| 《2006年度・報道資料ファイル》 『=子供有償運送の制度化要請=国交省に内閣官房/育児限定タク創設も』(東京交通新聞2006.12.18) 内閣官房は先週までに、子供を送迎する育児支援タクシーや自家用車有償運送を制度化するよう国土交通省に要請した。NPO(民間非営利団体)の構造改革特区提案を受け両者で折衝しているもので、内閣官房は有償運送の送迎対象として、現行制度(道路運送法79条)の福祉・介護名目に児童・乳幼児も含まれるべきとしたほか、タクシーについても福祉・介護限定事業(同4条)と同様、「育児限定」を創設するよう求めた。国交省では当面、運転者向け養成カリキュラムの策定(2007年度予算要求メニュー)を検討する姿勢。少子化対策が叫ばれる中、一翼を担う育児輸送分野に一段と踏み込んだ施策が求められそうだ。 急速な少子・高齢化を背景に各地で育児支援(子育て)タクシーが広がりを見せているが、現行制度上の位置づけや国の支援策は特にない。子供を送迎対象とする白ナンバー有償運送は認められていない。人口減少局面に入り、共働き世帯の子育てをサポートする育児輸送サービスへの要望が高まっている。 特に子供有償運送の是非をめぐっては近年、内閣官房と国交省との間で数次のやり取りが交わされてきた。国交省は現段階で、有償運送の対象をバス・タクシーなど公共交通だけの対応では困難な障害福祉・過疎地に限るとの姿勢を崩していない。内閣官房は今回、タクシーの活用にも及んで同省に対処を促した。 要請では、@福祉有償運送の趣旨はそもそも要介護者などに対する移動手段の確保。乳幼児など子供も何ら変わらない、A子供の帰宅時間帯は保護者の仕事などの事情により送迎が困難なケースが多い。要介護者などと同様の物理的制約があり、公共性が高いものとして取り扱うべき、B利用者を子供に限定し、最低車両数などを規制緩和した福祉限定タクシーと同様の制度を設けられないか、C利用者を子供に限定したタクシーでは、講習により2種免許の取得を免除できないか――などを求めた。 内閣官房では「子育てはタクシーにとっても新しい分野なのに関心のない地域や事業者が多い。国交省の制度に、1台からの新規参入や都道府県全域とする営業区域など通常の規定より緩和している福祉限定があり、育児面もこの新区分として入れていいのでは」(特区推進室・運輸担当)との見解を示している。 10回目となる今回の特区案募集では「子育て支援事業・子ども送迎のピックアップカー運行(有償運送)」(NPOグリーンピープル=奈良)などが出された。来年2月に採用が決定される見通しだ。 『地域福祉政策が重要/「バリアフリー新法」で説明会』(東京交通新聞2006.12.18) 近畿地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部は11日、大阪市中央区のエル大阪で「バリアフリー新法説明会」を開催した。バリアフリー新法は交通バリアフリー法とハートビル法を一体化させたもの。近畿大学理工学部の三星昭宏教授が講演、国土交通省の担当者が新法の基本方針や円滑化基準の概要を説明した。地方自治体、交通事業者、障害者団体などから800人を超す関係者が出席した。 あいさつした島ア有平近畿運輸局長は「バリアフリー新法は今月20日に施行される。わが国は少子高齢化が急速に進行、かつて経験したことのない人口減少社会に突入する。バリアフリー新法は心のバリアフリーを含め、バリアフリー化の総合的な取り組みの充実強化など、多くの考え方が具体化されている」とし、「趣旨を理解し障害者、高齢者など様々な主体の方々が社会参加しやすい、活力のある社会が維持されるよう、様々な役割を担う組織や人々が相互に連携をし、21世紀のバリアフリー社会の着実な実現に向けて礎となることを祈念する」と述べた。 三星教授は「バリアフリー新法とその発展」と題し講演。旧2法を一体化させ新法成立に至るまでの経緯を概括。新法の基本構想をまとめていく過程で、自治体担当者、事業者、大学教授など各分野で優れた人材が輩出したことは大きな成果だったと指摘した。ことに建設・都市計画コンサルタントが勾配基準等で勉強を深めたとした。 ユニバーサルデザインを描くには、生活者、利用者の目線でものを考える必要があるため、縦割り行政の排除、徹底して当事者参加による街づくりを目指したと述べた。これと関連し地方の時代を進める住民参加の仕組みづくりが行政として問われてくるとし、「地域福祉政策」がキーワードになると強調。「福祉有償輸送」については地域交通としての役割に期待した。 国土交通省総合政策局の大沼俊之交通消費者行政課長補佐はバリアフリー新法の政省令、基本方針の概要を説明。柱として、@対象者の範囲拡充、A対象施設の拡充、B基本構想制度の対象エリアの拡充、C当事者参画のプロセスの創設、D関係者の責務――を挙げた。 対象者は身体障害者だけでなく知的障害者、精神障害者、発達障害者を含むすべての障害者に範囲を拡大。対象施設では道路、都市公園、建築物のほかに公共交通機関では新たにタクシーを加え、福祉タクシーの基準を策定した。関係者の責務では、施策の持続的かつ段階的な発展を国の責務と位置づけ、バリアフリー教室の開催等で「心のバリアフリー」を広げる。地方自治体や国民の責務も明確にした。 この後「公共交通」「道路」「建築物と環境整備促進事業」について、担当者がそれぞれ基準の概要説明を行った。 『=駐車規制=福祉輸送車は除外案/タク、NPOの要望実る』(東京交通新聞2006.12.11)
警察庁は7日、駐車規制から福祉タクシーやNPOボランティア有償運送車両を除外する駐車許可制度の運用見直し案を公表した。除外車両に福祉輸送車両を追加したもので、ホームページを通じ来年1月11日まで意見募集し、来年6月1日までの施行をメドに制度改正する。全乗連や全福協、NPO団体の要望が全面的に受け入れられた。駐車規制は今後、継続して見直すこととし、地域住民等の合意に基づく具体的要望意見について、積極的に検討し、必要な対策を講じることをうたっている。 制度改正案では、除外車両に、@身障者等で歩行困難者が使用中の車両で標章を掲出しているもの及び患者輸送車、Aその他専ら歩行困難者を輸送するための車両で当該輸送に使用中であり、かつ標章を掲出しているもの――を追加。この場合の必要な標章の交付方法を、車両ごとの交付から身障者等の本人に対する交付に改めた。標章の有効期間は原則3年以内。 現在、「駐車禁止除外指定車」の標章は身障者手帳の所持者か家族が所有する車両を対象に交付している。このため民間の福祉タクシーやNPO有償運送車両を利用する時は、駐車規制の対象となっている。制度改正で標章を利用者本人の交付とすることにより、標章を所持していれば乗車した福祉輸送車両は駐車規制から除外されることになった。 警察庁は8日、今回策定した「駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しの概要」をホームページに載せ、意見を求めている。その上で運用見直しを各都道府県警察に指示する。意見提出は、警察庁交通局交通規制課環境対策係まで▽メールchushaiken@npa.go.jp ▽ファクス03-3593-2375 『行きたいところへ行けるように支援するNPOによる移動送迎サービス』(ボランティア活動情報誌コンボ2006.11) 〜NPO法人 移動送迎支援活動情報センター・柿久保浩次さんに聞く〜 障害者や高齢者など、移動に制約のある人の新たな交通手段として、NPO等による移動送迎サービスが社会的に位置づけられるようになりました。主な利用目的は、施設や病院への送迎が中心ですが、買い物やレジャーでの利用もあります。 車いすのまま乗れるだけでなく、料金の目安はタクシーのほぼ半額。利用者は増加し、需要の多さに対し供給が間に合わないのが実情です。事業自体は、責任も重く、維持費等に相当な経費もかかり、送迎事業だけで採算が取れるような運営は難しいですが、移動に制約のある人の社会参加を保障するには不可欠のサービスといえます。 現在、大阪府には、事業の許可を取得した団体が130(大阪市内は16)あります(2006年9月時点)。10月の道路運送法の改正で、これまで許可制だった福祉有償運送が登録制に変わるなど規制緩和が進んでいます。今後は従事するスタッフの研修に力を注いでいきたいと思います。【問合せ/TEL・FAX06-4396-9189】。 『《福祉交通セミナー》子育て支援タク討論/共同配車のあり方も』(東京交通新聞2006.10.30) 今後の福祉交通の戦略をテーマに20、21の両日、世田谷区・砧区民会館ホールで日本福祉のまちづくり学会、交通エコロジー・モビリティ財団、世田谷区などが主催した福祉交通セミナーが開催された。初日、@介護タクシーとNPO、A通院送迎、Bコミュニティバス・予約型交通DRT・過疎地有償運送、C福祉交通計画――の4分科会で討論。2日目午前に8月開設の世田谷区福祉移動支援センターを例に共同配車のあり方を、午後は子育て移動支援をテーマにパネル討論した。 子育て支援サービスの討論では、全国子育てタクシー協会を立ち上げた鎌野氏(花園タクシー社長/香川)が「今の母親は『タクシーは使いにくい』と最初からタクシーを選択肢から外している」と指摘。「子育てサービスの実施により、ドライバーの意識が変化したことが大きな財産となった」と述べた。また「子育て中の母親は全国にいる。全国をネットワークし、各地のタクシー会社にノウハウを伝えていきたい」と強調した。岡野・国交省課長補佐は「育児支援のNPOとタクシーとの連携を深めてほしいし、国交省としても山口県で申請のあった定額制を積極的に認めるなど認可運賃の弾力化を図りたい」と述べた。高橋・宇都宮大学助教授は「子育てする人の支援ではなく、子供がどう育つかを議論した上で、必要な政策をまず国が打ち出し、その上で地域の自治体が対応する手順がよい」と述べた。会場からは、子供や妊婦が4条限定タクシーや79条有償運送の対象になっていないことへの不満が噴出した。佐賀県の移送NPO団体は「空車タクシーの有効活用と、複数乗車の乗合タクシーを増やし、一人の料金を下げれば利用は増えるのでは」と述べた。 世田谷の共同配車センターの討論では、世田谷区の前沢・保健福祉部障害者地域生活課はNPO共同配車のネックである“クロス配車の禁止”について「NPO法は本来不特定多数の開かれた参加が目的。利用会員の限定は法の趣旨に反する。従ってNPOの会員と利用者はイコールであってはいけないはずだ。この辺りの関係を脱却し、『会員限定』の考え方を見直すよう区として国に働きかけたい」との見解を明らかにした。秋山教授は「根本的に車両が足りない。NPOと限定事業者の二つだけでは10年経っても解決しない。一般のタクシー会社にも福祉車両を導入していくべきだ」と述べた。 『=大阪=軽福祉自動車を組織化/福祉共同配車センター構想固まる』(東京交通新聞2006.10.30) 大阪業界で「福祉タクシー共同配車センター事業」の構想が固まってきた。福祉限定許可の軽福祉タクシー事業者を組織化し、自費利用の移動制約者に絞って共同配車を開始する考えだ。先行きは、各地区運営協議会の承認を得たNPO等ボランティア団体の参画も視野に入れている。介護保険や支援費制度の利用者とは切り離すことで「移送」部門の潜在需要の取り込みを図る。ただ実現までには国土交通省の補助金制度との絡み、各地方自治体との調整など様々な難題を抱えている。この構想は22日、大阪福祉タクシー運営協議会(大福協、関淳一会長)の説明会の場で示された。 大福協は「共同配車センター設立」に関する説明会で、三星教授(近畿大学)の基調講演、本田・近畿運輸局自動車交通部が「福祉輸送普及促進モデル事業」説明の後、黒田・堺相互タクシー代表が「共同配車事業構想」を提案した。構想の概要は、@府下で軽福祉タクシー事業者を主体に500移動局程度(当初は300移動局)でデジタルMCA無線基地局を設置、顧客検索システムを活用し、1時間以内の配車を目指す、A予約で可能な場合にはNPO等の選択肢を設け価格統一(タクシー運賃の2分の1程度)し配車する、B基地局は大阪市内のバリアフリー対応テナントビルを賃借、電話受付、配車担当職員は障害者を雇用する――などからなる。 概算したイニシャルコストは、300移動局で算定した場合約4590万円(無線設備3100万円、顧客管理システム1490万円)。これを自治体(府、大阪市、堺市)負担、国交省補助金、配車センター負担で3等分(各1530万円)する。同様に算出したランニングコストは、無線機器リース料、賃借料、人件費などで月額約200万円、年額で約2400万円かかる。センターの運営準備金として入会金230万円(1万円×軽福祉タク230台、現時点の希望事業者数)、大福協一時負担金200万円の計430万円を徴収。センターの運営維持経費として会費など年額2440万円を概算している。 関会長は「地方自治体との兼ね合いもあるが、出来る所から始めていきたい」と意欲を示し、黒田代表は「あくまで自費で乗りたい移動制約者を対象に1時間以内に配車して欲しいという需要に応えるもので、介護保険制度による事前のプランニングによる配車は想定していない。それでも潜在需要はかなりある」とした。三星教授は、福祉タクシーとNPO等で福祉共同配車センターを実施している枚方地区の実情に触れ「規模が小さく予約配車が満杯状態にあるため、料金(運送対価)面はあまり問題になっていない」と述べた。 『有償運送登録制スタート/タクが「主役」明確に』(東京交通新聞2006.10.23) タクシー・バス事業を所管する道路運送法にNPOボランティアの有償運送が盛り込まれ、10月から新しい福祉輸送サービスの制度がスタートした。制度はNPOボランティアの有償運送を登録制で規定する一方、福祉有償運送の対象をタクシーなどの公共交通機関の利用が困難な移動困難者と規定するなど、地域の福祉輸送はタクシーが主役でNPOボランティアは補完として位置付けている。高齢社会に突入し、全国で移動困難者が急増する現実に対し、タクシー業界は量的質的にもケア輸送分野への積極拡大政策が求められている。 10月の有償運送登録制は、これまでの2004年3月に通達(ガイドライン)された80条許可の延長線上にあり、例外規定が正面規定に格上げされた。この措置で輸送秩序を目的とする道運法にバス、タクシーと並んで79条にNPOボランティア移送が追加、地域のサービス供給者の“役者”が拡充された形。 今回の制度改正では、タクシーなどによっては十分な輸送サービスが確保できない時を重視してNPOボランティアの有償運送を認めており、国土交通省は「まずプロのタクシー事業者が地域の福祉輸送に率先垂範してほしい」(旅客課新輸送サービス対策室)と、タクシーに期待をかける。 その背景には移動困難者に対するサービス供給量があまりにも少なすぎる実態がある。地域にもよるが人口の3%程度が移動困難者との試算がある。