第85回運営委員会
6月5日に「関西STS連絡会」第85回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。

■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:6団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) _NPO法人 障害者生活支援センター「ステップ21」(茨木市)
_NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) _NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
_NPO法人 いばらき自立支援センター ぽぽんがぽん(茨木市) _い〜そらネットワーク(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『《県境山間部の熊野・五郷町》来月にも過疎地有償事業/自家用車で高齢者運ぶ』(中日新聞2010.5.14)
「奈良県境に近い山間部の熊野市五郷町で、高齢者などの地域内の移動に、別の住民が運転する自家用車を利用してもらう「過疎地有償運送」事業が6月にも始まる。市や地元代表者、バス会社などでつくる市過疎地有償運送運営協議会が13日に同市役所で開かれ、運賃や運行エリアについて合意した。認可が通れば、県内初になる。五郷町は、山に囲まれた公共交通の便が悪い地域。932人が住むが、高齢化が進み、車を持たない人も多い。市が2009年11月に実施した町民アンケートの結果、高齢者の移動に地域内での需要が多いことが分かり、制度の導入を図ることになった。地元住民などが運営に当たるNPO法人「のってこらい」を設立し、準備を進めてきた。原則として予約制で、料金は初乗り1・5`までが300円で、1`ごとに50円ずつ加算される。運送区域は、五郷町内と神川町、紀和町など近隣の山間部のみで、当面は、住民合意ができている五郷町の住民だけが対象となる。同協議会の会長で、交通計画を研究する近大高専(同市)の中平恭之准教授は「五郷町での取り組みが成功すれば、他の過疎地域のモデルケースになる」と話している。」

A『《特区提案受け国交省》自家用車「無償」/運送範囲拡大へ』(東京交通新聞2010.5.17)
「NPOボランティアや市区町村のファミリー・サポート・センターなどによる自家用車「無償」運送サービスの範囲が2010年度中に拡大する方向だ。自治体の「構造改革特区」提案を受け、国土交通省が規制・基準の緩和を検討しているもので、乗客から収受しても有償運送に該当しない対価(料金)の種類に「迎車・回送分の燃料代」を追加するほか、ファミサポの子どもの送迎では、預かりと一体のサービス・対価に限り無償扱いとする方針を固めた。全国一円の措置として事務連絡(通知)で明確化する。」

B『《滋賀》交通基本法で意見交換会/「地方への権限委譲必要」』(東京交通新聞2010.5.17)
「近畿運輸局は10日、滋賀県草津、彦根両市で「交通基本法タウンミーティング滋賀」を開催した。「交通基本法」に関する意見交換が目的で、三日月大造国土交通大臣政務官、嘉田由紀子滋賀県知事はじめ10市町の首長、公共交通事業者らが参加した。
 三日月政務官は「交通は地域の発展や死活を左右する重要な課題。地方公共交通においては、事業者や行政の努力も限界にきており、補助金などの『公助』だけでなく、健常者が移動困難者を支え合う『共助』の視点を加えていく必要がある。全ての人々の『移動権』を保障するためにも地域公共交通を維持・再生し、活性化することが重要」と指摘した。同法を“理念法”として位置づけ、来年の通常国会に提出する予定。嘉田知事は「『共助』の考え方には全面的に賛成。交通格差社会解消にはハード面の投資から、バス・コミタクの活性化などソフト面への転換が必要。有料道路の料金認可などは地方に権限を委譲すべきであり、交通基本法の柱に地域主権を置いてほしい」と要望。これに対し、三日月氏は「現在193億円(昨年度216億円)の地域公共交通関係予算だが、早ければ来年度にも1000億円の水準に引き上げることを検討している。県には広域で効率的な運行ができるよう調整役をお願いしたい」と述べた。」

