| 《2007年度・報道資料ファイル》 《福祉有償運送セミナー開く/関西STS連絡会》(『東京交通新聞』2007.11.19) 関西STS連絡会とNPO全国移動サービスネットワークは11日、大阪府福祉人権推進センターで「福祉有償運送セミナー」を開催。国土交通省自動車交通局の藤田耕三旅客課長が「自家用有償旅客運送の現状と課題」をテーマに講演したほか、各地の有償運送の現場から報告があった。行政、福祉タクシー事業者、移動送迎NPO、介護事業者、社会福祉協議会など82団体から105人が参加した。
現場からの報告は、大阪府健康福祉部の中村光延主査が「大阪府の福祉有償運送に係る運営の現状況」、三重県健康福祉部の盆野行輝主査が「三重県の福祉有償運送普及促進支援事業の模索」、全福協近畿支局大阪支部の黒田司郎理事が「大阪福祉タクシー総合配車センターの事業計画」、パーソナルサポートひらかたの長尾祥司理事長が「枚方市・共同配車センター事業(福祉移送サービス)の現況と課題」をテーマに、それぞれ現状や課題を述べた。 藤田旅客課長は、昨年10月の改正道路運送法施行により、自家用有償旅客運送が「登録制」に移行するまでの経緯を説明、1年経過した現状と今後の課題に触れた中で、法律は実態に合わせた見直しが必要との認識を示し、通達等による要件緩和など検討していく方針を述べた。 《要介護者らの“足”なお不足/新規参入わずか5団体/利用者制限の「障害」も》(『下野新聞』2007.11.5) タクシーなどの公共交通機関の利用が困難で、介護が必要な高齢者や障害者を非営利団体がより安く車で送迎する「福祉有償運送」が道路運送法で認められ、まる1年が経過した。従来同法の「例外」として運用されていた特定非営利活動法人(NPO法人)などによる移送サービスが晴れて合法化された形だが、県内の実施団体は78団体でこの1年で増えたのは5団体。NPO法人関係者は「需要に対して団体数はまだ少ない」と指摘している。(青木友里)
関東運輸局栃木運輸支局によると、県内の福祉有償運送の登録団体は78(9月末現在)。一年でわずか5団体の増にとどまった。道路運送法違反の「白タク行為」に当たるおそれがあったNPO法人らが高齢者や障害者を移送するサービスを、国は2004年から「例外」許可。昨年10月に施行された改正道路運送法で、運転者に講習を義務づけた上で、タクシーの約2分の1以下の料金で送迎することを認めた。一方、送迎対象者は、原則的に身体障害者や介護保険の要介護または要支援認定を受けている高齢者に制限された。 さくら市のNPO法人は、病院などへ送迎していた「高齢者のうち、介護認定を受けなかった数人の利用を断らざるを得なくなった」という。理事長は「自立していても交通手段がない人たちはいる。断らなければならないのは心苦しい」と表情を曇らせる。県地域包括・在宅介護支援センター協議会が県内で今年5月に行ったアンケートでは、「地域でほしいサービスの種類」では「通院送迎」が95%でトップとなったが、実際に「通院送迎サービスを受けている」という答えは20%以下だった。 30団体が加盟する県移送サービス連絡協議会の菅野忠雄会長(58)は「県内は地域によって交通手段が不足しており、高齢化で特に一人暮らしのお年寄りの外出支援が大きな課題になる。もっと多くの団体に手を挙げてほしい」と訴える。 《移動支援センターが活動報告》(『東京交通新聞』2007.10.8) 「子どもから高齢者までの移動を考える」をテーマに福祉交通セミナーが2日、練馬文化センターで開催、参集したNPO有償運送事業者、タクシー、自治体、学識者らが活発に論議した。分科会では、共同配車などを行う「移動支援センター」を具体化した世田谷区、町田市、杉並区、横浜市の関係者が一堂に会し、今後の展望などを討論した。日本福祉のまちづくり学会などが主催、交通エコロジー・モビリティ財団、練馬区、全国移動ネットなどが共催、年1回大規模討論会が行われている。
首都大学東京の秋山哲男教授が「福祉交通の過去と未来」、国交省自交局旅客課の阿部竜矢地域交通政策企画官が「新しい法制度」、兵庫県福祉のまちづくり工学研究所の北川博巳氏が「高齢ドライバーの増加と安全運転」、交通エコモ財団の沢田大輔氏が「公共交通機関の教育」について講演。 移動支援センター(STS)の分科会は、世田谷区福祉移動センターの信山重広センター長(つくば観光交通取締役)、町田市福祉輸送サービス共同配車センターの青木一布氏(町田市健康福祉部)、杉並区移動サービス情報センターの久保田康子氏(杉並区保健福祉部)、よこはま移動サービスセンターの大霜恵子氏(NPO法人横浜移動サービス協議会副理事長)が出席、現況報告と課題提示をした。 同会の冒頭、秋山教授が「移動支援センターの設置が全国に行きわたるのは歴史の必然。5〜10年で日本の常識になる」とコメントした。 各センター報告によると、センター機能には相談、取次・配車、研修とあるうち、世田谷が相談、取次・配車、町田が取次・配車、杉並が相談、取次、横浜が相談をメーンに実施するなど、各地の体力に応じた対応をしている。世田谷の信山センター長は登録客600人、月間配車100件の数字を示しながらも「センターを通じたリピーター客が少ない。センターの存在を知らない方も多く、潜在的な新規利用者を掘り起こすため、どう広報していくかが課題」と述べた。 《杉並区》移動に関する相談窓口開設 杉並区は1日、移動に関する相談や情報提供などを行う「移動サービス情報センター」を開設した。 「タクシー会社やNPOなどいろんな移動サービスがあるようだが、サービスの違いが分からない」「車いすを使うようになったが、どうやって病院に行ったらよいか」――など外出に関する問い合わせに答える窓口。