177回運営委員会
8月22日に「関西STS連絡会」第177回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時まで開催されました。
出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:9団体)
NPO法人「日常生活支援ネットワーク」(大阪市) ・伊良原淳也(関西STS連絡会)
NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) NPO法人「アクティブ ネットワーク」(茨木市)
(社福)ぽぽんがぽん」(茨木) なにわ子ども育成会(大阪市)
・い~そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

①「《国交省要請行動》道路運送法施行規則及び関係通達の見直しに関する要望の件」
20209月17日:国土交通省 自動車局 旅客課)
■要請行動:「道路運送法」の省令通達の改正見通しのチェックと、全国移動ネットに求められていた情報および提案事項の伝達。
2020.9.14:久保田公共交通・物流政策審議官、金井審議官、中村交通政策課長、祓川自動車局長
      【訪問者】関口監事、河崎副理事長、山本理事、伊藤事務局長
2020.9.17:旅客課・宮屋敷専門官、秋田企画調整官
      【訪問者】柿久保副理事長、河崎副理事長、山本理事、伊藤事務局長

―― 道路運送法施行規則及び関係通達の見直しに向けての提案(要旨)――
2020年9月 特定非営利活動法人 全国移動サービスネットワーク

 自家用有償旅客運送が制度化から
10余年の間に制度運用上の課題や社会情勢の変化を受けて、運用の見直しや明確化が数回にわたって行われてきた。一方、高齢化や人口減少はその間にも進み、運転免許証の返納者も増え、地域での生活交通のニーズは急激に増えている。「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」でも協議されたように、バスやタクシーだけでは地域の生活交通のニーズには応えられず、自家用有償旅客運送や許可・登録不要の運送への期待が高まっている
 しかしながら、福祉有償運送と公共交通空白地有償運送では、制度化された頃と現在の「登録車両数」や「運営協議会設置状況」などを比べると供給量がほとんど変わっていない
 この原因としては、未だ制度が分かり難く実情に合っていないことが挙げられる。自治体にとっては特に運営協議会の設置や協議に関することが大きな負担となっており、設置すらしない自治体がある。
 昨今では、自家用有償旅客運送の運転者や関係者に対する社会参加の促進、福祉や災害時への対応を含めた“まちづくり”といった点でも、自家用有償旅客運送の必要性が認識されている。
 福祉有償運送や公共交通空白地有償運送の運送者は、もともと財政的に活動が困難な状況にあるが、“新型コロナウイルス禍”で多くの運送者は自治体からも十分なサポートを得られていないままエッセンシャルワーカーとして、利用者のニーズに応えている。今後の新型コロナウイルス対応としても自家用有償旅客運送の拡充が求められている。

1.福祉有償・公共交通空白地の規制緩和
①運営協議会を開催しやすくする

・運送の規模や効果に対して運営協議会での協議が見合っていない(例えば、
年間100件程度の運行を行うことが見込まれる運送者の申請に対して、10人弱の委員が数回協議)。委員の削減、開催そのものを含めて簡素化すべき。
法第79条の四の第5号にある「合意」が「協議」に変更され、全会一致の必要がないことも、通達「運営協議会に関する国土交通省の考え方について」に明記されている。それであれば、市区町村が関係者から意見を聞いたうえで判断することで足りるのではないか。運営協議会開催にかかる様々な負担が少なくなり、責任の所在も明確になる。
・例えば、旅客課から示された「自家用有償旅客運送ハンドブック」にある「検討プロセス」が、必要性に関する合意形成のプロセスとして適当と考えられる。市町村のホームページや広報、掲示板等でパブリックコメントと同様に意見を募集する方法や、運営協議会の構成員に対して意見を求めるといった方法で、一定期間を経て反対意見がなければ「合意」とみなすことにしてはどうか。合意を必要としない事項や登録要件については、市町村または登録権者が判断や確認をすればよいことであり、運営協議会の協議は必要ない
・具体的には、条文において、登録申請に関する関係者の合意を、「原則として市町村が判断することとし、判断に当たっては、必要に応じて関係者の意見を求めることができる」とするべきである。これは市区町村が、交通基本計画や地域福祉計画等と一貫した施策づくりを行うことにもつながると考える。

