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☆障害者、高齢者の移動サービスを中心にした、生活情報がネットワークされたサイトです。

☆移動制約者の移動確保への情報交換・研修・調査・研究等を取り組むNPO法人です。


《書籍案内》
移動送迎サービス
『運転協力者研修テキスト』

(A4版104ページ/1000円
第11刷.2011.5発行)

◎執筆編集・発行:
関西STS連絡会/
特別非営利活動法人
移動送迎支援活動情報センター



《書籍案内》
移動送迎サービス
『セミナー報告集』

(A4版28ページ/200円
2008.2発行)

◎発行:
関西STS連絡会/
特別非営利活動法人
全国移動サービスネットワーク



●問い合せ先●
関西STS連絡会
大阪市浪速区敷津東3-6-10
TEL/FAX 06-4396-9189
Email k-sts@e-sora.net

 



 1996年頃から、全国的にも障害者や高齢者の送迎活動の必要性が聞かれるようになり、関西でも移動・送迎活動の取り組みが始められました。わたしたちは、1998年から、移動・送迎の支援グループ゚や個人、STサービス団体に呼びかけて、勉強会・交流会、セミナーの開催等を積み上げていく中で、新たなメンバーを加えながら、関西STS連絡会の設立を準備していきました。

 200111月には、第4回の移動・送迎支援活動セミナーを開催。このセミナーの後、関西STS連絡会の設立総会を開催し、ここに晴れて、関西STS連絡会が正式に発足しました。

 「地域で移動制約者の公平で自由な移動を」実現するため、関西STS連絡会では、この10年間、様々な活動を継続してきました。元々、任意の助け合い市民活動として、独自の取り組みとして始められたSTサービスが、道路運送法80条では、活動することが厳しくなる中、介護保険法の改正の動きとも相まって、移動・送迎のニーズは増える状況にありました。わたしたちは、全国の移動サービスのネットワークとも連携しながら、法律の改正に向けても努力してきました。「過疎地の生活交通や要介護者・身体障害者等の移動制約者の移動を確保」する目的として、道路運送法の改正が行われ、200610月より施行されました。不備の多い法律ではありますが、有効に生かすためにも認定講習を継続しつつ、研究・調査・セミナーを行い、課題や問題点にも取り組んできて、移動・送迎活動の必要性を、ますます感じています。

 今年311日、東日本大震災が起こり、災害支援が取り組まれていますが、移動の確保が大きな課題となっています。皆様からの救援カンパも頂き、関西STS連絡会でも息の長い災害支援活動に取り組んでいきます。また、関西でも、災害対策として移動問題を、市町村にも訴えていかないといけないと感じています。

 10年間の、みなさんのご協力を感謝するとともに、ひとつのけじめとして、ささやかなパーティを行います。今後共のご協力をお願いしつつ、新たな関係や交流の場になればと思っています。関西STS連絡会10周年イベントへの、みなさまのご参加をお待ちしております。ぜひ、ご参加ください。

   関西STS連絡会10周年イベント

  日にち:2011年 11月18日(金)

 場  所:KKRホテル      大阪市中央区馬場町2−24

 1部 セ       KKRホテル 2階 星華

 「移動・送迎支援活動 10年前と今と課題」

 三星昭宏氏(近畿大学教授)、秋山哲男氏(障害者・高齢者交通問題研究会代表)

  近畿運輸局(予定)、上田隆志氏(関西STS連絡会前代表)

  時 間:171518451700開場)

  参加費:無料

 2部 10周年パーティ  KKRホテル 3階 銀河

  時 間:19002100

  参加費:8,500円(食事 6,500円、飲物 2,000)

※参加は、この申込書で、06-4396-9189 へ、11/10までにお願いします。

                    関西STS連絡会

                    大阪市浪速区敷津東3-6-10


2011年1月吉日
各 移動送迎団体グループ 担当者 殿


「運転協力者認定講習会」開催のご案内

関西STS連絡会 代表 伊良原 淳也
特定非営利活動法人 移動送迎支援活動情報センター 理事 柿久保 浩次

 福祉有償運送における運転協力者は、「普通第1種免許は国土交通大臣認定の講習を修了していること」が「運転者の要件」とされております。
 毎年、国土交通省により改正道路運送法フォローアップ検討会が開かれ、登録(更新)手続きの簡素化や経過措置などが検討されてはいるものの、各行政による上乗せ基準などが私たちの日常活動に重たいハードルとなっているのが現状です。

