『《ラウンドテーブル》共同配車センター(パーソナルサポートひらかた理事長・長尾 祥司)(東京交通新聞2006.6.19)
 私は「枚方市福祉移送サービス運営協議会」の委員と運営協議会が設置する「小委員会」の委員長を務めています。
 枚方市での福祉移送サービスの取り組みが大きな転換期を迎えたのは、「セダン特区」の導入だと言えます。「セダン車はタクシー有り」という「セダン特区」の必要性を疑問視するタクシー事業者からの声は議論の当初から運営協議会で指摘されていました。
 通常、移送困難者として想定されるのは車いすやストレッチャー等の利用者で、物理的に福祉車両を使用しなければならない高齢者や障害者が一般的だと思いますが、所得が年金しかなく、タクシーの利用ができない人も多くおり、これらの層もある意味、移送困難者とも考えられます。セダン車両の導入はこういった経済的に課題をもった利用者には非常に大きな意味があります。通院だけでなく、余暇や通学等、より日常的な利用拡大が見込めます。
 ただ、議論の中で安易にセダン車両の導入を決定したわけではありません。個人持ち込み車両を無限定に認可すれば、運営協議会公認の「白タク」車両が横行する危惧は当然あります。そこで検討されたのが「共同配車センター」です。
 セダン車両導入にあたり、監督・管理が届きやすい福祉移送サービス法人名義の車両を先行認可し、個人車両は共同配車センターの一括登録管理を原則としました。同時に、共同配車センターによる運営協議会認定・ボランティア運転者講習を実施し、市民参加による参加型移送サービスが始まりました。
 物理的にバスやタクシーを利用できない場合や、必要性はあっても経済的な課題で利用できない場合等、様々な課題を抱えた高齢者や障害者等の移動困難者に対し、タクシー事業者や福祉移送サービス事業者がそれぞれの地域の中でどういった交通システムをつくるのか模索中ではありますが、共同配車センターはそういった課題の一つの「答え」なのかもしれません。
 「自身の客以外は我関せず」ではなく、様々な利用者の課題を共有し、移動を保障するため、タクシー事業者と福祉移送サービス、双方の協力による地域交通のあり方が問われているのだと感じます。



『=枚方福祉移送=共同配車、月間400回に ボランティア比重高まる』(東京交通新聞2005.11.28)

 枚方市福祉移送サービス「共同配車センター事業」の1年間(2004年11月〜05年10月)の利用実績をまとめた福祉タクシー、有償運送80条許可事業者、NPO等ボランティアの3者がコラボレート(協働)して移動制約者の配車業務を担う全国初の試みだが、今年4月以降は月間平均400回の配車回数を記録移送ボランティアが担う比率が上昇してきている。同市は21日、10回目の福祉移送運営協議会を開き、移送サービスの今後の課題について協議した。
 共同配車センター事業は昨年11月から社会福祉法人「であい共生舎」に業務委託しスタート。1年間の配車実績は3038回月間平均253・2回の利用があった。今年4月以降は「市幼児療育園への送迎輸送」という安定した仕事を受託したため、月間平均で約400回の利用回数を記録している。
 10月末現在の利用登録者は253人。輸送を担うのは福祉タクシー事業者が8社有償運送事業が7社移送ボランティアが30人。療育園送迎については福祉タクとボランティアが行っている。全般的に移送ボランティアの比率が高まってきている状況だ。10月分の配車実績431回のうち療育園送迎207回を除く224回についてみると、有償運送48回福祉タク53回に対し、移送ボランティアは123回となっている。
 配車業務は、障害者雇用で採用された山形一人さん(34)が平日午前9時〜午後4時15分まで、以降午後5時半まで共生舎職員の大橋友子さんが担当する。山形さんは「療育園送迎の仕事が入ってから忙しくなった。利用者からは運賃の安い所をお願いしたいという要望が多い」と話している。こうした発言からも次第に移送ボランティアに委ねる形が増えていきそうだ。
 市福祉移送サービス運営協議会は、ボランティアの持ち込み車両(セダン車両も可能)に関して「共同配車センター」一元管理する形を採っている。同協議会は移送ボランティア志望者を対象とする「運転者研修」をこれまで6回実施100人以上が受講し約20人が登録している。



『配車センターは順調な滑り出し/枚方市運営協議会』(東京交通新聞2005.3.21

 枚方市16日、ラポールひらかたで8回目の福祉移送サービス運営協議会(三星昭宏会長)を開催した。共同配車センターの利用状況が報告されたほか、新規参入許可希望事業者3団体の審査を行った。いずれもNPO法人で、@ふれあい愛逢、Aさくらんぼ、B関西生活文化研究会おでかけ――の3団体。
 昨年11月から開始した共同配車センターの登録者は2月末現在で110人。利用回数は4ヵ月間でトータル161回という状況。内訳は有償運送事業所が84回、介護タクシー事業所が77回できっ抗している。利用目的は通院送迎が107回で6割を超える。その他、施設送迎、作業所送迎など。
 運営主体の「であい共生舎」が、利用者がセンターと事業所の区分けがつかず、予約がバッティングするケースが出ていると報告。三星会長は「配車センターの利用状況は順調な滑り出し」との認識を示した。



『=枚方市= 共同配車センター始動』
(東京交通新聞2004.11.8)

回数増に事業の成否 15社登録 運賃にばらつき
 枚方市は、1日から福祉移送サービスの「共同配車センター事業」を社会福祉法人「であい共生舎」に業務委託しスタートした。センターに登録したのは福祉タクシー事業者11社と有償運送事業者(道路運送法80条許可)4社の計15社。実際の配車業務は4日から発生した。利用登録者は5日現在で10人。来年3月末までの試行実施期間までどこまで配車回数を伸ばせるか、事業の成否がかかる。

 共同配車センターは、枚方市磯島元町の「であい共生舎(津田茂樹理事長)」の事務所に設置。配車受付時間帯は平日の午前9時〜午後5時までで配車希望日前日までの予約を原則とする。来年3月末まで試行実施する。枚方市ではこの間に一定規模の配車回数を見込んでおり、配車実績と照らし合わせ、その後の共同配車継続のあり方を議論していく考えだ。
 センターに登録した福祉移送サービス事業者は15社で、福祉タクシー(限定許可)が11社、有償運送事業者(道路運送法80条許可)は安全車、つくしんぼ、ほっとん、移送サービスしらかばの4社にとどまっている。
 「特区」絡みで大阪運輸支局から80条許可された事業者は14社に上るが、デイサービス事業など本業を優先する形が多く、有償事業については個別登録者への予約対応が手一杯な状況もみられる。このため共同配車事業に参画する“ゆとり”が持てない事業者もあるようだ。
 福祉タクシーの運送対価はタクシー運賃(小型車)が基本だが、有償運送事業者はタクシー運賃の半額以下であり、参画した4社について見ると、時間制で20分500円〜30分1045円までかなりばらつきが出ている。こうした事情からセンターで事前に配車予約する場合には、@利用者本人の移動制約状況、A負担可能な金額、B希望する事業者――などを正確に把握することにしている。
 共同配車センターでは、配車事業と並行して「有償ボランティアによる持ち込み車両(セダン車両も可能)の一元管理を試行実施する。運転者の条件としては、▽介護実習の経験、▽二種免許所持か自動車事故対策機構の適性診断受診、▽損害賠償能力(対人8000万円以上、対物200万円以上の任意保険か共済加入)――など。介護報酬や支援費との併用支給はない

=センター事務所= 配車業務、生き生きと 高齢・障害者を雇用
 センター事務所は電話一本敷いただけの6畳ほどの小さな部屋。スタッフは惣楽(そうらく)由廣センター長、指導員の大橋友子さんは共に共生舎の職員。配車係は障害者雇用で採用された山形一人さん、サポート役の古谷登志恵さん、高齢者雇用で採用された松本宏さんと大橋俊夫さんの計6人で運営する。
 運営経費は「2004年度緊急地域雇用創出特別基金事業(福祉移送サービス共同配車事業委託料)」として約760万円の予算が付いている。配車業務と名簿整理、指導員としてハローワークを通じて障害・高齢者を雇用した。障害者雇用の山形さん(33歳)は左半身が不自由だが、言語は明瞭で業務に支障はない。
 4日には事前予約による初配車を行った。手首の不自由な50歳代の女性を市内松丘町の自宅から西禁野の明日花作業所まで朝と夕方送迎した。配車依頼を受けたのは福祉タクシーの「介護タクシーあい」で、メーター基本運賃(2`570円)で走行、障害者1割引を適用し運賃収受した。
 であい共生舎は、知的障害者通所授産施設など障害者の生活支援、社会福祉事業全般を営む。授産施設長代理を務める惣楽センター長は「市が共同配車を一元化し利用者へのサービスを均一化していく方向は望ましい。利便が向上し使いたい時に使えるようなサービスが整っていけばと思う」と語る。
 枚方市の藤澤秀治障害福祉室長は「個別利用者の事業者登録を共同配車に切り換えてもらい、事業者数も増やしていきたい。利便性が利用者に浸透していけば広がっていくと思う。有償ボランティアの一般セダン車両持ち込みによる配車も軌道に乗せたい。それなりに便利にはなっていくと思うが半年後が問題。どういう形で継続するか、半年間でしっかりシステム化したい」と話している。



