「在外国民を保護し内国人と差別待遇をしてはならないという責務を持つ国が、スパイに捏造して不法に連行して監禁し、5年8ヵ月の間、（被告は）残酷な青春を送った。権威主義統治時代に違法・不当な公権力行使で甚大な被害を受けた被告へ、国家が犯した過ちに心から許しを請う」

　これは2010年7月25日、大韓民国（以下、韓国）ソウルで開かれた李宗樹に対する再審の判決公判で裁判長が述べた、無罪判決の言い渡しに伴う謝罪の言葉である。韓国に留学中だった李宗樹は、全斗換政権時代の1982年2月6日に国軍保安司令部（以下、保安司(1)）に令状もなしに不法連行された。拘束令状が発令されるまでの39日間不法監禁され拷問を受けた彼は、国家保安法違反の罪などで懲役10年と資格停止10年の刑を受けて、5年8ヵ月もの間、獄中に囚われた。この事件の捏造から28年が過ぎて、ここにようやく公権力により名誉回復と謝罪がなされたのである。
　1970〜80年代軍事政権時代の韓国で「北のスパイ(2)」との容疑をかけられる事件が多発したが、事件発生当時から本人や家族、救援者たちは拷問による捏造だと訴えていた。李宗樹の再審裁判の無罪確定は、1970〜80年代に起きた在日韓国人に関わる「スパイ(3)」事件の再審にとっては初めての快挙である(4)。これで、無辜な被害者が罰せられるべきではなく、罰せられるべきは事件を捏造した韓国の公安当局であったということが、韓国の司法当局によって正式に認められた。それに引き続いて、今年の5月7日までに9人に対して無罪判決が下り、2010年の金宇�浮�含めれば11人の在日「スパイ」捏造事件の再審で無罪が言い渡されたことになる。そして現在では、捏造を訴える数10人の在日韓国人や共犯として被害を被った韓国人が真相糾明(5)を求めて再審請求を進めている。
　それでは、30年以上も経った今になってなぜ韓国では「北のスパイ」とされた人たちが再審裁判を請求し、それを受け入れた裁判所が無罪を言い渡しているのか。それの今後の推移はどうなるのか、韓国と日本社会はそれをどう受け止めるべきなのか。
　この問いを考えるために、本稿では、1970〜80年代韓国で起きた「スパイ」事件、とりわけ李宗樹のような在日韓国人「スパイ」捏造事件(6)の再審に関して考察する。
　韓国における再審とは、有罪の確定判決に対して事実の誤認があった際に、これを是正するために認められる非常救済手続きである。またそれは同時に、法的安定性と正義が衝突した際に、正義のために判決の確定力を除去する制度である。被害者の立場からすればそれは、再審裁判で無罪の宣告を受けて過去の誤った判決を正し、それを根拠に韓国政府から刑事補償金と損害賠償金の支払いを受けるなど、名誉回復と被害救済の意味を持つだろう。だがそれは、被害者個人に関わるだけの事柄なのではない。
　過去の不法な公権力の行使によって発生した各種の人的・物的被害の真相を糾明して、加貧者を処罰し被害者に対して適切な救済と補償を行うなど、正義を回復する公的な一連の措置を「過去事清算」と言う。この過去事清算には二つの側面がある。ひとつは、過去の過ちに関わる個人について、加害者を処罰して影響力がある地位から退け被害者を名誉回復して救済するという人的清算であり、もうひとつは、過去の公権力の犯罪を可能にした国家保安法などの法や制度について、これを再点検し必要な改善を施すという制度的清算である(7)。特に後者の制度的清算は、不法な公権力の行使を可能にした原因を除去して、再び同様な犯罪が起きる危険性を抑止する点で重要である。再審裁判という司法手続きを通じての時局事件(8)に関する真相糾明は、実際の犯罪に即して個人を救済し、その原因を解明することで、過去事清算のこの二つの側面、すなわち人的清算と制度的清算の両面で基礎になるだろう。そこで本稿では、時の韓国情報機関によって「北のスパイ」とされ服役した在日韓国人「スパイ」捏造事件について、被害当事者の再審裁判の現況を整理・検討・考察したい。