 大阪府の「福祉有償運送登録状況」によると、利用者数は増えているにもかかわらず、登録団体が「176(2007年4月)」から「154(2010年4月)」に減少運転者も「1,197(2007年4月)」から「1,101(2010年4月)」に減少しており、移動送迎支援活動を実施している各団体、そしてサービス利用者さんの悲鳴が聞こえてきております。
 この間の全国各地での調査結果でも、運転協力者の確保が非常に難しく「減少傾向」を示しているという厳しい現状が明らかになってきています。
 ともあれ、可能な限り運転協力者を確保し育成していくことが、今後の移動送迎支援サービスの拡充に向けての大きな課題となっていることには違いありません。
 
“誰もが自由に移動できる地域社会”、そして“活きいきとした移動送迎支援活動の発展”を願う私どものネットワークでは、この機会に各地で開かれている「福祉有償運送及びセダン等運転者認定講習会」にそれぞれの力量に合わせて、可能な限り参加、修了されることをお勧めいたします。
敬具

福祉有償運送運転者「講習会」案内
開催日 開催場所 詳 細
9月26日(月)
〜9月27日(火)
アルフィック大阪(大阪市浪速区) ココから
10月24日(月)
〜10月25日(火)
アルフィック大阪(大阪市浪速区) ココから
11月28日(月)
〜11月29日(火)
アルフィック大阪(大阪市浪速区) ココから

《お問い合わせ》関西STS連絡会
TEL:06-4396-9189 Email:
k-sts@e-sora.net




《東日本大震災・被災地への支援基金》
移動制約者・移動送迎実施団体への緊急支援募金にご協力を!!

 未曾有の東日本大震災に被災された多くの方々に、心を込めてお見舞いを申し上げます。被災地からの情報が入るにしたがい、日一日と目を覆うばかりの深刻な状況が明らかになってまいります。
 “誰もが自由に移動できる地域社会を”そして“活きいきとした移動送迎支援活動の発展”を願う私どものネットワークにも、刻々と被災地の移動制約者の皆さんの現状、そして移動送迎支援活動を取り組んでこられた団体の被災状況が……。 
ウィラブ北茨城周辺(茨城県)
ささえ愛山元(宮城県)
 関西STS連絡会としても、被災地で苦悶しておられる被災者、被災団体への可能な限りの支援の取り組みをと、ここに皆様方にご提案させていただく次第です。
 時あたかも、移動サービスネットみやぎや、ウィラブ北茨城、やまがた福祉移動サービスネット、秋田ボランティア協会などによる現地での被災状況、障がい者、高齢者、難病患者さんなどへの医療機関への搬送の取り組みなどの様子が報告されています。
 私たちも、地域におけるそれぞれの移動送迎支援活動を通して大切にしてきたネットワークを糧に、全国移動ネットと連携を取りながら、たとえ小さな力でも共同した取り組みを継続していければと考えているところです。
 まず第一弾の取り組みとして、
“支援募金”全国移動ネットと共同で開始します。ぜひとも、温かいご協力を!!


関西STS連絡会チラシ 災害支援だより(2011.4.1発行)
災害支援だより(2011.4.30発行) 災害支援だより(2011.5.25発行)

 この“支援募金”は、移動制約者への貴重な移動送迎支援サービスに取り組んでこられ、今回の東日本大震災で被災された多くの団体の、一日も早い移動送迎活動への復帰を願う支援募金として、全国移動ネットと共同でおこなうものです。(被災地の現況や、取り組みの報告は、随時おこなってまいります。)

【振込み先】
郵便振替: 加入者名:関西STS連絡会
口座番号:00950−9−160204

※通信欄に、必ず「被災団体支援募金」と明記ください。
※領収書は、入金時の振込受領書のみで、ご了承ください。
【共同提案】
■関西STS連絡会

〒556-0012 大阪市浪速区敷津東3丁目6番10号
TEL/FAX:06−4396−9189 E-mail:k-sts@e-sora.net
(担当:柿久保浩次、榎薗晴美)
 