②運転者が参加しやすくなるように(講習の見直し)
・認定講習のうち「セダン等運転者講習」は、セダン車両に乗降介助するには、高い介助技能が必要という認識(当時の介護タクシーのようなイメージ)に基づいて、
2種免許所持者であっても、セダン受講が必要という整理がなされた。しかし、福祉有償運送団体は、知的障がい者や視覚障がい者、杖歩行の高齢者など、福祉車両が必要ない移動困難者に対応するためにセダン(福祉車両でない)車両を使用している。一方、福祉有償運送運転者講習では、知的障がい者や視覚障がい者等の利用者理解や接遇・介助についても盛り込んだ内容を履修しており、セダン等運転者講習と内容が重複している。セダン等運転者講習は廃止し、福祉有償運送運転者講習に含むものとすべきである。
・【-略-】

③新たに活動をしやすく(最初の登録時の負担減)
・制度創設時は、市町村が責任をもって制度運用をするには時期尚早な面もあり、複数市町村ごとに広域で運営協議会を設置した都道府県もあるが、他の制度や交通政策基本法においても市町村の主体性が重視され、市町村が自ら判断できる(するべき)状況に至っている。ただし、市区町村が判断する場合には、複数市町村を運送の区域とする運送者には、登録手続きにあたって大きな負担がかかるため、登録要件や書類の簡素化が必要不可欠である。
・交通の制度が一般的には難解であり、制度そのものや運用の見直し、明確化がほぼ周知されていない。現状の理解と周知への取り組みもしてもらいたい。

④活動を継続しやすく
・利用者が登録されている、運送が行われている等であれば必要性は確認されているものとして、更新登録を簡易にすべき
⑤データによる判断で合意をスムーズにする
・交通基本計画や地域福祉計画で福祉有償運送や公共交通空白地有償運送の必要性が確認されている場合、もしくは交通基本計画や学識経験者・専門家等によってバスやタクシーによる供給が足りてないと判断される場合、利用希望者が存在する場合は必要性が確認されているものとみなすべき

〈現状認識〉
・福祉有償運送と公共交通空白地有償運送は、どのような地域でも一定割合の人が必要としていること、ニーズが充足されていないことは、制度創設から
13年を経て関係者の共通認識となっている。地域の交通基本計画でもニーズがあることは認識されており、運送者が存在しない地域ではニーズが充足されていないことは明確である。
・現在の運営協議会での協議内容は、安全の確保策や書類の間違いや登録要件の細部に対する理解を促すものが大部分である。これらは登録権者が申請団体と直接やり取りすれば足りる。
・運営協議会を設置することについて、自治体が消極的・否定的である(利害調整が難しく、住民のニーズに応えられるサービスにはならないとの諦めも)。住民ニーズがあっても、運営協議会の設置を要望されても設置する義務がなく、協議の期限がないのも問題。
地域公共交通会議等と一本化する場合、広域で(10市町合同のケースもある)運営協議会が設置されている都道府県では、市町村が当該地域の地域住民のニーズに応える施策づくりに結びつかない(しかし、市町村単独設置は負担感が強く困難)
・“運営協議会の合意“と“登録権者による登録”という二重権限が発生するような制度は、他の福祉サービスには見られないローカルルールなどの規制を是正しにくい

2.福祉有償運送と公共交通空白地有償運送の融合
⑤福祉有償運送の利用者に公共交通空白地の対象者を含める
⑥協議事項を減らす(旅客の範囲の協議は不要)

・【-略-】
⑦福祉有償運送団体が公共交通空白地の登録申請をする際は手続きを容易に
・【-略-】
<現状認識>【-略-】

3.福祉との連携の具体化
⑧福祉部局が運営協議会を主宰する場合は条件緩和(みなし開催)
・地域における移動困難者の状況やそれに対する支援をどうするべきか、何ができるかといった協議は、現在では、介護保険制度の生活支援体制整備事業に基づく協議体や、「障害者総合支援法」に基づく“自立支援協議会”等で行うことができる。その方が、利害関係者の介入がなく、よりニーズに即した協議ができる。福祉部局が運営協議会を主宰する場合には、運営協議会を他の会議で代替することも可能とすべきである。
・「介護予防・日常生活支援総合事業」に基づく訪問型サービスDを市町村が導入し、福祉有償運送団体がその実施主体となる場合には、運営協議会に対して基本チェックリストを福祉有償運送の対象者に加えることが必要になる。福祉と交通の連携を進めようとするならば、庁内連携はもちろん、運輸支局の職員も福祉施策に応じた制度運用を行うべきではないか。
福祉有償運送においても複数乗車を推奨する(
1対1の個別輸送という原則の見直し)など、地域資源を有効活用できるよう柔軟な運用を可能にしてほしい。