当面、相談業務を中心に行い、来年3月から各タクシー会社やNPOへの取次業務も行う予定。 将来的には地域のSTS(スペシャルトランスポートサービス)を目指す。運営は公募により、NPO法人おでかけサービス杉並、同移動サポートひらけごまが共同で実施。タクシー、NPOなど25の協力事業者がいる。 《〈国交省通達〉有償運送の運転者講習/期限超えは「宣誓書」を》(『東京交通新聞』2007.10.8) 国土交通省は先月末、自家用有償旅客運送自動車の運転者要件の取り扱いについて地方運輸局などに通達した。道路運送法施行規則51条の16で規定された運転者要件を満たす期限が9月末となったが、▽運転者の居住地の近隣で必要な種別の講習実施者がない、▽講習定員に余剰がなく受講できない――などの正当な理由がある場合、有償運送の新規・更新・変更登録審査では、来年9月末まで要件を満たす適切な計画があることの宣誓書を当該申請書に添付するよう措置を講じた。 これによる登録者は来年9月末日までの間、運転者要件を満たしていない者を運転させたことを理由とする行政処分は行わないと明記した。 9月末まで有償運送の新規・更新登録を受けている者も、同様の取り扱いとした。ヘルパーによる自家用有償運送(ぶらさがり旧80条)の運転者要件についても、同様の取り扱いとした。 有償運送運転者要件は大臣認定講習などを本年9月末までに受講修了することが義務化されていたが、大臣認定講習実施団体数自体が全国で75団体と少なく、受講できないNPOなどが相当数にのぼっていた。 《<さわやかNPO>障害者や高齢者の「足」に/新たなドライバー・スタッフ確保急務》(『大阪日日新聞』2007.8.19) 守口市発行の障害手帳所持者や要介護認定を受けている人らを対象に、介護車両を使って病院などへの送迎を行っている。障害者や高齢者の「足」として、市民の暮らしを支えている。
1999年、脳梗塞(こうそく)の後遺症に苦しむ人たちを送迎するボランティア団体として発足。高齢社会を迎える中で、支援する対象者を広げていった。市民のニーズは高く、活動を継続していくため、2005年12月にNPO法人の認証を受けた。 送迎を利用するには、事前に会員登録が必要。入会金(1000円)と年会費(2000円)を払って登録すれば、初乗り(2`)200円、それ以降は1`ごとに100円で送迎してもらうことができる。 送迎は予約制だが、当日でもペナルティーなしでキャンセル可能。利用時間は平日の午前9時から午後4時までで、土・日曜日と祝日は原則休日だ。 送迎に使う介護車両は3台あり、いずれも車いすに乗ったまま乗車できる仕様になっている。一般のタクシーと比べ、簡単に乗り降りできるのが特長だ。 180人にも上る会員(利用者)がおり、1日平均10人が利用する。大半が病院へ通うために活用しているが、結婚式や同窓会などに出席するために利用する人もいるという。 特に病院が診察を始める午前9時ごろは、予約が集中する時間帯。代表理事の荒木武士さん(68)を中心に6人のドライバーが、3台の介護車両をフル稼働させて活動する。 全員が携帯電話を使って連絡を取り合い、手の空いているドライ バーが送迎待ちの利用者に対応し、待ち時間が長引かないよう心掛ける。「ありがとう」。利用者からの温かい言葉が、ドライバーを支えるエネルギーだ。活動は活発だが、将来的には不安も抱える。ドライバーの年齢が67〜72歳と高く、新たなドライバー確保は急務。会計や監査など運営を支えるスタッフの増員も必要だ。 家族の協力が得られるよう、ドライバーはプライベートを優先しながら活動に取り組んでおり、荒木さんは「社会貢献につながり、やりがいのある活動なので、ボランティア精神で運営に参加してほしい」と呼び掛けている。(千星和宏)
《=地域公共交通会議=地域ぐるみで交通再構築》(『東京交通新聞』2007.8.13)
2006年10月に市区町村による主体的な公共交通運営を可能にする改正道運法が施行され、協議会組織「地域公共交通会議」の設置が進められている。東京都内では、八王子市、檜原村で協議が進み、新たな交通政策が具体化してきた。千代田区が都内23区のトップを切って秋に設置予定のほか、新宿区も循環バス運行に向け準備中だ。生活路線維持、都市交通活性化、まちづくりなど、行政、住民、学校、事業者、警察など地域総ぐるみで地域交通のリニューアルが行われている。 改正道運法は従来の乗合タクシーやコミュニティバスを法4条に一本化する目的のほか、協議機関「地域公共交通会議」の設置により地域が必要な公共交通を路線、運賃面も含め主体的に計画できる仕組み。 旧21条、80条バスを運行する自治体を中心に設置が進み、4月時点での設置は全国で181市町村。地域公共交通の改善や活性化に精力的に取り組む地域が同協議会を活用し、地域主体の公共交通計画実施に着手する方向性も出ている。 都内では八王子市が4月に設置、7月31日に2回目を開催、年度内に3回目を開く予定だ。2002年に設置した「地域循環バス検討委員会」を発展的に移行、バス会社や労組を加えた。メンバーは市、秋山哲男首都大学大学院教授、ジャーナリスト、バス会社(京王、西東京、神奈中)、東旅協、東バス協、市タクシー合同運営委(八王子交通事業)、地域住民、市民公募者、東京運輸支局、バス・タク労組、都の都市整備局、商工会議所、所轄警察署、国道事務所、建設事務所と30人に膨らみ、“地域ぐるみ”が鮮明だ。「地域全体の道運法上の交通を考える場」と位置づけ、これまで2回は山間部のバス路線存続を協議。市と地域が費用面で負担して存続維持する案をまとめた。 八王子市はバス・タクシー交通の依存度の高い地域。