１.在日韓国人「スパイ」捏造事件の再審に至るまでの背景

　後述するように数年前から韓国政府は過去に国家権力の不法行使を受けた被害者の陳情を受け付け、過去事関連調査を行った。その結果、国家保安法関連で有罪判決を受けた事件のかなりの数が、被害者の人権を侵害した過った裁判であったことが明らかになった。これら調査結果を踏まえた再審が現在進行中であり、相次いで無罪判決が出ている。そこには被告人の死刑が執行された重大事件も複数含まれ、当時の関連事件はまさに捏造だらけだったことが証明されてきている。
刑事訴訟法第420条が定めた再審は、
(1)原判決の証拠となった証言・証拠書類などが、虚偽であったり偽造・変造されたりしたことが証明された時、
(2)原判決の証拠になった証言、鑑定、通訳または翻訳が、確定判決によって虚偽であることが証明された時、
(3)有罪判決を受けた者を誣告した罪が、確定判決により証明された時、
(4)判決の証拠となった裁判が、確定裁判によって変更された時、
(5)有罪判決を受けた者に対して、無罪を認める明白な新たな証拠が発見された時、
(6)著作権、特許権、実用新案特許権、意匠権または商標権を侵害した罪で有罪を宣告された事件に関して、その権利に対する無効の審決あるいは無効の版権が確定された時、
(7)対象判決の起訴になった捜査に関与した司法警察が、その事件について職務上の罪を犯したことが確定判決によって証明された時、という場合に請求できる。
　また、刑事訴訟法第422条［確定判決の代わりとなる証明］「前2条の規定によって確定判決として犯罪が証明されることを再審請求の理由とする場合、その確定判決を得られない場合にはその事実を根拠として再審の請求ができる。ただし、証拠がないという理由で確定判決を得られない場合は例外とする」も再審の事由に該当する。
　在日韓国人「スパイ」捏造事件の中で、以上の再審事由で再審を終えたか、進めている現況をまとめたのが表1である。2012年5月7日現在、22人の被害当事者のうち、すでに前記の2人およ尹正憲(9)と金元重の4人が無罪確定、検察の控訴や上告によって金整司など7人が最高裁判所の確定判決待ち、2人は裁判中、再審開始決定が下りて期日審査が終わったのが1人、8人が再審開始を待っているところである。この22人が起こす再審の主な理由は前述の第420条第7号と第422条所定の事由である。
　まず、担当捜査官である司法警察が該当の22件において職務上の罪を犯した。詳しく言うと、まず、22名は前記の李宗樹と同様、ある日突然現れた捜査官によって令状なしに連行される。また、不法逮捕に引き続き、陳述黙秘権や弁護人選任権などに対する告示を全く受けず捜査機関の不法監禁下に置かれ、拷問など苛酷行為を受けた。対象判決の基礎になる司法警官が、その職務に関する罪の不法逮捕監禁（刑法第124条）、暴行・苛酷行為罪（刑法第125条）を犯しながら、虚偽の自白をさせ、犯罪事実を捏造したわけである。すなわち、捏造した起訴内容で国家保安法と旧反共法(10)違反のスパイ罪などを適用し、重刑の有罪にしたのである。さらに、犯行日から旧刑事訴訟法(11)、第249条第1項第4号が定めた5年の公訴時効が経過したのが明白で確定判決を得られない時に該当するため、刑事訴訟法と第420条第7号に加えて第422条からも再審事由が認められるということだ。
　そして、表1の22人のうち各真実和解委員会から調査を受けた人は、第422条の確定判決の代わりとなる証明として、「国防部過去事真相糾明委員会」の調査報告書と資料、そして「真実・和解のための過去事整理委員会」（以下、真実和解委員会）が適法に捜査し収集した関連資料を挙げている。「真実和解委員会」とは、国民的要求と与野党の政治的合意に基づいて制定された「真実・和解のための過去事整理基本法」（以下、過去事基本法）に基づいた、行政主体の国家または地方自治団体から独立した機構である。また、同委員会はその特殊な存立の目的を授けられた特殊な行政主体であり、国民の真実糾明に対する議決とその公権的意思を表示する行政庁だとみなされて(12)、甚だしい人権侵害や歴史的に重要な事件に対する調査を行って究明した事実を、確定判決の代わりとなる再審事由として提示している。これに関して、以下、詳しく検討する。