『=枚方市= 共同配車、11月にも開始』(東京交通新聞2004.9.27)

雇用関係予算が成立/枚方市福祉移送運営協−1日に具体策協議
 枚方市福祉移送サービス運営協議会(会長・三星昭宏近畿大学教授)は10月1日に7回目の会議を開き、「共同配車事業」の具体的な進め方を協議する。24日の枚方市議会で共同配車実施に伴う雇用関係予算(約760万円)が可決されたことを受けるもの。10月中に委託事業者、事務所の選定と人員を確保し、11月には配車業務を開始する方向だ。「セダン車両」の使用は、法人名義は認めたが、ガイドヘルパー個人名義の持ち込み車両については“不正請求の防止”や“安全確保面”の万全を期すため先送りされる公算もある。

セダン車両/個人名義は先送りも
 枚方市議会は24日の本会議で『04年度緊急地域雇用創出特別基金事業』として、「福祉移送サービス共同配車事業委託料(759万7000円)」の支出を承認した。これによりハローワークを通じて「電話配車と利用者名簿整理要員」として障害・高齢者等を2人、指導員として1人(一般雇用で高齢者等)の計3人を半年間雇用できる。
 運営協議会は、先に「共同配車センター」の推進を決めていたが、予算的な裏付けがとれたことを受け、具体的な運営システムについて協議する。すでに小委員会(長尾祥司委員長=NPO団体代表)の場では、共同配車に関して、@「配車」「利用者管理(登録)」「研修」「情報提供」等を基本事業に独立採算性による道営、A事業者は中立性の高いNPO法人等の公益法人、B事業の性格上、雇用職員は障害者が望ましい――などの基本的な運営方針が示されている。
 業務委託する事業主体は、NPOか社会福祉法人に絞られるものとみられる。NPOでは「障害者支援生活センター」が候補に浮上しているが、まだ流動的だ。事務所は委託した事業者が自前で確保するか、公的機関の間借り(市NPOセンター等)などが想定されている。研修については、有償運送事業者(道路運送法80条許可)の登録運転者等を対象に安全講習、介護研修等を年2回(春、秋)実施する案がそ上に上っている。
 前回の運営協(6月22日開催)では、セダン特区の認定を踏まえ、法人名義の車両について使用を認めたが、ガイドヘルパーの持ち込み車両については、「共同配車システム」の導入と並行する形で検討することになっている。この点について長尾小委員長は、@各事業者、責任者が関与せず利用者がヘルパーを自薦化しサービスが提供されている実態がある、Aセダン型車両の導入を制限なく認めると介護請求、支援費請求の水増しや不正請求の温床となりかねない、B安全・運行管理面を含めヘルパー持ち込み車両の適正な配車が必要――などと指摘している。
 共同配車事業は早急な立ち上げが迫られており、現状ではこうした問題点を全てクリアすることは難しいとみられる。セダン車両については当面、有償運送許可事業者の登録車両を主体に使用していく方向になりそうだ。
 将来的には運営経費の確保が大きな課題だ。当面は半年間の人件費が保証されているのみ。それ以後も永続的に運営していくためには、▽行政からの補助金、▽各種助成金制度の活用、▽利用者から年間登録料の徴収、▽運送対価から一定割合を徴収、▽企業協賛金――など財政面の確立が不可欠になってくる。
 共同配車事業について枚方市では「1日の運営協議会で協議するが、永続させていくにはまださまざまな課題がある。実施時期は市広報誌での周知が必要になってくるので11月からスタートする形になると思う」(藤澤秀治障害福祉室長)と話している。

有償運送許可11社48台に
 大阪運輸支局が許可(道運法80条)した枚方市の有償運送事業者は現在、11社48台で運転者数は95人に達している。24日現在、新たに2社が参入を希望しており、10月1日の運営協議会で審査を行う予定。
 既許可事業者は、松樹会▽大阪府母子寡婦連合会▽聖徳園▽清松福祉会▽わらしべ会▽桜丘(以下社会福祉法人)▽ベルビー▽安全車▽移動サービスほっとん▽あおぞら▽グローバルパートナー(以下NPO)。



『=枚方市= 施設送迎に共同配車/障害・高齢者 混雑時も予約が楽に』(朝日新聞・大阪版2004.9.15)

 枚方市は10月から半年間、市内のNPO法人など12の事業所が実施している障害者や高齢者への送迎サービスで、共同配車を試行する。事業所ごとに管理していた配車を一元管理することで、利便性の向上と効率的な運用を目指すという。

 現在は利用者が各事業所に会員登録し、予約して車を利用している。共同配車になると、利用者は市が委託した事業者に一元登録。この事業者に予約すれば、共同配車に参入する事業所に空車を問い合わせて手配する。すでに会員登録している人はそのまま利用可能で、料金は統一する方向で検討している。
 「福祉の先進自治体」を自任する枚方市は昨年4月、障害者らへの移送サービスを充実させようと、タクシー事業の許可がなくても有料で介護が必要な高齢者や障害者を福祉車両で送迎できる「福祉移送サービス特区」の認定を受けた。同7月からサービスが始まり、現在は12事業所が42台の福祉改造車両を所有。約500人が会員登録している。
 ところが通院に利用するケースが多いため、時間が重なって予約がとりにくい状態があることから共同配車に乗り出した。今年4月からは福祉改造車両だけでなく、ふつうの乗用車での移送サービスも認められており、市障害福祉室は「ボランティアの持ち込む乗用車なども配車できるようになれば、さらに利便性が高まる」としている。



=枚方市の福祉移送特区= 「安くて助かる」障害者らに好評』(朝日新聞2004.8.21)

 地域を限定して規制を緩める「構造改革特区制度」が始まって1年余り。枚方市の「福祉移送サービス特区」では、NPO法人などが有料で介護が必要な高齢者や障害者を福祉車両で送迎できるようになった。福祉タクシーの半額以下の料金で利用できると好評だ。
 枚方市内に住む車いすの女性(60)は4月から、NPO法人の送迎で約3`離れた百貨店で買い物している。「料金が安くて本当に助かる。あきらめていたショッピングができてうれしい」と話す。
 同市は2003年4月に特区の認定を受けた。市や近畿運輸局大阪運輸支局などで構成する運営協議会を設置し、同年7月からサービスが始まった。特区認定前の市内の福祉タクシーは5台。現在は11事業所が40台の福祉車両を走らせる。
 だが、市の試算では潜在的な需要は約1万5千人。利用者の希望を満たすには、まだまだ不十分というのが現実だ
 特区では今年4月から乗用車での送迎が認められており、藤沢秀治・市障害福祉室長は「乗用車が使えれば事業者、台数とも増える。その結果、サービスが向上し、外出しやすい環境が整う」と期待する。



=セダン特区で枚方運営協= 法人名義車を優先認定』(東京交通新聞2004.6.28)

 枚方市福祉移送サービス運営協議会(会長=三星昭宏近畿大学教授)は22日、ラポールひらかたで6回目の会議を開催し、@セダン特区のあり方A設置要領、認定基準の改正――などについて討議した。セダン特区については法人名義の車両を優先認定する形で導入を進め、ガイドヘルパーなどが所有する自家用車に関しては運行管理面の万全を期すため“共同配車システム”の推進と並行する形で検討していくことになった。設置要領、認定基準は一部字句修正し承認した。新規参入2法人審査の結果了承、近く大阪運輸支局が許可する運びとなった。

