『《ガソリン価格高騰》福祉有償運送 悲鳴/料金値上げの動きも』
(毎日新聞2008.6.14)


 「これ以上の値上げはもう限界」―― 。原油高騰に伴うガソリン価格の値上げが、訪間介護やデイサービスなどで車を使う福祉事業者の経営を圧迫している。移動が困難な高齢者や障害者のために、国から「福祉有償運送」の許可を受けて、病院や買い物の送り迎えのサービスを手がけるNPO法人の中には、料金の値上げに踏み切る動きも出てきた。
 那須町寺子丙のNPO法人「ゆっくリサロン」の送迎料金は、距離と時間に応じて決まる(5`未満250円〜40`以上2500円)。売り上げのほとんどはガソリン代や車の保険料、整備費に消える。送迎車の運転手、永田欽也さん(67)は「人件費は残らないので、完全なボランティア」と話す。
 ゆっくリサロンは7月の登録更新を前に、料金を値上げする方針だ。市町や関東運輸局栃木運輸支局、利用者代表などでつくる運営協議会で承認されれば、正式決定する。利用者の多くは年金暮らしのお年寄りや障害者で、永田さんは「なるべく負担をかけたくないが、ガソリン代がこう高くなってはやっていけない」と訴える。
 福祉有償運送を行う団体で構成する「県移送サービス連絡協議会」の事務局は、高根沢町花岡で介護サービスを手掛けるNPO法人「グループたすけあいエプロン」が務める。エプロンの事業エリアは同町のほか宇都宮市、さくら市、那須鳥山市、芳箕町に及び、ヘルパーの走行距離は訪問介護だけで月2万`を超える。ガソリン価格が1g当たりで10円値上がりすると、経費負担は月4万7000円アップするという。
 石油情報センターが11日発表したガソリンの小売価格調査(9日現在)によると、県内のレギュラーガソリンの平均価格は1`当たり171.1円。3月末平均価格は150.6円で、20円以上値上がりした。エプロンの菅野忠雄事務局長は「福祉有償運送は赤字が当たり前になっている。これから値上げをする団体も出てくるだろう」と話している。