結核−みくびらずこわがらず−

西村浩子(西成保健センター)


結核菌とはどのようなものか
10年も20年もじっとひそんでいることのできる「しぶとい菌」、結核菌とは、どんなものなのでしょう。
結核菌は、太さ0.3〜0.4ミクロン、長さ1〜4ミクロンという非常に小さなもので棒状の形をした細菌です。細胞壁は「ろう」のような物質を含んでいるため、抵抗力が非常に強いのです。

感染の仕方
体内で何十年も潜伏することができる結核菌は、自分で動くのではなく、患者がせきやたん、くしゃみをしたときに飛び散り、それを周りの人が吸い込むことで感染します。吸いこんだ結核菌は肺にはいりこみ、そこで病巣をつくり、引き続いて発病することもあり、また何十年ものあいだ体内に身をひそめ、ずっと後になって発病することもあります。

結核という病気を知っていますか?
あなたは「結核」についてどれだけ知っていますか。五十年ほど前までは、死亡順位の一位の座を占めていた病気だったこと。
日本はもとより、世界の国々がこの病気の撲滅のために戦ったこと。
今日では、多くの人の長年の努カと生活環境の向上により、大変少なくなりました。そして、1951(昭和26)年には、不名誉な一位の座を脳卒中にゆずり、その座は現在「がん」が占めています。

安心するのはまだ早い
しかし、結核は昔の病気ではありません。「今どき、結核にかかることなんてない」とか「かかっても心配ない」などと思わないでください。みなさんの結核に対する危機感や警戒意識の低下が、結核を再び増加させる原因ともなるのです。
もちろん、結核治療によく効く薬が開発され、短期間に治すことができるようになりました。また、まん延していた頃と比ぺ、若い人がかかることも少なくなりました。けれども一方では、全国で2795人の人が亡くなり、大阪市では186人の人が亡くなっているのです。他の都市と比べても、大阪市は結核で亡くなる割合が高い状況にあります。
結核はまだまだ気を許せない伝染病なのです。

長引くせきやたんがあれば医師へ
結核に感染した人が発病したときでも、どのようにして見分けるのか、本人が医師の診察と検査を受けなければわかりません。肺結核の主な症状は五つありますが、どれもかぜひきの症状に似ています。
風邪と思ったり、せきが長びいたときには必ず医師にみてもらいましょう。
注意したいのは結核がかぜひきの症状に似ていることから、かぜと自分で決めつけて、市販の薬ですませてしまうことです。また、医師がかぜと考えて正しい診断が遅れてしまう場合もあります。この間にも結核菌を多くの人にふりまくことにもなります。とくに二週間以上たっても「せき」が治らないときには、結核を疑って検査を受けることが大切です。

進んで受けよう結核検診
職場や地域で行われている検診を受けることで、結核は発見できます。レントゲン検査で発病が見つかっても、軽いうちならば人にうつすことはありませんし、治療でよくなります。
感染予防のためにも、早期発見、早期治療がなにより大切です。年に一度は、会社の定期健康診断や地域での市民健康診断を進んで受けましょう。(日程等は、各保健センターでお問い合わせ下さい)

結核に対する抵抗カを高めよう
結核にかぎらず、からだの抵抗力が低下すると、外敵を排除しようとする防御カが落ちて、いろいろな病気がおこってきます。とくに、感染性の病気は、この機会をねらって活動しますので、ふだんからからだの鍛練を心がけて、これらの病気から身を守りましよう。とくに、慢性疲労にならないようにしたいものです。

食生活は栄養バランスがとれていること。
睡眠をしっかりとる。
皮膚をきたえる。
外出先から帰ったら、うがいと手あらいの励行を。

中高年齢者も要注意
中高年齢者の結核にかかる率は、若い人に比べたいへん高くなっています。結核イコール高齢者に多い病気ととらえてもよいくらいです。これは、中高年齢者の若い時代に結核がまん延していたことと深い関係があります。
中高年齢者の結核の大部分は結核が何十年も体内に潜伏していて、体カの低下とともに発病したり、再発したりすることによりおこるからです。
高齢化社会に向かい、わが国の結核患者の80パーセント以上が40歳以上の中高年齢者で占められると推測されています。
今後、高齢者の結核に注意をしていかなければなりません。


一番大切な結核の治療

結核の薬の種類と期間
薬の種類や服用する期間は、タンの中に結核菌が出ているかいないかによって決められています。代表的な薬は、ヒドラジド(INT)リファンピシン(RFP)エタンブトール(EB)ストレプトマイシン(SM)ピラジナミド(PZA)です。初めて治療をうける方なら、複数の薬を6〜9ヶ月間飲み続ければ、ほとんど再発することのないほど完全に治せます。結核の薬を単独で使うと、薬に対して「耐性(菌が薬に対して強い性質を持つようになり、薬が効かなくなってしまうこと)」ができてしまいます。
そこで複数の薬を組み合わせて使うのですが、1995(平成7)年から服用する期間を短くする強力なセットとして、「最初の2ヶ月間、PZAを含む4剤」という処方が加えられました。これを含めて下の3つの処方が、多くの場合使われます。糖尿病などの合併症や再治療の場合は治療期間が長くなることがあります。

規則的な服薬が治療の大原則
結核を治す最大の決め手は、毎日きちんと薬を飲み続けることです。このことさえ守れば、安静も栄養も常識的な程度で十分です。

中断や自分勝手な服薬は耐性菌をつくる
薬を飲み始めて1〜2カ月すると、せきや微熱などの症状は治まります。ここで「治った」と早合点して薬をやめると、症状がぶり返したり、あわててまた薬を飲み始めても耐性菌ができて薬が効かなくなっていることがあります。

症状がないのに毎日薬を飲む・・・
これは大変なことです。しかし、症状は消えても、それは結核菌が弱っているだけなのです。だから薬をやめると、菌は再び増殖をはじめます。
しかも一度耐性菌をつくると、もう二度とその薬は使えません。医師から「治りましたよ。薬をやめましょう」と言われるまでは飲み続けてください。

日常生活では次のことに注意しましょう。
酒を飲む人は食事の取り方が少ないために栄養がかたより体力がつきません。またしんどさを酒でごまかすために気がついたときには病気が非常に悪くなっています。また、治療中に酒を飲むと悪酔いすることも多いので飲み過ぎは禁物です。
タバコも気管をいためるので「せき」や「タン」が多くなり害も多いものです。この際、思い切ってやめる努力をしましょう。

結核をなくそう

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