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質疑討論
横石氏の講演をめぐり多くの意見が出されました。主な意見は次のとおりです。
▼民生委員について
質問:「民生委員はどのような権限があるのですか。民生委員がネックになってトラブルケースがあります」
横石さん:「民生委員さんの選考は、地域の各種団体が推薦した人を審査して区として推薦するという形になっています。民生委員さんの仕事は、日常的な相談にのり、福祉事務所や児童相談所に連絡したり、緊急援護資金や生活福祉貸付金の窓口になることです。民生委員さんが自分の考えや地域の声を代弁していわれることがあります。それが皮肉っぽく聞こえたりするのだと思います」
「権限は今は何もないです、貸付金はありますが。ただ、証明権限をもっています。失業しているという無職証明や同居証明を出せます」
質問:「民生委員は報酬あるのですか」
横石さん:「ありません。電話代や切手代として月数千円渡されているが、そのほとんどは地域の民生委員の活動資金としてプールされているので、実際は持ち出しが多いです」
「かつては民生委員のことを方面委員といいましたが、方面委員は生活保護の決定の権限をもっており、今のケースワーカーと同じ仕事をしていました。占領軍の指示でやめることになり、地域の中での助言指導、困っている人の福祉事務所への連絡に変わりました。とはいえ民生委員が困っているといえばその言葉は重いです。民生委員の言葉を前提にケースワーカーは仕事をします」
意見:「僕の個人的な考えですが、民生委員という名誉職的な仕事に行政の仕事の一部をまかせていくのは時代遅れじゃないか。それよりはケースワーカーを増やした方がいい。民生委員が地域の独居老人の家を回ったという話は聞かへん。それよりは自治会の方が食事を配ったりしてよく動いている。民生委員に個人的に悪感情をもたれて、困っているのに困ってへんと役所にいわれたりしたら大変だ。10年、20年したらなくなるのじゃないか」
▼生活保護開始までの期間
意見:「生活保護施設の職員をしています。ウチの施設のある北区では2−3カ月生活実績を積まないと居宅保護にかかれない。そのため3カ月間の生活費も入所中に貯めなければなりません。西成区ではアパートさえ確保できれば直ぐ居宅保護にかかれると聞きました。そのへんのところはどうですか」
横石さん:「以前、北区に私がいるときは直ぐ保護にかけていました。昨年度市更相は敷金支給を297件しましたが、それらは住所地での生活保護に移っている。ただ3カ月という期間は現在地から居住地に変わるという目安ではないか。例えば、外国人の場合、入院して3カ月以上になると入院しているところに登録地がかわります」
意見:「保護を受けて1年半になりますが、受けるとき55日かかった。もう少し早く決定されればと思う」
横石さん:「遅れたことを申し訳ないと思います。どうしてそんなに遅れたのかわからないのですが、私の担当している地区ではだいたい2週間で決定を出しています」
▼障害加算や介護保険などについて
質問:「こんど障害の等級が5級から3級に変更になりましたが、どれぐらいの加算がつくのですか」
横石さん:「18,090円つきます。手帳で確認した翌月から支給されます」
質問:「どの等級の障害でも18,090円はつくのですか」
横石さん:「加算がつくのは3級以上です。18,090円は3級の加算額です。1級と2級は27,140円です」
質問:「障害手帳の1種と2種の違いを教えてほしい。もうひとつ、私は障害の2級なんですが、障害をもっている人が仕事すると、障害をごまかしていると思われないかと不安です」
横石さん:「1種と2種の違いは、JRを利用するときの障害者と介護者の割引率の違いです。また仕事のことは何も問題ありません。重度で働いている人もいます。判定は医学的な判定であって社会的な判断ではありません」
質問:「私はほとんど目が見えません。障害年金と生活保護を受けています。ホームヘルパーの派遣を週2時間ずつ利用したいが、その費用は自分で支払わなければならないのでしょうか」
横石さん:「年齢が67歳ということなので、介護保険の適用を受けます。1割の自己負担は介護扶助で出ます。本人負担額はありません。ホームヘルパーの派遣だけでなく様々なサービスが利用できます」
▼ケースワーカーとのつきあい方
