『《全国移動ネット総会》新理事長に中根氏』(東京交通新聞2009.6.15)
NPO有償運送の全国組織・特定非営利活動法人 全国移動サービスネットワーク(全国移動ネット)は7日、横浜市のオルタナティブ生活館でNPO法人化後3回目の通常総会を開き、2008年度事業報告・決算を承認、誰もが自由に移動できる社会を実現するための中期ビジョンを描く2009年度事業計画・予算を決めた。役員改選で
新理事長に
中根裕副理事長が選任された。
副理事長に
笹沼和利(埼玉県移送サービスネットワーク)、
杉本依子(NPO法人ハンディキャブゆずり葉)、
河崎民子(NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク)、
柿久保浩次(関西STS連絡会)の4氏。
中根新理事は「国の権限の地方移管に対し危機感が強い。
現状のまま移管するとローカルルール(運営協議会で独自に決める上乗せ基準)の
縛りが強まる懸念がある」とし、「3〜5年のスパンで取り組んでいる中期ビジョンの具体化を推進させたい。また都市部と地方部では課題が異なり、それぞれの問題点を浮き彫りにしていきたい」と抱負を語った。
国土交通省の奥田哲也自動車交通局旅客課長らが来賓出席。「もっと知ろう地域交通予算」をテーマに首都大学東京の吉田樹助教による学習会も行われた。
『《練馬区の有償運送運営協》NPO申請協議未了 珍しいケース』(東京交通新聞2009.6.8)
NPOによる有償運送の新規登録事案について1年越しで協議してきた練馬区福祉有償運送運営協議会(会長=岩田高幸・健康福祉事業本部福祉部地域福祉課長)が、協議をいったん打ち切ることを決めたことが明らかになった。
料金設定で継続協議していたが、申請者側の連絡が途絶えたのが直接の理由。同運営協は「門戸は開かれており、申請の意思表示があれば改めて協議する」(岩田会長)としている。長期に協議しながらも途中で協議未了となったケースは全国的にも少ないとみられる。
協議対象の団体はNPO法人なごみ(中川博三代表)。練馬区によると、昨年5月の申請時、「出庫〜帰庫」の料金体系だったが、8月の協議で「乗車〜降車」の体系に改め、迎車料金を15分ごと500円加算に設定したいとした。団体側は「経費に見合うよう迎車料金を設定したが赤字。和光市ではこの料金体系で運行し、できれば崩したくない」としたが、運営協からは「タクシーの迎車料金は固定料金で帰庫料金には適用されていない」などの意見が出て、11月に継続協議。今年2月に運営協から団体側に委員の各意見が通知されたが、団体側から音さたがなくなり、5月の運営協で協議をいったん打ち切ることが決まった。
同運営協は、タクシーから佐藤雅一氏(東旅協)、山下晴樹氏(全自交東京地連)、NPOから伊藤絵利子氏(腎臓病連絡協議会すずらんの会)などが参画。設立当初より活発に協議がなされ、同区内で14の有償運送団体が登録されたが、協議未了となったのは初めて。
『新たなSTS構築模索 全国の移送NPO/民主党・国交省と意見交換』(東京交通新聞2009.5.25)
民主党は15日、参議院議員会館で全国のNPO有償運送団体や移動サービスを利用する障害者と意見交換した。昨年12月に続く2回目で、国土交通省の自動車交通局、道路局、総合政策局から係官約10人が出席、質疑応答した。党側から田名部匡省・参院元国土交通委員長、谷博之・党障がい者政策推進議員連盟会長、小宮山泰子・党障がい者議連事務局長、大河原雅子・企業団体対策委員長代理らが出席。
NPO側の発起人は竹田保・日本移送移動サービス地域ネット連合会(J−NET!)理事長。長谷川清・移動支援フォーラム理事長、越谷秀明・青森県移送サービスネットワーク代表、伊藤寿朗・