大雑把な計算では日本の総人口が約1億3000万人とすると、移動困難者は390万人にのぼる。 これに対するサービス供給側の数量はタクシー27万台が全部福祉輸送を行い、NPOボランティア3000台が稼働したとして7%にしかならない。秋山哲男・首都大学東京大学院教授によると、スエーデンではSTS(トランスポートサービス)の利用者が人口の4・7%を占める。サンフランシスコの年間福祉輸送量は71トリップで世田谷区の約15倍あり、日本では圧倒的に供給力が不足しているという。 供給力の増強では、今年12月に施行されるバリアフリー新法で福祉タクシーの導入目標が1万8000台に設定された。国交省の調べでは今年3月末現在、福祉タクシーは9699台で2010年度までの向こう4年間で倍増させることがタク業界の宿題となっている。 運営協設置、徐々に進む 有償運送登録制では、NPOボランティアが登録するには自治体主宰の運営協議会での地域の合意が求められている。NPO法人の全国移動ネットが5月段階で調べた結果、全国の運営協は508ヵ所で設置、1643団体が80条許可を了承された。同ネットは「全国1800自治体のうち3分の1以下の設置数はケア輸送の空白地帯を生むことが心配される」(杉本理事長)と調査直後に懸念を表明していたが、10月の制度改正までに設置もあり、1ヵ所も設置がなかった香川県が来月にも全県ベースの運営協を準備するなど徐々に動いている。過疎地運営協が上勝町に1ヵ所しかなかった徳島県も11月2日、四国運輸局と共催で新制度の説明会を市町村に行う。 運営協での議論は従来にまして重要視されている。有償運送に必要な運行管理、整備管理、事故・苦情処理体制などの審査もさることながら、地域の福祉輸送をどうするかといった前向きの議論が期待されている。ここでもリードできるのはプロのタクシー業界。「揚げ足取り的な発言ではなく、建設的な意見やノウハウの提示はプロに学びたい」(自治体関係者)との声は大きい。 対価がガソリン代程度なら登録不要/「謝礼」の範囲か見極め困難 有償運送登録制度で今後、問題が表面化しそうなのが登録を要しないサービスの取り扱い。さわやか福祉財団やNPO団体の要望から、参院国土交通委員会で「好意に対する任意の謝礼にとどまる金銭の授受は有償に含めない」と付帯決議し、国交省が登録または許可を要しない運送の態様を9月末、地方運輸局に事務連絡した。 登録不要の態様に4つあげたが、特に重要なのは対価が実際の運送に要したガソリン代、道路使用料、駐車場代に限定されている場合、登録は不要としている点。国交省が改めて初判断したもので、ガソリン代レベルしか取らない運送は「謝礼」に当たるとの見解を明らかにしたものだ。 現在、NPOボランティア間では「登録制で規制されるならやらない」と一部撤退の動きが出ており、登録しなくても「謝礼」の範囲で従来通りやれるとなると、助け合いレベルの移送ボランティア撤退の動きには歯止めとなる。 しかし、厳密に「謝礼」の範囲かどうか見極めるのは難しいとみられており、「運営協であらかじめ説明して無償団体として承認してもらうなどの方法が必要では」(NPO幹部)といった意見も出ている。 『有償運送登録制滑り出す/タク・NPO、すみ分け課題』(東京交通新聞2006.10.16) 道路運送法改正に伴う自家用有償旅客運送事業が今月スタートした。登録制度を法制化した国土交通省は11日の地方運輸局長会議で新制度を周知し「青ナンバーの福祉輸送と白ナンバーのボランティア輸送とをどうすみ分けるか」など改めて意見交換した。厚生労働省は介護保険と障害者輸送の部局が全国自治体に新制度の円滑な実施を通知した。 NPO法人全国移動サービスネットワークは12月に国交省を交えて新制度に関するセミナー開催を準備するなど、各地で大小の勉強会が予定されている。NPOボランティア団体間では今回の制度化について、制度的な位置付けは評価しながらも、“過剰規制”の色彩が強いとみており、今後の運用をチェックしていく構え。 タク業界では制度の趣旨を理解した上で運営協議会で公共交通機関としての立場を主張していく構えだが、反対だけでは地元自治体やNPOに反発されるとして、移動困難者に対するタク業界のビジョンを提示していくべきとの意見も出ている。東京のタク業界では16日スタートする「東京福祉タクシー総合配車センター」(共同配車)がその具体策の一環としており、福祉限定タクシーをはじめ、一般タクシーも協力する形で青ナンバー事業者が結集して対応する方針だ。 『《介護輸送》法的取り扱い方針を整理/国交省・厚労省 周知期間を1年に』(東京交通新聞2006.10.9) 国土交通省と厚生労働省は10月の道路運送法施行に伴い、介護輸送の法的取り扱いについての方針を整理した。改正法施行後1年間の周知期間を設定、登録制度運用のための体制整備や地方自治体、関係事業者への説明会などを協力して行う。この間はやむを得ない理由で登録できないNPOボランティア等については行政処分と刑事告発の対象とせず、介護保険の請求もできるとしている。国交省自交局旅客課と厚労省老健局振興課、同社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課がまとめた。 具体的には、訪問介護について、@訪問介護事業者等の要介護者等の輸送は道運法4条か43条の事業許可(一般か特定)が原則、ANPO法人等は同79条登録が可能、Bヘルパー等の持ち込み車両は同78条に基づく許可が可能、C訪問介護サービス等に連続した移送は道運法上の許可か登録を求め、これらを受けない事業所は介護報酬の対象としない――と明記。 施設介護については、送迎輸送は自家用輸送を明確化し、道運法許可を受けた旅客自動車運送事業者へのアウトソーシングを促進する。「障害者自立支援法」改正でデイサービス事業廃止や短期入所事業の送迎加算廃止に伴う障害福祉サービス事業者の送迎輸送の取り扱いは引き続き検討するとし、市町村が従来の送迎加算の範囲内の額を給付する場合は当分の間、「自家輸送」として取り扱い、許可事業者への外部委託を促進するとしている。 『《自家用有償》運転者講習の認定要領策定/1年以内の受講義務化』(東京交通新聞2006.10.9)
国土交通省は自家用有償旅客運送自動車の運転者講習の認定要領を策定し、地方運輸局にこのほど通達した。10月の道運法改正で2種免許に代わる大臣認定講習とセダン運転者への乗降介助等の講習がうたわれ、施行後1年以内の受講が義務付けられた。講習は、@市町村、A福祉、Bセダン等の3種類。認定講習を実施したい団体(企業)は講習単位などの要件をそろえ申請(標準審査期間3ヵ月)できる。 全乗連、全福協などによるケア輸送サービス従事者研修は福祉とセダンの大臣認定講習に、日本自家用自動車管理業協会による自家用自動車運転士専門校運転サービス士科は市町村運営有償運送(市町村福祉輸送を除く)と過疎地有償運送の大臣認定講習に、それぞれ準じた扱いとした。 講習の認定基準は、責任体制、経理的基礎、実施計画、個人情報管理などを謳った上で、講習時間(1人最低)は、▽市町村130分以上、▽福祉400分以上、▽セダン400分以上プラス乗降介助等の講義50分以上と演習20分以上――とし、修了証が交付される。 自治体やNPOボランティア団体が現在、自主的に研修を行っているが、大臣認定要件を整備し、申請すれば認定団体として講習を実施できる。 『《有償運送》運営協でガイドライン/「改正道運法」取り扱い方針通達』(東京交通新聞2006.9.25)
国土交通省は10月1日施行の改正道路運送法の自家用車有償運送登録制に関する取り扱い方針について地方運輸局などに22日までに通達した。運営協議会の設置・運営方法を規定する新ガイドラインを新設。有償運送関係の新通達をめぐっては、タクシー業界、NPO移送ボランティア団体、自治体など関係者との調整がぎりぎりまで続けられた。 有償運送関係の運輸局向け通達は、利用者から収受する運送の対価の取り扱い、申請処理方針など。運営協設置要綱(モデル要綱)と運営協の設置・運営に関するガイドラインは、地方自治体に通知。国会付帯決議の「謝礼」の範囲にかかわる登録・許可を要しない運送の態様については近く事務連絡を検討。従来の240号(有償運送)通達とガイドラインは廃止した。 運営協設置・運営ガイドラインによると、協議事項は@有償運送の必要性、A運送の区域、B旅客から収受する対価、C旅客の範囲――など。 運送の対価は、タクシー上限運賃の2分の1を目安に適切な実費に基づく営利に至らない範囲で定められているものとした。対価の取り扱い方針は通達で詳しく明記。運送の対価は「運送サービスの利用に対する対価」とし、運送の対価以外の対価として、迎車料金、待機料金、介助料など列記。運送の対価は距離制、時間制、定額制から選択する。入会金、年会費など専ら団体の活動の維持・運営に当てる費用は原則対価には含めない。 旅客の範囲は、「他人の介助によらずに移動することが困難であると認められ、単独では公共交通機関を利用することが困難な身障者、要介護者、要支援者、その他肢体不自由、内部障害、知的障害、精神障害、その他障害を有する者」とし、発達障害、自閉症、学習障害も含む。 福祉有償運送は個別輸送が原則としながら、透析患者などの輸送では1回の運送で複数会員を運ぶ「複数乗車」を可能と明記、“乗合”を初めて認めた。 運営協の構成は、自治体、バス・タク事業者・団体、利用者、運輸局・支局、バス・タク労組、NPO等、学識者など。合意方法は、あらかじめ運営協の設置要綱に議決方法を定める。合意が必要な事項は有償運送の必要性、更新登録、運送の対価をあげている。 登録後の主宰者(自治体の長)の役割として、相談、違反時の通報連絡、事故処理、利用者の苦情などに対応する連絡窓口を整備するとしている。 登録の拒否条項に必要な福祉車両がないことがあげられており、運営協の議論を踏まえ、運輸支局が判断する。透析患者や精神・知的障害者のみを運送する場合は適用外とした。運転者の確認では、対面に努めるが、対面での確認が困難の場合は電話で必要な指示・確認を確実に実施できる体制を整備するとしている。 『NPOの「福祉有償運送」制度来月スタート/善意の送迎 黄信号』(東京交通新聞2006.9.17) 民間非営利団体(NPO)が高齢者や身体障害者を病院などに運ぶ際、従来なかった規制が新設される。来月1日施行の「福祉有償運送」制度だ。白タク批判の結果だが、タクシー業界は逆に業界参入だと強くけん制。システムづくりでの攻防が続いている。(橋本誠)
「7月いっぱいで送迎はやめました。小さなグループで善意でやってたんですが…」。千葉県で人工透析患者の送り迎えをしていた送迎ボランティア団体の事務局長(67)はうつむいた。 理由は改正道路運送法による「福祉有償運送」制度の導入だ。この団体では、2002年から会員がマイカーを持ち寄り、ガソリン代程度の謝礼で20人ほどの患者を運んでいた。 福祉有償運送の登録にはNPOなどの法人格が必要だが、そのためには数100万円かかる専門車両の購入などが条件となることを懸念。結局、コスト面での壁もあって、サービス中止に追い込まれた。 道路運送法はお金を取って人を運ぶ行為に営業車(青ナンバー)の使用を義務付け、自家用車(白ナンバー)による運送を禁じてきた。しかし、福祉関係者らは1970年代からガソリン代など実費分をもらい、患者らを運び始めた。 その後、高齢化を背景に需要が増し、こうした運用をしている団体は約3000に増加。ところが02年、宮城県警が道路運送法違反で同県内のNPOを摘発。全国の団体に衝撃が走った。 この事件が福祉有償運送制度導入につながったが、改正法によると、団体登録にはNPOや地方自治体などで構成される各地の「運営協議会」の合意が必要。 ところが、全国約1,800市町村のうち運営協議会が設置されたのは500程度にすぎず、運用の細目もいまだ整っていない。というのも、底流で福祉団体とタクシー業界の攻防があるためだ。 改正法の所管官庁である国土交通省では、運営協議会で地域のタクシー事業者の合意を条件とすることも検討されている。 だが、NPO側は「利害関係者に登録拒否権を与えるのと同じ」(東京の「さわやか福祉財団」)と反発。さらに「“白タク”と言われなくなるのはいいが、こういう法律で縛られるのは不本意」(市民福祉団体全国協議会)と、今さらながら不満が渦巻いている。 タクシー業界「謝礼も法対象に」 一方のタクシー業界はここ数年、火の車。利用者が減る中、新規参入を促進する02年の規制緩和で車両が急増しているためだ。 業界団体の一つ、全国乗用自動車連合会は7月、「運営協議会にタクシー事業者を加え、全員の合意を必要とする」「収受する金は謝礼を含め、福祉有償運送の対価とみなしてほしい(謝礼ということで、法の対象から外さないでほしい)」といった要望を国交省に提出した。 他の業界団体も「運転者に普通2種免許所持を義務付けてほしい」(全国自動車交通労働組合連合会)、「タクシー代が高いから乗れないというのは福祉行政の貧困。行政が補助すればいい」(全国福祉輸送サービス協会)などと、規制強化を求めている。 国交省は“開き直り”「もぐり扱いされてしまう」 調整に当たる国土交通省旅客課は「(制度の対象資格となる)NPO法人の認定はそれほど難しくない。それなりの体制をつくらないと、事故のときに連絡や補償ができなくなる」と、法人化の必要性を強調する。 それどころか、運営協議会が少ないという指摘にも「500というのはかなり多い」と“開き直り”とも受け取れる対応だ。国交省は運営協議会の必要性の有無は地域事情によるとしているが、来月以降は協議会抜きには福祉団体による送迎ができない。つまり、国としては「タクシー一本化でOK」とも受け取れる。 関係者の中には「このままでは、善意で送迎をしている人たちが“もぐり”扱いされてしまう」と懸念する声が上がっている。 『《福祉有償》NPO5団体 法制化を前に要請行動』(東京交通新聞2006.9.11)
福祉有償運送法制化の10月実施を前に、全国で移動サービスに取り組むNPOなど全国組織5団体が7日、北側一雄国土交通相に改正道路運送法施行に対する政策提案を行った。法制化による規制強化への危機感から要請行動に踏み切った。安富正文事務次官、春田謙国交審議官、宿利正史総合政策局長にも要請文を手渡した。同日午後、国交省記者クラブで会見、理解を求めた。
