第69回運営委員会
9月6日に「関西STS連絡会」第69回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。
■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:13団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) ・NPO法人「アクティブ ネットワーク」(茨木市)
_NPO法人 障害者生活支援センター「ステップ21」(茨木市) _NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市)
_NPO法人「自立生活センターFREE」(吹田市) _つばさ介護サービス(大阪市)
・NPO法人「守口送迎」(守口市) _NPO法人「いばらき自立支援センターぽぽんがぽん」(茨木市)
・移送サービスほっとん(枚方市) _い〜そらネットワーク(大阪市)
/_大阪大学・交通システム学領域(猪井) _兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所(柳原)
・晦・B・Aモータース(泉北郡忠岡町)


【議 案】

■ 資料関係:

@「交通弱者の「福祉有償運送」経営は厳しく/ガソリン価格高騰で走るほど赤字」(読売新聞2008.8.20)
「一人で公共交通機関を利用するのが困難な高齢者や障害者の移動を助ける「福祉有償運送」が2006年10月にスタートして、まもなく2年。利用者には欠かせない存在だが、運営団体の経営は厳しく、昨今のガソリン価格の高騰が追い打ちをかけている。
 栃木県日光市のM・Kさん(66)は、自宅から約2キロ離れた病院へ週2回、福祉車両で人工透析に通う。その際、同市内で訪問介護サービスなどを行うNPO法人ウエーブの移動サービスを利用する。料金は1km90円。ほかに自宅などに迎えに行く料金が1km30円で、一日(往復)480円、週960円を支払う。以前はタクシー会社のリフト付きタクシーを利用していたが、送迎代金を含め、週4000円以上かかったという。Kさんの夫(77)は「年金生活で家計は苦しく、車イスなので、乗り合いバスでは無理。このサービスは命綱です」と話す。
 だが、ウエーブの運営は厳しいという。67人が利用登録し、2007年度の運送回数は2804回と前年度の2倍だが、ガソリン代の高騰が運営を圧迫している。ウエーブが法人で所有する福祉車両3台の7月のガソリン使用量は約274gで4万7906円。2007年7月は282gで3万6815円。ガソリンの使用量は減ったが、ガソリン代は、1万1091円も増えた。ウエーブの福祉有償運送事業は、2008年4〜6月期は収入が97万1760円に対し、支出は97万5161円と赤字だ。役員が事務を無報酬で担当するなどして支えてきたが、ガソリン代の上昇で限界に達している。
 東京都多摩市内で訪問介護などを行うNPO法人ハンディキャブゆづり葉もガソリン代の増加に頭を悩ませる。利用会員は103人で運転手は約30人。料金は1時間1000円が基本で運転手には時給800円を支払う。会の収入は200円で、8台ある福祉車両の駐車場代、ガソリン代も賄う。理事のT・Tさんは「移動サービスだけだと1回の出動で1000円を超える赤字」という。Tさんは「訪問介護など他の事業収入で全体の収支を賄っているが、それも限界だ。自治体や地域で支える仕組みを考えねばならない」と語る。
支援なく休止の団体も、自治体の補助 検討必要
 国土交通省によると、福祉有償運送への登録団体数は、2008年3月未で2,320。制度施行直前の2006年9月末の2,136から増加した。2006年10月の制度スタート以前は、福祉団体などがサービスを提供していたが、今では地域で欠かせないサービスとして位置づけられた。しかし運営の実態は厳しいようだ。
 福祉有償運送の全国組織のNPO法人「全国移動サービスネットワーク」(全国移動ネット)が2007年10〜11月に全国の登録団体2300を対象に行ったアンケート調査によると、1団体あたりの利用者数は制度化以前の85・3人が制度化後は94・9人に増加。一方、1団体あたりの運転者数は制度化前の13・0人が、制度化後には12・6人と減少した。また「許可・登録申請で困ったことや活動で困ったこと」(複数回答)については、「市町村・運営協議会・運輸支局への申請・登録・更新などの事務量」(130団体)が最も多く、「運転者要件が厳しい、講習が負担」(同81)、「必要経費が多い、費用を工面できない、赤字事業、単独の事業として成り立たない」(同67)が続いた。
 多くの団体の状況が厳しいにもかかわらず、補助金などで支援する自治体は少ない。それどころか、財政難の自治体ではこれまでにあった福祉タクシーや無料移送サービスを縮小するケースもある。全国移動ネットのY・S理事長は「国指定の運転者講習が義務付けられるなど、費用負担や時間拘束が厳しくなった。タクシー料金の2分の1という非営利の範囲で認めている福祉有償制度が実は非営利では成り立たない“制度矛盾”が生じている」と話す。実際、採算がとれずに活動を休止する団体も出ているという。
 大阪大学のH・I助教(交通計画)は「福祉有償運送が機能しなければ、外出の機会を失う“交通弱者”が増える。そうならないために、料金規定を運行形態や地域事情に合ったものに変えることや、自治体の活動団体への補助なども検討する必要があるだろう。最近では、福祉タクシーのチケットを福祉有償運送でも使えるようにした自治体も出てくるなど、行政、登録団体が一体となり、利用者のために運用を柔軟にする努力が求められる」と話す。」