移動サービスネットワークみやぎ理事、笹沼和利・埼玉県移送サービスネットワーク会長、猪野裕子・千葉県移送サービス連絡会代表、水谷克博・愛知県ハンディキャブ連絡会副代表(日本NPO救急搬送連合会理事長)、今福義明・DPI日本会議交通問題担当常任理事、山本憲司・全国移動ネット理事、伊藤みどり・同事務局長、福原秀一・市民福祉団体全国協議会事務局員らが参加した。
NPO側から運営協議会の改善、移動困難者ニーズの把握、地方交通のバリアフリー化、緊急経済対策での措置、高速料金割引の見直しなどについて事前提示された項目をもとに国交省側と質疑応答した。
移動支援フォーラムは、市民が自発的に行う互助活動に対し道路運送法を適用しないことや移動量を数値化し達成目標を設定することなどを盛り込んだ内容を書面提案した。
意見交換終了後、参加NPO間で非公式に協議。「国交省のガイドライン設定から5年、制度化されたが利用当事者や送迎NPOは身動きがとれない。運営協が改善されてもタクシーとの綱引きが続き徒労感ばかり広がる。無駄な労力を費やしている場合ではない」といった問題意識を共有した。DPI会議の今福氏は「STSはバスやタクシーの補完ではなく、公共交通機関そのものだ。バスやタクシーと相まってSTSが地域の公共交通に位置付けられるようSTSの解釈を捉え直すべき」とし、移動支援フォーラムの長谷川氏は「地方分権の流れも踏まえ、市民が自由に参加できる当初の姿に立ち返るべく新しい枠組みを改めて提案していくべき」などと述べた。
NPO:運営協設置率低い/国交省:全自治体に周知へ
民主党の意見交換会での主なやりとりは次の通り。
竹田・J−NET代表 NPOの移動サービスの改善だけが今回の意見交換の目的ではない。どうしたら市民が自由に移動できるようになるか、そこを追求したい。
国交省 運営協は現在、全市町村の約6割で設置されている。上乗せ基準は適切に見直したい。
竹田氏 有償運送の国の権限を地方に移譲する話があるが、国が最低限を保証するナショナルミニマムの観点はどうなのか。国がある程度決めないと不安だ。
国交省 権限委譲の勧告がなされたが、地域格差が広がる懸念は聞いている。国交省の方から進んで委譲する気はないが、現状ではフォローアップしながら前向きに対策を講じていくとしか言えない。
笹沼・埼玉ネット会長 運営協は5年経ってまだ40%が未設置とも言える。
谷・民主党障がい者議連会長 いつまでに運営協を全自治体で設置すると具体的な目標を置けないか。
国交省 運営協の設置では自治体が先ず有償運送の必要性があると考えるかがポイントになる。必要性を判断しようとしていない自治体は問題で判断を求めていきたい。
越谷・青森ネット代表 秋田や岩手では(有償運送の)ネットワーク団体がないので必要な情報が伝わっていかないが、必要な情報なら自治体にも漏れなく伝えてほしい。
国交省 どんな形であるにせよ、全自治体に情報が伝わるようにしたい。
小宮山・民主党障がい者議連事務局長 政権を取ったら移動困難者のニーズを把握し、運営協を開かせることを約束する。
水谷・愛知連絡会副代表 隠れたニーズを把握する方法を考えてほしい。国交省と厚労省の共同事業として把握の仕方を考えてほしい。
今福・DPI会議常任理事 青森や長崎などの公営バスは実質的に車いす利用者を乗車拒否している。こうした会社は補助金の対象から除外してほしい。
国交省 検討する。
『《有償運送制度》国土交通省、近く改正通達/運送対価など統一見解』(東京交通新聞2009.5.18)
| 【有償運送の改正通達で示される統一見解】 |
・上乗せ基準=適時適切に内容を検証
・運送区域=広域設定も可能
・旅客の範囲=区分追加は届け出
・複数乗車=透析や障害者の施設送迎に限定されない
・運送対価=「タクシーの2分の1」は目安で上限ではない |