(1)民主政権の過去事清算努力と公安当局の真相究明の活動
　「真実和解委員会」は、2005年5月31日に制定した「過去事基本法」に基づき同年の12月1日から活動を始めた。もっとも、この「真実和解委員会」に先立って、在日韓国人「スパイ」捏造事件に関しては真相を明らかにする作業が行われている。このことは本テーマからは欠かせないので、この動きから見てみよう。
　2005年「過去事基本法」が採択される前の2004年8月に盧武鉉大統領が過去事の真実究明は歴史的課題だと強調し、そのムードに後押しされた国家情報院、警察(13)、国防部の公安当局は自ら内部に真実委員会を設置するに至った。これらの背景には、80年代から20年あまりに及ぶ人権運動団体の不断の真相糾明運動(14)と、民主化に伴った金大中・盧武鉉の民主政権の成立がある。制度的民主主義の定着と共に民主政権の成立後、市民社会団体から過去事整理への要求は一層強まった(15)。この公安当局内における真実委員会の設置は、金大中政権を引き継いだ盧武鉉政権に対して、かつて権威主義政権下で起きた事件の中で歪曲・隠蔽された真実を明らかにする作業を行い、過去と和解すべきだという社会的要求が高まって、それにより導き出された一定の成果だと評価できる。
　盧武鉉大統領の主導下で「国情院(16)過去事件真実究明を通じた発展委員会」（2004年11月設置、以下、国情院真実委(17)）、「国防部過去事真相究明委員会」（2005年5月設置、以下、国防部真実委(18)）、「警察庁過去事真相究明委員会」（2005年3月設置(19)）が設置されて、2年間の調査活動が実施された。2007年にはその活動の結果として、何件かについて国家権力による捏造があり、人権も侵害されたことが明らかにされた。その詳細は次の通りである。
　「国情院真実委」は車豊吉(20)の1件のみについて捏造を認めた。その代わり、報告書�Y（学園・スパイ編）で総論「韓国現代史とスパイ事件」を通じてスパイ事件の変化と類型などの全般を論じている。そして「海外と関連したスパイ事件」では保安司や警察所管の事件も含めて関連事件のリストを挙げながら分析している。当報告書によれば1970年に北朝鮮の対南戦略が変化し、1971年「南北七・四共同声明」が発表されてから事実上、スパイの南派が著しく減った(21)ため、70〜80年代に在日韓国人「スパイ」事件が多発したと思われる。そして、公式捜査・裁判記録では確認できない事実、例えば当時の安企部が、検察または裁判部と事件処理問題に対して協議し合い、影響力を行使しょうとしたこと、当時メディアに配られた事件発表文が事件の実態と比較して誇張しすぎた内容であること、などを明らかにしている。同真実委の活動は、全体の事件の数に比べて少数の事例しか真相究明ができなかった限界はあったが、、中央情報部（以下、中情）や国家安全企画部（以下、安企部）の「スパイ」事件捜査に対する一定の傾向と推移を示している。
　「国防部真実委」は金整司の他3件について、捜査権の乱用と令状のない逮捕・不法監禁、密室での反人権的な捜査、過剰な隔離措置の事実があったことを明らかにし、国防部に対してこのような過ちを認め、再発防止の措置を講じると同時に国民への謝罪や国防部の人権教育の実行を勧告した。さらに同真実委も「国情院真実委」のような限界は抱えていたが、1970〜80年代に保安司が捜査した73件の在日韓国人「スパイ」事件の中で、上の4件と、無作為で選んだ12件、総計16件の事件を分析した結果を発表した。報告書によれば、そもそも保安司の捜査権外にいる民間人を捜査するという不法を犯している(22)。この違法行為を意識した保安司は、14件の事件に対して安企部捜査官の名義を借りて拘束令状を申請し、検察への送致も安企部捜査官の名義を盗用するという便法を講じた。勿論、捜査過程に安企部の捜査官が直接に参加したことはない。そして、全ての件に対して不法連行が行われ、長くは49日間もの不法監禁があったことも明らかにしながら、70〜80年代に保安司が捜査した「在日同胞および日本関連スパイ事件」のほとんどにおいて不法連行・不法長期拘禁による強制捜査が行われたと推定している。
　さらに、保安司での捜査の段階では、だれ1人として弁護人の選任、接見ができず、家族との面会も一切禁じられている。また、2件の例外を除いては、公訴提起前に弁護士の助力を得ることができなかった。最後に選定調査した4件の場合、被告人たちの虚偽自白以外には事実上の直接的証拠がない状況で、捜査機関員または協調者が自らの身分を明かさず作成した陳述書が補強証拠として使われ、彼らは法廷で証言までしていた。そして在日韓国人「スパイ」事件のほとんどの裁判で使われていた「領事証明」には、そもそも効力がないと分かっている。在日韓国大使館に確認したところ、在外公館公証法上、「領事証明」は存在しない制度で、国情院法第15条による「領事証明」要請が外交部の公式チャンネルを通さず、安企部の「業務指示」によって行われている。すなわち、適法な業務範囲を超えて作成されたというわけである。つまり、安企部の職員が日本で作成した「領事証明」が唯一の有罪の証拠として採択されていたが、これは証拠能力がないものであり、この「領事証明」を公安機関が悪用していたのである(23)。