改正法の運用について「会議での合意事項は強い意味合いを持つ。地域交通を地域で活用できるとともに、行政部門での自治体の責任は重くなると感じている」と、まちづくり計画部交通政策室は話す。 武蔵村山市は5月からすでに3回開催。現行の21条コミュニティバス3ルー卜の見直しを協議している。課題や意見を集約、9月の第4回目から具体的な路線計画を立てていく。新年度には“新コニュバス”に生まれ変わる。「新制度で地域ニーズが生かせるようになったと感じる」と同市。 檜原村は6月に設置し、10日に第2回目を開催した。メンバーには横川交通が参加。路線バスの通っていない地域で、路線バスに乗り継ぐための「新交通システム」を計画中だ。自宅からバス停までの乗合タクシーを運行するもので、バスの利用向上にもつなげる。12月から1年間、試行運行する。 千代田区は今秋 千代田区は今秋、東京23区のトップを切って地域公共交通会議を設置する。千代田区、バス・タクシー事業者代表、東バス協、バス・タク労働団体、住民代表、東運支局がメンバーになる予定だ。 同区は100円で誰でも乗れるコミュニティ乗合タクシー「風ぐるま」3ルートを日立自動車交通(足立区、佐藤一意社長)が運行委託を受け、現在は道運法21条(貸切バスの乗合使用)で営業している。 会議は同乗合便の4条への切り替えが目的。担当の福祉総務課は「道運法改正に伴い国土交通省から4条への移行の指示を受けた」と開催理由を説明している。
《〈有償運送再点検検討会〉 実態を把握し改善へ/運営協の情報発信も》(『東京交通新聞』2007.7.2)
国土交通省は6月28日、自家用車有償運送の現状と制度運用を再点検する「フォローアップ検討会」を開催。地方運輸局からの意見として、うまく話し合いが進んでいる運営協議会の情報を発信することや、運転者・運行管理責任者規定の適用猶予期間の延長などが提起された。次回は未定だが、不定期に検討を続け、制度改正につなげる。 2006年12月の初会合に続き、2回目。タクシー業界労使、NPOボランティア、自治体などの有識者で構成。冒頭、藤田耕三・自動車交通局旅客課長は「有償運送は大事な分野。新制度から9ヵ月が経ち、運用に難しい面が出ている。実態を把握し、意見交換しながら、改善していきたい」と述べた。 検討会では、各主体が 現状を説明し議論。運輸局の意見として、「運送の対価がタクシー運賃よりも高いケース、運賃の2分の1程度では運営できないとの声もある。適正な額の判断が難しい」「有償運送が充足してきた場合、必要性の判断について検討が必要」「経過期間中に要件を満たすことが困難。延長を検討すべき」などが出された。 全福協の水田誠、佐藤雅一両副会長、NPOの杉本依子全国移動ネット理事長、河崎民子同副理事長、市川市の冨島淳一福祉部地域福祉支援課主幹、厚生労働省の海老敬子老健局振興課主査らが出席した。 《=交通論壇= 福祉サービスの市場化進展/試される“プロの技”》 慶応大学教授 中島 隆信 (『東京交通新聞』2007.5.28)
交通のバリアフリー化
来るべき本格高齢社会を見据え、交通のバリアフリー化が進んでいる。首都圏を中心に鉄道各社は主要駅でのエレベーターの設置と段差の解消に着手し始めた。こうしたバリアフリー化には、移動が困難で家に閉じこもりがちの人たちに外出する機会を与え、当人の生活の質を高めるとともに、町も活性化させるという二重の効果が期待できる。高齢者や障害者も普通の消費者になれるという発想の転換である。こうしたなか、昨年12月にバリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が施行され、その基本方針に福祉タクシーを現在の倍の1万8000台に増強する努力目標がうたわれた。最近ではタクシーでも車椅子マークを窓ガラスに貼り付け、障害者をお客様として歓迎する雰囲気が出ている。車椅子の片づけなども積極的に手伝う運転手が増え、利便性は以前より向上しているようだ。しかし、大量輸送手段としての鉄道と少人数の乗客を扱うタクシーとでは、そのサービスの内容に大きな差があることも事実である。それはバリアフリーという言葉のもつ意味について明らかといえる。 タクシーの最大のメリットは文字通りドア・ツー・ドアのきめ細やかな輸送サービスである。その潜在的利用者は、時間コストの高い一部の高所得者ばかりではない。物理的に歩行が困難な高齢者や障害者、あるいは乳飲み子を抱える母親なども使いやすい移動手段を求めている。タクシーという存在自体がバリアフリーを軽減する働きをしているのである。 こうした潜在的需要が今ひとつ見えにくい理由は輸送サービスの多くが内製されているからである。障害者がいる家庭では、親などの家族が自家用車による移送サービスを内製している。また、施設ではマイクロバスを購入し、運転手を雇い、高齢者や障害者を移送する。行政もそうした輸送サービスの内製化を、自動車税の免除などの政策によって支援している。 非効率なサービス内製 サービスの内製は車の稼働率を考えれば明らかに非効率であり、需要をまとめた上で市場化の方向へ持って行くことが望ましい。そこで、近年では、いわゆるNPO法人などがボランティアを活用し、移動困難な人たちのニーズに応える形でドア・ツー・ドアのサービスを提供し始めている。完全な市場化とはいえないものの、内製化されていたサービスを第三者が提供するという点では、ひとつの前進といえるだろう。 ところが、こうした動きに対してタクシー業界は必ずしも歓迎ムードではないようだ。需要が顕在化したこと自体は望ましいとはいえ、本来であればタクシーの担当すべき仕事の領域を慈善事業的にやられてはかなわないということなのだろう。