5団体は、@財団法人さわやか福祉財団(堀田力理事長)、ANPO法人市民福祉団体全国協議会(米山孝平代表理事)、B同全国移動サービスネットワーク(杉本依子理事長)、C移送・移動サービス地域ネットワーク団体連合会(竹田保代表)、DNPO法人移動支援フォーラム(長谷川清代表)。 提案事項の柱は、▽意見公募手続き(パブコメ)のあり方、▽ボランティア活動の定義と改正道運法の適用、▽福祉有償運送を利用する移動制約者の考え方と運用、▽運営協議会開催から団体登録に至るプロセス――の4点。大臣あての要請は、藤田耕三自交局旅客課長、岡野まさ子同課長補佐らと1時間半にわたる意見交換を通じ行われた。 改正道運法の適用では「謝礼や実費で助け合い活動をしている団体が多いが、これらの団体は省令等の求める要件に適合することは不可能。今の省令案ではこうした活動を社会から抹殺する反社会的措置になる」と懸念を示し、「運用通達で謝礼ないし実費を手交する場合も有償運送には当たらないことを明記してほしい」と求めている。 運営協議会の開催では「地域のタクシー事業者等が合意しないと登録を認めないとの定めは、利害関係者の一方(タクシー)に有償運送が必要かの認定権を与える仕組みで、法の下の平等に反し憲法違反になる」と提起、全会一致とならなくても自治体が最終決定できるよう自治体の権限強化を訴えている。 運送の対価では「タクシーの上限運賃と比較せず、団体の実態に合わせて個々に判断されるべきだ。自家用有償旅客運送とタクシーとは全く別の事業で、実費の範囲としてタクシーと比較するのは何ら妥当性がない」と、タクシーと比較した“2分の1”などの記述廃止を求めている。 =運転協力者の大臣認定講習=基準検討委をスタート 有償運送ドライバーの安全運転を確保するための国土交通大臣認定講習の実施が改正道路運送法に盛り込まれたが、同省は8日、NPOボランティアの運転協力者に対する人材育成整備事業検討委員会(委員長=秋山哲男・首都大学東京大学院教授)をスタート、大臣認定基準の検討に着手した。先行してワーキングが始動。全福協から川村博正副会長代理(バス部会長)、NPOから河崎民子ワーカーズコレクティブケアびーくる代表らが参加している。 運転協力者の要件は、2種免により難い場合はケア輸送サービス従事者研修(全福協など主催)か、移送サービス運営マニュアル運営委員会(NPO)発行のテキスト等によるNPOの自主研修などを修了することが必要となっているほか、NPOの自主講習も認められており、様々な講習が実施されている。 改正法では、@市町村運営有償運送、A過疎地有償運送、B福祉有償運送、Cセダン等運転者――の4つの大臣認定講習を予定。このため講習業務の認定基準を策定することになった。運転協力者と運行管理責任者に対する一段高い「ブラッシュアップ講習」のカリキュラムも策定する。 講習を認定する場合、国以外の第三者が認定を行うことも検討。自動車事故対策機構などが浮上している。全福協のケア輸送サービス研修、全国NPO団体の研修などは認定対象をクリアするとみられる。来年3月までに結論を出す。 道運法施行規則改正で省令公布 国土交通省は7日、道路運送法施行規則改正に伴う省令を公布した。有償運送関係の運送形態として、@市町村運営、A過疎地、B福祉――の3つに分類したほか、運送の対価の基準として、燃料費等を勘案し実費の範囲内であることなどとうたった。 『「お出かけ相談室」開設へ/NPO横浜移動サービス協議会 市と協働でモデル事業』(東京交通新聞2006.9.4) 横浜市とNPO法人 横浜移動サービス協議会(岡村道夫理事長)は本年度、協働で「よこはまお出かけサポート事業」に取り組んでいるが、来月1日から「お出かけ相談室」を同協議会内に開設する。 移動制約者の外出に関する「相談窓口」の役割を担い、福祉移動サービスを実施している有償運送許可団体や限定タクシーなどの紹介も行う。 並行して、市内のサービス実施主体の輸送内容や運賃・料金などの情報をNPO団体、タクシー事業者(一般、限定)を問わず網羅して掲載する冊子を11月をめどに作成する。 移動制約者や関係者に情報を発信し、サービスを選択、利用しやすくする狙いで頒布も予定している。 横浜市は昨年度から協働事業提案制度を始めたが、横浜移動サービス協議会がモデル事業を提案し、本年度実施分で採用された。 同協議会は2000年から活動。相談業務や情報交換、スキルアップのための講習会などを手がけ、2004年NPO法人化、2005年には「福祉移動サービス研修会」が市の有償運送運営協議会から認証された。有償運送も3月許可を受け、実施している。 「相談室」運営はコーディネーターを常置させ、受け付け時間は平日午前10時から午後5時だが、電話・ファクスでは士、日曜日・祝日も対応。「当事者に必要な情報を伝えられる窓口にしたい。サービス依頼があった場合は、ニーズに合った団体をデータベースで探し、あらかじめ対応できるかこちらで詰めた上で紹介し、スムーズに利用できるようにしたい」(山野上啓子事務局担当理事)としている。有償運送許可団体のほか、福祉限定タク事業者、福祉輸送を行つ一般タク事業者もケースに応じて紹介する。 サービス実施主体の『情報紹介冊子』について横浜市の健康福祉局高齢健康福祉部では、「利用者にサービス内容が分かり、選ぶための情報を掲載したい。車両の種類や台数、運賃だけでなく介助料なども含め、きめ細かい内等を考えている」(高橋啓恒例在宅支援課担当係長)。一般タクシーで福祉輸送を行う事業者の掲載希望については、神夕協横浜支部を通じて現在照会している。 『移動送迎を体験学習/女子中学生が将来見据え』(東京交通新聞2006.9.4) 移動送迎サービスってなに?――福祉・介護に興味を持つ女子中学生が夏休み最後の3日間、移動送迎サービスを実地体験した。東京都世田谷区立富士中学校に通う2年B組の寺崎美和さん(13)は、世田谷区立教育委員会の職業体験学習のカリキュラムにより8月29日〜31日、区内のNPO法人ハンディキャブを走らせる会の羽石邦副理事長(78)の送迎サービスを体験学習した。
「移動サービスの存在を初めて知りました」と語る寺崎さんは三人姉妹の次女。上の姉が保育士の勉強をしており、福祉に関心が強い。寺崎さんは、1年生の時に保育を体験。今年度は福祉関係を探していた。副担任の近藤雅子先生が送迎ボランティア発祥の地・都立光明養護学校の送迎にかかわるNPO法人ハンディキャブを走らせる会(福祉車3台・セダン車3台)を寺崎さんに紹介、初めての移動送迎サービスの体験につながった。 初日、透析患者さんなど3人、2日目デイホームなどへ2人、3日目グループデイホームなどへ3人を、羽石さんと寺崎さんで送迎。寺崎さんは実際に車いすも押した。最終日早朝、奥沢の自宅から成城のデイホームまで90歳近いおばあさんを送り、車中、寺崎さんが話し相手を務めた。 3日間マンツーマンで寺崎さんを指導した羽石さんは、70歳から運転ボランティアを始めて8年目。「こうしたらどうか、など何でも意見を言ってください」と羽石さんの投げかけに、「移動中、話しかけたり会話のケアが大事では」と寺崎さん。「話しかけてはいけない方もいる。透析患者の方は病院の帰路は疲れ果ている。話すのも相手次第。今日の人は自分からしゃべる方で、こちらは聞き役でいい」と返した。 初体験の移動送迎サービスについて「家の中までお年寄りを迎えに行くとは想像してなかった。細かい地理を覚えるのが大変そう」と述べる寺崎さんは、最後に「移動サービスのことが分かったが、ボランティアをするにも先ず運転免許を取らないと」と将来を見据える。職場学習は各地で実施、介護タクシー会社での体験もある。移動サービスの担い手誕生となるか――体験学習の影響は大きい。 『=高齢者・障害者の外出支援=「運送サービス」充実を/NPOが交流会 現状と課題探る』(福井新聞2006.9.3) 高齢者や障害者ら移動制約者の外出を支援する「福祉有償運送サービス」について学ぶ交流会(福井新聞社後援)が2日、福井市の県中小企業産業大学校で開かれた。講演や事例報告を通じて、サービスへの理解を深めた。県内の福祉法人や企業でつくるNPO法人・福井移動サービス研究会が、より充実したサービス提供を目指し初めて開いた。自治体や社協、サービス提供者、利用者ら約60人が参加した。 同サービスは介護が必要でバスやタクシーに一人で乗れない人や、公共交通機関がなく車が運転できないお年寄りらを対象に、自治体や社協、NPO法人などが福祉車両で運送するサービス。 県内では坂井市、鯖江市、越前市など7市町で11の社協・NPO法人が実施している。 交流会では、全国移動サービスネットワークの柿久保浩次副理事長が「移動サービスの現状と今後の課題点」と題して講演。今秋にも施行予定の改正道路運送法では、実施申請や登録手続きが複雑化することなどを紹介し、「サービス実施を審査、承認する運営協議会が設置されていない自治体がまだまだ多い。独居老人が増え、頼る人が近所にいないなど社会情勢が変わる中、サービスは必要」などと訴えた。 この後、県内4つのサービス実施団体が、それぞれの活動事例を報告。全国の先進事例紹介もあった。 『 《介護レポート》キーマンが語る、高齢期のシアワセ探し/移動が困難な人々に、旅や観光の楽しみを』 (シティライフEAST 2006.9.1)
2000年の介護保険法や交通バリアフリー法の施行により、高齢者や障害者の外出は少しずつ増えている。しかし、その多くは通院・通所など。茨木市の遠藤さんが始めた「介護付観光ハイヤーサービス」には観光や遊びの要素が盛り込まれ、話題を呼んでいる。●遊び心のある旅を
●移動は人権
【NPO法人アクティブネットワーク代表理事 遠藤準司さん】 27歳で会社を辞め、1997年介護移動サービス事業を起こす。介護保険の訪問看護サービスなどを提供しながら、交通バリアフリー社会の構築をめざし様々な活動にたずさわる。 【お問い合わせ】 NPOアクティブネットワーク 茨木市宮元町1-29 平日9:00〜17:00 TEL 072-626-0911 FAX 072-626-0922 『改正道路運送法10月1日施行確定』(東京交通新聞2006.8.28) 市町村やNPOなどの自家用車有償運送を「登録制」により法制化し、コミュニティバス・乗合タクシーの運賃設定を一部届け出制に穏和する改正道路運送法(有償運送・コミュバス関係改正部分)の政令が15日閣議決定、18日公布され、法の施行日が10月1日に確定した。「運輸安全マネジメント」を規定した道運法改正部分の10月1日スタートが先行して決まっており、「事業者に混乱を招かないよう両法一体の施行が望ましい」(自動車交通局)とされた。
=告示・通達概要案を公表= 10月1日施行の一部改正道路運送法のうち、自家用車有償運送とコミュニティバス関係部分の国土交通大臣告示・通達の概要案が18日公表、有償運送に行政処分・監査制度を創設する規定が盛り込まれた。処分の種類を「業務停止」「登録取り消し」「警告」とするなど、事業用自動車の仕組みを準用した。重大事故を起こした運転者には運輸規則に定める適性診断の受診を義務付ける。概要案には来月7日までパブリックコメント(一般意見)が募集され、同月中に道運法80条通達など現行ガイドラインを廃止、新たに制定される。 運送の対価の基準を「実費の範囲内でタクシー上限運賃などを勘案した目安を定める」、旅客の範囲を「知的障害者など他人の介助なしにタクシーの利用が困難な者」などと明確にする。 福祉有償運送に使用する車種は、@寝台(ストレッチャー)、A車いす、B兼用車(寝台・車いす)、C回転シート型、D一般セダン型――とし、セダン特区を全国化。市町村運営や過疎地にはマイクロバスも容認する。大臣認定運転者講習の内容として、障害の知識や接遇・介護、福祉車の取り扱いなどに関し、一定時間の講義・演習を求める。 国交省では新通達を補完する「Q&A」(問答集)を今回作成せず、改正法成立時の国会付帯決議にうたわれた「謝礼」の明確化は別途規定する方針だ。 『=山口県警=福祉タクに駐禁除外標章を交付「公共性高いと判断」』(東京交通新聞2006.8.14) 6月からの新駐車対策で福祉・介護タクシーのサービスに困難が生じている問題で、山口県警察本部では福祉タクシーに駐車禁止除外標章を交付、6月から現在までに16件の交付実績があることが分かった。福祉タクシー業界では全国的に標章交付の要望が強く、今後の実現への励みになりそうだ。 同県警では福祉タクシーに対する除外標章を1991年から交付している。交通規制課によると、福祉タクシー事業者からの相談がきっかけで「不特定多数の顧客を輸送し、体が不自由な人の移動にも寄与し、公共性があると判断し運用に踏み切った」と説明する。 申請があれば交付する仕組みで、車いす用リフトやストレッチャーなどの積載装置を装備し、運輸支局が福祉車両として取り扱っている車両が対象。標章有効期限は1年。新制度後、制度に対応し申請が相次いだ。NPOボランティアの有償運送も相談があれば検討するとしている。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 道交法改正に伴う駐車違反の取り締まり強化について、医療アクセス権プロジェクト(逢澤詳子代表)は警察庁交通局交通企画課と同交通規制課に対し、通院介護サービス中の駐車違反取り締まりを軽減させる旨の要望書をこのほど提出した。柱は、@「駐車禁止除外車標章」を、現行の「車両」対象ではなく「利用者本人(障害者)」対象に交付してほしい。A通院介護サービス中はその旨を掲示する指導を徹底、通院介護サービス中は20分以内の停車時間を認めてほしい――。逢澤代表は「警察庁にはこれからも現場で上がってきた情報を提供していきたい」としている。 『=福祉有償=全国移動ネット臨時総会/岡野課長補佐が講演「対価基準など通達で』(東京交通新聞2006.8.7) 移動サービスのNPOボランティアが結集する移動サービス市民活動全国ネットワーク(全国移動ネット、約180団体)は7月14日にNPO法人として正式認証されたことを受け、同29日に港区六本木で臨時総会を開催。法改正を踏まえた政策提言などを柱とする事業計画・予算を決め、新たにスタートした。国土交通省の岡野まさ子自交局旅客課長補佐が出席、改正道路運送法と今後の展望について記念講演した。 正式名称は「特定非営利活動法人 全国移動サービスネットワーク」に変わり、理事長:杉本依子(東京)、副理事長:中根裕(千葉)、川崎民子(神奈川)、柿久保浩次(大阪)。事業計画は、有償運送の相談窓口開設、運転者・運行管理者研修会の開催、改正道路運送法解説書の発行、移動サービス団体の立ち上げ支援など。 岡野氏は改正道運法のスキームと省令案を説明、「省令を8月上旬に公布したかったが、政令の関係で遅れている。対価の基準など省令で書けないものは省令公布後、早い段階に通達で示したい」との見通しを示した。質疑応答では「市町村が運営協を設置しない場合、県が設置するよう省令で書いてほしい」「有償運送を乗車定員10人以下に限定すると、知的障害者など大型バスでの乗り合いができず支障が出る」などが提起され、同氏は「実態を確認し、検討したい」などと述べた。 移動サービスネットワークみやぎの菅原ふじ子世話人が、自ら開発した移動サービス支援ソフト『運行管理システム』(価格3万8000円)を紹介した。 『=三星昭宏・近畿大学教授= NPO系の参入容易に/より広域的な連携必要』(東京交通新聞2006.7.31) 『=NPO団体= 福祉有償で意見提出』(東京交通新聞2006.7.31)