■NPO法人 全国移動サービスネットワーク(略称:全国移動ネット)
〒156-0055  東京都世田谷区船橋1丁目1番2号 山崎ビル204号
TEL:03−3706−0626 FAX:03−3706−0661
(担当理事:鬼塚正徳、柿久保浩次)



『《東日本大震災》バス、タクシー、甚大な被害/宮城でタク水没800台/乗務員の安否確認続く』(東京交通新聞2011.3.21)
「3月11日に発生した東日本大震災は、バス・タクシー業界にも社屋・車両の損壊や交通マヒなど甚大な被害をもたらした。国土交通省の速報によると、宮城県内のタクシー210社・4100台のうち約50社・800台強が津波に遭い水没太平洋沿岸一帯で乗務員の安否確認が続いている。仙台市中心部のタクシーはライフラインが徐々に復旧し、LPガス燃料の優先供給も始まった。バスネットワークは主要路線で再開され、代替輸送など被災地住民の救援活動は本格化する見通し。首都圏では鉄道の不通・運行本数減の影響で通勤客がタクシーを求める姿が目立っている。余震が続く中、原子力発電所の放射能漏れや計画停電も伴った空前の危機に、地域の足を守る公共交通の真価が今まさに試されることになる。
公共交通の真価試される
 仙台市内では、若林区沿岸部の事業所が壊滅的になっており、従業員と家族の安否を含め被害の全容はまだ明らかになっていない。自社の仙台タクシーグループ(若林区)では車両1台が所在不明、十数人の乗務員と連絡が取れずにいる。本社に200bのところまで津波が押し寄せたという。終電や終バスが早まっているため夜間輸送を重点的に担っている。介護・子育てサービスを手がけるフタバタクシー(宮城野区)では、車両・施設の損傷で済んだ。及川孝社長は「福祉車はガソリンがほとんどで、行き渡っていない。透析患者の送迎を優先しているところ」と奮闘している様子だ。
 国交省は大晶章宏国交相をヘッドに「緊急災害対策本部」を設置、1日1〜3回のペースで所管全分野にわたり情報を把握、対策を協議している。バス・タクシーに対し、これまで北海道・東北・関東の海岸線を走る事業者に運行の自粛を要請。被災地の燃料不足の解消と高速バスの運行再開に道筋をつけた。福島・原発周辺の住民避難や、岩手などの避難所支援に本格的に乗り出した。東京都内では、臨海方面の営業所では液状化現象が起き、車庫が使用不能になるなど支障を来たした。」



『交通基本法案、国会に提出』(東京交通新聞2011.3.14)
交通基本法が8日閣議決定、国会に提出された。9日に一般質疑を開始した衆院国土交通委員会に諮られるが、先週段階で日程は組まれていない。成立の見通しや与野党修正協議の有無など不透明な状況下、国土交通省は法制定後に鉄道、バス、タクシー、船舶など交通施策の方針・目標を掲げる「交通基本計画」の策定準備に入った。
 法案は全2章28条。「移動権」保障の規定は見送られ、基本理念の柱として住民の需要を克足させる必要や交通機能の確保・向上がうたわれている。施策の総合的・計画的な推進に向け、国、地方自治体、交通事業者、住民など関係者の責務が明記されている。」