⑨ぶら下がり許可には介護保険や障害福祉サービス外のサービスも可能に
・【-略-】
⑩情報発信・啓蒙
・【-略-】」



②「【レポート】大阪府福祉有償運送運営協議会・北摂ブロックにおける運営協議会の現状」2020.9.16:関西STS連絡会・事務局)
■大阪府「福祉有償運送運営協議会」:3市、4ブロックが設置(2020.4.1現在)。
 
2006年改正「道路運送法」以降、市単独での運営協議会設置が難しいことから「4ブロック」に分けて、幹事市が輪番制で1年毎に入れ替わるという不完全なまま、「ローカルルール」「他事考慮判断」が無駄にくり返され、北摂ブロックでの協議会運営に不十分性を感じた「箕面市」が独自で運営協議会を立ち上げた(2014年)以外は、4ブロックは旧態依然の運営のまま継続されてきた。

■複数の「運送区域」毎に、運営協議会(別個の「協議基準」)への「更新」手続き!!
 各実施団体は、自らの「運送区域」毎の運営協議会(別個の「協議基準(ローカルルール)」)への更新手続きをおこない、対応に悩まされることになる。

■北摂ブロックの「待機料金」への他事考慮判断の実態。
  
――2019年度(幹事:吹田市)から、2020年度(幹事:茨木市)への持ち越し協議!! ――
 タクシー事業者委員が、運営協議会で「待機料金は認めない」という発言をくり返しているとの報告があり、実態の聞き取りを始めた。
運営協議会事務局(幹事:吹田市)が、大阪府下の運営協議会での実施状況を調査して、
大阪府下の各市、各ブロックの現状を調べましたが、“待機料金”を認めていないところはありませんでした」「
北摂ブロック:19事業者中15事業者が“待機料金”を実施しています
と報告しているにもかかわらず、協議は進んでいない。

【タクシー事業者委員の発言】
・初乗り
20分500円となっていますが、10分乗っても500円となり、タクシー運賃の2分の1を超えている。
・この協議会は全会一致なので、私は通しません
(秋山座長:全会一致というのは違うと思います。更新案件なので、前回も議論しています。)
・私が欠席した時に通った案件だと思います。前回通ったから今回も通すというのであれば、この会議の意味がないのではないか。
・この福祉有償運送ができた経緯があり、元々はヘルパーさんが迎えに行って、その運転中に介護料金が発生しないから、タクシーの半分の料金でどうだと、国が作ったのが制度の始まりだと思う。
・私も、元々の制度の始めから携わっているので、待機料金を認めるのは反対です。待機している間にエンジンを止めていれば、待機中の費用は発生しないはずです。
(北摂ブロック福祉有償運送・第
1回運営協議会「議事録」(2018.7.10)より)

【第2回運営協議会「議事録」2019.10.4より】
・事業者 (申請概要の説明)
ストレッチャータイプや特殊な車いすの方の利用もあり、大型車の使用が多くなっている。今回、タクシーの車種区分に合わせて、大型の待機料金は
30分1,400円に。それ以外は現行の30分1,100円で変更無しです。利用者の方には説明して、了承をいただいている。
・箕面市では“北摂ブロックの結果待ち”ということで申請し、承認をいただきました。箕面市には北摂と同じ内容で再提出します。  (北摂ブロック福祉有償運送・第
2回運営協議会「議事録」2019.10.4より)