意見:「ボランティアをやっていてケースワーカーに悔しい思いをさせられることがたびたびあります。今ここで苦しんでいる人がいるのに、できるでけへんの説明だけで済ませようとする。近所関係などのごたごたしたことには最初から腰が引けている。ボランティアとの関係も、ケースワーカーだけで全部できるわけがないことは明らかなのに、あからさまに無視する態度をとる。このようなケースワーカーの対応はどういう問題なんだろうかと思う」
横石さん:「自分たちに力がないのが実状です。ただ、地域の関係にはこちらから関われない。できないこともあることは理解してほしい。また、生活保護の流れが生活すべての管理から自己責任の強調へと動いていることも背景にある」
意見:「自己責任の強調といわれるが、すべてを管理するということがまずあるのではないか。生活保護を受けるときの扶養照会が端的だ。都合のいいように使い分けているように見える」
横石さん:「ある部分は管理してある部分は自己責任というのはその通りです。自立助長という考え方があれば常にその人をサポートしていくことになる。また自立助長をどう考えるのかによってちがってくる。まず困っていることに対応して安定した生活を保障するというのが社会保障です。ところがやるだけのことをやってそのあと困ったら保護するという考え方が社会に受け入れられやすい。生活保護法は社会保障の法であるが、救護法のやり方で運用している。私自身も現場ではそのようにしている。今の意見に応えるのは先の先という思いが実感です」
▼お酒とギャンブルのこと
意見:「お酒のことで意見を言います。私は1年半前まで入院していました。生活保護を受けてからお酒をやめアル中はなくなりました。ただ盆と正月は少しやります」
横石さん:「私はアルコール依存症の人に酒を飲んだらあかんとは言いません。飲酒=犯罪という思い方から少しのことでより大きな挫折になることがあります。しかし、飲みだしたら止まらないのがアルコール依存症です。自分を苦しめ他人に迷惑をかけ地獄におちるのか、それとも酒を断った人生を選ぶのかは本人が決めなければなりません」
質問:「ギャンブルはどうですか」
横石さん:「アルコールとちがってからだにはこたえません。しかし、違法行為はダメです。住之江は違法ではないので止められませんが、稼いだお金は収入申告してください」(爆笑)
質問:「金融関係に借金があります。督促が来ているが放っています。どうしょうか迷っています」
横石さん:「借りたものを返すのが原則です。ただ、保護費の中から返していくのはケースワーカーは認めないと思います」
質問:「金融関係の借金のことで保護がうち切られるということはないですか」
横石さん:「それは絶対にありません」
5月27日のセミナーだけでは討論時間が少なかったので、6月17日に『(続)生活保護のしくみと活用の仕方』を太子福祉館で開きました。そこでの討論もあわせて付け加えます。
▼生活保護の流れ
横石さん:「先日、厚生省の援護局長の話を聞く機会がありました。援護局長は個人の責任の強調が世界の流れと言われていました。アメリカでは生活保護は5年期限としているそうです。イギリスでは、稼働年齢層の人に対しては長期の失業給付に似た保障だそうです。
日本でも個人の責任を重視する動きがあります。敷金支給できる条件が今年、15項目から14項目に減りました。15番目のその他の項目がなくなったのです。
また、社会保障制度が段々と整備されてきました。以前は、生活保護でなんでも対応しなければなりませんでしたが、医療保険や年金、老人福祉の制度ができてくると生活保護の役割も変わってきました。
しかし、生活保護が絶対必要な制度だということは誰もが認めていることです。年金も十分ではありません。厚生年金で普通、小さな工場で20年働き続けていたとしても受け取れる額は生活保護費ととんとんです。国民年金だと40年働いたとしても夫婦で12〜13万円です。生活保護費を下回ります。大家族が崩壊し、子どもや兄弟の援助も難しくなっています。高齢化社会の中で最低生活を保障するために、生活保護はどうしても必要な制度です。
▼収入や資産について
横石さん:「収入があった場合は必ず申告してください。8000円までは勤労控除ですが、申告しなかった場合は、故意に申告しなかったということで78条を適用して返還してもらうことになります」
横石さん:「資産に関しては、クーラーの保有は認めています。不動産については、大阪市の場合は評価額2000万円までは所有を認めていました。自動車は認めていません。身体障害者に対しては例外的に認めています。宝石は形見のものは保有を認めています。現金は生活保護費の半分までは認めています」