『《運営協検討会》審査項目の簡素化了承/「上乗せルール」も検証』(東京交通新聞2011.3.7)
国土交通省の「自家用車有償旅客運送・運営協議会の合意形成のあり方検討会」(座長=秋山哲男)の第3回会合が2日開かれ、NPOなどボランティア有償運送サービスの登録申請に対し、運営協の審査項目を簡素化する方針が大筋了承された。次回は8日で、行政指導のあり方や議決方法など各論点の討議を続行する。
 審査項目の簡素化を通じ運営協を効率的に運営し、迅速な進行・合意を目指す。前回、国交省側が素案を提起していた。今回は具体的にガイドライン(通達)の項目を整理し、バス・タクシーの運行が困難で地域住民に移動サービスを提供する「必要性」の議論は「重要協議事項(法令事項)」に、「運送区域」と「対価」は「協議事項(省令事項)」に位置付け、重点化した。
 一方、身体障害の態様など「旅客の範囲」と「その他の措置」(使用車両の種類・数、運転者、損害賠償、運行・整備管理、事故時の連絡体制、苦情処理など)は個別の適用を運営協の場では取り上げず、運輸支局の事前チェックや第三者の知見を活用するとした。医師ら医療・保健・福祉などの専門家から助言を得ることや「判定委員会」の設置を一層奨励する。
 既存の通達類を浸透させながら、国の制度以外に地域が独自に定めている「上乗せ基準(ローカルルール)」の取り扱いなどをめぐり、運営協が適切に機能していない場合、運輸局・運輸支局が検証し、指導・是正するといった行政の主体的な役割についてもテーマに挙げられた。」



『「交通基本法」の条文固まる/関係者の責務規定/“移動権”保障は見送り』(東京交通新聞2011.2.28)
「今国会に政府が提出する「交通基本法案」の条文が固まった。全2章28条で構成され、「移動権」保障の規定が見送られた一方、基本理念の柱として住民の需要を充足させる必要が盛り込まれた。国、地方自治体、交通事業者、住民など関係者の責務がそれぞれ明記されたほか、制定後に国土交通相などが策定する「交通基本計画」で施策の目標を設定する規定が掲げられた。国交省が原案を作成し、23日の民主党国士交通部門会議に提示した。早ければ3月4日に閣議定される予定。
 交通基本法は交通関係施策を総合的・計画的に推進し、個々の分野で個別に対応していた従来の手法を転換する理念・枠組みとなる。国民・利用者目線が基調となり、交通基本計画では交通の目指すべき姿や目標を明らかにし、国、自治体、事業者、施設管理者、住民など関係者が役割分担と連携・協働の下、一体となった取り組みを促す。法案ではまた、高齢者・障害者などに向けたバリアフリー化や「総合交通体系」の整備、地球環境負荷の低減、まちづくり、観光立国などの視点を大きな柱に立てた。移動権」の取り扱いをめぐっては、交通政策審議会・社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の最終報告で「時期尚早」との結論が出ていた。
 民主党・国土交通部門会議は23日、交通基本法案をめぐり議論した。議員から「移勒権」の保障の問題や障害者基本法との関係など指摘が相次いだ。三井辨雄国土交通副大臣は21日の定例会見で、政務三役(大臣・副大臣・政務官)会議で交通基本法案を了承したことを報告するとともに、「移動権」規定を見送ったことについて「(交通政策、社会資本整備の合同)審議会で時期尚早とさまざま意見が出た。関連施策を充実させていく。離島、障害者、高齢者などの問題もいろいろあり、権利となるともっと慎重に意見を聞きながら、やるべきだ」と述べた。」



『《中四国移動支援セミナー》福祉有償運送の現状や課題は/14都府県から延べ270人参加も』(備北民報2011.2.28)
「NPO法人・移動ネットおかやまは27日、「まなび広場にいみ」小ホールで「中四国移動支援セミナー」を開いた。14都府県の移動サービス団体などから延べ270人が集まり、各地域の活動紹介、講演やパネルディスカッションを通じて福祉有償運送の現状や課題を探った。移動ネットおかやまの担当者が西粟倉村と奈義町の活動を報告し、「利用者の感謝の言葉に支えられて活動している。福祉有償運送の意義や必要性を考えて」と呼びかけた。
 続いて、高知女子大・社会福祉学部の小坂田稔教授が「地域の支え合い活動とは何か」と題して講演。「住み慣れた地域でいきいきと暮らすためには、公助力(行政・医療福祉サービス)、自助力(本人や家族の努力)、共助力(地域の助け合い)の.3つの力が必要」と語った。「移動支援のこれからを考える」と題したパネルディスカッションでは、阿部理事長は、高齢化率51.5lの同地区で住民913人のうち約4割に当たる357人がNPOに会員登録し、有償運送を含めた高齢者生活支援、農作業など7班に分かれて活動を展開していることを紹介。「法律だけでは限界があり、人と人の支え合いが地域を守る。今後も地域の特性を生かした活動を続けたい」と話した。また、石垣市長は、地域の実情に合わせた公共交通ネットワークの構築を通じて、交通空白地域の解消や住民生活に不可欠な交通体系を整備する――とし、「高齢者や障害者の交通手段の確保は、市の重要課題。安心して利用できる地域密着型のサービスを提供したい」と訴えた。」



