっても移動ができるという意味で、自動運転は非常に注目されている」。
「とはいえ、タクシー、バスの運転者をはじめ、人手がかかることがまだまだある。すべての業種に外国人労働者を入れるわけにもいかないので、バランスを取りながら、うまくやっていくことが課題の二つ目になる」。
「三つ目は、地域の足の確保だ。自動運転や労働力不足とも関係してくるが、人口が減る中で緑ナンバー(バス、タクシーなど営業車)だけでは限界がある。かといって、ライドシェアのような形でできるというものでもない。中部運輸局時代に、愛知県豊根村で過疎地輸送の実験をした。こうした地域では自家用有償旅客運送を活用し、タクシーが応援することで、さらにいい形になる気がする。今後、重要な課題になる」。」


③東桜谷おしゃべり会 移動支援事業「おたすけカゴヤ」新聞掲載記事・特集

『おたすけカゴヤ』出発式/片道300円で気兼ねなく利用」(ヒノメイト2019.7.6
ボランティア運転手の車に乗る利用者
「 東桜谷おしゃべり会移動支援事業「おたすけカゴヤ」出発式が4日、鳥居平会議所で行われた。
 東桜谷地区では、2017年5月に町社会福祉協議会の「地域づくり・まちづくり」モデル事業としての指定を受け、地区社会福祉協議会や地区人権啓発推進協議会を中心に先進地を視察したり、講演会を開催するなどして、より良い地域づくりの方策を考えてきた。
 このほど住民自らの手で地域における支え合いを進めていくため、移動支援や食事会など、それぞれに課題意織を持った任意のメンバーが集まり、2019年5月8日、「東桜谷おしゃべり会」(代表・外山章氏)を立ち上げた。
 「ふれ愛・ささえ愛・つなぎ愛」をモットーに「愛」のある地域づくりを進めるため、「おたすけカゴヤ」という新たな一歩を踏み出した。これは東桜谷地区各地域単位で行い、ボランティア運転手を募り、各地域の登録利用者(独居者・同居でも昼間は独りの人・運転免許返納者など)の移動を助けるもの。
 麻原喜代次氏(おしゃべり会移動支援分科会代表)は「待っている人の期待に添いたい。また東桜谷地区全体の取り組みとして、この地に住み続けて良かったと思ってもらえるようなものにしたい」と話した。
 外山氏は「この活動を知ってもらい、他の地区でもやってみようという地区が増えたら、うれしい」と話してくれた。利用料は片道300円で「お礼をしないといけない」「乗せていってほしいけど頼みにくい」などという気兼ねなしに頼めるので、遠慮なく頼んでほしいという。【小川】」

「《高齢者移動支援サービス》ちょいのり おたすけカゴヤ/日野町東桜谷地域でスタート」(滋賀報知新聞2019年7月15日)
出発式であいさつする移動
支援サービスの浅原代表
「 日野町東桜谷地域で住民主導の高齢者移動支援サービス「ちょいのり おたすけカゴヤ」の出発式が4日、鳥居平会議所で開かれ、関係者約30人が集まった。
 同町内でボランティアによる移動支援サービスを行うのは、初めて。同地域では、住民自らの手で支え合いを進めていくため、約2年前に地区社会福祉協議会の呼びかけで「おしゃべり会」を立ち上げ、地域課題など様々なことを話し合っている。その中で、「免許を返納した高齢者など、通院や買い物に苦労している人がいる」という声があがったことをきっかけに、移動支援サービスを計画。
 関西で移動・送迎支援活動を行っているグループのネットワーク化をはかり、情報交換、調査、研究などを進めている関西STS(スペシャル・トランス・サポート)連絡会の柿久保浩次さんを招いて研修会を開くなど、実施方法を模索してきた。
 「ちょいのり おたすけカゴヤ」は、同地域の10字(あざ)のうち、講習を受けた運転ボランティアと利用者のいる字から順次スタートし、平日の概ね午前8時から午後5時まで、町内の通院、買い物などの送迎に利用できる。付き添い介助費やガソリン代として、利用料金は片道300円、往復600円。町からは運行実績に応じて、1日1人当たり150円または130円の補助金が支給され、ボランティア送迎に伴う保険に加入している。
 代表の麻原喜代沢さんは「ボランティア運転手に登録していただいた6人と、第1次の利用登録者7人で取り組みをスタートすることになった。高齢者の事故が社会問題にもなっている昨今、第2次の登録では、免許返納者や日中独居者にも声をかけていきたい」と意気込みを語った。
 藤澤直広日野町長は「高齢化社会を巡る状況の下で、最近町内でも、いわゆるサロンなどでの食事提供をはじめ、地域で支え合う流れが広がってきている。移動支援の取り組みは大変ありがたく、行政でも考えなければならない課題。現在、町内バスを運行しているが、運転手不足や元気な人は使わない、元気じゃない人は1人でバスに乗ることが困難ということを思うと、これからの移動手段をどうしていくのか、公共交通をどのようにしていくのかと密接に関わってくる。地域と社協で連携し、このような流れを町内に広げていければいいなと思う」と期待を込めた。」

「《東桜谷地区》おたすけカゴヤ出発/地区の高齢者を送迎」(新日野新聞2019年7月5日)
「 東桜谷地域では元号が変わった早々の5月8日に「東桜谷おしゃべり会」(外山章代表)を立ち上げた。
 これは地域住民自らの手で、地域における支え合いを進めていくために立ち上げられたもので、その活動の一環として地域の高齢者の医療機関への通院や商業施設への買い物、金融機関、日野駅などへの送迎を行う住民ボランティア(運転ボランティア)「おたすけカゴヤ」を立ち上げ、7月4日午前10時より鳥居平会議所前にて、出発式を行った。
 この運転ボランティアの運行は、原則同じ字に住む顔なじみの高齢者を送迎するもので、平日の概ね朝8時から夕方5時頃まで日野町内の病院や駅などへ送迎する。
 利用者は乗り降りの際の付き添い介助費として、片道250円とガソリン代として50円の計300円、往復なら600円支払う仕組みとなっていて、町からは運行実績に応じ補助金が支払われ、ボランティア送迎に伴う保険に加入される。」


今後の取り組み等の討議:

(1)「《2019福祉有償運送学習会》~「道路運送法」改正(2006年)から13年~
                地域生活における“移動・外出手段”の確保における現状と課題を考える」(仮称)


   ■日 時:2019年 12月14日(土)、13:30~17:00
   ■会 場:大阪府社会福祉会館 
503号室(80人部屋)
   ■資料代(カンパ):(
500円)
   ■主 催:
NPO法人 移動送迎支援活動情報センター
   ■後 援:
NPO法人 全国移動サービスネットワーク

   【別紙参照:「関西
STS連絡会「2019福祉有償運送学習会」開催要綱(案)」】


27月度~「運転者認定講習会」等の開催
 ◎ 7月22、23日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 7月25日/長谷工シニアホールディング「運転者認定講習会」(於:名古屋市)
 ◎ 8月20、21日/NPO法人全国移動ネット「運転者認定講習会」(於:鹿児島県鹿屋市)
 ◎ 8月29、30日/たすけ愛はしもと「運転協力者現任研修」(於:和歌山県橋本市)
 ◎ 9月7日(9:00 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎ 9月8日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 ◎ 9月26、27日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:滋賀県米原市)
 ◎ 9月28日/甲賀市社会福祉協議会「外出支援ボランティア養成講座」(於:滋賀県甲賀市)


■次回運営委員会:2019年8月3日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所