移送ボランティア支援組織の「移動支援フォーラム」(長谷川清代表)は28日、有償運送登録制を導入する改正道路運送法(10月施行予定)の省令・通達策定に対し、国土交通省に要望書を提出した。運送の対価や「実費の範囲」、謝礼それぞれの基準を明確化するよう求め、運送対象者は子どもを含め移動制約者の範囲を広げるべきとした。 自治体の運営協議会の開催義務について、住民側が求めた場合は開くこととし、障害の種別ごとの利用者代表を参画すべきと要望。構造改革特区の有償運送セダン型車特区の全国展開では「福祉車両を保有すべきとの意見が聞かれる」とし、セダンのみの運送を認めるよう求めた。 会見した長谷川代表は「改正法のスタートを前に、助け合いボランティアがリタイアしている。事務量など対応しきれない面がある。特に、有償に当たらない個人レベルの移送を救済し、活動をやめなくてもいいとアピールしたい」と訴えた。 通院介護と駐車問題めぐり論議(東京交通新聞2006.7.31) 移動介護サービスの駐停車問題が注目される中、23日に神奈川県社会福祉会館で「通院介護を考える拡大ワークショップ」(横浜第一病院など医療アクセス権プロジェクト主催)が開かれ、6月実施の民間駐車監視員制度が人工透析患者の通院介護サービスに及ぼす影響などについて意見交換した。特別講演では、神奈川総合リハビリテーションセンターの藤井直人室長が移動制約者の輸送の海外先進事例をあげ、タクシーの有効性を紹介した。 NPO移動支援フォーラムの伊藤絵利子事務局長は冒頭、「新しい駐車制度が始まってボランティアの不安や負担が大きくなった。実際に辞めていく団体もある」と厳しい現状を説明。 移動支援ネットワーク千葉の中根裕アドバイザーは「介護タクシーが駐車禁止の取り締まりを受けた話を聞いた。禁止除外指定車の申請もしていくが、利用者を除外指定にする方が合理的では」とした。 『関西STS勉強会で秋山教授「自治体の役割重要に」』(東京交通新聞2006.7.31) 関西STS連絡会(上田隆志代表)は15日、大阪社会福祉指導センターでSTサービスの海外動向と日本の現状をテーマに移動送迎支援の勉強会を開催した。首都大学東京の秋山哲男都市環境学部教授とNPO法人アクティブネットワークの遠藤順司氏が「サンフランシスコにおけるSTサービスの現状」を報告した。 秋山氏は有償運送の「登録制」移行、東京・世田谷区で始まる共同配車センターの動向に触れ「NPO、限定4条、一般タクシーがかなり大きく変わる時期に来ている。NPOの人たちが参入できる材料を提供し、セダン特区を全国展開する。それだけで十分と思う」と述べた。さらに「財源措置や様々な福祉にかかわる制度の見直しに、自治体が責任を持たなければいけない。運営協議会から次の段階へ、各自治体が計画化の時代に入る時期が来ている」と指摘した。 報告で秋山氏はサンフランシスコのADAパラトランジット(個別移送サービス)を紹介。アメリカ国民法で「ADAにおいて交通事業者はパラトランジットを行わなければならない」とされている。 大阪府の有償運送申請は134件(東京交通新聞2006.7.31) 大阪府は福祉有償運送運営協議会6ブロックの許可申請状況をまとめた。それによると、今年3月末現在の総申請件数が134件。法人種別ではNPO、社会福祉法人(社協含む)、医療法人、生協、その他。NPOは70事業所が申請。ガイドラインによる重点指導期間は9月まで延長されたが、4月以降の申請は10件程度にとどまっている。 府は「運営協議会の中では、いけいけどんどんの議論はしていない。運行管理面は実のある形にしなければならないし、運賃設定でも議論が必要だ」(健康福祉部健康福祉総務課)と話している。 『=警察庁が1次回答=福祉タク駐禁除外特区提案/現行規定で対応可能』(東京交通新聞2006.7.31) 警察庁は、乗降介助を伴う福祉・介護タクシー車両を駐停車禁止から除外する構造改革特区提案(日本青年会議所関東地区東京ブロック協議会)に対し、内閣官房に「1次回答」を提出。「交通規制の対象から除く車両は各都道府県公安委員会が定めており、具体的な要望は都道府県警察に相談してほしい」との見解を示し、特区を新設しなくても現行の規定内で対応できるとした。内閣官房は28日、同庁に再検討を要請した。 移送ボランティアが受け取る「謝礼」(スタイペンド)の明確化により無償運送の範囲を拡大する特区提案(NPOじゃんけんぽんなど群馬県内14移送団体)について、国土交通省は1次回答で「利用者の負担が最低賃金以下でも一定額が事前に定められ、自治体の認定を受けているような場合は、任意の謝礼を無償と解することは困難」と従来の見解を主張、採用を不可とした。ただ「有償性の判断は改正道路運送法付帯決議を踏まえ、現場で混乱が生じないよう考え方を示したい」とした。 『=福祉有償= 全国で508運営協設置/移送団体の撤退に懸念』(東京交通新聞2006.7.24) 全国の福祉有償運送運営協議会の設置数が44都道府県に508協議会設置されたが、四国など未設置の地域のあることが全国移動ネット(杉本依子理事長)の調査で分かった【表参照】。 NPOボランティアの道路運送法80条許可取得の猶予期限が9月末に迫り、国土交通省は自治体に運営協設置と移送団体に許可取得の促進を呼びかけているが、自治体の運営協設置の動きが鈍いため、許可が取得できず撤退する団体が出始めている。 各地の移動サービス団体を通じた都道府県別の調査によると、北海道は180市町村のうち150市町村で設置。岩手では65%が設置済み。千葉は56市町村中30市町村、静岡は42市町村中20市町、愛知は64市町村中41市町村で設置済み。 山形は庄内、山形、北村山、置賜の各地域が設置済み。新潟は新潟、上越、魚沼、南魚沼、五泉の各市で設置、柏崎、長岡、糸魚川の各市で準備会が立ち上がっている。富山は設置済みは2市。高知は35市町村中高知、室戸の両市のみ設置済み。安芸市は自治体が直営し運営協の設置と審議を必要としない“金沢方式”。福岡は約40%で設置。長崎は五島市で設置後、長崎、佐世保、諌早の各市が準備中。大分は日田市と大野郡で設置。沖縄は、ぎのわん市で設置。山口、香川、徳島の3県は県下に1ヵ所も運営協が設置されていない。 全国移動ネットの杉本理事長は18日に開催された地域生活交通セミナーの講演で調査結果を明らかにし、「運営協の設置数は1年前の倍にはなったが、2000以上の自治体のうち、まだわずかな設置数。中には相談に行ったところ、4条許可取得の指導をした自治体もあり、移動サービスをやめてしまう団体が出始めている」と懸念を示した。
『=特区提案受け付け=謝礼有償運送を再申請』(東京交通新聞2006.7.17)
内閣官房は、自治体や民間企業などから6月中に受け付けた構造改革特区制度への提案をこのほどまとめた。タクシー関係では、福祉タクシー駐停車禁止除外特区のほか、群馬県内の移送団体が共同で無償運送の“範囲”の拡大(「謝礼」有償運送の明確化)を、経済産業省所管の日本ニュービジネス協議会連合会などが過疎地のタクシー最低車両数緩和を、それぞれ再申請した。 無償運送の範囲拡大は、有償の線引きとしてガソリン代など実費を含む1時間当たり利用者負担額が最低賃金以下の謝礼(スタイペンド)にとどまる場合、道路運送法登録を除外できる考え方。同提案はこれまで採用付加とされてきたが、先の改正道運法国会付帯決議で謝礼運送の明確化が盛り込まれ、国土交通省は現在、省令・通達策定に当たり取り扱いを検討している。 特区提案募集は9回目。採否の決定は9月頃の見通し。 『=駐車取り締まりで千タ協=福祉車の適用除外要望/近く県と公安委に提出へ』(東京交通新聞2006.7.10) 違法駐車の取り締まり強化がタクシー業界に波紋を投げかける中、千タ協(大越会長)が福祉タクシーに限った取り扱いとして適用除外を求める要望書を警察と自治体に提出することになった。乗務員が一時的に車両を離れざるを得ない介護タクシー事業者の間では、早くから業界としての対応が必要との声が出ていた。千タ協は福祉・介護タクシー部会で対応を協議。7日の経営委員会で要望書案が示された。 要望書案では、福祉タクシーが駐車禁止と通行禁止の除外指定を受けられるよう要望。具体的には、@降車後の介護時間を含む実車運行時の駐車禁止区域での除外車両指定の標章交付、A送迎回送を含む実車運行時の通行禁止区域での除外車両指定の標章交付――を求めている。 要望書は前段で、国・県が移動制約者の社会参加を推進していると指摘。移動制約者の交通手段として福祉タクシーが不可欠と事業の公共性を強調。その上で、乗降の際は乗務員の介助が必要になることや、訪問先の駐車スペースの問題などから路上に駐車せざるを得ない状況にあると理解を求めている。 要望書は傘下の福祉・介護タクシー部会を通じて、千葉県公安委員会と千葉県に提出する。 『=新駐車規制=福祉タク除外の声高まる/訪問介護の駐車許可2・6倍』(東京交通新聞2006.7.3) 放置駐車取り締まりの民間委託など新しい駐車対策が施行されて1ヵ月、福祉タクシーなど福祉目的の輸送に対する規制の適用除外を求める声が高まっている。全乗連と全福協は警察庁に実態説明するとともに、制度後の取り締まり実態調査に乗り出す。一部自治体で訪問介護事業者の車両を駐車許可対象としたところもある。警察庁は先月28日、駐禁規制からの除外対象車両の取り扱いについて「業務実態や地方の実情が様々なので、関係業界団体等から要望があれば、必要性などを事情聴取した上で判断する」との見解を明らかにしている。 警察庁のまとめでは、先月1日から15日間の全国の放置車両確認標章取付件数は8万681件で、このうち駐車監視員によるものは27・8%の2万2405件だった。一方、業務内容や社会生活上やむを得ず禁止場所に駐車する場合に、警察署に駐車許可を受けられる許可件数は2万9753件と、昨年1年間の許可件数の約3倍に達した。このうち介護タクシーなど訪問介護事業者等の許可件数が2万803件を占め、1日当たり約1387件、昨年の2・6倍となった。 警察庁が明らかにしたところによると、公安委員会が標章を交付する駐車禁止規制除外対象は、@身障者等の歩行困難者が使用、Aライフラインの緊急修復工事、B消防・救急車、C災害救助用車両――など。警察署長が許可する駐車対象は、@介護保険法に基づく訪問介護事業のため使用、A健康保険法に基づく訪問看護事業のため使用、B5分以内に貨物の積卸しができない引っ越しなど、C冠婚葬祭や応急修理――などとし、基本的には現行で対応できるとの見方だ。 だが、福祉(介護)タクシー、デイサービスの送迎車両、緊急の検体検査の使用車両等について除外対象の問い合わせがあったとし、必要性についての事情を聴取した上で判断するとしている。 福祉タクシーについて警察庁は制度導入前、「一部公安委員会で除外指定対象とする例もあり、対応はこれまで通り」としていた。これに対し、全乗連と全福協は先月20日、宮園自動車など福祉タク事業者と警察庁交通局交通規制課を訪れ、実態を説明。「公共輸送機関であり、障害者や要介護者を安全に輸送する使命がある」と訴え、統一的に除外対象とするよう求めた。 訪問介護事業者等については、厚生労働省労健局振興課が各都道府県に重大な支障やトラブルについて、先月末までに報告を求めているが、「現在、報告はない」(同課)という。 物流関係車両では、警察庁は取り締まりガイドラインに関係事業者からの要望を反映、取り締まりの重点時間帯を設定したり、標章取り付け作業中に運転者が現れた場合は警告にとどめるなど運用している。 『=子育てタク協・パネル討論=タク・NPO連携し信頼感/運賃設定に悩み』(東京交通新聞2006.6.26) 「タクシーが変われば子育てが明るく変わる」をテーマに、17日開催された全国子育てタクシー協会設立記念フォーラム・パネル討論は、育児サポート乗務員の資質レベルや事業収益性、運賃などをめぐり、一般参加者との質疑応答を含め活発な意見が交わされた。 パネラーは鎌野実知子会長(花園タクシー社長)、中橋恵美子事務局長(NPOわははネット理事長)、厚生労働省の度山徹・雇用均等・児童家庭局少子化対策企画室長、国土交通省の岡野まさ子・自動車交通局旅客課長補佐。コーディネーターを香川大学の加野芳正副学長が務めた。 2004年9月、全国で育児支援タクシーの先がけとなった鎌野氏は、これまでの利用実態や収支面について、@300世帯の登録会員には転勤族が多く、200世帯がマンション・アパート住まい、A子供だけの乗車は夕方、保育所から託児所への移動がメイン、B1回乗車平均1000円前後、全体の収入は前年比1割増加――などと披露。「もうけの気持ちはなく、みんなで一緒にやっていることが成功し、利用者の信頼・安心につながっている。乗務員も折り紙や音楽、漫画のキャラクターのシートカバーなど、できる範囲内で努力している」と強調した。 同氏はまた「地域の人に信頼してもらうには、タクシー会社だけで説明するよりNPOと一緒のほうがいい」と助言。盟友の中橋氏は、「転勤してきて友達もあまりいない母親に、乗務員が病院や集会など育児情報を広く教えられるのが究極の子育てタクシーだ」と語った。 岡野氏は同省で実施した育児輸送実証実験の結果を基に、「ニーズは高いが、事業者にとってビジネスベースに乗せるのが難しい。今の制度に障害があれば柔軟に対応し、認知度を高める手助けをしたい」とエール。 基調講演にも立った度山氏は、「昔のような地域の助け合いは薄らいでいる。母親は1人きりの育児を余儀なくされ、ストレスが増大し、外出に不安を訴えている。タクシーが心強い味方になってほしい。NPOとの結びつきは新たな市場開拓を生み、NPOにとっても企業と組むことでニーズを満たすことができる」と連携体制をたたえた。 鎌野氏は「メーター運賃より分かりやすい体系を検討したい。仕事が少ない昼間、車庫で電話を待つより1000円でも売り上げたほうがいい。ドライバーの考えは変わっていく」との見解を示した。 加野氏は「子供料金は半額というのが一般的。ドライバーの資質の問題が大きく、地域によって実態は違うので工夫が必要」と指摘。岡野氏は「付加価値に料金を設けるのにいろいろの形があってもいい。今の運賃でも高いとの声はある」とし、公的財政支援の可能性には「新しい明るいサービスなので、何とか後押ししたい」との姿勢をみせた。 『=新駐車違反取り締まり=福祉現場ヒヤヒヤ活動/配食、送迎 慌ただしく』(読売新聞2006.6.21) 「体調はいかが」。配食ボランティアの山田広嗣さん(66)が、お年寄りに食事を手渡して声をかけると、「ありがとう」と笑顔が返ってきた。今月14日、東京都世田谷区のマンション5階。山田さんは「元気でいてくれた」とほっとした表情を見せた。しかし、安堵(あんど)も一瞬、急いでエレベーターに飛び乗る。向かいに止めた車に戻ると、目の前にミニパトカーが。「セーフですね。本当に怖いな」と山田さんは漏らす。駐車からわずか4分後だった。 山田さんは、体の不自由な高齢者らに食事を提供する市民団体「ふきのとう」(世田谷区)のメンバー。団体では約100人に平日の昼・夕食を提供する。毎日、調理場から5台の車で配送、1台当たり5〜10軒を回るが、駐車はやむを得ず路上だ。 配送時に安否確認も行うため、ベッド脇まで届けることもある。オートロックなどで手間取り、車に戻るまでに5分以上かかることも。「車が気になり、ゆっくり話もできない」と山田さん。ほかの約20人のメンバーも同様だという。 ■ ■ ■