『《有償運送》運営協合意形成で国交省/審査項目スリム化提起』(東京交通新聞2011.2.21)
国土交通省は自家用車有償旅客運送サービスの採否を決める自治体主宰の「運営協議会」制度について、運営協で審査する項目をスリム化する方針を14日の「運営協合意形成のあり方検討会」に提起した。NPOなどボランティア移送団体の新規・更新申請に対し、旅客の範囲の判定や、安全の確保などの審査は地方運輸局・運輸支局の事前チェックに委ね、会の迅速な進行・合意を目指す考えを示した。議決方法の再考などを含め来月中に結論を出し、省令・通達を軸に制度改正する方向だ。
 有償運送の登録・開始には、住民やタクシー・バス業界労使などがメンバーとして入る運営協議会の了解が前提。道路運送法で規定され、審査項目は、@運送サービス提供の必要性、A運送区域、B収受する対価、C身体障害の態様など旅客の範囲、Dその他の措置(使用車両の種類・数、運転者、損害賠償措置、運行・整備管理、事故時の連絡体制、苦情処理)――などがガイドライン(通達)で列挙されている。
 国交省の素案では必要性」は法律事項として、区域」と「対価」は省令事項として重視する一方、旅客の範囲とその他の措置をめぐる議論は運営協の場ではストレートに扱わない考え方を提示した。「法令で定められているものを除き、効率的な運営が検討できないか」とした。運営協開催に際し事前説明・点検をし、効率化につなげている群馬運輸支局の事例が取り上げられた。
 多数決や全会一致など議決方法の是非が論点に挙がっている中、審査項目を減らすことで必要性などの議論が深まり、合意形成もスムーズに運ぶとの判断が強まっている。来月2日予定の次回会合で本格討議に入る。」