《個人所有“共同配車”と並行検討》
 運営協議会では「セダン特区」のあり方について、5月に開いた「小委員会」の協議結果を踏まえ、長尾祥司委員(NPO団体代表)が基本的な考え方を示した。長尾氏は「慎重な議論が必要になってくる」と前置きしたうえで、@非営利団体が福祉車両を所有して事業参入するのは資金面からも容易なことではなく、セダン型乗用車の活用は大きな利点となる、Aしかし「社会資源」を有効活用する意味合いからもタクシーや介護タクシーなど既存交通機関の運用を図る必要があり実情を精査すべき、B個人の車で運行する場合、管理面が大きな問題になり、場合によっては「公認白タク」になりかねず運行管理、配車面などで一定のシステム化を図るべきだ――と課題、問題点などを指摘した。
 その上で長尾氏は「法人名義のセダン車両については活用を認め、個人名義の車に関しては安易な活用を避けるため“共同配車センター”を設置して登録を行い、一元配車する形が望ましい。個人の車は第三者的な管理で運用する形が必要だ」と提案した。
 これに関連して枚方市の藤澤秀治障害福祉室長が、「支援費制度の下でガイドヘルパーは事業所に登録しているが、現実の運用面では利用者と利用者が自薦したヘルパーとの連絡、交渉にゆだねる形でヘルパーの自家用車を活用しているケースが多い。事業所がどこまで安全管理できるのか疑問だ。早期にセダンを活用したいという事業者がいる一方で、1人1車の介護タクシー事業者からはセダンにまで踏み込まれると生活が脅かされるので、拡大はやめてほしいとの声も出ている」と実態を説明。
 枚方市としては「当面は法人所有のセダン車に限定し、ガイドヘルパー等が所有する車については“共同配車システム”などの研究と並行して、時間をかけて検討していくことが好ましい」との見解を示した。
 三星会長は「セダン車両の使用は、一般タクシーを利用することと考え合わせると“グレーゾーン”に該当してくる。リスク(安全確保など)の回避という面からも、整理する時間が必要だと思う。一方で、現場のセダン待望論もある。個人名義にしても様々な形がある。配車システムの構築と勘案して、早期に認める方向で議論を進めてはどうか」と述べた。
 高谷芳樹大阪運輸支局輸送課長は「基本的には公共交通機関を使ってほしい。これが基本である。配車センターの設置については小委員会の場で議論していきたい。枚方の場合、都市型だが札幌市などの事例とは違っている」など意見を述べた。

《福祉移送運転者》2種免所持者は1割
 枚方市は22日、福祉移送サービス事業者の概要を発表した=右表参照。
 同日の運営協議会で参入を了承した社会福祉法人さくらとNPOグローバルパートナーを含めた総車両数は42台。車種は回転式シート車から大型特殊車両まで様々だが、車いす仕様のスロープ付き車両が多い。運転者数は92人で、このうち2種免許取得者は1割の9人にとどまっている。
 運送対価はタクシー運賃の半額程度を目安に時間制で設定するケースが大半を占める。しかし利用者から「(距離制の)タクシーより高くなる場合がある」とのクレームも。このため時間制を半額に下げたり、2`200円の距離制を設定する事業者も出ている。

《利用回数や登録者急増》
 枚方市福祉移送サービス事業の利用回数が新年度に入り右肩上がりで上昇している。今年5月分の運行実績では、稼働回数が490回、運送対価35万3000円で過去最高を記録した。
 利用登録者数も3月時点の231人から4月は297人、5月には358人と漸増している



=枚方市= 「 “一定の認定基準”必要 運営協小委 セダン特区で意見交換(東京交通新聞2004.5.17)

 福祉移送サービス特区の枚方市は10日、市消費生活センターで運営協議会(会長=三星昭宏近畿大学教授)の「小委員会」を開き、セダン特区のあり方などで意見交換した。枚方市はすでに「セダン特区」に認定されているが、導入にあたっては運行管理面や配車方法で“一定の基準”が必要だとの見解が示された。セダン車両による移送サービス開始は、6月に予定している次回運営協議会の議論を経た後になる見通しだ。

 小委員会のメンバーは枚方市、大阪運輸支局、タクシー事業者代表、労働団体代表、利用者代表ら10人余で構成。初開催となったこの日は長尾祥司委員(NPO団体代表)を中心に、有償運送事業の全国ガイドライン(道路運送法80条1項の許可要件緩和措置=国交省3・16通達)のポイントを勉強する形で議論を進めた。三星会長は所用で欠席した。
 この前段で枚方市の藤澤秀治障害福祉室長が「内閣府から4月1日に“セダン特区”を認められたが、いまだ通行開始に至っていない」と現状報告。問題点として「ガイドヘルパーの持ち込み車両でも運行が可能になったので、何らかの認定基準が必要ではないか」と提起した。
 長尾委員は、道道法80条許可要件をめぐる課題として、@ガイドヘルパーによる自家用車での移動が道運法に抵触するという背景から福祉移送サービスの必要性が生じてきた、Aあくまでも非営利団体であり、審査に際しては営利事業への利益誘導等、恣意的な意図の有無を見極めなければならない、B事業者指定と同様、移送対象者についてもー定の認定基準等が必要ではないか、C「セダン特区」導入にあたっては車両運行管理、配車方法などで一定のシステム化が求められる、D運送対価は利用者の不公平感を解消するためにも統一料金が望ましい――などと指摘した。
 セダン車両の運行に関連し政村敏彦委員(枚方市障害福祉課長)は「運送対価を含めた一定の認定基準が必要」、高谷芳樹委員(大運支局輸送課長)は「外出支援を進めるためには供給車両の絶対量が不足している。一方で審査を厳格にしていく必要もある」、黒田司郎委員(大阪福祉タクシー運営連絡協議会)は「こ れまでの移動に何を使っていたのか、タクシー事業者を説得するための整合性のある数字を示してほしい」などの意見が開陳された。
 労働側代表の矢倉宏祐委員(大阪交運労協)は、メンバー構成のあり方など専ら会議の道営方法に関して質問や意見を述べた。
 このほか小委員会では将来的な課題である「共同配車システム」を今後の研究テーマとしていくことを確認。関連して運営協議会のメンバーが、札幌市や岡山県津山市などSTS先進自治体の見学会を実施することも検討していくことにした。
 オブザーバー出席したNPO法人ベルビーの代表からは、現行の福祉車両だけでは需要に対応しきれない状況があるとし、セダン車両を早期に増車したい旨の要望があった。
《輸送回数は月ごとに上昇》
 枚方市は特区福祉移送サービス事業について、昨年7月の事業開始から今年3月末まで9ヵ月間の運行実績をまとめた=表参照。3月時点で5法人が計28台で運行。登録人数は231人となっている。
 輸送回数は月ごとに上昇してきている。3月分のデータでは稼働回数274回で走行距離1294`、乗車人員466人、延べ95時間利用し運送対価は20万3305円となっている。
 4月以降は新たに4法人が参入し9団体37台で運行している。



=枚方市= 「セダン特区」申請へ〜小委で共同配車研究(東京交通新聞2004.3.22)

 福祉移送サービス特区の枚方市は15日、市立総合福祉会館で運営協議会(会長=三星昭宏近畿大学教授)を開き=写真、@特区の全国化に伴い、今年5月に「セダン特区」の申請を行う、A将来の共同配車事業などを研究する「小委員会」の設置――を決めた。大阪運輸支局は、新たに特区移送事業への参入を希望している社会福祉法人、NPOなど4団体をヒアリングした。これら4団体は月内にも許可される見通しだ。移送サービス事業は現在、5法人28台が実施しているが、運行実績は徐々に上向いている。

 運営協議会は、国土交通省が16日に通達した「NPO等有償運送の全国実施」(道路運送法80条1項の許可要件緩和措置)を踏まえ、「セダン特区」の申請について協議、了承した。枚方市の藤澤秀治障害福祉室長が「正式な申請は5月になるが、今月12日の段階で内閣府に対しセダン特区の意向を表明している」旨報告した手続き的には現特区を取り下げて新たに申請する形になるようだ
 三星会長は「セダン車両の使用については当初から要望が出ていた。安全確保面に考慮しつつ、枚方で特区のメリットを生かしていきたい。国交省は良く考えたと思う。グレードアップしなければ特区の意味がなくなる」と見解を示した。
 前回協議会(昨年12月)で三星会長が設置を提案していた移送サービスの基本問題について検討する「小委員会」の設置要領、構成メンバーについて協議。市、大道支局、事業者、利用者代表らで事前検討した原案を長尾祥司委員(利用者代表)が説明。設置要領では委員定数に幅を持たせることや、小委員会へのオブザーバー出席を認める点など一部修正し了承した。小委員会は協議会の委員と特別委員を中心に10人以内で構成。大運支局1人(高谷芳樹運送課長)、枚方市2人(障害福祉室と交通政策室)、事業者代表2人(大タ協の三木会長、関副会長ら)、利用者代表(長尾委員)、労働側代表(矢倉宏祐大阪交運労協)などを選出した。
 小委員会では、高齢者・障害者輸送の現状や問題点の洗い出し、STS(スペシャル・トランスポート・サービス)の研究、将来のタクシー事業者を含めた共同配車の実現など幅広く議論していく方針だ。
 三星会長は「特区の全国展開を踏まえ、近隣都市も含めた福祉輸送サービスのあり方を検討していく必要があるのではないか」と問題提起した
 このほか運送対価ついて現行の時間制料金に加え、先行きは距離制料金の設定も必要があるとの意見が出た。利用者側からは利用しやすさ、配車依頼の際、共通窓口の設置などの要望が出た。