2020年度運営協議会(幹事:茨木市)への持ち越し議事内容】
・事務局:「待機料金」について個別で運営協議会が判断するために「統一用紙」(待機料金算出表)を作り、記入してもらうことになった。その上で「妥当」か、どうかを審議してもらう。
・伊良原(委員):国交省の方では、「運送の対価」以外の細々とした「料金」について運営協議会で過度に審議するようにとは言っていなくて、福祉有償運送については「会員登録制」になっていることもあり、基本的には“合意事項”となっている。他のブロックでも“常識的”な算出で通っている事項です。
・遠藤(副座長):「待機料金」については、過度の「他事考慮的判断」が行われることは、移動支援団体の活動が制約・限定化されることになり、ナンセンスだと思っています。細かいことを言うよりも
「タクシーの概ね1/2」程度で十分だと思う。
 
2006年当初は、暮部さんが言うように身体介護として、ヘルパーさんが介護報酬を時間単位で請求できていたが、その後、ヘルパーさんが乗降介助をおこなうこともあった。でも今は、そういう時代ではなく、そういう時代錯誤の認識で、福祉有償運送を見てもらったら困ります。
・秋山座長:もう一度、議論し直した方が良いと思います。
(北摂ブロック福祉有償運送・第
1回運営協議会「聞き取り」2020.7.31より)

■北摂ブロック運営協議会への「運手履歴証明書」の提出問題。
  
―― ゴールド免許証の者は、提出不要か? ――
大阪運輸支局:
提出は求めていない
大阪府:ローカルルール抜きで示しているので、
求めていません。ただし、「ブロックごとに認定基準は、若干異なります」と書かせていただいています。
・当該団体:運営協議会(幹事:吹田市)では求められなかったが、運営協議会(幹事:茨木市)になって問題とされた
・座長:
北摂ブロック運営協議会の「内規」で決めたことなので、「運転履歴証明書、適性検査は、5年毎に提出」してもらいたい。
・事務局:評価が平行線ということもあるので、今回は「求めない」ということで進めていただいて、今後、ローカルルールを作るのか、作らないかは……
・秋山座長:「求めない」というのは、私の記憶には無い。ゴールド免許なら出さなくて良いというのは、誰が言ったのか。理解がおかしい
・事務局:「提出要件」になってないということで、今回は運用しているところです。今回、求めていなかった「書類」が無いがために協議が整わないということだけは、避けたいと思いますので……。
・伊良原委員:「行政処分」を受けたか、受けてないかのチェックのためだけだったのでは。
・秋山座長:それは、おかしいですよ。「出してもらうように、してもらえませんか」とお願いすることが、正しいんではないか。
・遠藤副座長:「事故をしていない」という誓約書なら、今、出せますか。
・六條委員:過度の「他事考慮的判断」を積み重ねていくと、事業者側の活動がますます限定化されてしまう。
茨木市での福祉有償運送団体は、現在、3団体になってしまっている
・秋山座長:ゴールド免許の方も含めて、可能であれば「運手履歴証明書」を提出願います。安全運転を確認するという意味で、強制ではありませんが
(北摂ブロック福祉有償運送・第
1回運営協議会「聞き取り」2020.7.31より)

■運営協議会の公開―「議事録」の作成と公開。
・幹事市のホームページのみに、「議事録」が出たり、出なかったりという現状であり、運営協議会での協議内容継承の不十分が目立つ。
――延々
3時間10分の不毛な運営協議会が続けられた(北摂ブロック運営協議会2020.7.31)。――」



③「自家用有償旅客運送の関連通達見直しに関するパブコメの検討」NPO法人 全国移動ネット・企画会議)
地域公共交通会議に関する国土交通省としての考え方について」等の一部改正等について
(パブコメ募集2020.11.14まで:募集サイト参照)
〈主な改正点〉
・「地域公共交通会議に係る国土交通省としての考え方について」の一部改正
 ※「運営協議会に関する国土交通省としての考え方について」は廃止し本通達に一本化
・「交通空白地有償運送(仮称)の登録に関する処理方針について」及び「福祉有償運送(仮称)の登録に関する処理方針について」の制定
 ※「市町村運営有償運送の登録に関する処理方針について」「公共交通空白地有償運送の登録に関する処理方針について」「福祉有償運送の登録に関する処理方針について」は廃止。
・「福祉有償運送に係る運営協議会における協議に当たっての留意点等について」の一部改正
・「道路運送法第
5章(自家用自動車の使用)及び第6章(雑則)に規定する申請に対する処分及び標準処理期間の処理方針」の一部改正
・「自家用有償旅客運送者が利用者から収受する対価の取扱いについて」の一部改正
・「自家用有償旅客運送自動車の運転者に対して道路運送法施行規則第
51条の16第4項の規定に適合すると認められる者が行う講習の認定要領等について」の一部改正
・「事業者協力型自家用有償旅客運送における事故時の責任関係について」の制定
・「地域の交通状況の把握の考え方について」の制定