国土交通省は近く、自家用有償旅客運送制度を改正する通達を地方運輸局、全国ハイヤー・タクシー連合会、全国福祉輸送サービス協会などに出す。各地の運営協議会で取り扱いが分かれている独自策定の上乗せ基準(ローカルルール)、運送対価、旅客の範囲などについて統一見解を示すもので、上乗せ基準は過度の制限を加えるものでない限り容認する一方、適時適切に合理性を検証することをうたう。運送対価の「タクシー上限運賃のおおむね2分の1」については目安であり、上限ではない旨を明記する。赤字で運営できないNPO有償運送団体による料金値上げ申請が各地の運営協に提出されそうだ。
今回の通達では、2006年10月の道路運送法改正で有償運送登録制度が設定されて初の制度変更を示す。国交省は自家用有償旅客運送フォローアップ検討会(主宰・自動車交通局旅客課長)を設置、タクシー業界、NPO有償運送団体、自治体などを集め、新制度の問題点について協議してきた。通達に盛った統一見解の内容は14日のフォローアップ検討会で最終報告され、了解された。
柱は、@国交省の制度化時の見解とは別に地域特性に応じて定めた上乗せ基準に対する見解、A運営協で解釈と運用上の疑義が指摘される▽運送区域▽旅客の範囲▽複数乗車の必要性▽運送対価▽協議会提出の書類の取り扱いに対する考え方の整理、B制度上の負担軽減。
上乗せ基準は、有償運送を過度に制限を加えているケースがあるとの指摘があり検討。通達では「有償運送に過度な制限を加えるものでない限り、排除されるものではない」としながらも、「ルールの前提となる状況が変化しているにもかかわらず、長期間見直さない」「個別事例の取り扱いを他の事例を吟味せず一律のルールとして適用する」など過度の制限を加えているケースは適当ではないとし、こうしたケースは移動制約者の状況、タクシー等公共交通機関の整備状況、有償運送の運営実態――など適時適切に検討、合理性を検証するとした。
運送区域については、原則、運営協で協議が調った市町村単位とし、複数市町村や都道府県単位の運営協では市町村を越える広域的な運送区域の設定が可能としている。
旅客の範囲は、登録後に区分を追加する範囲変更は軽微な事項の変更届け出として、変更日から30日以内の届け出で足りる。旅客の範囲の確認方法については、@判定組織を設置し判断、A運営協事務局で判断、B運送団体が会員登録時に書面を確認し運営協事務局で判断、C運営協で判断――の事例を添付する。
複数乗車の必要性については、透析患者輸送、知的・精神障害者の施設送迎は複数乗車が認められる代表事例にすぎず、これに限定されないとして事例紹介する。
運送対価は、タクシー上限運賃(ハイヤー除く)のおおむね2分の1の範囲内について、実費の範囲内で営利目的ではない妥当な範囲であることを前提に「運送の対価の目安であり、上限として定められているものではない」と明記。タクシー運賃の2分の1を超える料金を設定する場合、運営協で説明し合意があれば値上げできる。
運営協への提出書類は「申請者の負担軽減にも十分配慮」するとした。このほか制度変更は、運行管理者の専従責任者に変える▽登記事項証明書で確認できる役員名簿の省略▽市町村が有償運送を委託する場合、市町村職員からの運行管理責任者の選任を不要とする――など。
『《福祉輸送》国交省あり方委/地域の連携に期待―報告案、大筋で了承』(東京交通新聞2009.3.30)
国土交通省の「福祉タクシーなどを活用した福祉輸送のあり方調査委員会」(委員長=秋山哲男・首都大学東京大学院教授)の最終会合が25日開かれ、移動ニーズを数量把握する需要推計算式・手順の設計を柱とした報告書案を大筋了承した。供給量の増加、サービスの充実に向けてはタクシー事業者、自家用車有償運送団体、自治体など地域関係者間の連携に期待した。東京都杉並区、札幌市、埼玉県ときがわ町の3モデル地区での推計分析結果も提示された。
報告書は体裁が整い次第、公表される。案では、今後の展望について「各地で移動制約者のニーズを把握し、福祉輸送を公共交通全体の中で総合的に検討することが望まれる」とし、地域公共交通活性化・再生総合事業補助制度の活用やユニバーサルデザイン車両の早期開発などを課題に挙げた。自治体には「福祉輸送計画の策定や支援措置の検討を」と求めている。