障害者介護などで使われる車には、各都道府県の公安委員会が「駐車禁止除外指定車」の標章を交付し、駐車規制の対象外としている。だが、交付は身体障害者手帳を持つ人や家族の車などに限られ、ボランティアの車は認められない。
また、介護保険法で定められた訪問介護の事業者については、駐車場所を限定して警察署長が「駐車許可」を出すケースもあるが、食事の配送や送迎などのサービスは除外されている。 「ふきのとう」は、同様の活動をする約150団体でつくる「全国老人給食協力会」の事務局を兼ねるが、他団体も頭を悩ませている。平野代表は「配食サービスは公的事業に準ずる。安心して事業ができる環境にしてほしい」と訴える。 ■ ■ ■
腎臓病患者の送迎を行うNPO法人「すずらんの会」(練馬区)は、メンバー17人がマイカーで患者を病院に送り迎えする。歩行困難な患者が対象で、車まで介助が必要なことも多い。
同会の活動も、除外の対象外だ。駐車違反で反則金を科せられた場合、メンバーの自己負担となる。伊藤絵利子事務局長は「リスクを重ねながら活動を続けてもらうわけにはいかない」と顔をしかめる。 福祉、介護団体などでつくる「市民福祉団体全国協議会」(港区)は4月、歩行困難者を運ぶ車を駐車違反の対象外にするよう厚生労働省に申し入れた。 見直しを求める動きに対し、警察庁交通局幹部は「どの車を規制除外の対象とするかは、警察だけの判断ではなく、国民の合意が必要」としており、当面、除外対象を拡大しない姿勢を示している。 『福祉共同配車に“法の縛り”〜世田谷区も軌道修正/クロス配車・統一運賃不可』(東京交通新聞2006.6.19) 枚方市に次いで今夏、共同配車センターの開設を準備中の東京都世田谷区は、「クロス配車」は当面行わず「運賃統一」も見送るなど軌道修正を迫られている。クロス配車と統一運賃が禁じられると、効率性がメリットの共同配車センターの根本機能が低下することは確か。 現行ガイドラインでは、@登録利用者は当該NPOに登録しているため、別のNPOの車両が空いているからといって、それに乗せることができない(クロス配車不可)、ANPOの料金は運営協で了承されたもので、別途センター料金を勝手に設定できない(料金統一不可)――という二重の縛りがある。 このため、タク業界は配車参画対象からNPOを除外し、青ナンバー事業者(一般タクと患者限定)だけでセンター運営する方向に傾いている。 世田谷区では、区が国交省に法的問題を確認した結果、NPO法人間の相互利用は行わず、料金もそれぞれの事業者によることに転換した。ただ、直接配車はできないが、NPOにふさわしい利用者がいれば紹介していくスタンスを取っている。同区の配車センターは当面、青ナンバー事業者が主力になるとみられている。 電話1本で区内のあらゆる送迎サービスにつなぐワンストップサービスを標ぼうする同区の目標が後退したのは事実だが、「今の段階では非効率になっても、違法を行うわけにはいかない。国交省の了解を得られた中で対応するしかない」と苦渋の表情だ。 こうした中、世田谷移動サービス協議会が先月末、国交省と確認した事項が11日の同協議会主催の緊急セミナーで明らかにされた。それによると、同省の回答は、@240号通達(有償運送ガイドライン)では、「会員」とは小規模なNPO団体のサービス提供を受ける特定かつ限定的なものを想定しているため、認定範囲からいくらでも逸脱する可能性がある「一日会員」や「共通会員」を同通達で認めるわけにはいかない。A現実のNPO活動の対象会員が特定的で相互にサービス提供を融通しあっても限定的なものでしかないことは承知している。例えば80条許可団体が会員を共通にすることなどは、地域の運営協で240号通達の範囲で了承すれば合法的な手続きとなる。B全国的な遠地のNPO団体の利用に関しても、実際はそのようなことが行われていることは理解できる。許可要件には入らないが、助け合いの中で行われているのなら、直ぐに取り締まりの対象になるわけではない――というもの。 こうした見解を踏まえ、同区のNPOはクロス配車対策として、利用者の登録を各NPOに拡大する重複登録を検討、改めて運営協の了承を得る方向を模索し始めている。 自治体の役割巡り白熱〜福祉交通の明日考えるセミナー/4氏がパネル討論 タクシーとNPOボランティアが協働する「福祉交通の明日」をテーマに、介護タクシー事業者でつくるNPO全国介護移送協会(会長=黒田司郎・堺相互タクシー社長)のパネル討論が14日、東京千代田区の主婦会館で開催。福祉輸送の“ビジネス化”の意義や運営協議会の問題点など活発に意見が交わされた。パネラーは国土交通省の岡野まさ子・自交局旅客課長補佐、車いすレーサーでパラリンピック銀・鋼メダリストの廣道純氏、NPOワーカーズ・コレクティブケアびーくるの河崎民子・理事長、主催側の黒田会長の4氏。 高校生のときバイク事故で車いす生活になった廣道氏。「米ロサンゼルスでは車いすのまま乗り込めるタクシーが走っている。5jほどの観光サービスもある」と各国交通機関の体験談を紹介し「福祉タクシーは需要がないと経営が成り立たないと思う。ただ、障害者にボランティアが対応するという図式には限界があり、ビジネスにつなげたり、税金など国民が少しずつ賄ったりすべきだ」と訴えた。 運賃と介護料を包括化し割安に 黒田氏は自社サービスの一例を取り上げ「運賃と介護料をパッケージ化し割安にしている。4月の利用回数は前月に比べ倍に伸びた。真剣にやれば業として成り立つ」と強調、「福祉に関心のない経営者がまだ多い。周りのタクシー・NPOを巻き込み、使いやすい交通をつくりたい」と述べた。 「通院・通所など『マスト需要』が圧倒的に多く、社会参加といった『ウォント需要』はなかなか促進されない」と課題を投げかけた河崎氏。地元・神奈川の「新しい公共プロジェクト」に触れ「タクシーとNPOは地域交通を担う仲間。県内福祉輸送を3・3倍に高める目標に向け、いがみ合う状況を打開したい。どんな輸送手段があるか利用者が分かる一元組織をつくり、共同配車も考えたい」とした。 共同配車問題では黒田氏が「国の補助制度を活用したいが、自治体に理解がないと申請できない」と指摘。岡野氏は「NPOが参加しないといけない仕組みではないが、自治体との協調補助なので、自治体が出さないと国費投入できない」と理解を求めた。 自治体に運営協設置義務づけを 運営協議会の現状について、河崎氏は「設置数は全国で約半数が遅延。有償運送をやめたり、道路運送法4条・43条許可(青ナンバー)に走ったりと苦悩している団体が多い」と憂慮し、「自治体に運営協の設置を義務付けできないか」と主張した。岡野氏は運営協設置義務化の是非に、「地方分権の流れの中で国が動くのは時代に逆行する。ただ、安全の確保は地域差が出てはならず一定の基準を決めている。自治体が主導権を握ってほしいとさらに働きかけていきたい」と述べた。 バリアフリー構造に対し廣道氏は、使う側の視点として「地下鉄駅の移動は予想以上に不便。障害者は世間に遠慮して外出しないままだ。バリフリ新法がどれだけ浸透しているか。すべての交通が一体となって変わってほしい」と切望した。 『《ラウンドテーブル》共同配車センター(パーソナルサポートひらかた理事長・長尾 祥司)』(東京交通新聞2006.6.19) 私は「枚方市福祉移送サービス運営協議会」の委員と運営協議会が設置する「小委員会」の委員長を務めています。 枚方市での福祉移送サービスの取り組みが大きな転換期を迎えたのは、「セダン特区」の導入だと言えます。「セダン車はタクシー有り」という「セダン特区」の必要性を疑問視するタクシー事業者からの声は議論の当初から運営協議会で指摘されていました。 通常、移送困難者として想定されるのは車いすやストレッチャー等の利用者で、物理的に福祉車両を使用しなければならない高齢者や障害者が一般的だと思いますが、所得が年金しかなく、タクシーの利用ができない人も多くおり、これらの層もある意味、移送困難者とも考えられます。セダン車両の導入はこういった経済的に課題をもった利用者には非常に大きな意味があります。通院だけでなく、余暇や通学等、より日常的な利用拡大が見込めます。 ただ、議論の中で安易にセダン車両の導入を決定したわけではありません。個人持ち込み車両を無限定に認可すれば、運営協議会公認の「白タク」車両が横行する危惧は当然あります。そこで検討されたのが「共同配車センター」です。 セダン車両導入にあたり、監督・管理が届きやすい福祉移送サービス法人名義の車両を先行認可し、個人車両は共同配車センターの一括登録管理を原則としました。同時に、共同配車センターによる運営協議会認定・ボランティア運転者講習を実施し、市民参加による参加型移送サービスが始まりました。 物理的にバスやタクシーを利用できない場合や、必要性はあっても経済的な課題で利用できない場合等、様々な課題を抱えた高齢者や障害者等の移動困難者に対し、タクシー事業者や福祉移送サービス事業者がそれぞれの地域の中でどういった交通システムをつくるのか模索中ではありますが、共同配車センターはそういった課題の一つの「答え」なのかもしれません。 「自身の客以外は我関せず」ではなく、様々な利用者の課題を共有し、移動を保障するため、タクシー事業者と福祉移送サービス、双方の協力による地域交通のあり方が問われているのだと感じます。 『福祉車は適用除外に」〜民間委託駐車取締り/各地で要望強まる〜』(東京交通新聞2006.6.12) 1日から全国で一斉スタートした違法駐車取締り民間委託制度で、乗降介助を伴う福祉・介護タクシーを除外してほしいとの要望が各地で強まっている。東京や大阪では福祉車両が放置駐車違反とされたケースも出たようだ。 警察庁の井澤和生・交通局交通企画課長補佐は6日の交通政策審議会タクシー将来ビジョン小委員会で、「介護タクシーだけの問題でなく、駐車需要がどれだけあるか、住民の希望はどうかなど全体をみて検討していきたい」と述べ、新たな適用除外車両を探る意向を示唆した。 同小委で関淳一・全国福祉輸送サービス協会会長は、地元大阪で障害者の移送の最中に数件、民間監視員による取締りにあった状況を説明。「府警は現場で調整するとしているが、実際の現場では車両を一緒に取り扱っている。全国的にトラブルが起きているのではないか。受付からベッドまでの付き添いには30分はかかる。福祉車は駐車場に止められない場合もあり、きちんと対応してほしい」と訴えた。 警察庁から出向している松尾庄一・国土交通省自動車交通局次長は、「福祉タクシーや物流輸送に支障があれば、国交省や運輸局レベルで警察当局と協議し、改善していく形で進めていきたい」との姿勢を示した。 『=福祉有償運送登録10月スタート=政省令・通達策定が本格化/「助け合い」基準焦点〜任意の“謝礼”どう定義〜』 (東京交通新聞2006.5.29)
福祉有償運送の登録制を盛り込んだ改正道路運送法が5月12日、参院本会議で成立した。今後、10月スタートの同改正法の運用方法を定める政省令・通達の策定作業が本格化する。運用に際しては衆参両院が付帯決議を採択。@白タク防止、A運営協議会の設置促進と合意形成、B「謝礼」を含む有償の定義と運送対象の明示、C運転者の技能水準と安全性確保――などが運用面でどう反映されるかが焦点となる。 有償運送をめぐる国会論議で北側国土交通相は福祉輸送のパターンとして、@タクシーなどの公共交通機関、ANPOボランティアなどの登録制の有償運送、B登録不要の助け合い――の3グループに分かれるとの見方を示した。 これは国土交通省が福祉輸送サービスの担い手として、許可制のタクシー・バス、登録制のNPOボランティア、任意の助け合い団体――を公式に認定したことを意味し、今後、地域の福祉輸送はこれらの3者の共生をビジョンに描きながら対応することが迫られる。 3者のうち任意の助け合いサービスは、運行主体をNPOや社会福祉法人など認定団体のみを主対象とする現行の有償運送ガイドラインの想定外の事項。北側国交相は国会答弁で登録不要の助け合いサービスについて「有償性の基準を明確にしないと混乱するので、省令・通達で具体的な基準を決めていきたい。これからの高齢社会を踏まえ、自由な移動の阻害にならないようにしたい」と登録不要となる有償性の程度を基準化する考えを示した。 登録不要の任意団体がどの程度存在するかは、タク業界にも関心のあるところ。具体的な基準として、1`30円なら登録不要、1`100円なら登録必要などといったことが検討されている。この問題は任意の「謝礼」の範囲をどう定義するかにかかわってくる。 地域最賃以下を無償扱い提案も 謝礼の定義については昨年、群馬県が地元NPO19団体の意向を受けてスタイペンド(謝礼)特区構想を内閣府に提案、注目された。内容は地元の最低賃金を下回る額を全て謝礼の範囲とし、無償運送扱いしてほしいというもの。 地域の最賃以下を無償とする考えは、福祉分野で発言力のある堀田力・さわやか福祉財団理事長の提唱。結局、この申請は国土交通省が反対し“お蔵入り”となったが、今回の通達化で改めて浮上する可能性がある。