④「総合事業の対象者の弾力化の取り消しについて」
NPO法人 全国移動ネット・企画会議)
・厚労省が
8月に行ったパブコメの結果(総合事業の対象者拡大の方針に対する猛反対)について、弾力化はかなり限定的な範囲にとどまることがわかった。
10月8日に、全国移動ネットの「要望書」を持参して、推進課を訪問した際、2021年度から総合事業を希望すれば要介護者も利用できるようになることで、訪問Dの広がりに期待するというお話をしたところ、すでに総合事業を利用している(していた)要支援者が要介護認定を受けた場合に限定して、対象にすることになりそうだとの回答があった。
・通常、国の方針が認知症の人と家族の会の声明だけで
10月になって覆るとは考えにくいが、要支援者から総合事業を利用してきた人が要介護になった場合のみ総合事業の併用が可能であって、要介護者が新規に総合事業のみを希望したり、併用したりすることは認めないとすることが確定しているという。
・老健局は市町村に対して、
7月31日の課長会議資料や第8期計画の策定指針(案)に明記し、説明も済ませており、ヘルパー不足に悩む過疎地はもちろん、すでに計画に組み込んでいる市町村が複数あると聞いている。
 全国移動ネットも「要望書」を出したところであり、第
8期計画に大きな期待を寄せていた。訪問型サービスD(移動支援)は、元々介護給付に入っていないメニューであり、要介護者が利用できることになることと、給付が削られることとは無関係である。認知症の人と家族の会等の「“要介護1、2の介護サービスの総合事業への移行”などの給付費削減策」には当たらない。
・今から覆すことはできないが、まず緊急反対声明を出すべきではないか。まだ何も国から出てきていないので、出てきたらすぐに出せるように準備をするということ。ホームページ等に掲載するほか、マスコミへの投げ込み、厚生労働省への「要望書」提出を行ってはどうか。あわせて、新地域支援構想会議の構成団体に賛同団体になってもらえるよう働きかけてはどうか。

《反対声明(案)》総合事業のうち訪問型サービスDの対象者を要介護者に拡大すべきである
厚生労働大臣 田村憲久 様
2020年10月●●日 NPO法人 全国移動サービスネットワーク 理事長 中根 裕

 2015年に創設された「介護予防・日常生活支援介護予防総合事業(以下、総合事業という)」は、要支援者1、2および基本チェックリスト該当者を対象者として行われています。総合事業のうち「訪問型サービスD」は、①通院等の送迎前後の付添い支援や、②通所型サービス等の送迎とされ、全国で70あまりの市町村が実施していると言われています。高齢者の移動ニーズは高いものの、訪問型サービスDの実施市町村は極端に少なく、拡充が課題となっています。
 また要介護者は、身体介護のうち通院等乗降介助を利用することができますが、これも利用目的が限定されているほか、サービス提供事業者【※
1】も不足しています。
 【※
1】通院等乗降介助を実施するには道路運送法における許可または登録が必要
 このような中、
厚生労働省では8期介護保険事業計画策定に向けて、「基本方針」や「全国介護保険担当課長会議」の資料等で、要介護者であっても希望すれば総合事業に基づくサービスが利用できるという方針を打ち出しました。
 
訪問型サービスDの補助を活用した移動支援を要介護者も使えるようになれば、訪問介護事業所でなくても異動の支援を実施することができるため、各地からこれについて期待が寄せられていました。しかし、ここに来て対象者の拡大が大きく限定され、要支援者から総合事業を利用してきた人が要介護になった場合のみ、総合事業の併用が認められるという厚生労働省の方針が示されたことに、大変困惑しています
 