《参入希望4団体からヒアリング》
 運営協議会では、新たに移送サービス事業への参入を希望している移送サービスほっとん(NPO)、あおぞら介護センター(同)、安心苑ニコニコサービス(社会福祉法人)、サービスセンターわらしべ(同)についてヒアリングを行った。大阪運輸支局の高谷芳樹輸送課長が、申請書類の不備や追加書類の必要などを指摘した。月内にも許可される見通しだ。
 特区参入事業者への車両改造費の助成措置についても審議。自治総合センターの助成金(宝くじの普及広報活動による)から総額830万円を7法人に助成することを了承した。既存4社と今回の審査で参入する3法人が対象になっている。補助金額は回転シートが1台30万円以下、スロープ式が同70万円以下、リフト付きが170万円で1法人当たり230万円が限度。

《移送サービスの実績やや上向く》
 枚方市特区の移送サービス事業の運行実績が徐々に好転している。今年2月の実績は、5法人に202人が登録し計28台で運行。稼働回数176回で走行距離770キロ、乗車人員312人、延べ68時間利用し、運送対価は14万7395円という数字が出ている。



=枚方市= 新規参入促進など論議へ 「特区」全国化ふまえ 地域ネットづくりも(東京交通新聞2004.2.16)

 福祉移送サービス特区の枚方市は、3月中旬に特区運営協議会(会長=三星昭宏近畿大学教授)を開催する。「特区」の全国化に伴い、移送事業への新規参入促進、地域ネットワークづくり――などをテーマに議論する見通し。大阪運輸支局は、特区移送事業の第3陣として新たに社会福祉法人、NPOなど3団体についてヒアリングする予定。前回協議会で了承した「移送サービス基本問題検討小委員会(仮称)」の設置についても具体化を進める。

 枚方市は昨年7月から社会福祉法人3団体(18台)で移送サービス事業を開始。同年12月11日には第2陣としてNPO法人の安全車(奥村茂春代表、1台)とベルビー(竹ノ脇詩郎代表、3台)が新たに道路運送法80条(有償運送事業の例外規定)許可され、現在5団体、福祉車両22台で運行している。
 昨年11月までの稼働回数は3団体トータルで269回と少なく、本業のデイサービス事業の合間に対応している状況などが明らかになっている。12月中旬以降NPO2法人が加わったものの、利用回数に大きな変化は見られない。
 このうち安全車は軽福祉のスロープ車両で運行。今月10日までの約2ヵ月間で病院送迎を主体に4回輸送したのみ。運送対価は30分1040円の時間制で収受している。奥村代表は「病院や福祉施設を中心にチラシを配布してPRしたが、利用者は少ない。拘束時間は長いが輸送時間が短いので経費も出ないのが実態」と話す。奥村氏ば運転代行業を営み2種免許も取得しているという。
 特区移送サービス事業に参入を計画している第3陣は、社会福祉法人わらしべ会とNPOほっとん、同あおぞらの3団体。ほかにもNPOのパーソナルサポート枚方が参入を検討しているが流動的だ。
 今月12日には国交省・厚労省が介護保険ベースの「介護輸送」について中間整理案を発表。障害者福祉サービスに係るSTS(スペシャル・トランスポート・サービス)についても「同様の方針に沿って具体的な取り扱いを検討する」とうたわれており、道運法80条許可の範囲が一層緩和される方向となっている。
 枚方市では、こうした国の方針を踏まえ、@一層の規制緩和に向けた課題整理(運送主体、対象車種の拡大や2種免許取得条件の緩和)、A新規参入法人の促進、B許可事業者の相互連絡体制の確立、C福祉タクシー等との共存施策(共同配車・運送対価の整備等)、D利用者へのPR――など今後の取り組み課題を上げている。
 三星会長が設置を提案した「基本問題小委員会」では、地域ネットワークづくり、タクシー事業者を含めた共同配車センター実現などで議論を深めていきたいとしている。



将来の共同配車も視野 =枚方特区・運営協= 利用伸び悩み背景に(東京交通新聞2003.12.8)

 福祉移送サービス特区の枚方市と大阪運輸支局は3日、特区運営協議会(会長=三星昭宏近畿大学教授)を開催した=写真。今年7月から移送サービス事業を開始した社会福祉法人3団体の利用状況を検証したほか、特区で第二陣の有償運送事業申請を希望するNPO法人2団体のヒアリングを行った。三星会長は、利用回数が少ない現況を踏まえ「基本問題検討小委員会(仮称)を設置し、地域でのネットづくり、将来の共同配車センター実現などを視野に議論を深めたい」と提案、了承された。札幌市で検討している共同配車事業についても研究していく。
 協議会では藤澤秀治枚方市障害福祉室長が、社会福祉法人3団体(聖徳園、母子寡婦福祉連合会、松樹会)の移送サービス事業運行実績(7月〜11月分)=別掲=を紹介したあと議論に入った。
 三星会長は3法人の運行実績について「ロンドンなどの事例と比べると需要がニケタ違う。控えめに見ても一ケタは違っている。短期的に見ても少ないのは事実だ。ただこれから社会的な仕組みを推進していく立場から言えば、かなり時間は掛かる。まず第1段階として年度内に需要層を拾いきることが出来れば成功だと思っている。あまり否定的な見方をしない方がいい」と見解を述べた。
 各委員からの主な発言内容は「7月の運行開始直後3法人に登録を申し込んだところ門前払いされた。高齢者、障害者の移送サービスという趣旨に反する。一体誰が利用するのか」(障害者団体代表)、「何故利用したくとも利用できないのかを考えなければならない。札幌ではタクシーを含めた共同配車が検討されている。運送対価にも問題があるのかもしれない。2種免取得や運行管理など安全確保面は譲れない」(労組代表)、「利用範囲の拡大では福祉車両限定からセダン型車両にまで対象車種を拡大すれば論点が変わってくる」(タクシー業界代表)、「タクシー、バスを含めそれぞれの立場を捨てて移送サービスをどう捉えるかだ。車いすでさえ多種多様になっている。タクシーはドアツードアだが、それ以上のベッドツーベッドをイメージしている。障害者移動の基本認識が違っている」(NP0法人代表)――など様々な意見が出た。
 こうした意見に対し、▽スタート直後は態勢が整わず登録を断ったケースがあったが現在は受け付けている(松樹会)、▽運送対価、運行管理面、札幌の共同配車構想は早急に調査したい(大阪運輸支局)――など回答があった。
 三星会長、玄番央恵副会長(関西医科大学教授)は移送サービスに対する地域全体の意識改革のためにはネットづくりが重要になってくると強調。三星氏は「行政が中心となる取り組みだけでは限界もある」と指摘、将来の共同配車センター的なあり方を視野に入れた上で「移送サービス基本問題検討小委員会」(仮称)の立ち上げ具体化を協議していくことを提案した。



=福祉特区・大和市= 腎友会が申請へ NPO有償運送、2団体に
 〜ケアぴーくる要望「普通車使用容認を
(東京交通新聞2003.10.20)