『《交通論壇》交通基本法における「移動権の保障」を考える 首都大学東京都市環境学部助教 吉田樹』(東京交通新聞2010.12.13)
「先日、国土交通省社会資本整備、交通政策両審議会に交通基本法案検討小委員会が設置され、私も加わることになった。2011年の通常国会提出に向けて同法の制定作業が進められているが、地域交通の現場を渡り歩く筆者にとって、いささか気掛かりな点がある。
権利保障の責務は誰が
 交通基本法の基本理念の一つとして「移動権の保障」を盛り込むかが問われている。基本法という性質から、権利や理念の実現は、国レベルの計画策定(観光立国推進基本法の場合、同法制定の翌年に観光立国推進基本計画が示された)や個別法の整備・改定、財政支援制定の創設などに委ねられる。しかし、今般の交通基本法の場合、同法制定の以前から「地域公共交通確保維持改善事業〜生活交通サバイパル戦略〜」の創設方針が示され、「政策コンテスト」における評価も受けている段階にある。そのため、交通基本法で掲げるべき理念が同事業の内容に規定されてしまう、あるいは、交通基本法の理念が同事業と合致しないことにもなりかねない。
 また、同法に「移動権の保障」を位置づける場合、権利保障の責務を誰が負うのかを明確にしなければならない。地域公共交通確保維持改善事業では地域の協議会に対する支援が想定されており、その点では、現在の活性化・再生総合事業と同様である。ただし総合事業が協議会の構成市町村における計画策定や実証運行が支援対象であるのに対し、新事業は、既存の地域交通サービスに対する支援も対象になる。地域交通のマネジメントは、基礎的自治体と各地の協議会に委ねられることになるのだ。しかし基礎的自治体の責務を考える場合、地域公共交通の経営環境を考慮する必要がある。例えば、ノンステップバスの導入比率は東京など都市部では向上している一方、数台の導入に止まる県もある。交通バリアフリーの推進は、国が目標年次と数値目標を定め、市区町村が設置した協議会で基本構想を策定し、事業を進める方式を採っている。しかしノンステップバスの導入比率に格差が生じたのは、地方公共団体の財政状況はもとより、地方バス事業者の経営環境が厳しいことにも起因する。既にこうした格差が生じている状況においては、「移動権の保障」に関して、国が関与すべき責務は決して小さくないはずである。
掲げるべき理念の中身
 ところで、交通空白地域を生じさせないことが「移動権の保障」であると捉えられがちである。従来の地域交通計画の実務では、鉄道駅や路線バスの停留所を中心とする一定の範囲から外れた地域を交通空白地域と捉え、その解消のためにコミュニティバスやデマンド型交通の導入が試みられてきた。しかし、こうした計画手法には二つの問題がある。一点目は、地域住民の生活活動に「使える」サービスが提供されているかは必ずしも問われないこと。二点目は、障害者など移動制約者のアクセシビリティを老慮していないことである。そして、この二点を考慮した地域交通政策の実現が「移動権の保障」で掲げるべき理念であり、「広く、薄く」サービスを提供することが「移動権の保障」の意図するところではないと考える。その視点において、仮に「移動権」という呼称によって、理念がミスリーディングされるのであれば、交通基本法の条文や解釈、国レベルの計画を工夫することが必要であろう。
個別公共交通の議論も
 活性化・再生総合事業を活用して、市民や来訪者に「使える」地域交通サービスを提供する戦略的な取り組みが各地に芽生えはじめた。交通基本法制定後は、こうした芽生えを成長させる施策(その意味では、過疎地域に的を絞り過ぎた支援策では不十分である)の一方で、タクシーや福祉交通に関しても、地域交通政策に取り込むことが求められる。乗合公共交通は、利用者ニーズの公約数に対応するものであり、個々のニーズには応えきれない。生活活動に「使える」地域交通を計画するためには、こうした個別公共交通の提供方策を議論する必要がある。個別公共交通は、一人あたりの輸送コストが高くなりがちだが、「非流し」のタクシーに関するビジネスモデルを構築するとともに、市民の共助で支えられる移動サービスを組み合わせて対応することが求められる。」



『《視点》不備多い有償運送を「適材適所」で改善へ/名古屋大学准教授 加藤 博和』(東京交通新聞2010.10.11)
 有償運送運営協議会は、緑ナンバー事業者のみが有償運送を許されるという大原則の中で、NPO等が有償ボランティア活動の一環として人を輸送することを合法化するために生み出された。道路運送法79条の4にあるように「緑ナンバー事業者では困難」、しかし「地域として必要」な輸送について、協議会における関係者の合意を前提に認めることとしたのである。
 私が名古屋市の協議会会長を拝命して半年間で、協議会や運送のあり方について4回の会議で様々な議論を行ったが、最も争点となったのは運送の対価の設定であった。は「実費の範囲内」「合理的で旅客にとって明確」「営利目的でない」という基準を示した上で、「タクシー上限運賃のおおむね2分の1という「目安」を示し、さらにこれは「上限」ではないという解釈まで示している。
 私は次のように理解している。国は地方分権の観点から、対価についても協議会で決めてもらいたいが、協議会がいきなりその妥当性を判断するのは無理かもしれない。そこで、利潤が発生しえない水準であろう「おおむね2分の1」を「目安」という注釈をつけて示した。しかし、中央集権が抜けきらない運輸業界ではそれがやはり金科玉条となり、それゆえに「おおむね」の範囲がどこまでかでもめるケースも出てきた。これは極めてナンセンスであって、あくまで対価は先の3つの基準にのっとって決めるべきである。
 そこで名古屋市では、2分の1以下の申請は無条件で認め、それを越える場合には実費の範囲内であることを示す理由書を提出し吟味するルールとした。運営団体にとって運送はごく一部の事業なので、その経費のみを切り出して示すことは大変である。しかし「おおむね2分の1」では実費がまかなえないと主張したいのであれば、理由書を出して納得してもううほかない。
 今回、それにチャレンジした団体が1つあった。1度目の理由書は根拠不十分であったため、より詳細な理由書を出していただき、経費算定の妥当性については委員各位のご理解が得られた。しかし、大幅値上げは利用者にとって容認しがたいという意見もあったため、妥協案として、将来の再値上げも視野に入れつつ、今回は実の半分程度の値上げとしてはどうかと提案した。これを申請団体に受け入れていただき、協議会委員各位の合意も得るに至った。時間はかかったが、法秩序を守りつつ利用者など各関係者に大きな不利益を与えることのない結論が得られたと自負している。
 そもそも、福祉有償運送は「緑ナンバー事業者では困難」な運送であって、タクシーとの競合はあり得ない(あるとしたら認めてはいけない!)。一方、公的補助がなければ経費に見合った対価を利用者から徴収する必要があるが、「おおむね2分の1」に縛られるとそれができない可能性がある。加えて、登録に至るまでの諸手続の面倒さもあって、福祉有償運送数は減りつつある。その分は安心安全が保障されない「謝礼」運送に取って代わるか、運送自体がなくなって利用者が困るかのいずれかであると考えられるが、それでよいのだろうか?
 運送の対価の設定のみならず、現行の制度は不備が多い。移動権保障を掲げる交通基本法への流れを踏まえ、地域として必要な福祉輸送を「適材適所」で供給する方法を利用者・現場目線で「走りながら」考え、制度の改善につなげていくことこそ、今後、協議会が果たすペき役割であると私は考えている。(投稿)