民間のタクシー会社にも補助金などの恩典さえ与えて貰えれば高齢者や障害者の移送など立派にやってみせるといいたげに見える。 タクとNPO本来共存 NPOと営利企業のこうした対立は経済学の視点からはきわめて不自然なものに映る。なぜなら普通のビジネスの世界を見れば明らかなように、両者は決して反発し合うものではなく補完的な存在として共存しうるからである。NPOの提供する輸送サービスと競合してしまうということは、タクシーもプロの輸送事業者として所詮はアマチュアレベルに過ぎないことを自ら暴露しているようなものだ。行政の規制に守られ、時間コストの高い客の単なる移動手段と自認し続けてきたために、潜在的な需要を掘り起こし、そこから新たなビジネスモデルを構築していくという習慣が身についていないのである。 「自立支援法」が施行され、今後は福祉サービスも経営という側面がより重視されるようになった。社会的弱者に対して現物支給するのではなく、所得保障をした上で自ら好きなサービスを選んでもらうという形へ移行しつつある。そこで試されるのは市場競争のなかで培ったまさしくプロの技なのである。タクシー業界だからこそ、存在感を示すくらいの積極性をもって欲しいものである。 【著者プロフィル】1983年慶應義塾大学経済学部卒。88年同大学商学助手、91年同助教授を経て、2001年より教授。商学博士。著書に『障害者の経済学』(日経・経済図書文化賞)、『オバサンの経済学』(いずれも東洋経済新報社)など。 『《国土交通省》有償運送運転者講習要領を改正』(東京交通新聞2007.5.14) 国土交通省は8日、自家用有償運送自動車の運転者が必要な講習の認定要領を一部改正する通達を自動車交通局長名で地方運輸局に出した。改正の柱は、@改正道路運送法施行前に旧80条許可を取得した有償運送に従事していた運転者や、改正法施行後の認定前講習を受けた運転者は、簡素化された「代替講習」を受講すればよい、Aセダン車両の運転要件にヘルパー2級資格などを追加、ヘルパー資格があればセダン講習を受けなくてすむ――など。 具体的には、1種免許所持者は、各団体の自主講習が済んでいてヘルパー資格があれば、福祉車両を運転する場合は「代替講習」を受講、セダン車両を運転する場合は受講なしですむ。全福協のケア輸送サービス従事者研修の修了者は改めて講習の必要はない。定期的に受講する「ブラッシュアップ講習」は記述されず、「受講が望ましい」レベルにとどまった。 『《国土交通省》「代替」「ブラッシュアップ」運転者講習で近く通達』(東京交通新聞2007.4.2)
有償運送の運転者に義務付けられる運転協力者講習の要件について、国土交通省は近く通達する。認定講習を圧縮した「代替講習」や、レベルアップを図る「ブラッシュアップ講習」などの取り扱いを示す。道路運送法79条「登録」の有償運送運転者に必要な研修は、一種免許で自主講習修了済みの場合、介護系資格があれば福祉車両の運転は代替講習の受講は必要だが、セダン車両は講習義務はない【表参照】。
『=世田谷区・福祉有償=NPO補助に実績方式/年1000トリップ30万円』(東京交通新聞2007.3.12) 東京都世田谷区は4月からNPOボランティアなどの福祉有償運送サービスに対する補助制度を従来の定額方式から実績方式に転換、新規スタートさせる。実績評価を取り入れるNPO移送サービスの補助制度は全国初とみられる。補助要件は、年間実利用人数30人以上1000トリップ以上をA基準、同20人以上500トリップ以上をB基準とし、最大500万円まで実績比例配分するなど、輸送回数の増減で補肋額が変化するインセンティブの効いた制度とした。同区内8つの道路運送法79条登録団体(旧80条許可)が対象で、2006年度実績を基に申請、審査を経て適用される。 「民間事業者の参画も期待」 東京都は地域福祉振興事業として直接補助を実施していたが、2003年度から@家事・介護サービス、A毎日食事サービス、B移送サービス――は、区の事業を都が間接補助(2分の1)する仕組みに改めた。世田谷区は経過措置が切れる2006年度に区の補助制度を見直した。移動困難者ニーズに対する供給量不足から、区は今後も民間移送サービス団体を支援・拡大する必要があると判断、今回の新補助制度を策定した。 新補助制度は定額補助を改め、一定の基準を満たす団体は必要性の高い経費の一部を補助する一方、福祉有償運送事業運営全般について運営実績に応じ、補助する仕組みとした。補助対象団体の要件は、@区内に事務所があり、事業実績が1年以上、A前年度の年間実績が区民実利用人数30人以上で移送サービス合計が1000トリップ以上(A基準)、▽車両1台の団体等で同20人以上500トリップ以上(B基準)、B年1回研修と団体広報――としている。 補助限度額の総枠は500万円(1団体)。うち実績に応じた事業費は、A基準270万円、B基準20万円。車両購入経費は30万円。固定費用(人件費、車両保険、車両整備、駐車場借上費、事務所借上費、研修・広報費)にかかる上限は人件費の場合、A基準72万円、B基準50万4千円。駐車場借上費の場合、1台当たり各12万円、8万4千円。 トリップ数は片道利用者1人1トリップ、3人同乗3トリップでカウント。実績に応じた事業費の補助額はA基準の場合、年1000トリップだと30万円、3000トリップだと150万円、5000トリップだと270万円となる。 同区内のNPO有償運送団体は世田谷区が提示した新補助制度を了承、4月からの移行が確定。対象団体は12移送サービス団体のうち、社会福祉協議会と1年の活動実績のない3団体を除く8団体。世田谷区は「都の補助制度が変わり、財源が厳しい中、苦肉の策で策定したのが実情。今後、民間事業者の参画も期待しており、来年度以降も今回の制度がそのまま継続するかは決まっていない」(保健福祉部障害者地域生活課)としている。 東京都福祉保健局によると「補助内容の運用は各区の運用に委ねている。実績評価を取り入れた補助制度はこれまでなかったし、2007年度に採用する区の情報は聞いていない」(生活福祉部地域福祉推進課)としている。財政難の折、補助金の効率運用の観点から、実績評価を採用した“世田谷方式”は全国の自治体で注目されそうだ。