 「地域福祉特区」の神奈川県大和市は先月29日、市保健福祉センターでNPO等有償運送運営協議会の第2回会合を開いた。運送主体としてNPO法人大和市腎友会(筑地成彦会長)が新たに名乗りをあげ、許可申請予定の内容を協議、了承した。同会は1両日中にも神運支局に申請する。許可第1号のNPO法人ワーカーズ・コレクティブケアびーくる(河崎民子代表)が7月の運送開始から3ヵ月間たち、状況を検証。河崎氏は福祉車両しか使用できないため利用会員のニーズに対応できない面があると指摘し「一般車の例外使用を認めてほしい」と問題提起。関運局は「今後の全国展開の中で検討される部分。意見は本省に上申したい」と要望した。
 協議会は6月6日の初会合以来。宇津木朋子座長(チャイルドケア専務理事)が議事を進め、大和市腎友会の自家用自動車有償運送許可(道運法80条1項)の申請予定内容から協議した。事務局(市福祉総務課)が許可条件を満たしている旨説明。協議メンバーからも異論は出ず、了承した。市は同日付で実施の協力依頼を行い、申請できる状況が整った。 ……中略……
 損害賠償措置も対人無制限、対物・搭乗者1000万円の民間損保に加入、管理体制も運行管理マニュアルを作成、対応する。…略…「会として身体障害者など移動制約者全体に輸送を広げつつある。福祉に境界はないというモットーで対応していきたい」と話している。
      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇       ◇      ◇
 ケアびーくるの有償運送実績(7月14日〜9月末)を事務局が報告。登録利用会員は申請時115人だったが、7月142人、8月149人、9月158人(各月末)と増加傾向だとした。
 河崎代表は活動状況を報告。入会者を紹介してくれる福祉関係者から「“いわゆる白タクではないサービスとして安心して紹介できる”との声を聞けたのは成果」と述べた。利用会員からも「特区が注目され、多くの人が移動制約者のことを考えるようになった」と評価、歓迎する声を紹介した。
 安全運転の能力、経験については2種免に代わる研修の実施で対応してきたが、「メンバーの安全運転の再確認になり、外部の実車研修では運転技能を評価され自信につながった」と総括した。
 問題点は、許可条件で福祉車両に限定されているため、「利用者ニーズに対応できない場面が多々あり、利用会員からも個々の状況に応じた普通車の使用を強く求められている」と述べ、「一般車両(普通車)の例外使用」を強く要望した。
 具体的には、@下肢障害のない重度知的障害者、精神障害者の場合、運転操作の安全上、前部助手席には乗せらないが、福祉車だと小型は後部座席がなく、大型は運転者と距離がありパニックになる恐れもある。A付き添いが必要な車いすの会員からは、普通車座席の方が居住性が良く、事故時の安全性も高いとの声がある――などとした。
 要望に対し、意見聴取メンバーで出席した関運局自交部旅客2課の斉藤隆指導係長は「お金をとって人を運ぶ場合はタクシー事業許可をとってもらうのが国の原則だが、現実的にはニーズを無視できないので特区の中で有償運送許可がスタートした」と前提を述べた上で、「普通車の使用の要望は全国のNPO法人からも出ている。今後の全福祉特区・大和市国展開の中で検討される部分ではないか思う。意見は本省に上申したい」と述べた。



=有償運送特区= 混乱なく利用者からも好評 〜料金は発車後の状況みて(東京交通新聞2003.10.20)

 高齢者や身体障害者らを自家用車で送迎する福祉・過疎地ボランティア有償運送特区が各地で“快走”している。内閣府から認定を受けた全国の有償運送関係10特区のうち現在、7特区が開業、今のところ目立ったトラブルはなく、利用者からもおおむね好評だ。訪問介護サービスの法的取り扱いをめぐる国土交通、厚生労働両省間の“調整”や特区の全国化に向けた作業が正念場を迎える一方、各自治体では発車後の推移を見ながら料金面などに変更を加えたいとの向きが強い。中央と現場双方で「走りながら考える特区」は熱い視線を浴びている

 7特区がすでに開業し、来月に熊本県菊池市と岐阜県河合・宮川村が、年内には東京都世田谷区がスタートの見通し。これで認定特区はすべて足並みがそろうことになる。
 各特区の最大の課題は料金(運送の対価)設定。一般タクシーの半額程度を前提としながら、距離制、時間制、回数制などと収受方法はまちまちで、金額も多岐にわたっている。
 過疎地では割安感のある「1キロ100円」「5分220円」「1回利用100円」などが登場。大都市型移送サービスとして注目されている世田谷区では、運行第1号となるNPO(民間非営利法人)が1キロ50円を希望。多くの特区が運行開始後、利用者に支障などが出たら見直す構えだ。主な特区の現況は次の通り。
【長野県小海町】福祉有償運送特区の全国第1号。7月の開業から3ヵ月たったが、目立ったトラブルや苦情はなく推移。利用者数は1日平均約6人。
 同町では「おおむね順調で、会員の利用者からは感謝の声がしきり。運転する職員も違和感もなく業務に就いている」と早くも新制度の定着ぶりをアピール。先月の運営協議会でも新たな問題点は特に出なかった。
【徳島県上勝町】10月1日に開業し、過疎地有償運送事業の先がけ。滑り出しは1日平均利用4〜5回。
 車両は住民から借り上げた12台を準備していたが、住民の1人の名義が本人となっていなかったなどの問題が発生。買い物やゴミ運搬に使用する軽トラック5台と軽乗用車3台、セダン型乗用車3台の計11台でのスタート。同町は「全地域をカバーし効率的に運行するため、10台程度“増車”したい」と次の一手を思案。
【熊本県菊池市】運行主体に市社会福祉協議会と社会福祉法人、特別養護老人ホームの3団体を予定していたが、特養ホームは主体対象外とされ、当面は2団体での開業。リフト付き大型車1台ずつ計2台。
 料金はシミュレーションの結果、時間制を採用し「5分220円」で合意。将来の軽車両導入も踏まえ、車種別の「運賃表」(特大5分220円、大型212円、中型182円、小型148円=1ケタの値を切り捨て算出)を作成した。
 同市では「交通渋滞がほとんどないので、目的地に達するまでに料金が上がるといった悪影響は少ないと思う。タクシー業界側の賛同も得た」としている。20日の運営協議会で最終調整し、早ければ週内に事業許可申請書を九州運輸局熊本運輸支局に出す方針。
【長野県三水村】10月1日に開業式を行い、運行スタート。ただ、従来から展開していた白ナンバー輸送を“特区化”した形だったため、目新しさをPRせず、トラブルも特に生じていないようだ。1回500円だった料金を300円に引き下げ利用度は高まった。
 同村では「これまでの運送体制では法解釈の“グレーゾーン”にあると指摘されていたので、特区認定を受けた正規な事業にした。このおかげで、タクシー関係者を講師に招き実地訓練したことで、接客・介助のレベルが上がった」と特区の裏効果を強調。
【東京都世田谷区】先月の運営協議会で、NPO1団体の事業許可申請を了解。月内に関東運輸局東京運輸局に申請を出す見込み。他団体の事業概要を現在詰めている段階だ。
 NPOなど団体間では料金面で温度差があり、先行開業するNPOの1キロ50円以外のメニューが出てくる可能性が高い。世田谷区では「他の地域に比べ大きく出遅れており、年内には開業を実現したい。ほか1団体が申請準備中で、これも年内スタートに間に合えば」と期待している。



=移動を支える= 運輸と福祉の谷間』(日本経済新聞2003.8.19)

 病院や施設への送迎は現状でもニーズに供給が追いつかない。高齢化で需要が増える中、サービスの量をどう確保していくのか。担い手となる民間移送サービスを巡る動きが激しくなっている。
 大阪府枚方市の社会福祉法人・松樹会の職員、増池敦司さん(40)は7月から有償移送事業を担当、スロープ付き軽自動車を使って車いすの高齢者らの病院送迎を始めた。
 料金は30分以内1,045円と、タクシーのほぼ半分。7月は12件、8月は20件以上の送迎をする予定だ。「通院にタクシーを使っていた人がシフトしてきている」と増池さん。
 枚方市は4月に国の構造改革特区の一つである福祉移送サービス特区の認定を受けた。市や近畿運輸局などで構成する協議会が運送対象者や車両、料金などの条件を決め、松樹会など3団体が運行を申請、許可されたのだ。
 サービスを受けられるのは、要介護認定を受けるか障害者手帳などを交付され、事前に登録した人たち。事業者側には、福祉車両を使うこと、料金はタクシーのおおむね半分以下にすること、今後、2種免許を取得していくことなどの条件が付けられた。
 福祉移送は国内では、障害者らの通院通所を支援するボランティア活動として広がってきた。寄贈された福祉車両や運転協力者の自家用車を使い、料金はガソリン代に車両維持費を上乗せした程度で運営。非営利で公共性が高いため、事業免許を受けない有償運送(白タク行為)とは一線を画す活動として黙認されてきた経緯がある。
 が、福祉車両を使ったタクシー、ヘルパーの資格を取得した運転手が乗降時などの介助をする介護タクシーが広がる中、制度上の位置づけを明確にすべきだとの指摘も出ている。「特区」はそれを示した先駆的な事業で、様々な条件は今後国が出すガイドラインのひな型としても注目されている。
 人口40万人の枚方市で、要介護認定を受けたり、障害を持つ人は2万4000人。市内に福祉タクシーは5台しかなく、高齢化の進展や通院距離が長い人の負担、制度が変わった障害者の移動介護(ガイドヘルプ)への対応を考えると、「非営利組織の移送サービスを増やす方同に行かざるを得ない」(藤沢秀治障害福祉室長)事情がある。
 福祉移送特区は東京都世田谷区など全国8地区が認定を受けたが、移送需要への対応を迫られるのはどこも同じだ。2種免許の取得や福祉車両の使用には「活動を制約する規制強化」との批判も強い。運輸、福祉行政の谷間に置かれてきた課題に答えを出す知恵が求められている。
【写真】規制緩和特区で始まった福祉移送サービス(大阪府枚方市)