(2)「真実・和解のための過去事整理委員会」の活動と再審
　以上の・委員会とは異なり法律に基づいて活動を開始した「真実和解委員会」は、2005年12月1日から2006年11月30日まで1年間、真実究明申請書を受け付け、調査は2010年まで行われた(24)。被害者本人あるいは関連者が真相糾明を求めることから調査が始まるこの「真実和解委員会」に、本研究のテーマと関連する18件が受けつけられた(25)。すでに「国防部真実委」が捏造と判断した金整司は、予め「真実和解委員会」に申請を行い、また最終的に調査対象にはならなかったが「国防部真実委」から調査を受けた李宗樹も真相糾明を求めた。その他にも、捜査協力者とさせられて保安司で通訳係として勤務してい金丙鎮(26)が、目撃者として申請をした件もある。また、現在大阪を中心に「在日韓国良心囚同友会(27)」を組織して活動している李哲が代表となって、受け付けの最終日である2006年11月30日に同友会の無辜の在日韓国人「政治犯」たちを処罰した事件について真実の糾明と名誉回復を求めた。つまり、個別事件に対する調査ではなく、在日韓国人「スパイ」事件の全体に対する真相糾明を要請したのである。しかし、この時に陳情を出したのは数人にすぎない。なぜならば、代表者が陳情をしても、真相糾明を求める被害者の住所や連絡先などの把握が必要だったからだ。それがゆえに陳情申請者としては、無事に帰日した「スパイ」捏造事件の被害者の内、大阪を中心に連絡を取ってきた同友会の人たちが中心にならざるを得なかった。
　これらの申請に対して、「真実和解委員会」は、2006年から活動が終結した2010年末まで年2回の活動内容をまとめて、1〜10次報告書と総合報告書で確定判決内容を記している。これら報告書と決定通知書によれば、まずは18件全てにおいて不法逮捕・不法監禁下で虚偽の自白を強いられていることが把握され、再審の事由があることが明確になっている。詳しくは、金宇�普A李宗樹、金整司の他2件に対して、拷問など苛酷行為により事件が捏造されたことを明らかにされている。また、4件の事件については事件それ自体の捏造に対する判断は留保しているが、国家の謝罪と再審を勧告している(28)。他に調査開始はしたものの調査中止が3件、事前調査だけが行われて本調査は開始されなかった6件がある。
　ここで注意すべきなのが、一部に真実究明、調査が中止され、あるいは調査そのものが開始されなかった例があるが、それが「スパイ」であると認められたことを意味するわけではないということだ。そうではなく、同委員会の活動期間が延長されなかったため、調査期間が満了してしまい、開始した調査は中止し、開始できなかった調査は、そのまま終わらせられたのである。これは、つぎの李明博大統領の過去事清算に対する見解と姿勢が前任の民主政府とは大きく違ったためである。李政府の登場によって、盧武鉉政府が主導してきた政府レベルでの過去事清算の作業がそれ以上進められない状況に置かれてしまったわけだ(29)。
　活動期間が限定されている委員会が与えられた期間のうちに調査活動を終えるのは、長年真実糾明を待ち望んできた犠牲者、被害者や遺族たちの念願を叶え、歴史的使命を果たす、もっとも緊急の課題である。しかし、李明博政権下で各種の過去事委員会も統廃合を余儀なくされ、任期満了の「真実和解委員会」の委員が過去事清算の大義に反する反民主的な人物へ続々交代させられる中で、委員会の存立それ自体の意義をも失われる状況に置かれている(30)。真実糾明の完結性を期するために、法律が定める範囲内で活動期間を2年間延長するべきだと言う声は受け入れられなかった。また、政治的状況がこのような中で、在日韓国人「スパイ」捏造事件担当の同委員会の一部の調査官が担当事件を棚上げして眠らせたり、また担当調査官が提出した報告書が委員会議で書き変えられるということも起きた。ついに待ち切れなくなった5人の在日韓国人「スパイ」捏造事件の被害者が、調査活動終了まで半年を残す時期にも何の結果も出さない委員会を2010年5月に訪問して、速やかな真相究明を要請している(31)。しかし、これら全ての声を無視し真実究明は一部だけに留めて、調査は中止となってしまったのであった。