C『《新ひだか有償運送協議会》範囲拡大合意に至らず』(北海道新聞2010.5.21)
「町が設置する有償運送運営協議会が20日、町役場で開かれた。NPO法人「三石過疎地有償運送すずらん」(河合代表)が提出した移送範囲拡大について協議したが、合意に至らなかった。事業の開始や事業内容の変更には、有償運送運営協議会の合意がいる。「すずらん」は2009年4月から移送サービスを始めたが、移送できる区域は山間部の三石歌笛、三石川上の両地区―静内地区間と条件が付いた。このため利用者は限られ、1年間24件にとどまった。今回、利便性を高めようと、移送範囲を広げるなどの変更を申請。河合代表は「日赤病院に行きたいなどの要望があったが応えられず、心苦しかった」と変更の理由を説明。これに対し、タクシー業者の委員は「過疎地の人が大変なのは分かるが、認めると営業できない」「死活問題だ。白タクだ」と厳しく反対した。
 結局、議論は平行線で今後、河合代表とタクシー業者らによる協議が調った後に、再び運営協議会で話し合うことになった。三石地域の交通のあり方をめぐっては、地域住民から交通弱者の救済を求める請願書が町議会に提出され、3月の定例会で趣旨採択された。」

D『《交通論壇》交通基本法に欠かせぬ地域交通政策の視点/首都大学東京都市環境学部助教 吉田樹』(東京交通新聞2010.5.24)
■交通基本法の規範性
 現政権の重要施策として策定が進められているのが「交通基本法」である。同法は、基本法という性質上、憲法と個別の関連法とをつなぐ役割を担うことになるため、同法の規範性(国が交通政策として何を重んじるか)について、十分な議論を行うことが求められる。国土交通省が示した中間整理(2010.3)では、法制定の目的として「移動権」と「環境にやさしい交通体系」の構築を挙げており、一応の方針が見えつつある。しかし交通基本法の制定を契機に、地域交通の再生を図り、市民生活に欠かせない移動を持続的に確保するためには、地方公共団体が主体となり、各地の「連携計画」で抜け落ちやすかった視点を補完することが肝要である。
■公的支援のあり方再考
 第一の視点は、地域公共交通に対する公的支援の在り方を見つめ直すことである。地域公共交通活性化・再生総合事業では、補肋対象となるのは計画事業の開始後3年間に限られるため、実際は「事業効率性の高い事業が成功」という風潮がある。これでは経営を重視しなければならない民間交通事業者の視点と何ら変わりがない。交通基本法案では、「移動権」の保障を位置づけているが、「移動権」の範囲と、それを実現するための「責任分担」を議論することが必要である。地域公共交通に対する公的支援については、日常生活に欠かせない移動の機会が与えられない市民をどの程度減らすことができたかに着目して評価することが本来の姿である。
■福祉交通とタクシー
 第二の視点は、福祉交通とタクシーに関する施策の必要性である。交通バリアフリー法の制定以降、低床バスや福祉タクシーの導入などの基盤整備は徐々に進捗している。しかし市民の日常生活活動を拡大するための政策論は、未だ不十分である。例えば福祉タクシーが整備されたとしても、通常のタクシーは「普段使い」ができないという懸念がある。その場合に「タクシー券」の給付が採られることも多いが、地方公共団体で給付の上限を設けるのが一般的である。これでは「移動権」を担保する福祉交通施策としては自己矛盾を抱えることになる。
■利用者の選択性の存在
 「タクシー券」の給付以外の施策がなかなか生まれない背景として、タクシーに関する事業制度が「流し」「駅待ち」といった、利用者の選択性が弱い市場を前提としていることが挙げられる。しかし供給量が少ないとされる福祉タクシーの場合、利用者の選択性が存在する市場である。そのため「非流し」のタクシーを対象とした政策論が欠けている状況では、福祉タクシーの供給量拡大や、利用対象者の「普段使い」促進につながらないと考えられる。こうした議論を国に委ねるのではなく、業界や地域でも積み重ねていくことが求められる。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)2010年度 各・運営協議会の動向の点検
 ・大阪市運営協議会:(開催予定なし) ・北摂ブロック運営協議会:@8月6日
 ・河北ブロック運営協議会:(連絡なし) ・中部ブロック運営協議会:@6月30日
 ・泉州ブロック運営協議会:(連絡なし) ・枚方運営協議会:(連絡なし)

(2)6月度〜の「福祉有償運送(及びセダン等)運転者認定講習会」の開催
 ◎ 6月 3、 4日/橋本市健康福祉部/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(和歌山県橋本市)
 ◎ 6月 7、 8日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 6月21、22日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 7月12、13日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎ 8月 9、10日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 
(3)福祉有償運送「運行管理者及びインストラクター養成講座」の企画・開催
 ◎2010年度内実施で調整中。

■次回運営委員会:7月3日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所