A「国交省の07年度政策チェック/福祉タクシー伸び鈍化/目標達成に成果不十分」(東京交通新聞2008.9.1)
「高齢社会を背景に右肩上がりで増えてきた福祉タクシーの導入台数が鈍化していることが先月25日、国土交通省がまとめた2007年度「政策チェックアップ(実績評価)」結果で分かった。2006年度全国導入実績は9651台と、バリアフリー新法のガイドラインに掲げた10年度1万8000台の政策目標に対し「達成に向けた成果を示していない」と判断された。目標の“倍増”に向けては、頭打ちとの観測が強まっており、抜本策が求められている。同省は6月、一般タクシー車両のユニバーサルデザイン(UD)化の検討を本格開始するなどテコ入れを始めており、今後、どれだけ目標に近づけるか注目される。
 政策チェックアップは「政策評価基本計画」に基づき、国交省の政策統括官部門で重要施策を一律に点検する横断的制度。政策アセスメント(事業評価)、政策レビュー(総合評価)などの方式に連なる。福祉タクシーは、前回のチェックでは、実績値の05年度8504台を「目標達成に成果を示している」との評価だったが、今回は一転、「目標達成に向けた成果を示していない」に評価が下がった。現状のままでは向こう3年程度で福祉タクシーを倍増させることは難しいとみている。だが、福祉タクシー倍増はバリアフリー新法のガイドラインに明記された国交省の重要政策。今回、チェックした政策統括官付政策評価官室は施策の改善の方向について所管部局に取り組みを求める。
国土交通省の奥田哲也・自動車交通局旅客課長の話:少子高齢社会にあって福祉車両の導入は大事なことであり、引き続き目標達成に向けて努力していかなければならない。2009年度予算でユニバーサルタクシーを含むバリアフリー車両の開発経費を要求しており、こういったものを通じ導入促進を図りたい。福祉輸送全体では自家用有償運送とも合わせて福祉車両の充実を考えていきたい。
全国福祉輸送サービス協会の川村泰利会長の話:福祉に特化していては採算は合わない。限定事業者も頭打ちになっているのではないか。今の状態のままでは目標達成は難しい。ユニバーサルタクシーを開発し、流しもできる福祉輸送にすれば打開できる。国土交道省の配車センター補助制度についても、配車センターとそこに登録する車両とのセット補助の仕組みとなっており、車両単独の補助にしないと福祉車両の導入は進んでいかない。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)8〜9月度の運転協力者講習会
■「福祉有償運送(及びセダン等)運転者認定講習会」関連
 ◎8月 9日/すさみ町社会福祉協議会/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県西牟婁郡)
 ◎8月24日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎8月25、26日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎8月31、9月7日/障害者自立支援センター・おのみち/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(尾道市)
 ◎9月 6、7日/和歌山県くるま情報センター/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県岩出市)
 ◎9月13、14日/高知中央自動車学校/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(高知市)
 ◎9月15、16日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎9月21日/高知市労働事業協会/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(高知市)
 ◎9月27、28日/NPO法人フクシライフ等/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(泉佐野市)
■「認定代替講習」
 ◎ 8月 2日/関西STS連絡会「認定運転者代替講習会」(大阪市)
 ◎ 9月 6日/関西STS連絡会「認定運転者代替講習会」(大阪市)

(2)「移動送迎支援活動/第3回研究会」の開催(9月27日(土)pm2:00〜、於:自立支援センターOSAKA)
 (1)報告事項:「大阪府6運営協議会との“ワークショップ”」の開催をめぐる報告
 (2)議論研究:「有償運送事業者とタクシー事業者の対立構造の分析(仮)」(阪大・伊藤氏)
 (3)取組企画:
  @「移動送迎福祉有償運送セミナー」(11/15〜16、於:府立介護情報・研修センター)の開催
  A全国移動ネット「福祉輸送サービス利用者の全国実態調査」事業の現段階と課題

(2)「移動送迎 福祉有償運送セミナー」の開催
■11月15日〜16日、於:大阪府立介護情報・研修センター
■共催¥:全国移動サービスネットワーク/関西STS連絡会/移動送迎支援活動情報センター
■@国土交通省自動車交通局旅客課 奥田哲也課長 A国土交通省近畿運輸局 立花博美専門官
 B「現場から見た福祉有償運送制度の改良点」 C三星昭宏・近畿大学教授 D嶋田暁文・九州大学准教授etc


■次回運営委員会:10月4日(土)pm6:00〜8:00
於:
NPO日常生活支援ネットワーク事務所