第90回運営委員会
12月4日に「関西STS連絡会」第90回運営委員会が、事務局の「NPO日常生活支援ネットワーク」事務所にて6時から8時半まで開催されました。

■出席された団体・グループ様は以下の通りです。……(参加:9団体)
_自立支援センターOSAKA(大阪市) _NPO法人 障害者生活支援センター「ステップ21」(茨木市)
_NPO法人「自立生活センターやお」(八尾市) _NPO法人「寝屋川市民たすけあいの会」(寝屋川市)
_NPO法人「守口送迎」(守口市) _NPO法人「サポートセンターわかくさ」(大阪市)
_い〜そらネットワーク(大阪市) /_大阪大学・交通システム学領域(大阪市)


【議 案】

■ 資料関係:

@『《交通論壇》交通基本法における「移動権の保障」を考える 首都大学東京都市環境学部助教 吉田樹』(東京交通新聞2010.12.13)
「先日、国土交通省社会資本整備、交通政策両審議会に交通基本法案検討小委員会が設置され、私も加わることになった。2011年の通常国会提出に向けて同法の制定作業が進められているが、地域交通の現場を渡り歩く筆者にとって、いささか気掛かりな点がある。
権利保障の責務は誰が
 交通基本法の基本理念の一つとして「移動権の保障」を盛り込むかが問われている。基本法という性質から、権利や理念の実現は、国レベルの計画策定(観光立国推進基本法の場合、同法制定の翌年に観光立国推進基本計画が示された)や個別法の整備・改定、財政支援制定の創設などに委ねられる。しかし、今般の交通基本法の場合、同法制定の以前から「地域公共交通確保維持改善事業〜生活交通サバイパル戦略〜」の創設方針が示され、「政策コンテスト」における評価も受けている段階にある。そのため、交通基本法で掲げるべき理念が同事業の内容に規定されてしまう、あるいは、交通基本法の理念が同事業と合致しないことにもなりかねない。
 また、同法に「移動権の保障」を位置づける場合、権利保障の責務を誰が負うのかを明確にしなければならない。地域公共交通確保維持改善事業では地域の協議会に対する支援が想定されており、その点では、現在の活性化・再生総合事業と同様である。ただし総合事業が協議会の構成市町村における計画策定や実証運行が支援対象であるのに対し、新事業は、既存の地域交通サービスに対する支援も対象になる。地域交通のマネジメントは、基礎的自治体と各地の協議会に委ねられることになるのだ。しかし基礎的自治体の責務を考える場合、地域公共交通の経営環境を考慮する必要がある。例えば、ノンステップバスの導入比率は東京など都市部では向上している一方、数台の導入に止まる県もある。交通バリアフリーの推進は、国が目標年次と数値目標を定め、市区町村が設置した協議会で基本構想を策定し、事業を進める方式を採っている。しかしノンステップバスの導入比率に格差が生じたのは、地方公共団体の財政状況はもとより、地方バス事業者の経営環境が厳しいことにも起因する。既にこうした格差が生じている状況においては、「移動権の保障」に関して、国が関与すべき責務は決して小さくないはずである。
掲げるべき理念の中身
 ところで、交通空白地域を生じさせないことが「移動権の保障」であると捉えられがちである。従来の地域交通計画の実務では、鉄道駅や路線バスの停留所を中心とする一定の範囲から外れた地域を交通空白地域と捉え、その解消のためにコミュニティバスやデマンド型交通の導入が試みられてきた。しかし、こうした計画手法には二つの問題がある。一点目は、地域住民の生活活動に「使える」サービスが提供されているかは必ずしも問われないこと。二点目は、障害者など移動制約者のアクセシビリティを老慮していないことである。そして、この二点を考慮した地域交通政策の実現が「移動権の保障」で掲げるべき理念であり、「広く、薄く」サービスを提供することが「移動権の保障」の意図するところではないと考える。その視点において、仮に「移動権」という呼称によって、理念がミスリーディングされるのであれば、交通基本法の条文や解釈、国レベルの計画を工夫することが必要であろう。
個別公共交通の議論も
 活性化・再生総合事業を活用して、市民や来訪者に「使える」地域交通サービスを提供する戦略的な取り組みが各地に芽生えはじめた。交通基本法制定後は、こうした芽生えを成長させる施策(その意味では、過疎地域に的を絞り過ぎた支援策では不十分である)の一方で、タクシーや福祉交通に関しても、地域交通政策に取り込むことが求められる。乗合公共交通は、利用者ニーズの公約数に対応するものであり、個々のニーズには応えきれない。生活活動に「使える」地域交通を計画するためには、こうした個別公共交通の提供方策を議論する必要がある。個別公共交通は、一人あたりの輸送コストが高くなりがちだが、「非流し」のタクシーに関するビジネスモデルを構築するとともに、市民の共助で支えられる移動サービスを組み合わせて対応することが求められる。」


■ 報告ならびに今後の課題討議:

(1)2010年度 各・運営協議会の動向の点検
 ・大阪市運営協議会:(12月17日)        ・北摂ブロック運営協議会:(3月4日)
 ・河北ブロック運営協議会:(3月2日)       ・中部ブロック運営協議会:(2月4日)
 ・泉州ブロック運営協議会:(3月1日)      ・枚方運営協議会:(?)
 ※運営協議会の公開化と議事録の作成・開示を!!

(2)12月度〜の「運転者認定講習会」「運行管理者及びインストラクター研修」の開催
 ◎12月13、14日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎1月31、2月1日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎2月28、3月1日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)
 ◎3月14、15日/関西STS連絡会「運転者認定講習会」(大阪市)

(3)福祉有償運送「運行管理者及びインストラクター研修」(於:A’ワーク創造館)の開催
 ◎ 1月21日(金)/日常生活支援ネット・関西STS連絡会「運行管理者&インストラクター研修」

(4)セミナー及びワークショップの開催
 ◎「障害者の移動について考える〜障害者総合福祉法・交通基本法のめざすもの〜」
  ・2011年2月5日(土)、於:茨木市立福祉文化会館
  ・講演「障害者総合福祉法・交通基本法のめざすもの」
   講師:尾上浩二さん(内閣府障害者施策推進会義・構成員、NPO法人 DPI日本会議事務局長)
  ・主催:関西STS連絡会
 ◎「生活支援交通づくりのワークショップin大阪」
  ・20112月22日(火)13:30〜17:00、於:大阪市総合生涯学習センター第2研修室
  ・講演「地域福祉交通のこれからの視点と生活支援の交通手段づくり」
    講師:北川博巳氏(兵庫県立福祉のまちづくり研究所研究第一グループ主任研究員兼グループ長)
  ・主催:NPO法人 全国移動サービスネットワーク

(5)「関西STS連絡会10周年記念イベント」の企画
 ◎2011年6月26日(日)

■次回運営委員会:1月8日(土)pm6:00〜8:00
於:NPO日常生活支援ネットワーク事務所