『=国交省=育児限定タク・子ども有償運送/制度化見送り回答』(東京交通新聞2007.3.5) 内閣官房が国土交通省に要請していた「育児支援限定タクシー」「自家用車子ども有償運送」の制度化は2月28日、見送りが決まった。自治体や企業などから寄せられた構造改革特区提案を基に両者で折衝していたもので、国交省は最終回答で「子どもの輸送は既存のタクシーで十分対応が可能な分野。すでに普及している形態の取り扱いに差異を設けるのは適当でない」との見解を示した。 内閣官房は有償運送の送迎対象として、現行制度(道路運送法79条)の福祉・介護名目に児童・乳幼児も含まれるべきとし、特区提案にはなかったタクシーについても、参入が緩和されている福祉・介護限定事業(同4条)と同様、育児限定を創設するよう求めていた。内閣官房は「特区になじまないと整理したものではない。今後、実現に向け検討を深める」としている。 育児支援タクシーは制度上の位置づけや国の支援策がなく、子ども有償運送も認められていない。国交省は回答で「少子化対策として子どもを保育しやすい環境を整備することは重要な課題だが、運送は保護者の時間的制約などが問題にある。社会ニーズに追いつかないため独自の制度を設けている福祉輸送とは異なる」とした。当面、運転者養成カリキュラムを策定(来年度予算施策)する方針だ。 内閣官房は昨年10月、10回目となる特区案募集をし、規制所管省庁との折衝を踏まえ、政府の特区推進本部が採否を決定。子ども運送は奈良のNPOグリーンピープルなどが出した。 『全有償運送団体に届け出求める/東京運輸支局』(東京交通新聞2007.2.26) 改正道路運送法による有償運送登録制度に関して、関運局東京運輸支局はこのほど、法施行の昨年10月以前に旧法80条許可を取得し、新法79条登録者にみなされるNPOボランティア全団体に対し、本年9月末までに「届出書」を提出するよう通知した。19日、世田谷区主催の改正法説明会に出席した東京運輸支局の中村昭俊運輸企画専門官が改めて届出書の提出を求めた。 届出内容は、団体氏名、事務所所在地、運送区域、運送種類などは従来と同じだが、今回、「運送旅客の範囲」を明確に記述することが求められている。具体的には、@身体障害者、A要介護認定者、B要支援認定者、C肢体不自由者、内部・知的・精神障害者――から選ぶ。 『福祉有償運送 運営協設置/新制度以降は8地域』(東京交通新聞2007.1.29)
自家用車有償運送の新制度(道路運送法登録制)が昨年10月にスタートして以降、全国で新設された運営協議会の数は、11月末までの2ヵ月間で福祉運営協が福岡市など8地域にとどまり、過疎地運営協はなかったことが、国土交通省がこのほどまとめた調査速報で分かった。主宰する自治体側の関心やタクシー業界の問題意識は高まっており、今後は増える可能性がある。
まとめによると福祉運営協の設置数は昨年11月末現在、全国505地域。新制度の下、10月に須賀川市(福島)、柏崎市(新潟)、阿賀野市(同)、北山村(和歌山)、福岡市、11月に印旛村(千葉)、御殿場市(静岡)、裾野市・長泉町・清水町(同=広域運営協)の計8地域が発足、初会合を開催した。 福祉運営協の数は構造改革特区として認められた最初期の2003年度に10地域、セダン特区に衣替えされた2004年度は32地域、2005年度437地域、2006年度9月末497地域と推移。高齢社会の移動ニーズの高まりとともに着実に広がってきている。 10月末時点で旧法80条許可(79条登録)団体数は2136、車両数は1万2670台、うちセダンは半数超の6935台。同月中に新規に登録を受けた団体はなかった。
『徹底討論「移動の自由は拡大するか」報告』(報告:全国移動ネット事務局・伊藤みどり) ■日時:2007年1月14日(日)10:00〜17:00 ■場所:友愛会館大会議室 ■主催:NPO法人全国移動サービスネットワーク・NPO法人市民福祉団体全国協議会 ■共催:日本移送・移動サービス地域ネット連合会・NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク ■後援:東京ボランティア・市民活動センター ■参加者:110名 =主な討議内容:以下の通り= ●第1セッション「運転者の研修制度」 パネラー:山本 憲司氏(NPO法人全国移動サービスネットワーク) 柿久保浩次氏(関西STS連絡会) 菅原ふじ子氏(移動サービス・ネットワークみやぎ) 高松志津夫氏(茨城福祉移動サービス団体連絡会) コーディネーター:中根 裕氏(移動支援ネットワークちば) (1)運転者研修概要を正しく理解する(現状の最新情報) 国土交通省の「人材教育に関する委員会」で、一種免許所持者が79条登録団体の運転者要件となる認定講習の内容等が検討されている。その内容が山本氏より以下のように説明された。