『=有償運送など=改正道路運送法が成立/付帯決議“謝礼”を明確化』(東京交通新聞2006.5.15) 市町村やNPO(民間非営利団体)などの自家用車有償運送を「登録制」により制度化し、コミュニティバス、タクシーの運賃設定を一部届け出制に緩和する道路運送法の一部改正案が12日の参院本会議で可決、成立した。施行は10月1日予定。前日の同国土交通委員会で5項目の付帯決議が採択され、タクシー運賃やNPOの運送の対価に至らない「謝礼」の明確化が打ち出された。“謝礼運送”はガイドラインなどで同法適用外とされるが、範囲は明らかになっていない。有償の線引きが今後の焦点となる国土交通省令・運用通達策定の新たな課題に加わり、同省は立案を急ぐ。 12日の参院本会議では、羽田・国土交通委員長(民主)が道運法関係法案の審議経過について「有償運送の運営協議会や対価基準の明確化などの質疑があった」と説明。投票採決では総数225人全員が賛成した。付帯決議に盛られた“謝礼運送”をめぐっては、国交省のガイドラインなどで、ボランティアの好意に対する任意の謝礼にとどまる額なら有償運送に該当せず道運法上の手続きは不要とされている。ガソリン代程度で、団体会費は含まないなどと解されているが、明確な基準はない。謝礼レベルの収受で同法許可(登録)を要するか否か、移送現場では大きな議論になっている。 国交省は今回の法制化に当たり有償の定義付けを見送り、法案の土台となったボランティア有償運送検討小委員会(自動車交通局長懇談合)でも特に取り上げなかった。付帯決議にうたわれたことで、距離・時間の算定べースのあり方や額の水準など急ピッチで検討に着手する。 謝礼について移送ボランティア側は「運送への報酬なのか実費に過ぎないのかという差異を無視して、すべて有償運送で扱うのは、助け合い活動を制限し、高齢者などの外出の自由を奪う」「改正法では、ガソリン代などの実費を受け取るのにもタクシー事業者との合意が必要となる」と懸念、関係方面に働きかけていた。 また昨年、政府の規制改革・民間開放要望の受けて付けで、移送団体(群馬)が共同で「無償運送の範囲の拡大」を名目に謝礼の明確化を主張。ガソリン代などを含む1時間当たり利用者負担額が最低賃金以下の場合、スタイペンド(謝礼)として扱い、自治体の認定があれば道運法の手続きを除外してほしいと問題提起していた。 国交省は、この時点で「最賃以下でも一定額が事前に定められ認定を受ける謝礼は運送の対価。これを任意の謝礼と解するのは困難」と回答していた。 『=参院国交委=「バリアフリー新法案」可決/人材育成など付帯決議』(東京交通新聞2006.5.1) 交通バリアフリー法(公共交通機関・駅施設)とハートビル法(建築物)の現行2法を統合し、福祉タクシーやLRT(軽量軌道交通)などを新たに位置づける「バリアフリー新法」案が、先月27日の参院国土交通委員会で、全会一致で可決した。人材育成などソフト面の施策充実を柱とする6項目の付帯決議が採択された。参院先議の同法案は連休明けに衆院へ送られる。 この日の審議で北側一雄国交相は、国民の「移動権」の確立について「国の関与の強化や予算など大きな問題がある。法は国、事業者、利用者の責務を明記しており、今後、省令やガイドラインの中で円滑に移動できるようにやっていきたい」との姿勢を示した。 竹歳誠総合政策局長は旅客運賃の障害者割引の拡大に関し「自動車、鉄道など各団体に理解と協力を求めていく」と述べた。いずれも渕上貞雄氏(社民、比例)に答えた。 『=損保ジャパン=有償運送保険を自家用に/料金下がり加入しやすく』(東京交通新聞2006.4.24) 福祉有償運送の制度改革が進む中、自動車保険の取り扱いについて損保会社で動きが出てきた。損害保険ジャパン(東京新宿区)は17日から、セダンやリフト付きのNPOボランティアの有償運送車両、介護タクシーなど訪問介護事業所の80条ぶらさがり車両の用途・車種について「営業用」から「自家用」に変更した。使用実態が自家用に近いのが理由。この改正で保険料が格段に下がり、加入しやすくなる。有償運送を「営業用」扱いしている損保会社が方針転換を迫られそうだ。 損保ジャパンによると自家用扱いの対象は80条許可で、@福祉有償運送車両、A過疎地有償運送車両、B訪問介事業所のヘルパー持ち込み車両――。改正内容は、▽身障者・車いす移動車の小型・普通・乗合=特種(キャンピング以外)が自家用バス(乗車定員11人以上)、自家用乗用車(同10人以下)に、▽同軽=特種(同)が自家用軽四輪乗用車に、▽乗用の小型・普通=営業用乗用A(6大都市ハイヤー)またはC(同以外のハイヤー)が自家用乗用車に、▽同乗合=営業用バスが自家用バスに――変更された。新規契約のほか、異動・中途更改で現在の保険の用途・車種を自家用に変更できる。 有償運送の自動車保険は今年に入り、営業用扱いを提示する損保会社が目立ち、自家用扱いする全労災など一部に契約を切り換えるユーザーの動きが強まっていた。損保ジャパンの対応はそうした動きに歯止めをかけることは確か。他の損保会社は「営業用をお願いしてきたが、制度改正を踏まえ、取り扱いを検討している段階」(あいおい損保)と見直しの動きが出始めている。 『=有償運送=障害者福祉4団体「登録制」省令で意見書/NPO委縮せぬよう』(東京交通新聞2006.4.24) 移送・移動サービス地域ネットワーク団体連合会(笹沼和利代表)、移動サービス市民活動全国ネットワーク(杉本依子代表)、NPO市民福祉団体全国協議会(米山孝平代表理事)、さわやか福祉財団(堀田力理事長)の障害者福祉4団体はこのほど、ボランティア有償運送を「登録制」で位置付ける道路運送法改正案が成立した後の省令・運用通達策定に関し、国土交通・厚生労働両省に共同で意見書を出した。セダン型車両運転者に介護ヘルパー資格を義務化しないことや「謝礼」運送団体の同法適用除外など6項目を要望した。 意見書では「各種規定の整備に当たっては移動制約者サービスが委縮することがないように」とし、タクシーや利用者などを交えた先の国交省NPO等ボランティア有償運送検討小委員会の報告書を尊重するよう求めた。 具体的には、セダン運転者の要件について「ヘルパー資格は将来廃止され、膨大な時間の研修受講が必要な介護福祉士資格に一本化される。運転者に資格取得を義務付けると担い手の大幅な減少をもたらす」と懸念。「利用者やNPO、構造改革特区自治体などの意見を聞く場を設置して、現場の議論をすべき」と訴えた。 運転者研修に関しては、国交省の現行ガイドラインでの例示と「運行管理リーダー・運転者教育体制整備研修」標準カリキュラムを基本として周知、普及させるよう要請した。有償の“範囲”に関連しては、「地域の助け合いとして、わずかな謝金で運送する任意団体が活動停止の状況に追い込まれている。有償運送とは言いがたい団体を排除しないよう救済の道を開いてほしい」と例外措置を求めた。 このほか、複数の自治体による広域運営協議会の制度維持や、自治体職員に対する教育プログラム・研修体制整備などを要望した。 『道運法改正案、衆院国交委で可決、有償運送に質疑集中/連休明けにも成立、省令・通達焦点へ』 (東京交通新聞2006.4.17)
市町村やNPO(民間非営利団体)などの自家用車有償運送を「登録制」により法制化し、コミュニティバス・乗合タクシーの運賃設定を一部届け出制に緩和する道路運送法の一部改正案が、14日の衆院国土交通委員会で可決した。参考人として一橋大学大学院商学研究科長をはじめ、タクシー界労使、NPO代表ら4人が出席、意見が交わされたが、実質審議を1日で終え、全会一致のスピード採決となった。付帯決議がなされ、「運営協議会」の設置促進など7項目が盛られた。法案は18日の本会議に上程、可決後、参院に送られ、5月の連休明けにも成立する見通しだ。今後、国土交通省令・運用通達の策定に焦点が移る。 この日の衆院国交委は、道運法改正案と道路運送車両法関係改正案(リコール制度強化、小型自動二輪車の車検延長など)を集中審議。質疑の多くは有償運送問題に費やされた。 法案自体は可決されたが、新制度は運営協の合意方法をはじめ省令・通達の運用面にゆだねられる部分が強いため、真の移動サービスにつながる仕組みが創設できるか心配する向きが相次いだ。 特に「改正法がNPOに“正規参加”という看板を掲げても、地域の合意がないと登録拒否するといった運用は事業許認可を囲い込む道運法的体質。本来なら法律を組み替えていくべき。道運法上で規定するならタクシーの需給構造や人件費率などの特性をきちんと議論していくことが根本なのではないか」(古賀一成氏=民主)など、規制緩和政策にかかわる問題提起もあった。 北側一雄国交相は「昔のように需給調整をやることではない。利用者にとって便利で安心なものにし、業界にとっては展望が持てるようにしたい」と述べ、交通政策審議会タクシー将来ビジョン小委員会の6月の結論付けを重視する考えを示した。タクシー・NPOの協働については「共存が図れる実効ある制度にしたい」と述べた。 宿利正史自動車交通局長は運営協の設置数が200数十にとどまっているとし、「法制度ができれば自治体の自覚や認識が大きく変わっていく」と期待した。運営協や輸送対象者、運転者資格・講習などの新基準に関し、「NPOボランティア有償運送検討小委の報告書を踏まえ、十分に意見調整して確定していきたい」とした。 前段の午前の審議では、外部の参考人を交えて討論。山内弘隆・一橋大学大学院商学研究科長ほか、関淳一全国福祉輸送サービス協会会長、田中尚輝NPO市民福祉団体全国協議会専務理事、待鳥康博全日交書記長が出席した。 関氏は「有償運送の位置付けの明確化は歓迎だが、運営協でメンバーの意見が反映されないケースがあり問題視している。安全・利便のためにボランティアにも適時適切に指導してほしい」。待鳥氏は「最初から結論が決まっている運営協があり、形式的なものではいけない。全会一致の原則を。簡単に登録できると、タクシーでも『2分の1運賃』でやろうとして安全や労働条件、地方では存亡にもかかわる。運転代行が2種免許義務付けなので有償運送でも再考を」など、ともに運用面を要望した。 一方、田中氏は「現状ではガソリン代などの実費の収受でも運営協に諮らなければならないと指導されている。タクシーと同じレベルで規制に縛られると、助け合いのボランティアをする人がいなくなる。法はタクシー会社が反対したらボランティア活動できない内容になっている。移動制約者を運ぶ責任を明記した規定が道運法にはない。『ボランティア圧殺法』にならないように」と懸念を表明した。 山内氏は「運営協では利害を越えて地域福祉のニーズを総合的に満たしていく場に育てていくことが重要だ」とし、コミュニティバス・乗合タクシーの改正には「地域のタクシーを国で議論しているのは日本ぐらい。少子・高齢や中心市街地の空洞化などに対応するため、バス・タクシーの中間形態が自治体サービスとして求められている」との見解を示した。 『《大阪府》福祉有償79団体を許可、延べ車両数283台に/運賃算定で再申請も』(東京交通新聞2006.4.10)
3年前の構造改革特区から有償運送事業を開始した枚方市ではNPO10団体、社会福祉法人9団体の計19団体が許可。車両数は126台で福祉車両53台、軽福祉車両32台、セダン車両41台という内訳。セダンについては法人登録車両のみ認めている。同市の場合、2005年度利用実績は4月〜今年1月までの10ヵ月間で2万2902回稼動し、乗車人員は3万3340人という状況。 2005年度から「運営協議会」を立ち上げた他5ブロックの現況は【表参照】。 有償運送事業(道運法80条許可)は道路運送法改正により今年10月からは登録制(同79条届出)に移行する方向。これに伴い国交省は有償運送ガイドラインによる重点指導期間を9月末まで延長している。 大阪府では今年1月末までの府内6地区運営協議会の申請状況をまとめている。トータル申請件数は91件だが、3月に開いた運営協議会で6地区トータルで40件余り出ている模様だ。各運営協にはタクシー事業者が参画しているが、審査で問題とされたのは、@運賃収受方法(タクシー運賃の2分の1が目安)、A運転者講習会の実施等安全確保面の担保など。申請書類では定款変更など手続き面で時間を要し、許可が先送りになっている団体もある。 『《「希望」を運ぶ介護車両》守口・1人暮らしの80歳女性/老後の蓄え200万円寄付』(毎日新聞2006.4.4) 高齢者や障害者の外出を自家用車で支援しているNPO法人「守口送迎」(大阪府守口市)に、障害のある同市内の1人暮らしの女性(80)が200万円を寄付し、車椅子で乗り込める介護車両が導入された。道路運送法の規制強化で自家用車が事実上使えなくなり、荒木武士代表理事(67)らが困っていることを知った女性が老後の蓄えの提供を申し出て、「希望号」と命名された。 守口送迎は、荒木さんら定年退職した5人が結成。2002年に財団から介護車両1台を寄贈され、自家用車4台と合わせ、運転手5人で年間延べ2500人を乗せている。 ところが国土交通省は2004年、NPOなどの福祉目的の「白タク行為」を是正しようと、自治体やタクシー業者などによる運営協議会が認めれば、「福祉有償運送」として許可する方針に転換。 リフトやスロープを備えた介護車両か、回転シートの自家用車が必要とした。荒木さんは今年1月、他の団体から介護車両を借りたが、3年前から利用しているこの女性の寄付で、3台目を購入した。女性は「お金を持って死ねない。運転手さんは親切だし、東京と奈良にいる娘2人も賛成してくれた」と説明。荒木さんは「利用者は増える一方なので、運転手を育てたい」と話している。 同法人は年会費2000円、片道料金で5`以内500円で運営している。問い合わせは、荒木さん(090・3871・5389)。 【写真】:NPO法人「守口送迎」に介護車両「希望号」を寄付した女性の外出を手伝う荒木武士代表理事=大阪府守口市で。【村瀬達男、写真も】 『=世田谷区=共同配車センター運営主体/つくば観光交通を選定』(東京交通新聞2006.4.3) 福祉輸送(タクシー、NPOボランティア)のワンストップ呼び出しサービスを行う共同配車センターの運営主体を公募していた東京都世田谷区は先月28日の選定委員会で応募した6法人・団体を審査した結果、東京多摩地区を中心に福祉輸送事業を展開するタクシー会社・つくば観光交通(小金井市)を運営主体に選定した。7月1日から同区が補助(初期年810万円)してスタートさせる共同配車事業の中心的役割を同社が担うことになる。同区は今後、運営主体、区、配車協力事業者・団体(タクシー・NPO)からなる連絡会を発足、開設に向けた諸課題を検討する。 応募したのは、つくば観光交通のほか、コムスン、ホームネット、イーホーム、政策提言の会、ミニキャブ区民の会など、タク会社(一般・限定)、NPOボランティア団体、システム会社。 選定されたつくば観光交通は、今回の決定で23区内に福祉輸送の拠点ができる。担当の小林企画室長は「センターはそれぞれの特性に応じた効率配車を行いたい」としている。区の中川真理保健福祉部保健福祉活動推進課活動推進係長は「今後、登録利用者300人を公募する。既存のNPOの登録者はそのまま尊重し、新規に使う利用者を中心に登録を呼びかけたい」としている。 福祉有償セミナー「共同配車」利用者振り分けで両論/運営協、自治体主体に 福祉有償運送の新たな仕組みとタクシーのかかわりをテーマに地域科学研究会のセミナー・パネル討論が先月29日、東京千代田区で開催。タクシー・NPO等による共同配車センターの意義と問題点、地方分権を含む運営協議会の将来像などをめぐり意見交換した。 パネラーは山内弘隆・一橋大学大学院商学研究科長、金井信高・神奈川県保健福祉部地域保健福祉課長代理、吉田稔・愛知県タクシー協会会長(大興タクシー社長)、鬼塚正徳・移動サービス市民活動全国ネットワーク理事の4氏。司会は本紙の武本英之編集局取材部長。 討論では、タクシーとNPOの共同配車センターの導入について金井氏が「国の補助金制度はありがたいが、NPO側には利用者の会員登録といった縛りがある。実際にはNPO同士や介護輸送限定事業者との間で注文を回し、事実上の共同配車は行われている」と主張。吉田氏は「地元でセンターを立ち上げようと話を進めている。