『NPO&タクシー情報一元化/かながわ福祉移動ネットがHP』(東京交通新聞2008.9.1)
神奈川県内で
福祉輸送サービスを行う
NPO、タクシーの情報を一元化して提供するホームページがこのほど開設された。
NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワークと県の協働事業によるもの。
電話相談口と併せ7月17日スタートして1ヵ月余たった。
NPO118団体、
タクシー89事業者(一般・限定)の
計207団体・事業者を市町村別に掲載。さらに
個々の詳しいサービス内容(
利用できる人、
福祉車両の種類や台数、
車いすなど介護用具の装備、
活動時間や利用方法)も確認できる。一般タクシー関係は県が神タ協に情報提供を依頼、各事業者が自主対応した。
電話相談窓口は
移動制約者の外出に関する問い合わせに対応、
移動サービス実施団体などの紹介業務を過2回行なう。開設後1ヵ月に10数件あり、利用に関する内容のほか、
地域でボランティアによる輸送サービスを立ち上げたいとの相談もあった。
移動サービスネットは「5年計画の協働事業の2年目。現場レベルで利用者利便を図るため、NPOとタクシーが地域で何ができるか今後、勉強会も開きたい」(石山典代事務局長)と話している。
ホームページアドレス/http://www.npo-taxi.net/
相談窓口(
毎週月曜日・木曜日午前10時〜午後5時。祝日も業務)
連絡先=
045・973・6341
『交通弱者の「福祉有償運送」経営は厳しく』(読売新聞2008.8.20)
《ガソリン価格高騰で走るほど赤字》
一人で公共交通機関を利用するのが困難な
高齢者や
障害者の移動を助ける
「福祉有償運送」が2006年10月にスタートして、まもなく2年。利用者には欠かせない存在だが、
運営団体の経営は厳しく、昨今のガソリン価格の高騰が追い打ちをかけている。
栃木県日光市の児玉ミツさん(66)は、自宅から約2キロ離れた病院へ
週2回、福祉車両で人工透析に通う。その際、同市内で
訪問介護サービスなどを行うNPO法人ウエーブの移動サービスを利用する。料金は1km90円。ほかに自宅などに迎えに行く料金が1km30円で、一日(往復)480円、週960円を支払う。以前はタクシー会社のリフト付きタクシーを利用していたが、送迎代金を含め、週4000円以上かかったという。児玉さんの夫(77)は「年金生活で家計は苦しく、車イスなので、乗り合いバスでは無理。このサービスは命綱です」と話す。
だが、
ウエーブの運営は厳しいという。67人が利用登録し、2007年度の運送回数は2804回と前年度の2倍だが、
ガソリン代の高騰が運営を圧迫している。石油情報センター(東京)によると、栃木県内では7月のレギュラーガソリン平均店頭価格が1g180円と1年前より43円あがっている。ウエーブが法人で所有する福祉車両3台の7月のガソリン使用量は約274gで4万7906円。2007年7月は282gで3万6815円。ガソリンの使用量は減ったが、ガソリン代は、1万1091円も増えた。
ウエーブの福祉有償運送事業は、2008年4〜6月期は収入が97万1760円に対し、支出は97万5161円と赤字だ。役員が事務を無報酬で担当するなどして支えてきたが、ガソリン代の上昇で限界に達している。事務長の芳賀勝夫さんは「値上げをするには運営協議会の許可が必要だが、利用者には所得の低い人も多く、コスト上昇を料金に転嫁できず、
運営自体に影響がでかねない」という。
東京都多摩市内で
訪問介護などを行うNPO法人ハンディキャブゆづり葉もガソリン代の増加に頭を悩ませる。利用会員は103人で運転手は約30人。料金は1時間1000円が基本で運転手には時給800円を支払う。会の収入は200円で、8台ある福祉車両の駐車場代、ガソリン代も賄う。理事の堤透さんは「移動サービスだけだと1回の出動で1000円を超える赤字」という。ガソリンスタンドで販売するプリペイドカードを買い、5%還元セール期間を活用するなどの節約をしているが、焼け石に水だという。堤さんは「訪問介護など他の事業収入で全体の収支を賄っているが、
それも限界だ。
自治体や地域で支える仕組みを考えねばならない」と語る。
《支援なく休止の団体も、自治体の補助 検討必要》
国土交通省によると、