需要推計モデルでは障害者(身体・知的・精神)、要介護・要支援者の人口や外出頻度などの数値データを算式に当てはめ、必要な供給量をはじき出した。変動を前提に杉並区は「325〜938台」(現状約240台)、札幌市は「1501〜2683台」(808台)、ときがわ町は「16〜37台」(28台)とした。
自治体主宰の有償運送運営協議会の運用のあり方をめぐっては、▽自治体側に制度の理解が不足、▽「必要性」判断が不十分、▽運送対価の議論に時間がかかっている――など問題点を整理し「関係者のコミュニケーションが大切」と指摘。運営協が国の法令要件以外に独自に定めている「上乗せ基準」に関し、妥当性を自主点検していく方向が示された。
『《移送サービスのつどい09》「もう一歩先」を討論/財源確保問題に初めてメス』(東京交通新聞2009.3.23)
移動サービスの多様な関係者が元気の出る学び場からメッセージを発信しようと8日、東京・飯田橋で「移送サービスのつどい2009」が開催された。各地の移動支援NPOやタクシー事業者など約150人が集い、「もう一歩先の福祉移送」を討論した。財源確保問題に初めてメスを入れた分科会にパネリストで参加した千葉県タクシー協会の武藤厚氏は「ユニバーサルタクシーの導入に際し、義務化した上で車両価格の差額分の公的補助をお願いしたい」と提起した。国土交通省の奥田哲也自動車交通局旅客課長も参加、「移動の財源対策では、福祉政策、消費税など社会政策的な議論を深めるべきだ」との見解を示した。
今回のイベントは、東京を中心に首都圏近県の移動支援NPOと地方のタクシー会社が加盟する東京ハンディキャブ連絡会(74団体)と東京ボランティア・市民活動センターが主催した。過去20年にわたり年1回、NPO主体に移送サービス研究協議会を開催してきたが、今年から「タクシーもNPOも移動サービスの担い手が全員で討論し、移動困難者の問題に立ち向かう場づくりにしたい」との東京ハンディキャブ連絡会・荻野理事長の方針から、国土交通省、全国ハイヤー・タクシー連合会、全国福祉輸送サービス協会に後援を依頼した。具体化は次年度以降の課題となったが、タク業界からも参加があった。
九州大学の嶋田暁文・法学研究院准教授が「行政学的視点からみた道路運送法下の移送サービス」と題し講演。福祉有償運送運営協議会で策定する上乗せ基準については「法令で認める利用者の範囲を要介護度3以上などと勝手に限定したり、車体の表示をペンキで描かなければ駄目などと言うのは、違法なローカルルールと解すべきだ」と批判した。
財源確保の分科会では「福祉輸送の財源をいかに創造するか!」がテーマ。本紙の武本英之編集局取材部長が司会し、千葉県指定訪問介護事業所の武藤自動車の武藤社長、埼玉県移送サービスネットワークの笹沼和利代表、世田谷の福祉限定事業者の篠山洋ペイフォワード代表、東京中心に150台が参加するウィルコールセンターに加盟する限定事業者の伊藤輝明イトウケアワークス代表がゲストで事例発表。
同分科会は、@福祉輸送の収支は赤字となる構造にある、A公的補助が不可欠、B不足金額と補てん方法は今後の課題――との問題意識を共有、今回の討論を契機に今後も議論を積み重ねることで一致した。
分科会でゲスト発言者から事例報告、各自の財源シミュレーションが提示。
笹沼氏は、埼玉県の事例を示し、「埼玉の移動支援NPOには、県の生活サポート事業の補助金が3分の1入っている。逆に補助金がないと赤字になり、埼玉では財源の裏付けがないと移送サービスはできないと言える」と述べた。