単に配車だけでなく、利用者の相談に乗り、面倒を見る体制にすることが大切。『協働センター』とすべき」と提案、鬼塚氏は「個別のケースやテーマによって協働の度合いが違ってくる。利用者のためを前提に、接点を持つことが重要。輸送前後のコーディネートなどの機能を持たせないとうまく立ちいかない」と述べた。 共同配車センターで利用者を振り分ける考えについて、吉田氏は「それぞれ決まった客は除外し、新規の客に対して実例を基に『要介護度2だからタクシーに』とアドバイスしていってはどうか」と提起。「供給者側の論理。利用者は運転者の顔を知っている安心感があり、すみ分けされると困るのでは」(鬼塚氏)など、過度なシステム化には否定的な見解が目立った。 運営協の役割の議論では、自治体に権限や責任を拡大すべきとの声が多かった。山内氏は「地域の輸送のあり方を国レベルで議論しているのは日本ぐらい。交通の実態や人口がかかわるので自治体が主体的に考えるのは自然な姿。分権的な意思決定が出てくるのは規制緩和の流れにも乗り、モビリティの向上に結びつく。国のガイドラインでそれほど決めなくてもいい」との考えを示した。 国土交通省の田端浩自動車交通局旅客課長が、10月からの有償運送の新たな仕組みについて説明した。 『《過疎地の足》ボランティア運送に道/法改正で制度化へ 運送業者の合意 課題』(朝日新聞2006.3.27) バスなどの公共交通機関に頼ることが難しい身体障害者や過疎地の高齢者を、市町村や特定非営利法人(NPO法人)が実費程度で自家用車に乗せてボランティア運送する――。そんな新制度を盛り込んだ道路運送法改正案が今国会に提出されている。高齢化が著しい過疎地などの深刻な実態を受け、政府がようやく腰を上げた形だが、NPOからは実効性に疑問の声も上がっている。【関連記事:ココから】 有償運送は原則として、国土交通大臣の許可を得たバスやタクシー事業者にしか認められていない。しかし、公共交通が不足している過疎地などでは、NPOが実費程度で、高齢者の外出の手助けをする活動が全国的に広がっていた。 2月初めに国会に提出された改正案では、こうした実態に配慮し、これまで構造改革特区などで例外的に認めてきた有償ボランティア運送を制度化し、全国に広げる。 具体的には、運行を計画するNPOや市町村はまず、住民、自治体、タクシー事業者などの関係者から、公共交通機関だけでは地域の足が担えず、有償ボランティア運送が必要だとの合意を得なければならない。そのうえで国交相に運送区域や車両台数などを申請、登録する。 有効期間は2年間で、料金は「実費の範囲内」とされる。 これに対し、約200団体でつくる「移動サービス市民活動全国ネットワーク」(事務局・東京)の鬼塚正徳理事は「仕事を奪われるという意識から、ボランティア運送に反発する運送事業者も多く、合意が難しい地域は多い」と指摘する。 「高知の移動サービスを考える会」(事務局・高知市)世話人の片岡朝美さんは「合意が得られない場合は、法案が絵に描いたもちになる。住民の視点で最終的に必要性を判断する権限を自治体に持たせる仕組みにしてほしい」と話す。 『=福祉移送のNPOに新しい道筋=関西STS連絡会、移動ネットワークサービス神戸など』 (月刊:介護ビジネス・ジャーナル2006年3月号)
『尼崎で移動送迎支援フォーラム/パネル討論も』(東京交通新聞2006.3.27) 阪神福祉交通ネットワーク、関西STS連絡会、NPO移動送迎支援活動情報センターの3団体は、21日、尼崎市立労働福祉会館で「移動送迎支援活動フォーラム」を開催。約120人が出席した。道路運送法が改正され、今年10月からNPO等のボランティア有償運送が「登録制」に移行する状況下、移動支援サービス、地域福祉交通の今後のあり方についてパネルディスカッションを行い展望した。 フォーラムは、兵庫県と阪神地区の移送サービスの現状について県と阪神地区の担当者が報告したあと、東京交通新聞社の武本英之編集局取材部長が「福祉有償移動サービスの新しいスキーム」と題し講演、「利用者本位の視点」をキーワードとして挙げた。午後からは移動サービス市民活動全国ネットワークの 杉本依子氏が全国の取り組み状況を報告。続いて首都大学東京大学院の秋山哲男教授が「新しい地域交通のあり方」について基調提案、サンフランシスコの事例を紹介した。パネルディスカッションは、秋山教授がコーディネーターを務め、パネリストは森津秀夫流通科学大学教授、兼元秀和全国介護移送協会副会長、三星昭宏近畿大教授、武本氏、杉本氏、松岡孝司阪神福祉交通ネット副理事長の6氏。全国各地の「福祉有償運送運営協議会」の運営状況などが紹介される中で、移動制約者の社会参加を推進していく意欲が示された。 『高齢者らの移動手段討論/尼崎でフォーラム』(読売新聞2006.3.22) 障害者やお年寄りの〈移動できる保障〉を考えるフォーラム「地域福祉交通の新しい時代を築く」が21日、尼崎市立労働福祉会館で開かれ移動送迎支援に取り組む約80団体の120人が、地域サービスのあり方などについて学んだ。 移送の有料サービスをめぐっては、これまで道路運送法に基づく許可が必要だったが、今国会に、自治体ごとの運営協議会で承認が得られれば提供可能にするなどと定めた同法改正案が提案された。フォーラムは、近く見込まれる制度改正に備え、課題について理解を深めておこうと開かれたもので、阪神間の約40団体で作る「阪神福祉交通ネットワーク」などが主催した。 パネルディスカッションでは、同ネットワークの松岡孝司世話人が「移動は社会生活の基本で、地域で複数の手段を確保するべきだ。そのためには『人権』と『社会的公平性』の視点が欠かせない」と強調した。東京交通新聞の武本英之取材部長は「地域の実情にあったシステムをつくるには、利用者の本音を引き出すことが重要」と延べ、アンケートなどを提案した。 最後には、三星昭宏・近畿大教授が「自治体が中心となり、各地域でどのような支援を行うかをまとめた『地域交通サービス基本構想』をつくってほしい」と訴えた。 『《生活アングル》福祉移送サービス 制度化へ/「生活に必須」期待 運営協議会設置の遅れ懸念』 (読売新聞2006.3.17)
NPO(非営利組織)などが、障害のある人や高齢者らの外出を車を使って有償で支援する福祉 移送サービス。長年、法的にはあいまいな存在だったこのサービスが今、大きく変わろうとしている。今国会に道路運送法改正案が上程されており、可決されれば正式に制度化される。期待する声が上がる一方で、課題も残っている。(森川明義記者)
自立支援センター・OSAKA(大阪市浪速区)で、障害のある人や家族の相談員として働いている中谷敏昭さん(48)(同市生野区)は、筋ジストロフィーで車いすを使っている。仕事や講演、レジャーなどで移動するときはリフト付きのワゴン車を利用することが多い。 体に合わせた車いすで支えないと座位を保つことが困難な中谷さんは、車いすごと乗れる車でないと苦痛なため、シートに乗り移らないといけない一般のタクシーは利用することができない。 中谷さんが移動で利用しているのは、同センターが会員制で運営している有償の移送サービスだ。タクシーの半額以下の1回2500円程度(約30分)で、リフト付きワゴン車を利用できる。レジャーなどで片道100`・bを超える利用でも2万円程度。ワゴン車には7人まで乗れるので1人あたり3000円ほどで済む。中谷さんは「移送サービスは生活には欠かせません」と話す。 ◇ ◆ ◇ ◆
しかし、福祉移送サービスは常に道路運送法との関係が問題にされてきた。本来、有償で人を運ぶにはタクシーなど同法に基づく許可が必要で、許可を受けずに有償運送すると「白タク」行為になる恐れがある。ほとんどの団体は許可を取っていなかったが、国は長年黙認してきたのが実態だ。国が大きく方針を変更したのが2004年3月。通達で、一定の条件のもとなら、NPOやボランティア団体による自家用車での福祉移送サービスを公に認めたのだ。 NPOやタクシー業者、識者などで構成する審査のための運営協議会を各自治休に設置し、その中で承認を受け、国の許可を受けさせるという仕組みだ。ただ、利用できる車両は車いす用のリフトや回転シートなどがある福祉車両に限定し、料金はタクシーの半額以下とされた。 今回、提案されている改正案ではさらに一歩進めて、運営協議会の承認は必要なものの、登録で認めようというもの。また、福祉車両でなくてもセダン型と呼ばれる普通の乗用車も使用できるなど、規制が緩和された内容になっている。 ◇ ◆ ◇ ◆
一方で課題もある。関西STS連絡会事務局の柿久保浩次さんは「移動も大きな権利です。移動なくして生活は成り立たない」と法律で制度化された点は評価。しかし、通達と改正案共に必要性が明記されている運営協議会が、設置されていない自治体がまだまだ多いことを心配する。通達によると、今年度中に協議会の承認を経て国の許可を受けなければならず、それを過ぎると「白タク」扱いになる。ただ、協議会設置の遅れは国も認めており、当面はこれまで通り黙認の意向だが、行政の取り組みの遅れは問題だ。 また、安全の確保も気がかりだ。関西STS連絡会は2002年から自主的に運転手への研修を行っているが、こういう講習も改正案では、定義しているものの内容についてはあいまいなままになっている。 利用者の立場から中谷さんは指摘する。「移送サービスのための車1台を維持するだけでも小さなNPOにとっては大きな負担。これでは広がりが難しく助成が必要だ。また、移送サービスを福祉制度の中できっちり位置づけ、その中で利用できるようにしてほしい」
『《さわやかNPO》自由な移動は「生存権」/福祉車両運転協力者を養成』(大阪日日新聞2006.3.11) 高齢者や障害者など外出に制約がある人の移動送迎を支
関西地域では、1990年代から移動制約者を支援するグループが活動を開始。90年代後半から各団体のネットワーク化が進み、2001年には「関西STS(スペシャル・トランスポート・サービス)連絡会」(事務局・大阪市浪速区)が発足した。同会には現在、約130団体が加盟し、相互協力や情報交換を行っている。 さらに、同会の会員らがNPO法人を設立。法改正の動きなど、地域福祉交通の環境が変化する中、研修やフォーラムを通じて移送サービスの推進に力を入れる。 大阪府からは、移動困難な障害者の旅行を支援するため、福祉車両の運転協力者を養成する研修事業を委託。大阪市内で今月開かれた研修では、障害がある当事者の話を聞き、移送サービスのマナーなどに関する講義を実施した後、車いすによる移動を体験しながら大阪城や法善寺横丁を訪れた。 同連絡会の設立発起人の一人で、NPO法人の代表理事を務める柿久保浩次さん(50)は、講義の中で移送サービスに必要な心構えを強調。運転協力者は管理者でないこと、利用者本人の意思を尊重することなどを呼び掛けた。さらに両手でハンドルを握り、ルームミラーを利用者に合わせ、急ブレーキや急発進を避けることなど、運転時の原則を指導した。 外出に制約がある高齢者や障害者にとって、移送サービスは自由な移動を確保する必要不可欠な交通手段となる。国土交通省は、道路運送法改正案を今国会に提出。要介護者や障害者を対象に地域で生活の足を確保するため、市町村やNPO法人が自家用車を使って有償運送できる新制度の創設を目指している。 外出制約者の移送について、柿久保さんは「今までは隣近所に頼り、ないがしろにされてきた」と指摘。自由な移動を「生存権」として確保する必要性を唱えている。(矢吹秀一記者)
『=有償運送=9月未まで重点指導延長/会見で自交局長“白タク”摘発回避へ』(東京交通新聞2006.3.6) NPO等によるボランティア輸送の有償運送許可(道路運送法80条)を取得するまでの重点指導期間が3月末で切れる問題で、国土交通省の宿利正史自動車交通局長は2日の専門紙会見で「有償運送を登録制とする改正道路運送法案の施行を10月1日に予定しており、改正法案を円滑に施行する観点から、周知・指導する移行期間が必要と考えており、3月末が期限の現在の重点指導期間を9月末まで延長し対応したい」との方針を明らかにした。 有償運送許可取得では市町村主宰の運営協議会の合意を経て申請・許可が必要だが、運営協の未設置地域が多いことやセダン車両の全国化が10月の新法施行まで実施されないことなどから、重点指導期間後の4月以降も未許可車両が相当数存在するとみられる。今回、重点指導期間が実質半年延長されることで、直ちに白タクとして摘発される事態は避けられる方向となった。 宿利局長は「期限が延びたからといって許可取得を遅らせるのではなく、期間中の許可は新法で登録とみなす移行措置が取られるので、速やかに取得への取り組みをお願いしたい」と強調した。国交省は今回の方針を地方運輸局に事務連絡、近く地方自治体にも通知する。 『=名古屋で福祉有償運送フォーラム= 県内の運営協開催50%弱/田端国交省旅客課長が講演』 (東京交通新聞2006.2.20)