福祉有償運送への登録団体数は、2008年3月末で2320。制度施行直前の2006年9月末の2136から増加した。2006年10月の制度スタート以前は、福祉団体などがサービスを提供していたが、今では地域で欠かせないサービスとして位置づけられた。しかし、
運営の実態は厳しいようだ。
福祉有償運送の
全国組織のNPO法人「全国移動サービスネットワーク」(全国移動ネット)が2007年10〜11月に全国の登録団体2300を対象に行ったアンケート調査によると、1団体あたりの利用者数は制度化以前の85・3人が制度化後は94・9人に増加。一方、1団体あたりの
運転者数は制度化前の13・0人が、制度化後には12・6人と
減少した。また「許可・登録申請で困ったことや活動で困ったこと」(複数回答)については、「
市町村・運営協議会・運輸支局への申請・登録・更新などの事務量」(130団体)が最も多く、「
運転者要件が厳しい、講習が負担」(同81)、「
必要経費が多い、費用を工面できない、赤字事業、単独の事業として成り立たない」(同67)が続いた。このアンケートに合わせて
「移動ネットあいち」(名古屋市)が行った
調査では、
福祉有償運送以外に介護保険や障害者自立支援事業を実施していない登録団体は月額平均9・1万円の赤字が出ていることがわかった。
多くの団体の状況が厳しいにもかかわらず、
補助金などで支援する自治体は少ない。それどころか、財政難の自治体ではこれまでにあった
福祉タクシーや無料移送サービスを縮小するケースもある。
全国移動ネットの杉本依子理事長は「国指定の運転者講習が義務付けられるなど、
費用負担や時間拘束が厳しくなった。
タクシー料金の2分の1という非営利の範囲で認めている福祉有償制度が実は非営利では成り立たない“制度矛盾”が生じている」と話す。
実際、採算がとれずに活動を休止する団体も出ているという。
大阪大学の猪井博登助教(交通計画)は「
福祉有償運送が機能しなければ、
外出の機会を失う“交通弱者”が増える。そうならないために、
料金規定を運行形態や地域事情に合ったものに変えることや、
自治体の活動団体への補助なども
検討する必要があるだろう。最近では、
福祉タクシーのチケットを福祉有償運送でも使えるようにした自治体も出てくるなど、
行政、登録団体が一体となり、利用者のために運用を柔軟にする努力が求められる」と話す。
『《地域交通支援モデル事業》佐賀県が3件採択』(東京交通新聞2008.8.11)
地域の、地域による、地域のための移動手段づくりを――。佐賀県の古川康知事は5日、
地域交通支援モデル事業を公表した。県内交通不便地域の移動手段を確保する事業を公募した結果、11件の応募があり、
デマンド貸切バスや
福祉施設の遊休車両を活用する無償運送など3件が採択された。会見で、古川知事は「実証実験を経て本格運行につなげたい」と抱負を述べた。
県は今年度、モデル実証実験を助成する制度を創設。実施主体が
市町の場合は450万円、市町以外は200万円まで補助する。9月上旬にも、
乗合タクシーのモデルが追加採択の方向だ。
古川知事は、地域住民の移動手段の確保をマニフェストに掲げる。@
公共交通機関の利用促進、A
自動車の共同保有・利用、B
マイカー相乗り促進――をあげ、
低炭素社会の実現を目指す。
モデル事業【表参照】の1つ目は川上地区地域交通支援事業。
デマンド型貸切バス運行モデルで、
住民の予約に応じ地域内の拠点や病院、スーパーなどを結ぷ。
2つ目は「地域の元気
! 山から村へ 村から山へ」と銘打った
定時定路線型貸切バス運行モデル。伊万里市東山代町で、
幹線バス路線や松浦鉄道との結節の利便性を高める。
3つ目は自家用無償旅客運送モデル。玄海町
社会福祉協議会が保有する送迎車両などの遊休時間を活用、
交通不便地域の住民らを対象に自家用無償運送を行う、同無償運送をめぐっては、県が
特区申請し、
国土交通省に運用の見直しを求めている。
は兵庫県や滋賀県を主体に多く設置され、運行態様は路線定期の乗合バス、コミュニティバスの再編・拡大、区域運行の乗合タクシーなどさまざま。
は2府4県205市町村のうち65%に当たる133市町村で運行しているが、07年度は新規運行路線がなかった。府県別内訳は大阪が29(23市5町1村)、京都が21(10市10町1村)、兵庫が22(16市6町)、奈良が28(11市8町9村)、滋賀が18(10市8町)、和歌山が15(6市8町1村)。運行形態は道運法4条許可が97件、78条(旧80条)有償運送が26件(4条と併用形含む)、その他32件(同)という状況。