限定事業者の篠山氏は、介護タクシーモデル収益として、@1日4・5件、A1回単価4,500円、B月25日稼働――で営収約50万円、支出約17万円を差し引き、月約33万円の収益が理想とし、地域環境で収入が異なるがストレッチャー代など付加価値を載せて補てんしていると説明。利用者負担の軽減では、運賃の5%を還元したり、事業者間での運賃の平準化などを提起した。伊藤氏は「損益分岐点は月営収50万円、それ以上いかないと厳しくなる。当社はコールセンターでグループ同一料金で行い、効率を高めあっている」とした。
最後に「もう一歩先の福祉移送について考える」をテーマに全体討論会が荻野代表の司会で奥田旅客課長も参加して開催。首都大学東京の秋山哲男教授、嶋田准教授がコメントテーターで参加、4分科会の担当が報告しパネル討論した。
■国交省・奥田自交局旅客課長/社会政策的論議を
全体討論会での国士交通省の奥田哲也自動車交通局旅客課長の発言要旨は次の通り。
車社会が成熟期に入り、地域住民の身近な移動の足の確保が課題。障害者だけでなく健常者も含めて考えることが重要。そこでは青ナンバーだけで移動ニーズを賄うことはできない。移送ボランティア、レンタカーのカーシェアリングなど総合的に組み合わせて国民のニーズにこたえる制度をつくらないといけない。国が一律につくるのではなく、地域で尊重される制度が必要と思う。
財源対策では、国交省は地方バス路線に年70億円の赤字補助をしているほか、交通空白地の活性化再生総合事業で年40億円の補助を計画している。福祉輸送ではタクシーは採算が合わず、NPOも苦しいと聞く。現在、国交省にそのための支援を要望されても難しいが、財源をどう確保するかは重要な問題だ。
移動のニーズとも関係するが、今後、厚生労働省を含めた福祉政策や消費税など社会政策的な議論をしていくべきだ。
■移動困難者二ーズ調査結果を発表
全国の移動困難者のニーズ把握に初めて本格的に取り組んだ全国移動ネットの調査結果について、伊藤みどり事務局長は8日の移送サービスのつどいで公表し「移動制約者は予想以上に多い。身体的理由だけで判断しない新しい指標が必要だ。複合する阻害要因に対応できるサービスが求められており、福祉サービスは自治体ごとに異なり、自治体を特定した事例を検討すべきだ。また、バス並みの『利用料金』を実現する体系的なサポート体制の確立が必要だ」と提案した。
『《私の主張》自由な外出のため支援を/―平野 征幸(NPO法人 中原たすけあいの会代表、67歳)』(佐賀新聞2009.3.13)
以前は日常生活を過ごすために必要なお店をはじめ、いろいろな施設は身近な街中にありました。しかし、現代のマイカー中心の車社会の中で、残念ながらこのような施設は郊外に設置され、街中から姿を消してしまいました。
また、路線バスも乗客が少なく廃止路線が目立つようになり、それに代わって一部の行政はコミュニティーバスを運行しておりますが、これもまた赤字運営で継続が危ぶまれています。このような状況の中で、マイカーなくしては住み憤れた街で生涯を過ごすことが困難な世の中になってきております。
このため、私たちは11年前から地域の助け合い活動の一環として、「困ったときはお互いさま、助けたり助けられたり」の精神で、買い物・通院などに困っておられる方に対し、実費程度の謝礼をいただいて有償での外出支援活動をしてまいりました。
このような福祉活動は、道路運送法上「自家用自動車の有償運送行為禁止」への抵触問題としてあいまいな状態で経過してまいりましたが、高齢化、介護保険制度など社会情勢の変化から2006年10月には、高齢や障害などがありタクシーなどを利用してもー人で外出できない人々を対象として、「福祉有償運送」が道路運送法に定められました。
この法律により利用対象者が制限されたため、今まで地域の支え合いによる外出支援活動によるサービスを利用できていた人の一部の人が、利用できなくなってしまいました。
在宅で日常生活を過ごしていく中で、外出に困る人は法律に定められた人ばかりではありません。家からバス停まで買い物の荷物を持って歩くのが困難な人や、経済的な事情からタクシー代を払うことができない人も、同じ外出が困難な人たちです。