《報道資料ファイル》
「《国交省通知》「無償」運送の範囲拡大/迎車回送分の燃料代、ファミサポ子ども送迎
「《国交省》バス・タク許認可権限維持/有償運送、自治体に移譲(東京交通新聞2010.9.6)
「市民レベルでセミナー開く/移動権、生存権として確立を」(交通新聞2010.7.8)
「《全国移動ネットが総会》新生活交通の仕組み検討」(東京交通新聞2010.7.5)
「新ひだか有償運送協議会/範囲拡大合意に至らず」(北海道新聞2010.5.21)
「《特区提案受け国交省》自家用車「無償」/運送範囲拡大へ」(東京交通新聞2010.05.17)
「《障害者送迎NPOに壁》大阪市 普通車使えず・回送料金禁止/地元ルールが制約
「《福岡市》生活交通条例で「移動権」特記/行政の役割・責任明示」(東京交通新聞2010.04.12)
「《国交省》財源拡充し一括交付/交通基本法で「中間整理」」(東京交通新聞2010.04.05)
「福祉有償セミナー/「交通基本法」で辻元副大臣講演」(東京交通新聞2010.03.22)
「《14日・高槻》福祉運送セミナー「障害者に移動手段を」/辻元副国交相が講演」(毎日新聞2010.03.11)
「交通基本法検討会・意見聴取/福祉輸送めぐり移動サービス増強の声」(東京交通新聞2010.03.08)
「かながわ移動ネット/福祉有償運送で学習会」(東京交通新聞2010.03.08)
「関口国交省総政局次長/移動サービス供給増と財源確保が重点課題に」(東京交通新聞2010.03.01)
「全国移動ネット・関西STS連絡会/辻元国交副大臣迎え福祉有償セミナー」(東京交通新聞2010.03.01)
「障害者送迎NPOに壁/活性化へ道路運送法改正を」(日本経済新聞2010.2.26)
「国交省「交通基本法検討会」/タクシーや福祉有償をテーマに」(東京交通新聞2010.02.22)
「福祉輸送などで要望書/移動サービスネット、国交省に」(東京交通新聞2010.02.08)
「活性化へ道路運送法改正を/全国移動ネット、国交政務官に陳情」(東京交通新聞2010.02.01)



《書籍案内》
移動送迎サービス『運転協力者研修テキスト』

(A4版104ページ/1000円
第11刷.2011.5発行)

◎執筆編集・発行:
関西STS連絡会
特別非営利活動法人 移動送迎支援活動情報センター




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(A4版28ページ/200円
2008.2発行)

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※必要な方は事務局までご連絡下さい。【メールはココから】


■次回・関西STS連絡会運営委員会
日 時:6月4日(土)pm6:00〜8:00
場 所:NPO日常生活支援ネットワーク事務所