今回の総合事業の対象者拡大の方針は、要介護者が給付と総合事業のサービスを併用できるということであり、給付が削られるということではありません。特に、訪問型サービスD(移動支援)については、給付部分と重複しないため、介護給付から総合事業に移行されてしまうという利用者や市町村からの心配の声は上がっていません。省令改正に反対する人たちにも、訪問型サービスDの対象者拡大は賛同が得られるはずです。にもかかわらず、対象者拡大の方針を一律に翻したのはなぜでしょうか。
 総合事業の創設に際し、当法人も所属する「新地域支援構想会議」は“新地域支援構想”を発表しました。この中で“高齢者の持つ福祉課題・生活課題を考える際は、「介護」「介護予防」といった制度の枠組みの中だけで考えるのではなく、それ以前に、人間関係の希薄化、社会的孤立からくる様々な課題に着目する必要がある”とし、孤立している人びととつながり、その人と地域社会とのつながりを回復する「助け合い活動」の意義や役割が示されています。その「助け合い活動」を下支えするのが総合事業の
B類型とD類型の補助(助成)制度であり、要介護者や要支援者の別に関わらず、「助け合い活動」による生活支援は必要であると認識しています。
 移動支援に関して言えば、福祉有償運送が元々は「助け合い活動」としてのボランティア送迎でした。しかし
2019年3月現在、全国に約2,500ある福祉有償運送は、要介護者や障害者を中心に支援しており、要支援者を受け入れにくい状況があります。福祉有償運送の制度的な制約もありますが、多くの地域では、福祉有償運送に対する補助制度はなく赤字事業のため、自法人の介護サービス等の利用者に限定せざるを得ないからです。要支援者だけでなく要介護者も訪問型サービスDの補助対象となれば、地域で困っている要介護者や要支援者を幅広く受け入れられるようになると考えられます。
 しかしながら、
総合事業の対象者の拡大が行われないこととなり、訪問型サービスDを活用した移動支援の拡充の見通しは絶たれてしまいました。福祉有償運送団体は、今後も自法人の介護サービス等の利用者に限定してサービス提供せざるを得ず、それ以外の高齢者の移動ニーズに応えるためには、新たに無償ボランティアによるサービスを立ち上げていかなくてはなりません。地域資源をフル活用し、総力戦で地域づくりに臨む動きを、国が阻んでいるのです。
 本年
9月、当法人では「第8期介護保険事業計画における移動支援(訪問型サービスD等)の普及拡大に関する要望」を、厚生労働省に提出しました。加盟会員も各都道府県や地元市町村宛に同じ趣旨の要望書を提出し、対象者の範囲拡大を活用する流れをつくっていました。
 総合事業の対象者を拡大する省令改正を限定的にとどめたことは、あまりにも場当たり的で現実を無視した対応と言わざるを得ず、極めて遺憾です。」



今後の取り組み等の討議

12020福祉有償運送学習会のイメージづくり
 【参考:
2019年度】
 ①2019年12月14日(土)、於:大阪府社会福祉会館
   ・講師:嶋田 暁文 氏(九州大学教授)
 ②
2020年3月20日(祝)、於:大阪市立総合生涯学習センター
   ・講師:伊藤みどりさん(
NPO法人 全国移動ネット事務局長)
   ①高島市社会福祉協議会、②日野町社会福祉協議会、③
NPO法人 移動ネットおかやま
   ④ 太子町社会福祉協議会


29月度~「運転者認定講習会」等の開催

  9月9、16日/高齢者大学「運転協力者現任研修」(於:大阪市)
  9月13日/ささえあい橋本「ボランティア運転講習」(於:和歌山県橋本市)
  9月26日/滋賀元気村「運転者認定講習会」(於:滋賀県草津市)
  9月30、10月1日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:和歌山県橋本市)
 ◎10月24日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎10月25日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 ◎10月25日/たすけ愛信太「ボランティア運転講習」(於:和歌山県橋本市)
 ◎
11月28日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
 ◎
11月29日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)
 
1月23日(9:30 ~17:30)/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(於:大阪市)
  1月24日(10:00 ~11:30)/関西STS連絡会「運転者認定セダン講習会」(於:大阪市)

■次回運営委員会:2020年10月24日(土)pm6:00~8:00
於:NPO法人 日常生活支援ネットワーク事務所