あふれんばかりの車社会の中で、高齢などにより免許証を返上し車を運転できなくなったばかりに、これまで住み続けてきた地域社会の中での生活が継続できなくなることは悲しいことです。これからますます進んでいく超高齢社会の中で行政(税)に頼るだけでなく、地域社会の支え合いによる自由な外出支援活動ができる仕組みを生み出さないと、在宅生活や自立支援の実現は不可能です。
在宅生活が継続できなければ施設入所などに移行し、その結果としてこれからの医療・介護保険財政にさらに多大な影響を与えることにもなります。世の中にあふれている車(財)とマンパワーの活用の仕方で、新たな社会的投資(税)をすることなく外出支援活動が確保できると思います。
今の世の中、交換の論理(見返りを求める)だけでなく、母親が子どもをはぐくむような愛情の論理(見返りを求めない)の価値観の必要性を地域社会でも気づき、これからの街づくりにかかわっていく時代だと思います。何事にも交換の論理が最優先してきた結果、ちょっとした変化があれば一気にバランスが崩れてしまう薄っぺらな、奥行きのない社会に変革してしまった一因ではないでしょうか。
各地域で外出の足に困っている事情はその土地でいろいろあり、当然、その対策もさまざまだと思います。単純に多額の赤字を出して町内一律にコミュニティーバスを走らせるだけで解決する問題ではありません。地域の事情に合った使い勝手の良い運行形態のアイデアを地域住民・行政が一緒になって考え、解決していかなければなりません。
私たち地域住民が知恵を出し、自分たちが住みたい・住みやすいこれからの街をつくっていこうではありませんか。
『千葉のNPOがシンポ/有償運送の課題論議』(東京交通新聞2009.3.2)
移動支援ネットワークちばと千葉県移送サービス連絡会は2月20日、千葉市で「福祉有償運送継続に向けて」をテーマにシンポジウムを開催した。講演やパネルディスカッションを行い、NPO事業者や自治体などから80人が参加した。
須貝代表は冒頭あいさつで「事業者はいろいろな悩みを抱えている。課題を共有化し、理解と評価を高めていきたい」と開催趣旨を述べた。
パネルディスカッションではタクシー、NPO、訪問介護事業所、自治体などの代表者が福祉有償運送を続けていくための課題について意見を交わした。質疑応答では運営協議会の広域化に質問が集中した。
全国移動サービスネットワークの中根・副理事長は運営協議会のあり方について説明した上で「利害関係の調整や団体の審査だけでは本質を見失ってしまう」と指摘した。
タクシー代表の小池氏(協進交通)は「移動困難者を担えるのは、われわれだと思っている」としながらも十分対応できていない現状を示し、「(NPOや自治体と)協力関係でなければ」との認識を示した。
自動車事故対策機構の三枝・千葉支所長が講演、運輸安全マネジメントや交通事故に関係する生理・心理などを解説した。
福祉運営協議会38市町村で設置/千葉運輸支局報告
千葉運輸支局は同シンポジウムで県内の福祉有償運送の現況(1月末現在)を発表した。福祉有償運送運営協議会は県内56市町村の7割にあたる38市町村(29市7町2村)が設置していることがわかった。設置件数は05年14件、06年20件をピークに、07年以降は3件にとどまっている。
登録事業者はのべ131団体935台(うちセダン型車両612台)。複数の市町村に登録している事業者を除いた実数は100団体727台。内訳はセダン476台、車いす167台、回転シート51台、兼用25台、寝台8台となっている。
「今後の運営協議会」について講演した千葉運輸支局の三上・運輸企画専門官は「(有償運送は)タクシーとの共存共栄が必要になってくる」と述べ、各自治体が積極的にかかわっていくことの重要性を示した。
管内では千葉、茨城両県だけが市町村単独で設置していることにも触れ、事務局の負担軽減や問題の共有化など広域協議会のメリットを紹介した。