愛知県主催、NPO法人移動ネットあいち企画運営の「ボランティア福祉有償運送フォーラム」が10日、名古屋で開催された。国土交通省が道路運送法80条ガイドラインで示した「重点指導期間」が3月末に迫り、県内市町村で福祉有償運送運営協が相次ぎ開催。さらに福祉有償運送実施団体の登録制を盛り込み法律上明文化した道運法改正案が国会提出される中、580人が参加した。 第1部で田端浩・国交省自動車交通局旅客課長が「これからの地域交通」について講演。第2部がフォーラム「ボランティア福祉有償運送のこれからの課題」。田端課長、吉田稔愛知県タクシー協会会長、NPO法人移動ネットあいち理事長、県健康福祉部高齢福祉課長がパネリストとして出席、NPO法人市民福祉団体全国協議会専務理事が司会を務めた。 討論で運営協の責任体制と自治体の位置づけ、事後チェック体制への疑義、3月末の重点指導期間後の対応方針などをめぐりやりとりがあった。 門前氏は県内移動制約者の状況として、65歳以上の高齢者は約121万人、高齢化率16・8%、8年後には22・8%に上昇する。介護保険被保険者数が121万人中17万人、約14%と報告。2月1日現在、県内市町村65のうち運営協開催27、予定19、未定など19と現況を示した。 田端氏は「ドア・ツー・ドアのタクシーサービスは生活移動産業として全国各地で行われている。ボランティア福祉有償運送もタクシー産業の事業運営とともに重要な役割を果たしている。新道運法体系で安全・安心の輸送を行う上で、共通の必要不可欠な存在として登録要件をきちんと守って進めてほしい。移動制約者の移動サービスを厚労省と協調して取り組んでいきたい」と述べた。 《田端国交省旅客課長講演の要旨》 【福祉輸送サービスの原点】福祉輸送サービスは地域住民のニーズに基づき、第1にサービス会社が輸送のプロフェッショナルとして活躍、次いでNPOの輸送サービスが補完的な役割を担う。福祉タクシーの台数は全国で6309台(04年)、タクシーのヘルパードライバーは8505人(03年)。 【福祉有償運営協議会開催状況】福祉有償運送の必要性、輸送サービスの範囲、輸送対象者、輸送対価などを含む輸送サービスの水準、安全の担保などの合意を形成する場。2月現在1219地域で開催、3月末に向かって増える見込み。 【セダン特区認定状況と全国展開】内閣府による「セダン特区」認定は149地域になる。昨年9月に自交局長の諮問委員会として「NPO等によるボランティア有償運送検討委員会」を設置。計4回開催、12月に「構造改革特区評価委員会」で検討結果を報告、構造改革特区推進本部でセダン特区全国展開が15日に決定予定。 今月6日、80条(有償運送禁止)例外許可を道運法上に位置づけ、法律上の規定を整備するための道運法改正案が閣議決定、国会に提出された。可決後、今年10月をめどに施行。国会審議と並行して関係省令を整備していく。改正案79条の登録のための要件は、@運営協の合意、A安全確保。現実は2種免取得が困難なので一定の認定講習修了が必要となる。講習の詳細は今後の議論にゆだねる。大事な点が損害賠償問題。対人保険8000万円は踏襲。 【運送対価】事前説明することにし、問題があれば変更命令を出す。 【白タク防止措置】登録会員が対象、団体名と福祉有償運送を車体に表示、運転者証を車内に表示、国交省発行の登録証写しを携行、表示を義務付ける。運輸局・運輸支局の事後チェックにより不具合があれば利用者保護のために監査・処分を行う。 【重点指導期間】現在、80条例外許可を受けている団体は新道運法の登録を受けたものとみなされる。 【普及支援策】06年度予算の新規枠で福祉輸送普及促進モデル事業整備に1億2400万円が概算決定した。共同配車センターの設立支援、福祉車両購入支援で4月以降募集の予定。また、財政投融資制度上の新規制度の創設や所得税、法人税の税制上の特例措置、地方自治体による利用助成や車両購入助成など支援整備も増加。 【まとめ】移動制約者にとって安全・安心な輸送をコンプライアンス(法令順守)に基づき、みんなでスキームを守り、よいものにしていってほしい。国交省も交通政策と融合したものとして関係者で同じ目的に向かって進めるための政策実現に取り組みたい。 『=北運局に総務省=有償許可取得で改善指導/迅速な審査求める/運営協周知も不十分』 (東京交通新聞2006.2.13)
NPO(民間非営利団体)ボランティアなど自家用車福祉有償運送の道路運送法80条許可取得期限が3月末に迫っているが、総務省は取得促進に向け国土交通省への“指導”に乗り出した。2月7日、総務省の北海道管区行政評価局が「行政評価・監視制度」(旧行政監察)に基づき、北海道運輸局に対し、要介護者輸送サービス関係の許可審査事務が適正・迅速に行なわれていないとして改善を求める通知を出した。許可申請の前提となる運営協議会(自治体主宰)の周知も不十分とした。同省は「全国でも同じような状況が判明すれば国交省本省にも働きかける」としており、「登録制」移行を前に有償運送適正化の動きが活発化しそうだ。 有償運送制度は今国会に提出された道路運送法改正案が成立すれば、10月1日をメドに「登録制」(78条・79条)として法制化される。現行の80条例外規定による許可取得の「重点指導期間」(2004年4月から2年間)は3月末に切れるため、国交省は4月以降も移送団体などに許可取得の手続きを求める姿勢を見せている。 『=国交省「回答」に内閣官房=児童有償など再検討要請/「提案趣旨は移動手段の確保」』 (東京交通新聞2006.2.13)
内閣官房は2月8日、地方自治体や民間企業が提案している構造改革特区のアイデアについて、国土交通省などの「2次回答」に対し再検討を要請した。同省がこれまで採用不可としてきた自家用車による「児童有償運送」(福井県など提案)について内閣官房は「要介護者における介助者も、乳幼児の保護者もそれぞれケアする者。何ら変わらないのでは」と再考を求めた。各提案とも最終折衝を経て15日にも採否が決定する。 児童有償運送について国交省は「有償福祉運送はタクシーなどが確保できず、単独では公共交通機関の利用が困難な場合に例外的に認めている。提案は主に保護者の時間的制約などによる」と主張。これに内閣官房は「要介護者の輸送の問題も、介助者の時間的制約によるものと言えてしまうのでは。そもそもの趣旨は移動手段の確保にある」と反論した。 ボランティアへの謝礼(スタイペンド)を制度化する無償運送の拡大(群馬県内移送団体の提案)に対しては、内閣官房は「最低賃金以下の利用者負担という無償に近い形で実施される移送の判断を自治体にゆだねることも十分可能と考える」とした提案者側の意見に回答するよう求めた。 『=世田谷区=共同配車システム案公募/タクシー、NPO、論議に熱』(東京交通新聞2006.2.13) 世田谷区が7月にスタートさせるタクシーとNPOの共同配車センター事業をめぐる論議が過熱してきた。都内初の青ナンバーと白ナンバー対象のワンストップサービス(依頼窓口の一元化)、プロポーザル(提案型)による事業システムの公募、800万円超の区の補助と創設予定の国土交通省補助へのリンク――など、先端の動きに関心が高まっている。区は2月6日の準備会で、共同配車システムの企画案を2月22日から来月14日まで募集すると発表し、仕組み作りが活発化している。 この準備会で区の保健福祉活動推進課長は、募集する「福祉移送支援センター」(仮称)のイメージ案を説明。予約受付365日24時間運行、会員募集、移動相談機能、研修プログラムなどに言及した。同区の高齢化率は17%。区内にNPOボランティアが8団体22台で登録会員約1100人を輸送する一方、福祉タクシー券が年約8000人に交付されている。 質疑応答では、「会員資格で要介護認定3〜5に限定しているのは利便性を疎外する。制限すべきでない」(ハンディキャブを走らせる会)や、「介護保険の適用者を外すべきでない」(つくば観光)との意見が出て、再考することになった。つくば観光は「共同配車でNPOの協力が得られるのか不安。協力しやすいようにNPOに報酬を与えるなど考慮すべき」。政策提言の会は「タクシーとNPOが共同した世田谷モデルを」。アドバイザー役の秋山哲男・首都大学東京大学院教授は「全く新しい地平を開く話なので意気込みが重要」と指摘した。 『《交通論壇》交通バリアフリーと移送サービス/実情調べ基本構想に 近畿大学教授 三星 昭宏』 (東京交通新聞2006.2.13)
『=道運法改正案=有償運送「79条登録」に/更新初回2年、以後3年対価の変更命令も』(東京交通新聞2006.2.6) 市町村やNPO(民間非営利団体)などの自家用車福祉・過疎地有償運送を「登録制」により法制化し、コミュニティバスと乗合タクシーの運賃・料金設定を上限認可制から一部届け出制に緩和する道路運送法改正案が1月31日、自民党国土交通部会などで了承され、7日に閣議決定、国会に提出される。 改正案では有償運送関係規定を同法本体に創設、現行の80条(有償運送禁止)例外許可を「79条登録」に改め、申請方法や資格要件、運送の対価の変更命令などを列挙した。登録の更新は初回2年とし、安全面など支障がなければ以後3年とする。国土交通省令・通達に盛り込まれる運営協議会や車体表示、運転者講習などの具体的な措置は目下検討されており、行政、タクシー業界、ボランティア三者の綱引きが本格化する。 今回の道運法改正は、@安全統括管理者の選任など「運輸安全マネジメント」の制度化、A自家用車有償運送の明文化、登録制移行、Bコミュニティバス・乗合タクシー許可区分の整理、地域の合意を得た運賃の届け出制――が柱。安全マネジメントに関する改正部分は、鉄道、航空、トラックなど他の事業法とともに先月31日、国会に提出された。 有償運送の明文化は、地域旅客輸送の形態が多様化し、要介護者など移動制約者の個別ニーズが急増している現状を反映。バス、タクシーなど事業用自動車を規定する同法本体に取り入れる。78条で定義し、79条で「登録の申請」「登録の拒否」「有効期間」「更新」「対価の掲示」「輸送の安全・旅客利便の確保」「登録取り消し」などを規定する。 登録項目は旅客の範囲や運行管理体制など現行のガイドラインに沿った内容。登録の拒否要件として自治体やタクシー事業者など「関係者が合意していないとき」と明記し、運営協議会の経由を法に義務づける。輸送施設の保有や運転者の確保など安全措置の不備も登録拒否の対象に挙げた。 登録の初回有効期間は2年。更新は2年が原則だが、安全・利便確保に関する是正命令や業務停止を受けず、重大事故もなかった場合、3年とする。是正命令は運行管理の改善や路線・運送区域変更、対価の変更などだ。 運送の対価については事務所での掲示や旅客への事前説明を求め、額は「実費の範囲内」で「基準に従って定められたもの」。車体表示は安全・利便確保策として義務化がうたわれるが、いずれも具体的措置は省令・通達で定められる。 また、道運法に連動して登録免許税法を改正、有償運送の初回登録費用は1件1万5000円、登録の変更は3000円となる。 『=福祉有償/特区評価委=セダン全国化10月実施「社会・経済的に意義」』(東京交通新聞2006.1.30) 政府の構造改革特区推進本部・評価委員会(委員長=八代尚宏・国際基督教大学教授)は27日、小泉首相(特区推進本部長)にNPO等ボランティア有償運送のセダン特区の全国展開など2005年度下半期分の11の全国化評価意見を提出した。評価意見では「特にNPO等が行う福祉有償運送などの特例は、規制所管省庁と度重なる議論を重ねてきた課題で、特区の認定も多く社会的関心が高い事業。今回、全国展開すべきとの意見を決めることができたのは社会的・経済的意義が大きい」と明記した。 セダン全国化の判断理由では「全国展開により発生する弊害はなし」としている。全国展開の方法については国土交通省の法改正(道運法に登録制明記)を踏まえる形をとっており、「法改正では現行の規制強化にならないよう配慮すること」と注文。全国展開の具体的な実施日は明確になっていないが、法改正の実施を予定している10月1日になるとみられる。 全国展開で期待される効果として調査結果を示し、「外出での社会参加が困難だった障害者や高齢者に、よりよいサービスが提供できるようになり行動範囲が広がった」(枚方市、高崎市、長野県小海町等)などをあげている。 『=介護保険の新報酬単価=乗降介助1000円を継続/送迎加算は実質廃止 介護タクシーに厳しく』 (東京交通新聞2006.1.30)
4月からの新たな介護保険制度の報酬単価について26日、社会保障審議会・介護給付費分科会(会長=大森彌・東大名誉教授)が同審議会に答申した。介護タクシーなどに適用される通院等乗降介助は1回1000円の現行報酬単価が継続されることが決まった。送迎加算は基本報酬に包括、単独設定はなくなり実質廃止の形となる。介護タクシーには厳しい制度改正だが、地域密着型サービスとして創設される夜間対応型訪問介護事業への参入を準備するタクシー事業者もあり、プラス面を事業拡張に生かす動きもある。 今回の制度改正の柱は介護予防重視型制度への転換。軽度の給付対象者が重度化しないようリハビリテーションなどで対応する。このため軽度の報酬区分の要支援と要介護1の一部が新予防給付の新たな報酬体系に移行する。乗降介助は報酬費目として残ったが、要介護1の給付対象者の7割が新予防給付に移行し垂降介助の適用から外れるとみられている。 訪問介護の報酬単価も原則現行通りで、身体介護中心型は30分未満2310円。生活援助中心型が1時間以上2910円に設定された。新予防給付の関係は、訪問介護が月単位の定額制となり、要支援1と同2の複数段階に分かれる。現行の要支援と要介護1の一部を認定審査会で振り分ける。 障害者支援単価2月部会で決定 厚生労働省は25日、同省で全国厚生労働関係部局長会議を開き、介護タクシーやNPOボランティア団体などがサービス提供する基準を定める障害者支援費制度を改めた「障害者自立支援法」について「移動支援事業の報酬単価は2月の社会保障審議会・障害者部会で決まり、10月実施を予定している」と都道府県に説明した。 移動支援事業は障害者・児の社会参加のため、市町村が柔軟に対応する地域生活支援事業。利用形態に車両移送型があり、福祉バス・タクシー等の巡回送迎などが例示されている。市町村は支援費制度で移動介護のサービス提供をしている指定事業者などを活用した事業委託に努める。 『=国交省=バリアフリー新法に福祉タクシー取り込む/基準適合を義務づけ』(東京交通新聞2006.1.16) 国土交通省は、交通バリアフリー法(公共交通機関・駅施設対象)とハートビル法(建築物対象)の現行2法を統合する「バリアフリー新法」に福祉タクシーを位置づける方針を固めた。来月末の法案閣議決定、国会提出を目指す。 タクシー事業者は福祉車を増車・代替など新たに導入する場合、車両構造など「バリアフリー基準」(移動円滑化基準)への適合が義務づけられる。福祉タクシー車両数全体の達成目標も設定される見通しで、法定化により予算支援・優遇税制をベースとした導入促進策が多面的に打ち出されそうだ。 新法の名称は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」案。本格的な少子・高齢社会を踏まえ、個々の施設整備の側面から脱却し、連続・一体的な移動環境をつくることを基本精神とする。 現行の交通バリアフリー法では、バリアフリー化すべき「公共交通事業者」のうち自動車は乗合バスが規定され、ノンステップなど車両構造基準をクリアする義務を負っている。2010年までにノンステップバス導入率20〜25%など数値目標が設定されている。 福祉タクシー・バリアフリー基準は目下、車両構造上の安全担保を柱に検討中。既存の車両については、現行の乗合バスと同様、基準の適合を「努力義務」とする。福祉タクシーのほか、LRT(軽量軌道交通)や道路、路外駐車場なども新たに法の対象とする方向だ。 新法では自治体の「基本構想」作成に当たり、住民やNPO(民間非営利団体)などが計画段階から提案できる協議会方式を設ける。 『福祉有償運送 運営協大詰め』(東京交通新聞2006.1.1) NPOなどの自家用車による有償運送許可取得の重点指導期間が残り3ヵ月となり、関東各県で「福祉有償運送運営協議会」が活発化している。制度自体は今後、道運法80条の例外規定による許可から登録制への移行など新たな規定を設ける法改正が行われる。しかし、現行ガイドラインや運営協議会など大きな枠組みは変わらず、これに沿った対応は引き続き重要だ。先進県の神奈川では申請了承が予定の9割に到達。有償運送拡大を契機にNPO・タクシー・行政などの提携による輸送を模索する新たな動きも出てきた。山梨県では準備会で地元タクシー全事業者も参加して議論を尽くすなど、各県各様で取り組まれている。 |
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