▼保護の廃止について
質問:「私は生活保護を受けていますが、どんな場合に生活保護の打ち切りになるのですか。私の年齢は65歳です」
横石さん:「65歳以上の人ですと、ほとんどありません。保護を廃止できるのは非常に限られています。ひとつは保護が必要となくなった場合、つまりたくさんの収入があった場合です。ふたつは指導指示に従わなかった場合。みっつは調査を拒否する場合です。これらの場合でも文書による手続が定められています。心配することはありません」
▼アパート契約のときの二重契約書
質問:「アパートの契約のとき仲介業者が二重契約書を作りました。福祉事務所提出用と大家用の二つです。家賃の額を生活保護の基準内と、基準オーバーというように変えています。1年たってびっくりしたのですが、そこは家賃が毎年5%ずつ上がっていくのです。それでケースワーカーと相談して転居しようと思ったら、管理会社が補修費として6万8000円支払えと言ってきました。契約書をよく読んでみると、福祉事務所用は保証金となっているのが、大家用は礼金とされ、退去時には6万8000円支払わなければならないと書いてありました」
横石さん:「二重契約書の件についてはウチも困っています。すでにそこに住んで生活しているので今さら保護を取り消せません。仲介業者に注意しています。
家賃が生活保護の基準をオーバーしたならば、低額の家賃のアパートに移ればいいです。転居のときの敷金は出せます。解約のときの補修費については、福祉事務所に出した契約書にそれが書いていないなら支払う必要はありません」
▼入院のときの家賃
質問:「入院したとき家賃はいつまで出るのですか」
横石さん:「6カ月間支払われます。6カ月目にケースワーカーが病院に問い合わせ、3カ月以内に退院見込みがあるときはあと3カ月出ます。3カ月以内の退院見込みがないときは6カ月目で打ちきりとなります」
質問:「荷物はどうなるのですか。また最初から買いそろえていかなければならないのでしょうか」
横石さん:「3カ月間だけ保管料は出ます。ただその額は約2万円なので保管は実質的に無理です。荷物をひきあげるお金は出ます」
▼盗難のときの再支給について
質問:「生活保護費を盗られた場合、再支給はあるのですか。紛失した場合と、強盗にあった場合とそれぞれどうなんでしょうか」
横石さん:「再支給はあります。以前は警察の受理証明があれば大阪市長の許可を得て再支給できました。数年前から本人の過失が大きい場合は再支給しないとなりました。強盗にあった場合は、本人の過失というよりも事件ですので再支給できます」
▼クーラーの購入について
質問:「私は心臓病があります。夏の酷暑は心臓病に負担です。医者の診断書があってもクーラーを購入するお金は役所から出してもらえないのでしょうか」
横石さん:「現在のところ無理です。クーラーの保有は認めていますが、購入のお金は出せません」
▼焼け出されたとき
質問:「隣から火が出て類焼でアパートが焼けた場合はどうなるのでしょうか」
横石さん:「区民室がまず対応します。見舞金を出します。アパートをもう一度借りる敷金や家具什器費、ふとん代は福祉事務所が出します。類焼でなく火元であっても出せます」
▼住民同士のトラブルでの転居について
横石さん:「住民同士のトラブルによる転居は敷金支給の対象になりません。例えば、隣が水商売の人で夜遅く帰ってくる。その物音で起こされて寝られない。そういう生活のリズムの違いが引き金になってトラブルになることがあります。福祉事務所としてはよく話し合って解決してくださいとしか言えません」
▼外国人の生活保護
質問:「外国人でも生活保護は受けられますか」
横石さん:「不法滞在者でなければ受けられます。ただ、生活保護法は日本国民と限定しています。昭和21年制定の旧生活保護法は日本国民と限定していませんでしたが、いまの法律では日本国民と限定しています。日本の国として保障する義務はないけれども、人道的立場から『恩恵』として保護するとなっています。ですから不服申立の権利はありません」
様々な意見が出ました。生活保護をうまく活用していくために参考にしてください。
2000年11月5日発行
さつきつつじ会
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