これに対するパネリストの活動紹介および問題提起、会場からの質問、意見は以下の通り。 ◎宮城、茨城、関西では、それぞれにネットワークを組み、地域の担い手を増やしたり、サービスの質を高めるために研修を実施してきた。いずれも認定講習として申請中(または認定受けた)。 ・国土交通省から示された標準的なカリキュラムに近い形で研修を受講し、認定の初任者用の講習を受け直さなくてはいけないとしたら、大勢(茨城は県下800人)が受講し直しとなる。強い危機感を持っている。 ◎誰が代替講習で良く、誰が代替講習では駄目で認定講習を受けなおさなければならないか。代替講習は、新しい情報として79条登録制を学ぶ程度の講習なら理解できるが、運営協議会で協議され、80条許可を取得したのに、無効とされるのでは、従前の制度をさかのぼって覆すことになり不条理。 ◎代替講習は認定講習(初任者)の代わりであって、セダンを運転する場合は、代替講習とは別にセダンの認定講習を受けなければならない。既にセダン利用の場合の介助研修も行い、日頃の活動で実践している運転者が、セダン講習を今から追加で受ける必要性が理解できない。 ◎同一県内に3団体くらいずつ認定団体がなければ、認定講習を受講したくてもできない。インストラクターの選定、育成も急務。 ◎ボランティア活動を後退させるような講習のあり方は、見直してほしい。引き続き、委員会に出席している山本さんから、現場の声を国に届けてほしい。 (2)福祉輸送に特化した研修とは何か。認定研修の必要性や2種免との違い。ニーズに対応する(供給を増やす)ことと、安心・安全を追及していくことをどう両立するか。 ◎研修を実施する必要はある。合同の研修で、視野を広げたり、クセや思い込みに気づいたり、利用者に対する接し方が変わったという成果も見られる。しかし、自主的な研修を実施してこそ意味があり、義務づけられて行うものではない。 ◎いい活動をしているから何の規制もいらないとか、経験があるから研修は不要ということはない。しかし、最終的な責任は、移動サービスを実施している団体が負う。実施団体と運転者が責任の重さを自覚することが重要であり、国から義務づけられて行うものではない。 ◎適性検査が必要としている運営協議会もある。受講料が高い、講習を受講しないと運転ができないといったハードルがあると、運転者が増えない。移動サービスは、団塊の世代が最も参加しやすいボランティア活動の一つであり、裾野を広げていくことがニーズに応えるためにも重要。 ◎国土交通省は何を判断基準にして、認定講習を検討しているのかが疑問。安全のみを追求すれば、際限なく義務づけが増える。国土交通省の方向だけでなく、利用者は何をしてほしいかを考えたり、自治体の中でも福祉関係や市民活動の関係部局と協議するなどしながら、どのような講習が適当かを考えていく必要がある。 ●第2セッション「登録の要不要」 パネラー:姫野操子氏(NPO法人移動サービスネットワークこうべ) 竹田 保氏(北海道移送・移動サービス連絡会) 金井信高氏(神奈川県救急医療中央情報センター) 平野征幸氏(さが福祉移動サービスネットワーク) コーディネーター:田中尚輝氏(NPO法人市民福祉団体全国協議会) 金井氏から、登録不要の態様についての概要の説明がなされ、各パネリストの捉え方と対応が示された後、会場を交えての全体討論が行われた。 ◎NPOやボランティアの活動を、業としての輸送行為を対象とした法律で規定することには限界がある。登録不要の態様についての「事務連絡」も、任意の謝礼の範囲を認めることに特化したものとなっている。利用料が、ガソリン代や駐車場代など実費(人件費を除く)を下回るなら運送の対価とは見なさず、登録不要という考え方だけで書かれている。さわやか福祉財団から出されたふれあい切符や施設送迎、月会費制などの類型があるが、残念ながら国にはその一部しか認められていない。 ◎合法化とはいえ、市民による助け合い活動そのものを登録不要として認めるにはいたらなかった。非営利法人が行う活動を裏付ける法制度を確立すること、あるいは特区制度を利用して認められる範囲を広げていく方法が考えられる。しかし、道路運送法上で法制度を確立していこうとすれば、有償無償の線引きはどこなのかという議論が永遠に続く。 ◎ガイドラインが出た時点で、活動が縛られることは想定された。何らかの形で法整備がなされる必要があると考えてここまで来たのだから、要件が厳しいなら緩和するような方向で検討することが必要ではないか。 ◎法制度に基づいて活動していこうとしたら、ガイドラインに乗れない団体が出てきた。法人化できない、利用者が制限されるなどの問題もある。今般、79条登録制となり、さらに状況の悪化が懸念される。タクシーの1/2の対価で行うには、整備する事柄が多過ぎる。ボランティアの交通費も出ない。利用者がだんだん制限されるようになった結果、利用を手控える利用者もいる。認められない利用者には、無償でサービスを行うなどのやりくりをしている。 ◎登録しない方針をとり、ガソリン代のみで活動するのも、一つの方法。社会福祉協議会では、登録をとる団体や無償でのサービス提供に切り替えたり、コーディネートに専念する方向などに分かれつつある。社協には、地域全体を見た判断をしてほしい。 ◎介助料(車を使っても、使わなくても同じ)+ガソリン代で活動している団体が、さわやか福祉財団などの解釈に基づいて登録しないで活動していこうとしたら、外形的には運送の対価と同様と見なされる。国(運輸支局)は登録の要・不要を尋ねられれば、登録が必要と回答する。 ◎国が示した登録の要・不要を絶対と捉えてサービスを変えるのではなく、登録要件のどこが具体的に厳しいのかを考えて、登録できるならすればいいし、必要なサービスは続けるべきである。 ◎登録しなくても参議院の付帯決議をチャンス(風穴)と考えて、助け合い活動の理念を国が認めるような活動を、今後も展開していきたい。 ◎両方の意見があり、両方の運動が必要だが、登録するかしないかは団体の判断と覚悟による。 ●第3セッション「一部改正道路運送法の評価と課題」 パネラー:笹沼和利氏(埼玉県移送サービスネットワーク) 田中尚輝氏(NPO法人市民福祉団体全国協議会) 渡部 勝氏(NPO法人移動ネットあいち) 河崎民子氏(NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク) コーディネーター:武本英之氏(東京交通新聞) コーディネーター・武本氏の論点整理に沿って、パネリストがそれぞれの意見を表明したあと、簡単な質疑応答が行われた。 【論点1:改正道路運送法をどう受けとめ、どう評価しているか】 ◎法制化によって認知が高まったこと、80条許可によって違法行為という危うさがなくなったことは、一応の評価ができる。しかし79条登録制によっては、移動の自由は拡大しない。ガイドラインで十分で、79条登録は行き過ぎ。 【論点2:問題点は何か】 ◎支局は口を出さず、自治体に権限が集まったと言われているが、実際は権限の強弱が実感できない。自治体はどう取り組んでいけばいいのか、分かりにくい。 ◎コストが増大し、利用者負担増につながっている。講習の義務付け等で運転者が減少しつつある。利用者である移動制約者は増加するのに、担い手は増えない。一人当たりの外出の機会が減ってしまう。 ◎外出が拡大しなければ、法制化の意味はない。NPOだけでなくタクシーも含めて問題の解決策を探るなどして、外出機会が拡大できたかどうか、数字を出して検証していく必要がある。 ◎コストを誰が負担するかという問題が、法制化の発端だった。有償無償の別が、ここまで問題を大きくした。しかし負担のあり方については、本来は厚生労働省が主体的に取り組むべき課題だ。移動サービスを行うNPOにとっては、負担のあり方よりも意欲を持って取り組めることが重要であり、意欲がそがれるような法制化に対しては憤りが強い。 ◎本来は、地域レベルで自治体に働きかけて認知を高めるべきだった。国に働きかけたことが、道路運送法で細かく規定されることになったとの見方も否めない。かといって地域に許認可を任せれば、かえって規制が厳しくなるという地方分権の矛盾も出てくる。 ◎新しい公共や共助という考え方からすれば、地域のNPOが良い活動をしていれば、それを市民や自治体が支援していこうという流れができる。それによって利用者の外出機会が増え、担い手が増え、地域が元気になるという構図が望ましい。現在は地域の中で、そういった意識の醸成がなかなか難しい。 【論点3:問題点の解決策はいかに】【論点4:今後のあるべき姿を描く】 ◎地域のNPOが、地域を変えるというアプローチが必要。最低限の移動サービスの位置づけは、国の制度で簡単に行えればそれで良く、それは済んだ。今以上に道路運送法を改正しても、状況は変わらない(むしろ無用に厳しくなる)と予想される。NPOが、たとえば条例で移動サービスや助け合い活動を位置づけるといった努力をしていくべきではないか。様々な地域事情に応じたシステムが必要である以上、これからは地域格差があってもいい時代だ。 ◎移動の問題を社会的に解決していくには、時間がかかる。NPO同士で連帯し、収益のあるNPOが登録のできない小さなNPOを支えたり、地域での議論の醸成を牽引するといった活動を通して、市民活動が自ら力をつけていくことも必要ではないか。そして基礎自治体である市区町村が、当事者としてしっかり取り組むよう働きかけることだ。 ◎市民が考える施策、利用者の声を反映するシステムを、あらゆる方向から提案していくこと。オンブズマン制度や、ADA法のような利用当事者を中心に据えた法律の制定、市民個人税の特定利用(目的税化)といった動きが、日本でも出てきている。 ◎道路運送法で、助け合い活動を保障するのは無理。国に対して細かくお伺いを立てないこと。お伺いを立てれば、規定せざるを得ない。根本的には、ボランティア認知法(基本法)の制定をめざすべきだ。地域で、市民が「お互いさま」の精神で助け合う活動をきちんと位置づけない限り、延々と業界団体との比較で妥協点を探る作業が繰り返される。 ◎法制化された部分を緩和することが、まず必要。子育て支援や介護予防のための高齢者サービスなど、地域では多様なサービスが行われている。利用者の拡大や、講習のあり方等の、課題解決を諮ることが先決だ。 ◎自助・公助では、限界がある。共助の考え方で、課題解決を図っていくことが望ましい。 以上
【報道資料】
『福祉有償法制化に両論 一歩前進/撤退の動きも』(東京交通新聞2007.1.22) NPO法人全国移動サービスネットワーク(杉本依子理事長)と同・市民福祉団体全国協議会(米山孝平代表理事)は東京都港区で「移動の自由は拡大するか? 一部改正道路運送法施行」と題した徹底討論会を開催した。移動サービス関係者や自治体、バス・タクシー事業者約110人が参加した。 討論は、@運転者研修制度、A登録の要不要、B改正法の評価と課題――の3分科会。改正法の評価では「法制化は一歩前進。積極活用すべき」との見方がある一方、「規制でハードルが高まり、移動サービスから撤退する動きが出ている。外出頻度を高めているか危機感がある」「業を規制する道路運送法でボランティア活動を管轄することに無理がある。『ボランティア認知法』を導入すべき」などの意見が出された。 『福祉移動の情報発信/横浜市・NPOが冊子』(東京交通新聞2007.1.15) 横浜市内の福祉有償移動サービス実施団体の情報冊子がこのほど作成された。特定非営利活動法人 横浜移動サービス協議会(岡村道夫理事長)が横浜市と協働で取り組んでいる「よこはまお出かけサポート事業」の一環で発行。