《特区の取り組み》福祉移送サービスを開始
                ――外出支援に残る課題・大阪府枚方市
(『厚生福祉』2003.8.26)

 大阪府枚方市は、市内の社会福社法人などが車いす利用者らを送迎する福祉移送サービスを7月に開始した。特定の地域に限って規制緩和する構造改革特区に4月に認定され、高齢者や障害者など「移動制約者」の通院と外出の手段を確保する意欲的な試みとして全国から注目を集めている。
 だが、サービス実施には▽運転手は第2種免許所持を基本とする▽福祉改造車両に限る――などの条件が付いており、移動制約者の外出支援を進めるにはなお「壁」が残っている。


4,400人に福祉タクシー8台
 枚方市の人口は40万7,800人。市は、このうち重度の要介護高齢者と身体障害者ら約4,400人が、移動制約者(車いすを利用するなど自由に移動できない人)とみている。
 こうした移動制約者はこれまで、タクシー会社が運営する福社タクシーを使ってきた。しかし、福祉タクシーは市内で8台が稼働しているだけ。採算性の問題などから台数が増えず、週末などには申し込んでも断られることもあった。
 また、市の65歳以上の高齢化率は2003年の14%から2005年15%、2015年23%へと一気に高まり、移動制約者も急増する見通し。1999年の市調査によると、移送サービスの利用を希望する要介護者は全体の6割を超えており、移送サービスヘの需要は飛躍的に伸びると予測される。
 このため、市は、事業許可を持つタクシーなどしか認められていない有料の輸送事業を、福祉目的の送迎に限って規制緩和する「福祉移送サービス特区」を国に提案した。

2種免許所持が基本

 7月9日から始めた福祉移送サービスの内容を見ると――。サービスを受ける対象は、一人で公共交通機関が利用できない要介護認定者と身体障害者手帳所持者ら。利用するには、あらかじめ登録することが必要だ。
 運送主体は、市内の社会福祉法人か、保健・医療・福祉活動に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)。これら法人は、リフト、スロープなどを設けた福祉改造車両を確保するとともに、原則として2種免許を持つ運転手を配置しないといけない。ただし、運転手は、適正診断を受けて能力・経験があると判定された人も当面認める。
 こうしたサービス内容を決めるに当たって市は、近畿運輸局などと運営協議会を設けて検討。その過程で大きな焦点となったのが、運転手の2種免許所持要件だ。タクシー業界などに義務化を求める声が根強い一方、事業参入する社会福祉法人などからは、2種免許取得には時間と経費がかかり大きな負担となることが指摘された。
 結局、「運転手は2種免許を有することを基本とする」と原則を掲げた上で、「当面は自動車事故対策センターが実施する適正診断を受診した者で、運転に関し特に支障が認められない者」にも柔軟な対応をすることを決定。「当面」というただし書きは付くものの、事業参入のハードルを高くしないよう工夫した。
 このほか、福祉改造車両に限定した点も、自家用車を使った移送サービスが有償ボランティアとして認められず、現場レベルでは不満が残る。

意外に静かな滑り出し

 市の福祉移送サービスには7月末現在で3社会福祉法人が参入。福祉改造車両計19台を配備し、利用料金は30分間750〜1,350円と設定された。これまでに1法人当たり30〜50人の登録者を確保したという。
 運行実績などは市が近く調査する予定だが、現状では申し込みが殺到して困るという状況にはなっていないという。市も「もっと台数を増やしてほしい」という声が寄せられるかと思っていたが、ほとんどなく、出だしは「意外に静か」(藤澤秀治障害福祉室課長)というのが実態だ。
 今後の課題として市は、まず実施法人と台数を増やすことを挙げる。そのために、対象車種拡大などさらなる規制緩和を望んでいる。また、現在のサービスは、利用する場合は予約が必要な上、車が足りない時間帯などでは利用者の依頼を断るケースも出てくる見通し。このため市は「利用しやすく、断らないシステムづくりが必要だ」(同)とも話す。
 さらに「タクシー業界との共存共栄を目指したい。現在でも約4,400人の移動制約者がいるわけだから、パイを取り合うのではなく、互いに協力して増やす努力をすべきだろう」(同)と訴えている。(神谷秀之=大阪支社)



=動き出す福祉移送特区・上=
      高齢社会に追いつかず〜枚方の対象4400人に車いすタクシー5台〜』
(毎日新聞2003.6.16)

 タクシー事業許可を持つ緑ナンバーの車でしかできなかった有料の輸送事業を、地域限定で福祉目的に限り規制緩和する取り組みが今月下旬、始まる.国の構造改革特区に基づく制度で、指定を受けた大阪府枚方市などでは16日朝、本番に向けた準備が進められた。福祉現場で黙認されてきた“白タク行為”。待ったなしで迫る高齢化社会。今回の「移送特区」がモデルケースとなり、今後の規制緩和が左右される。課題を探った。(玉木達也)

 「高齢者になると、体も弱くなり外出しにくい。寝たきりを防ぐためにも気楽に外出できる交通手段を確保してほしい」。5月21日に枚方市であった特区の運営協議会で、高齢者介護や障害者グループの代表らが切実な思いを訴えた。
 枚方市の場合、輸送サービスが必要な「移動制約者」は、人口4400人(4月30日現在)。2005年には65歳以上の高齢化率は15%・約6万人を超えるとみられ、移動制約者も一気に増える。これに対し、車いす対応の福祉タクシーは、タクシー3社にわずか5台しかない。
 今年2月にも、タクシー会社や福祉タクシー利用者らによる懇談会があり、「週末に利用しようとして申し込んでも断られてしまうことが多い」「どんな配車をしているのか」と批判が相次いだ。
 タクシー会社は「稼動が少ない曜日には、採算面から休止しなければならない場合がある」などと反論。結局、採算を考えると、タクシー会社だけの負担で、増車するのは難しいとの結論に達したという。
 交通バリアフリー法が2000年11月に施行されるなど、法整備が進む一方、本格的な高齢者社会で急増する移動制約者。タクシーなど公共交通機関だけでは、対応できない目の前の現実が、規制緩和を促したと言える。
 同市では、サービスに乗り出す社会福祉法人は3法人で、福祉車両は計19台走る見込み。しかし、5台のタクシーを含めても利用者のニーズを満たす台数には、ほど遠い。福祉分野の先進自治体と評価される同市でもこれが実態だ。同市の藤沢秀治・障害福祉室長は「もっと多くの団体が参入してほしい。そのためには、手続きや条件を多少緩和しても、いいのではないか」と話している。

【2300団体、黙認〜白ナンバーの福祉移送サービス〜】
 1975年ごろに始まったとされ、現在の実施団体は約2300団体。多くはガソリン代などを徴収しているため、「自家用車を有償で運送に供してはならない」と定めた道路運送法80条に抵触するが、福祉現場の実情を考慮し、多くは黙認されている。特区は同条の例外規定を広げ、自治体だけでなくNPO法人や社会福祉法人にも適用した。枚方市のほか岡山県全域、徳島県上勝町、東京都世田谷区、神奈川県大和市、長野県小海町、熊本県菊池市、同県宇土市と周辺9町の計8地区が指定された。


=動き出す福祉移送特区・下=
      運用次第で“規制強化”〜「2種免許が基本」で運転手半減の団体も〜』
(毎日新聞2003.6.17)