２.再審の経線と事件の概要

(1)再審請求に至るまでの経緯
　2012年5月7日現在、表1のように、上述した委員会からの調査結果を踏まえた再審請求で、すでに無罪が確定した4人と確定判決を待っている7人以外に、各委員会から何らかの結果が出た16人と、「真実和解委員会」に調査を申し込んでない4人が、再審に取り掛かっている(32)。委員会から再審の勧告があった人は勿論、委員会の調査を受けていない人も、上述した再審の事由となる、令状なしに行われた強制連行と不法拘禁、そして拷問と陵虐行為を受けており、保安司関連の事件は捜査権のない民間人への捜査事実、過去の有罪判決で認められた犯罪事実が捏造されたことを示す明白な証拠などがあるため、再審を申請しているのである。
　この22人の中には過去の裁判で公訴事実を仕方なく認めた人もいるが、それが拷問などによる虚偽自白であったため再審が可能になった。孤立無援の窮地に陥った状態での虚偽自白は任意性が認められないため、証拠として使えない。検事の取り調べや供述書作成においても同様な任意性のない心理状態が続いていて、それがなくても同一の内容の自白をしたかを疑うのに十分な理由があるからである。しかも自白以外に他の証拠がない場合には、その自白が虚偽かいなかにかかわらず再審は可能になるのである。このようなことから韓国から再審を起した金宇�譜ﾈ外にすでに21人が再審を決心しているわけだが、このように意志を固めるまでは、いくつかの展開と動きが存在した。

表1．在日韓国人「スパイ」捏造事件再審現況――逮捕時期と捜査機関、渡韓目的別

	操作担当機関			合　　計	渡韓目的
	中情・安企部	保　安　司	治安本部		留　学	商　用	家族訪問
1970年代合計	7	7	1	15	10	2	3
1971	0	1	0	1	1	1	0
1973	0	1	0	1	0	1	0
1974	1	1	0	1	0	0	1
1975	5(33)	2	1(34)	8	7	0	1
1977	1	3	0	4	3	0	1
1980年代合計	0	7	0	7	4	3	0
1981	0	1(35)	0	1	0	1	0
1982	0	2	0	2	1	1	0
1983	0	1	0	1	0	1	0
1984	0	3(36)	0	3	3	0	0
総計	7	14	1	22	14	5	3