自家用車による有償運送実施団体から福祉限定・一般タクシー事業者まで幅広く情報を集約している。 発行趣旨は、@移動困難者がより多い情報を得て、自ら選択できるようにする、A移動実施団体が他団体と連携をとって利用依頼に対応できない際などに活用する――こと。 各区役所別に個別団体情報をファイル形式でまとめており、団体概要(法人種別、住所・電話番号など)、団体構成(活動内容や運転者数など)から利用実績、車両や介助用具の装備状況も盛り込んだ。利用料金関係は、運送料金以外に入会金や介助料まで詳しく載せている。 市の健康福祉局高齢住宅支援課などが市内213団体に情報掲載を呼びかけ、95団体が応じた。内訳は一般タク8、福祉限定タク52、自家用車有償運送35、一般タク関係は神タ協に依頼した。 配布先は、各区役所(18ヵ所)、各区社会福祉協議会(同)など移動サービス実施団体。 「よこはまお出かけサポート事業」は、横浜市協働事業提案制度で横浜移動サービス協議会が提案、本年度モデル事業となっている。昨年10には、移動困難者のための「お出かけ相談室」を開設、今回の冊子が情報発信ツールに加わった。単年度事業に終わらせず、新しい情報を追加・変更して、移動支援の輪を広げたいとしている。 購入希望者には1冊1000円で販売する。購入についての連絡先は、特定非営利活動法人 横浜移動サービス協議会(電話045-212-2863、FAX同2864) 『地域の移動手段確保/多摩市の住民、現地歩きルート手作り「ミニミニバス」提案』(東京交通新聞2007.1.1) 東京近郊の多摩ニュータウンに住む地域住民が昨年11月8日、渡辺幸子多摩市長に提言書を手渡した。住民提案の地域密着交通として、バスでもないコミュニティバスでもない「ミニミニバス」(=乗合タクシー)を運行するよう求めたものだ。“既製品”ではなく、住民にぴったり合った乗り物をハンドメイドでつくろうと、住民自ら立ち上がったわけだ。多摩市は「具体的なコースを求めて、住民の賛同があれば『乗合タクシー』をベースに前向きに検討していきたい」(都市づくり部道路交通課)との見解だ。 提言したのは「地域密着型交通市民ワークショップ」。多摩市とUR都市機構東日本支社多摩事業部のバックアップで2月に発足。メンバー自ら「私の外出日記」をつけて報告会を行ったり、現地を歩いて「移動困難マップ」を作成したり、討論を重ねた。5月には永山近接部で「ミニミニバス」、落合・豊ヶ丘などで「乗合タクシー」の試乗会を行った。最終的に高齢化が最も進む永山駅周辺ルートと、遠方循環ルートの2通りを想定した。 運行はタクシー会社の京王自動車(明本哲夫社長)とNPOボランティアのハンディキャブゆづり葉(杉本依子理事長)が協力した。 提言は5つの柱から成る。@住民の主体的な参加で地域密着型交通(仮称ミニミニバス)の運行を目指す、A同交通の要件は「知恵と力と資金」で運行負担は、例えば団地ごとに住民の合意で決める、Bドアツードアに近いサービスで団地と駅や主要施設を30分以内で連絡し、サービス水準、ルート、システムは住民の知恵で工夫する、C行政、交通事業者などが協働し、実証実験する、Dワークショップが運行受け入れ団地への働きかけなど継続的に取り組む――である。 多摩ニュータウンには路線バスのほか、コミュニティバス(距離に応じた運賃)が2路線走る。しかし、住民は満足していない。「坂や階段のアップダウンが多く、坂の下のバス停に行くまで辛い思いをする。ドアツードアでみんなが使いやすいミニミニバスがあると助かる」と、提言した80代の女性は訴える。エレベーターのない5階建て住棟が多く、5階の高齢者は外出できなくなる不安を抱える。 ミニミニバス提言に至る前段として、2004年度に多摩市とUR都市機構は乗合タクシーの実験「のりタク」(運賃300円)を行った。この時も京王自動車と車いす対応でゆづり葉が協力したが、住民主導の企画でなかったことが反省材料となり、今回の提言につながった。 市「地域住民の発意前提」 ゆづり葉の杉本理事長(移動NPOの全国組織・全国移動ネット理事長も兼務)は「ゆづり葉は福祉車両7台で1日平均20回運行する。多摩市民15万人の2%に当たる3000人が移動困難者とみられ、供給力が全く足りない。いろんな交通機関が協力し合うべきだ」と訴える。 多摩ニュータウンが地場の京王自動車の多摩中央営業所の無線配車回数は、1日700〜1000回と他営業所より多く、ドアツードアのニーズが強いことを裏付ける。「今後、高齢者需要が一層増える見通しだが、玄関先までつけてほしいとの声に応えていかなければならない」という。 提言を受けた多摩市は「地域住民の発意がないと成功しないと認識する。必要な乗り物の運行経費を自己負担する合意があれば具体化できる。市が全額補助することは行政負担が際限なくなり、既存のバス・タクシーへも影響するのでできない。市は初期投資に限り基本は住民自ら行う形が望ましい。ミニミニバスは乗合タクシーに当たると理解するが、前回のセダン型からワンボックス型がふさわしいと考えている」(道路交通課)との見解だ。 市民ワークショップの試算では、1便1800円かかるとして、値頃感の運賃300円に対し平均乗車2人で1便600円、残り1200円ショートするが、コース周辺の住民が月80円拠出すればペイできるという。 団塊世代の高齢者が多いのもこの街の特色。自らの「生活交通」を変革するムーブメントが起きるのか。どちらにしても地域住民の合意形成がポイントとなっており、今年以降、市民ワークショップは呼びかけを強める。 |
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