道路交通法における登録又は許可を要しない運送の態様について
(国土交通省「イラスト版」より)

 道路運送法第2条第3項において、@他人の需要に応じ、A有償で、B自動車を使用して、C旅客を運送する、D事業を旅客自動車運送事業であると規定しており、@〜Dの要件全てに該当する場合は同法に基づく許可を受ける必要があります。
 個別の旅客運送行為が、許可等を必要とする態様かどうかについては、最終的には個別に総合的に判断されますが、Aの有償については客観的な判断が困難である場合も考えられることから、事案毎に許可等を要するか否かを例示しました。ご不明な点は、最寄りの運輸支局等にご相談下さい。

(1)サービスの提供を受けた者からの給付が、「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合は許可等を要しません。
 運送行為の実施者の側から対価の支払いを求めた、事前に対価の支払いが合意されていた、などの事実がなく、あくまでも自発的に、謝礼の趣旨で金銭等が支払われた場合は、有償とは観念されないことから許可等は不要です。
※ただし、以下の場合は有償であるとみなされ、許可等を要することとなります。
・予め運賃表などを定め金銭の収受が行われる場合。
・会費として収受され、運送サービスの提供と会費の負担に密接な関係が認められる場合。
・「カンパ」などの運送とは直接関係のない名称を付して利用者から収受する金銭で、運送行為に対する反対給付と認められる場合。

(2)サービスの提供を受けた者からの給付が、金銭的な価値の換算が困難な財物や流通性の乏しい財物などによ りなされる場合は、許可等を要しません。
○日頃の移送の御礼として、自宅で採れた野菜を定期的に手渡す場合は有償とはみなされず、許可等を要しません。
○地域通貨の一種として、ボランタリーなサービスを相互に提供しあう場であって、例えば、運送の協力者に対して1時間1点として点数化して積立て、将来自分が支えられる側になった際には、積立てておいた点数を用いて運送等のサービスを利用できる仕組み等、組織内部におけるボランタリーサービスの提供を行う場合も有償とはみなさず、許可等を要しません。
※ただし、以下の場合は有償とみなされ許可等を要することとなります。
・流通性、換金性が高い財産的価値を有する金券や、希少価値を有する財物等の収受は有償とみなされ、許可等が必要です。
・サービスの交換にとどまる場合については、原則として許可等は不要であるものの、有料で点数を購入してもらうなどの場合や、地域通貨といってもその対象サービス内容、流通範囲、交換可能な財・サービス内容に応じ、許可等が必要となるケースがあります。

(3)ボランティア活動としておこなう運送において、実際の運送に要したガソリン代、有料道路使用料、駐車場代のみを収受する場合は許可等を要しません。

(4)市町村の公共サービスを受けた者が対価を負担しておらず、反対給付が特定されない場合などは、許可等を 要しません。

○市町村の事業として、市町村の保有する自動車により送迎が実施され、それらの費用が全額市町村によって賄われ利用者からは一切の負担を求めない場合は、許可等は要しません。
○利用者の所有する自動車を使用して送迎を行う場合は、単に他人の自動車の運転を任されただけであり、運転者に対して対価が支払われたとしても、それらは運転役務の提供に対する報酬であって運送の対価とはなりません。よって、許可等は要しません。

○デイサービス、授産施設、障害者のための作業所等を経営する者が、自己の施設の利用を目的とする通所、送迎を行う場合であって、送迎に係るコスト(ガソリン代等の実費も含む)を利用者個々から収受しない場合にあっては、当該送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、許可等は要しません。
※ただし、以下の場合は有償性があると認められ、許可等を要することとなります。
・運送者から利用者にガソリン代等と称して実費や運賃を要求する場合。
・施設等からの委託契約を受けて当該施設までの運送を行う場合。
・訪問介護事業所がおこなう要介護者の運送(介護保険給付が適用される場合)。
○子どもの預かりや、家事・身辺援助の提供が中心となるサービスを提供するものであって、運送に対する固有の対価(ガソリン代等の実費も含む)の負担を求めないものである場合は、当該送迎サービスの提供は有償の運送とは解さず、許可等は要しません。
※ただし以下の場合は、有償性があると認められ許可等を要することとなります。
・運送をおこなう場合と、おこなわない場合とで料金が異なる。
・送迎を利用する者と、利用しない者との間のサービスに差を設ける。
・運送に対する反対給付が特定される。