 「2種免許を義務付けるならば、これまでよりもサービスが後退してしまう……」。全国8地区で今月下旬にも始まる、福祉分野での白ナンバーの有料輸送サービスについて、こんな不安を口にする関係者が多い。事業に参入するにはいくつかの条件があり、中でも、「運転手は2種免許の所持が基本」との項目に対する反発は大きい。タクシーなどを運転できる2種免許の取得には時間と費用がかかり、運用次第では“規制強化”につながるからだ。
 延べ6600人以上の輸送実績を持つNPO法人「ボランティア協会岡山ビューロー」(岡山市)事務局長、国里誠司さん(52)は「うちの運転ボランティアの中で、2種免許を持っているのは半分の3、4人しかいない。義務化されれば、今までより要望に応えられなくなる」と戸惑う。
 だが、タクシー業界には義務付けを求める声が根強い。福祉移送特区に指定された大阪府枚方市で、福祉タクシーを運行する「大阪京阪タクシー」営業・人事部次長の西村孝夫さん(61)は「輸送団体が増えるのは賛成だが、お金をもらう以上、プロとして安全を確保しなければならない。2種免許は必要」と話す。
 国土交通省によると、2種免許の所持は基本だが絶対条件ではなく、十分な能力や経験があると認められればいい。一定期間免許停止処分を受けていない人が特定任意講習を受講するなど手続きを経れば認めるという。ただ、2種免許を持たない人については取得するよう指導するといい、将来的な義務化にはあいまいな部分も残す。

 白ナンバーによる介護輸送サービスをめぐり、介護事業者を指定する都道府県で混乱が起きた。毎日新聞の調べでは、京都府など28都府県(4月15日現在)が、道路運送法に抵触するとして「認められない」との見解を示した。混乱を受けて、坂口力厚労相は国会で「在任中に決着をつけたい」と答え、現場の実態に即して法的にも法的にも解決することに意欲を見せた。

 2種免許取得の問題、事業そのものの解釈をめぐる混乱……。大切なことだが、利用者が求めるのは、難しい論議ではなく、外に出る手段の確保という、ごく当たり前の願いだ。
 岡山ビューローのサービスを利用する「脳卒中者友の会おかやま・あゆみの会」(岡山市)会長、飯田茂さん(70)の妻、節子さん(63)は、介助する立場で訴える。
 「運転手さんが2種免許を持っているかどうかは利用者にすれば、あまり気にならない。それよりも、そのためにサービスをしようとする業者が減るほうが心配」
 そして、国里さんは「行政はなるべく制限を取り払い、私たちが自由に活動できる環境を整えるべきだ」と注文を付けた。(玉木達也)



『=枚方市特区運営協会長・三星昭宏氏に聞く=
      最終理想はSTS〜安全確保 拡充段階では真剣に〜』
(東京交通新聞2003年6月16日)

 近畿圏で大阪府枚方市が「福祉移送サービス」の構造改革特区に認定された。特区運営協議会の会長に就任した三星(みほし)昭宏近畿大学教授に、移送サービス事業のあり方、将来展望などを聞いた。(聞き手=栗田耕一支局長)

――なぜ枚方市が「特区」の申請をしたのか。
 「特区制度自体、昨秋ごろから浮上した急な話。枚方市としても突然の話だったと思う。ただ枚方市の場合、市の総合計画(マスタープラン)で、高齢者・身障者の足を確保するためバリアフリーとSTS(スペシャル・トランスポート・サービス)を推進する方針を打ち出していた。私自身も策定委員として参画していたが、市政の憲法ともいえるマスタープランの中に盛り込んでいた点が大きいと思う。政府が『特区』を設ける方針を打ち出した時に、枚方市がそれを見逃したのでは何もしないではないかと指弾されてしまう。特区での実験は一つのチャンスでもある。枚方市は良く気が付いたと思っている」

――「特区」での移送事業について、タクシー業界労使などは必ずしも歓迎していない。
 「業界が不安に思うのは無理のないことだし、様々な意見が出てきて当然だと思う。ただ問題点ばかりあげて批判するだけでは物事は前に進まない。業界の立場から物を言ってしまうとグローバルな意見ではなくなってくる。何らかの方法で高齢者、障害者の交通手段を確保しようというのが目的である。STなる業界を組織化しようということではないし、タクシー業界が移送サービスを担っても良いのだし、どのような形にせよ交通手段を確保しようということだ。市は『特区』にこだわっているわけでもない」

――移送サービス事業は安全確保面が重要なポイントになってくる。
 「改正道路運送法の施行で福祉タクシーの新規許可が大量に出たと聞いている。やはり福祉的観点と運輸的観点の整合性を図ることが今後、重要なテーマになってくると思う。当然、安全確保面は大きな課題だが、道路運送法の改正だけでは十分ではない面もある。『特区』を機会に申請書類など手続き上、簡素化できるものは簡素化し、まずはボランティアを集めて福祉移送サービスを拡充することが先決だと思う」

――「特区」移送事業の将来は。
 「私の考え方としては社会福祉法人を中心として有償の移送サービスを提供していく、それが第一段階である。有償にして正当な対価を支払うシステムを確立することが発展、拡充につながっていく。この段階ではタクシー業界の邪魔にならない程度に広げていくことが肝要だと思う。タクシー業界で対応できない実態も踏まえ、せめて10団体くらいに広げていきたいと考えている。次のステップとしてボランティア、NPO、民間の力を借りて福祉移送サービス全体を大きく広げていくことだ。民間では福祉タクシーがそうであるし、NPOが手掛ける福祉タクシー的な移送方法も考えられる。そこで問題化してくるのは道路運送法との整合性だ。タクシー業界が指摘する2種運転免許や運行管理、保険加入等安全確保面が問題化してくる。これはクリアしなければならない問題であり、この段階では真剣に論議しなければならない」

――「特区」の事業は先行き全国に拡大する方向だが、その先の展望は。
 「最終段階ではタクシーとSTと合わせたSTSのシステム化を図ることが理想である。中央管制センターを設置して迅速に対応できる仕組みを作りたい。この部門では研究者の立場からソフト開発も手掛けたいと思っている。5年かければそこまで到達するのも可能だと思っている。もう一つタクシー業界として乗務員をST、ボランティア組織に派追する道は出来ないだろうか。ボランティアでは収入は下がってしまうが、そういう仕組みが出来ていけば、移送サービス分野の拡充になるし、社会的な認知も得られる」

――外国の事例は。
 「すでにロンドンやストックホルムではSTSが実用化している。運賃は国や自治体が補助しているケースが多い。日本は相当遅れている。データもなければ、外国の実態も知らないのが現実である。英国ではSTSは基本的に乗合になるが、長距離の場合は乗合を好まない利用者がいるので大体、タクシーに委ねているようだ。英国の場合はタクシーの質が良いことも要因としてある。経営的な面でも収支はとれているように思う。英国政府は福祉市場が大きすぎるので、電車、バスのバリアフリーを推進していった。タクシーとSTへの依存度合いを薄めていく施策をとった時期もある。日本の場合はまだ規模が小さすぎる」

【1945年生まれ。石川県出身。名古屋大学工学部卒。72年大阪大学工学部助手、74年近畿大学理工学部講師、94年同教授、87年〜88年英国交通省の運輸道路研究所(TRL)客員研究員。大阪市交通バリアフリー検討委員会委員長など務める。】



『申請予定法人を聴取 枚方市運営協で大運支局』(東京交通新聞2003年6月16日)

 枚方市は13日、市役所別館で第3回移送サービス特区運営協議会(三星昭宏会長)を開催、協議会設置要領について協議したほか、大阪運輸支局が申請予定法人のヒアリングを行い、申請書類、運行管理体制などチェツクした。
 特区移送サービス事業には3法人の4事業所が名乗りを上げており、今週中に道路運送法80条に基づく許可申請を大運支局を通じ近畿運輸局に提出する運びだ。このほかNPO法人2団体も検討中とされるが、許可申請するのは今秋以降になるものとみられている。



『=枚方特区=3団体の4事業者公表 合計18台規模で運行か』(東京交通新聞2003年6月9日)

 「福祉移送サービス特区」に認定された枚方市は6日、特区で移送サービス事業を担う社会福祉法人3団体の4事業者を公表した。
 先月27日の運営協議会で各団体の内容を点検、固まったもの。運行車両数は4事業者で18台程度になる見込みだが、なお流動的だ。運賃設定など具体的な運営方法を詰めて6月中には道運法80条に基づき近畿運輸局に許可申請する見通し。
 移送サービス事業を行う社会福祉法人3団体は▽大阪府母子寡婦福祉連合会(羽間美佐子理事長)▽松樹会(中村猛理事長)▽聖徳園(三上了道理事長)。
 運営主体となるのは、@サンポエムひらかた移送サービス事業所(計画台数7台、母子寡婦福祉連)、Aケアハウスつくしんぼ(2台、松樹会)、B香里丘デイサービスセンター(4台、聖徳園)、Cひらかた聖徳園デイサービスセンター(6台、聖徳園)の4事業所で計18台となっている。



