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『地域の移動手段確保/多摩市の住民、現地歩きルート手作り「ミニミニバス」提案』
(東京交通新聞2007.1.1) 東京近郊の多摩ニュータウンに住む地域住民が昨年11月8日、渡辺幸子多摩市長に提言書を手渡した。住民提案の地域密着交通として、バスでもないコミュニティバスでもない「ミニミニバス」(=乗合タクシー)を運行するよう求めたものだ。“既製品”ではなく、住民にぴったり合った乗り物をハンドメイドでつくろうと、住民自ら立ち上がったわけだ。多摩市は「具体的なコースを求めて、住民の賛同があれば『乗合タクシー』をベースに前向きに検討していきたい」(都市づくり部道路交通課)との見解だ。 提言したのは「地域密着型交通市民ワークショップ」。多摩市とUR都市機構東日本支社多摩事業部のバックアップで2月に発足。メンバー自ら「私の外出日記」をつけて報告会を行ったり、現地を歩いて「移動困難マップ」を作成したり、討論を重ねた。5月には永山近接部で「ミニミニバス」、落合・豊ヶ丘などで「乗合タクシー」の試乗会を行った。最終的に高齢化が最も進む永山駅周辺ルートと、遠方循環ルートの2通りを想定した。 運行はタクシー会社の京王自動車(明本哲夫社長)とNPOボランティアのハンディキャブゆづり葉(杉本依子理事長)が協力した。 提言は5つの柱から成る。@住民の主体的な参加で地域密着型交通(仮称ミニミニバス)の運行を目指す、A同交通の要件は「知恵と力と資金」で運行負担は、例えば団地ごとに住民の合意で決める、Bドアツードアに近いサービスで団地と駅や主要施設を30分以内で連絡し、サービス水準、ルート、システムは住民の知恵で工夫する、C行政、交通事業者などが協働し、実証実験する、Dワークショップが運行受け入れ団地への働きかけなど継続的に取り組む――である。 多摩ニュータウンには路線バスのほか、コミュニティバス(距離に応じた運賃)が2路線走る。しかし、住民は満足していない。「坂や階段のアップダウンが多く、坂の下のバス停に行くまで辛い思いをする。ドアツードアでみんなが使いやすいミニミニバスがあると助かる」と、提言した80代の女性は訴える。エレベーターのない5階建て住棟が多く、5階の高齢者は外出できなくなる不安を抱える。 ミニミニバス提言に至る前段として、2004年度に多摩市とUR都市機構は乗合タクシーの実験「のりタク」(運賃300円)を行った。この時も京王自動車と車いす対応でゆづり葉が協力したが、住民主導の企画でなかったことが反省材料となり、今回の提言につながった。 市「地域住民の発意前提」 ゆづり葉の杉本理事長(移動NPOの全国組織・全国移動ネット理事長も兼務)は「ゆづり葉は福祉車両7台で1日平均20回運行する。多摩市民15万人の2%に当たる3000人が移動困難者とみられ、供給力が全く足りない。いろんな交通機関が協力し合うべきだ」と訴える。 多摩ニュータウンが地場の京王自動車の多摩中央営業所の無線配車回数は、1日700〜1000回と他営業所より多く、ドアツードアのニーズが強いことを裏付ける。「今後、高齢者需要が一層増える見通しだが、玄関先までつけてほしいとの声に応えていかなければならない」という。 提言を受けた多摩市は「地域住民の発意がないと成功しないと認識する。必要な乗り物の運行経費を自己負担する合意があれば具体化できる。市が全額補助することは行政負担が際限なくなり、既存のバス・タクシーへも影響するのでできない。市は初期投資に限り基本は住民自ら行う形が望ましい。ミニミニバスは乗合タクシーに当たると理解するが、前回のセダン型からワンボックス型がふさわしいと考えている」(道路交通課)との見解だ。 市民ワークショップの試算では、1便1800円かかるとして、値頃感の運賃300円に対し平均乗車2人で1便600円、残り1200円ショートするが、コース周辺の住民が月80円拠出すればペイできるという。 団塊世代の高齢者が多いのもこの街の特色。自らの「生活交通」を変革するムーブメントが起きるのか。どちらにしても地域住民の合意形成がポイントとなっており、今年以降、市民ワークショップは呼びかけを強める。 |