『〜「福祉移送特区」の枚方市〜「運営協」立ち上げ 関係団体から意見聴取』(東京交通新聞2003年5月26日)

 「福祉移送サービス特区」に認定された枚方市は21日、大阪運輸支局と共同で「運営協議会」を立ち上げた(写真)。協議会の正副会長を決めたほか、関係団体から意見聴取した。会長には三星昭宏近畿大学教授、副会長に玄番央恵関西医科大学教授を選出した。意見聴取は利用者、NPO、労働、法人タクシーの各団体から行った。各代表からば移送二一ズヘの切実な思い、一方で安全確保面の担保を求める声など「特区」運営上の様々な問題点が指摘された。
 三星会長は「『特区』の実験が成功するために前向きな議論を期待したい」と要請した。運送主体となる「社会福祉法人」の内容審査、道路運送法80条に基づく許可申請は6月にずれ込む見通し。

 運営協議会メンバーは枚方市6人、大阪運輸支局1人、学識者2人の計9人。会長に土木・交通分野が専門の三星近畿大教授、副会長に医療・福祉分野の玄番関西医大教授を選出した。協議会は原則公開としたが、特区申請法人の不利益を被る恐れがある個別情報などは非公開とした。
 次回協議会は27日に非公開で行い、運営主体となる社会福祉法人3団体の内容を点検する。法80条許可を得るためには当該法人の定款変更などの手続きが必要となる。このため近畿運輸局への許可申請は6月にずれ込む見通し。
 第1回会議では関係団体からの意見聴取を行つた。利用者代表2人からは「自家用の利用が不可になり移動手段はタクシーしかなくなったが、絶対数が少な<タクシーの取り合いになってしまう。ドライバーが休む土・日は事実上、利用できない。市内のバリアフリー化も遅れている」「老夫婦で高齢者の在宅介護をしているが福祉タクシーは1〜2ヵ月前に予約しないと利用できない。気軽に出掛けられない状況自体が社会問題だ」など移動制約者の厳しい実情を語った。
 NPO代表は、移送サービスの量的な確保と費用負担問題に言及し、▽枚方市が『特区』の先導役を果たし一定の事業者、車両数を確保すべき、▽採算性は求められるが費用負担設定は行政が調整役として関与すべき――などと指摘した。
 労組代表(大阪交運労協ハイタク部会)は、STSの充実、福祉行政に協力する立場であると前置き。2種免許、保険、運行管理面など安全確保面の担保を求めた。
 法人タクシー業界は「リフト福祉タクシーは採算を度外視して運営している。『特区』の移送に当たっては安全確保と利用できる登録会員の制約などガイドラインを明確にしてほしい」(坂本栄二日本タクシー副社長=地元河北会会長)、「利用者の経済的な負担をどうするのか、最終的には介護保険の介護報酬問題と切り離せないテーマになってくる。当然、安全面の担保は必要だ」(関淳一大夕協会長)などと指摘した。



『=枚方のNPO有償輸送=利用者「特区指定を歓迎」、タクシー事業者「低額は死活問題」〜運営協議会が初会合〜』(交通毎日新聞2003年5月23日)

 国に構造改革特区としてNPOなどによる有償での福祉移送が認められた大阪・枚方市は21日、大阪運輸支局とともに「枚方市地区福祉移送サービス運営協議会」を立ち上げ、第1回目の会合を催した。協議会には利用者、NPO、労働団体、法人タクシーの代表のほか学識経験者を交えて意見を聴取した。
 協議会は正副会長の選任を行い、会長に三星昭宏近畿大学教授、副会長に玄番央恵関西医科大学教授がそれぞれ就いた。

 意見交換では、利用者から体の不自由な人たちの外出機会が輸送機関のために制限されている現状を訴え、福祉移送特区に指定されたことを歓迎していると述べた。
 利用者によると、福祉タクシーの車両数が少なく、予約も利用時間帯が決まっていたり、数ヶ月前の申込みになることから、気軽に福祉タクシーを利用して外出できないという。
 タクシー事業者からは大阪福祉タクシー運営連絡協議会会長の関淳一大阪タクシー協会副会長と、地元事業者として日本タクシーの坂本栄二専務が出席。両者はそれぞれリフト付きタクシーなどの運行を説明しながら事業開始当初から採算割れであることを説明し、ここへボランティアによる低額での有償運送は事業者の死活問題となることを主張した。
 同時に輸送にかかる安全面の担保を強調。公共輸送機関としてのタクシーと白ナンバー輸送との安全確保対策の違いを示し、タクシー利用への理解を求めた。
 ただ、三星会長は「特区の実験が成功するために前向きの議論を期待したいし、失敗は許されない」と述べて、協議会自体は有償福祉移送実現への地ならし的な印象が強い。
 また、今月27日にも非公開で協議会を開き、同市で福祉移送の主体となる社会福祉法人の内容を審査した。



『「福祉移送特区」に認定された枚方市連休明けにも運営協議会発足〜経済効果1300万円見込む』(東京交通新聞2003年4月28日付)

 政府の構造改革特区推進本部は21日、枚方市を「福祉移送サービス特区」に認定した。同市は、大阪運輸支局、学識者を含む3者8人で構成する「運営協議会」を5月連休明けにも立ち上げ、具体的な運営方法について協議する。計画では社会福祉法人3団体がボランティア有償運送を担う方向が固まっている。運送対価はタクシー上限運賃の2分1が目安となる。

 枚方市は今回の「特区」申請で、@要介護者の実態調査で60%が移送サービスを希望、A要介護者と身障者手帳交付者で1万8000人の潜在利用者が存在する、B福祉タクシーだけでは需要をまかなえず、社会福祉法人などボランティア送迎を行っている実態がある――ことなどをあげ、移動制約者の移送ニーズに対応したいとしている。
 特区で名乗りを挙げているのは3団体とされるが、今月23日時点で市が公表しているのは「社会福祉法人・松樹会(中村猛理事長)」のみ。同会は医療法人みどり会の関連グル一プ。同グループでは病院、デイケアセンター、訪問看護ステーション、介護老健施設などを経営している。こうした施設へのボランティア送迎が日常的に行われている実態を踏まえ、有償化への道筋を視野に入れたものとみられる。他2団体も社会福祉法人とされる。
 市は今年2月、ボランティア輸送を行う8団体にアンケート調査を実施。その結果、年間延べ3072人(2002年度実績)が利用し、延べ利用時間は6336時間に上ることが明らかになっている。大半は病院や施設への送迎移送だ。他方、市内の福祉タクシーは、日本タクシーが3台、大阪京阪タクシーと大阪トンボ交通が各1台の計5台が運行。5台で延べ1131日稼働し3294回輸送している。
 枚方市は特区計画による経済効果を試算。時間単価を1500円、1回平均2時間稼働と設定し、02年度実績の3072回を乗すると950万円、これに雇用発生に伴う賃金分316万円、燃料費約61万円を加えると約1300万円と見込
む。3年後には倍増し、2700万円と推定している。



『高齢者と障害者の有料送迎サービス●枚方市が特区申請』(讀賣新聞2003年4月5日付)

 大阪府枚方市は4日、自家用車での有料運送を禁止した道路運送法の規制を、高齢者や障害者を移送する場合には緩和する構造改革特区「福祉移送サービス特区」にするよう国に申請した。申請は今月中に認められ、早ければ来月にも三つの社会福祉法人が大阪陸運事務所の許可を得てサービスを開始する見通し。
 市によると、介護保険で「要支援」以上とされた高齢者と身体障害者は市内で約1万8千人にのぼるが、市内にリフト付きタクシーは5台しかなく、多くは社会福祉法人やNPOなどのリフト付きの車の送迎に頼っているという。市は特区の設定で社会福祉法人やNPOが移送を事業化しやすくなるとみており、今年度中に年間延べ3千人の利用体制ができると予測している。
 地域を限定して規制緩和する構造改革特区の申請は今月
1日から14日まで受け付けている。国土交通省などによると、ボランティアによる有償での運送行為の規制緩和は、同市のほか、熊本県と1市9町による「福祉コミュニティー特区」など数団体が申請している。